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夕凪の偽日記

『小学生は忙しい』

暑い暑い。
ねっ!

夕凪は毎日
暑くても元気に過ごしています。
夕凪が元気だと
お兄ちゃんが嬉しそうだから!
そうだよね?
それと、
暑さなんかに負けないで、
ついにやって来た夏休みを、たくさん楽しみたいから。
はしゃいで
遊んで
仲良くして
それでもまだまだ
夏休み。
明日もあさっても
ずーっと
夏休み。
いつか終わってしまう、夏休み。
今はそんな気配もなく、
ひたすら
夕凪の時間です。
朝起きてから寝るまで、
まるごと夕凪のもの。
本当は、楽しい夏休みの一日はまだ足りない。
日付が変わってから
また日付が変わるまで
毎日ずっと、夕凪のものにしたい。
どうして夏休みは、
夜遅くまでおきていていい
大晦日がないの?
どうして紅白歌合戦がないの?
そうだ!
夕凪、真夏の歌合戦を始めるよ。
AKB48メドレーも
さそり座の女も
あの鐘を鳴らすのはあなたも
歌って踊る!
でも、夕凪はそんなに遅くまで起きているわけにはいかないので
限られた時間を、もっとお兄ちゃんと一緒に過ごすために
もっと今日一日の楽しかった話を聞いてもらって
もっともっとこれからずっと愛し合っていくために
早口言葉の練習をします!
なまむぎなまごめなまたまご。
あおまきがみあかまきがみきまきがみ。
とうきょうとっきょきょかきょくきょかかきょかがかりきょかしんせいかきょかしんせいまどぐち。
早口でも伝え切れないことがいっぱいあるよ。
こんなに時間がたっぷりあって
いくら遊んでもまだ余裕なのに
どうして家族みんな、
夕凪に宿題のことばっかり聞くの?
大丈夫!
今日、同じクラスのお友達のところに遊びに行ったけど
集まったみんな、
夏休みの前は、絶対7月中に終わらせるって決意していたのに
ぜんぜん途中。
終わらせたのは、たったひとり。
すごーい!
えらーい!
かっこいーい!
偉い人の生まれ変わりじゃないの?
これはもう、神様か仏様?
ありがたやありがたや。
拝んできた!
少しは夕凪にも、頭が良くなるご利益があるかな?
吹雪ちゃんが言うには、
夏休みは、暑さで勉強がはかどらないからお休みになっているの。
ということは、夕凪は考えたんだけど、
先生がそれをわかっていて宿題を出すということは、
あんまり暑さに耐えて無理をしなくても、問題ない分量に
抑えられているはず。
休むときは休んでも大丈夫な量なんじゃない?
その気になれば、すぐ終わるよ。
だから宿題なんてまだいいと思うな。
それよりも、夏をどうやって楽しく過ごすか、
そっちのほうが大事だと思います。
毎日毎日、研究しないといけない。
小学生の夏休みって暇じゃないの!
今日は遊びに行って帰ってきた後、
星花ちゃんとキャッチボールをしたよ。
調子に乗ってくると投げ方も工夫を凝らすようになるので
変な方向に飛んでいくことも多くなります。
ふざけているわけじゃないの!
フォーク、スライダー、シュートを試して
夕凪大回転マホウ球を試して
キャッチボールのだいごみ。
だから、すっぽ抜けたボールが氷柱お姉ちゃんに当たってしまっても
よくあること。
ごめんなさいで許して。
氷柱お姉ちゃんに向かって投げたわけじゃないの。
たまたまボールが飛んでいった場所に氷柱お姉ちゃんがいただけだよ。
わかって、氷柱お姉ちゃん!
いつもはボールの飛んでいくほうには
なぜか小雨お姉ちゃんがいることが多くて
よく当たるの。
ボールって寂しがり屋?
人間が大好きなのかな。
でも、氷柱ちゃんが投げる球は、誰もいないほうによく飛んでいくよ。
荒野の一匹狼、氷柱ちゃんの球。
前にヒカルお姉ちゃんが言ってた。
スポーツは、勝ち負けが目的じゃない。
自分の中にある何かと向き合うもの。
だから大人に成長して、熟練のスポーツマンになったら
どんなプレーをしていても、必ず、その人らしさが見えてくる。
夕凪のボールは寂しがり屋。
スポーツが個性を発揮する場になるくらい、
しっかりした大人です。
じゃあ、もう、
夜遅くまで起きて、朝早く起きて、
24時間を夕凪のものにしていてもいいはず。
あのねー、お姉ちゃんたちが夜遅くまで寝ないでいられるのは
コーヒーのおかげだって聞いたことがある。
ミルクも砂糖も入れない、大人の味はそりゃ効くはず。
今日は勇気を出して、背伸びをして試してみるよ。
夕凪はこの夏、大人の階段をのぼってしまう。
星花ちゃんは、夕凪が晩御飯の後でお風呂に入ると
遊び疲れて湯船で寝ちゃうから目が離せないって。
たいてい寝ぼけてるから、そのまま星花ちゃんに引っ張って行ってもらって
そのままベッドに入るところを、
お兄ちゃん、今日はお風呂に一緒に入って、もしどうしても寝そうになったら起こして!
コーヒーの効き目を見てね。
おねがい!

夕凪の偽日記

『パワーのみなもと』

夕凪は知っている。

人間の成長に
欠かせないもの。
それは、
愛と、
カルシウム。

お兄ちゃん、
愛ちょうだい!

カルシウムは大事だよ。
骨になる。
そんな体のみなもとが、
牛乳に入っている。
夕凪は、牛乳が好き。
ご飯のときでも
おやつのときでも
いつでも飲むよ。
おいしい牛乳。

朝から牛乳。
夜まで牛乳。
うれしい牛乳。
おいしいな。

いや、そこまで一日中は飲まないけど。
栄養がとれて
おいしくて
暖かくて
いいものだ。
いい人生のお供、
いい牛乳。

星花ちゃんは、ご飯には合わないっていうけど。
まあときどき、お米と一緒だとむにゅってなるけど。
でも、牛乳。
やっぱりこういうとこで食う物に文句言っちゃ
いけないぜ!
これは、井之頭五郎のマネ。
夕凪の食べるこういうところって、どういうところかというと
家族がいっぱい、
友達わいわい、
一緒に食べる人が多い。
孤独じゃないグルメ。
でないと、味気ないよ。
ていうか、意味ないよ。
意味ないと思うんだけど、どうかなあ。
栄養は取っているから、意味はあるかなあ。
さみしいよ?
なんでやねん! って思うよ。
食べながら。

それがさあ。
牛乳はいいものなんだけどさ。
わいわい食べるのもいいけどさ。
お兄ちゃん聞いてよ。
男子はいけないんだよ。
牛乳。
給食の時間に、狙って変な顔をして
笑わせて吹き出させるの。
ひどい、ひどいよ!
夕凪のカルシウムを
どうするつもりだ!
反撃すると先生に怒られるし!
給食は男子と対抗する時間じゃありません!
仕方ない、
家に帰ってきて冷蔵庫の牛乳を飲んだ!
おいしいよね、家の牛乳。
いっぱいあるし。
たっぷりほしい、栄養。
育ち盛り。
と思って飲んでたら、
なくなっちゃった。
意外となかった!
20人は多かった。
というわけで、大量に飲んでしまった夕凪が
このたび、任されたお仕事。
明日は時間があったら
おつかいで買ってくるの。
お兄ちゃんも行く?
楽しいよ、お買い物。
おつかいの合言葉は、
さくらちゃんの知恵!
わきしょうをいたす。
なんて、さくらちゃんが一緒かどうか
明日のことは分からないけれど、
怖いものがあって泣いても、家族とにっこりするといいよ。
お兄ちゃんが怖がって泣いたら、
夕凪がニコニコマホウで笑顔にする!
まだ開発してないマホウだけど、すぐできるんじゃないかな。
夕凪は、牛乳を飲んでるときは狙わないから大丈夫。
そんなことを家族の前でしたら、
こわいこわい。
それに、誰かを笑顔にできるのは、変な顔だけじゃない。
ダジャレだけでもない。
くすぐりは、家の外だとアウト。
はしたないって叱られるよ。
とにかく何か考えておくね、ニコニコのもと。
でも、お兄ちゃんが泣き出すほど怖いものってなんだ?
氷柱お姉ちゃん?
チョコカツカレー?
大丈夫、デパートにはないから。
よーし!
じゃあ明日はお兄ちゃんとお買い物デートだ。
約束ね。
ニコニコの予感だ!
マホウをかけられてもいないのにな?
牛乳が足りなくても、こんなに元気。
いっぱいあれば、なお元気。
明日は両手に抱えて帰ってこよう!
おいしい牛乳がお得だとラッキーだ。
行ってみるのが楽しみだよね。

夕凪の偽日記

『透けブラ』

お兄ちゃん!
あつは
なついねえ!

前から読んでも
後ろから読んでも
夏あついな!
に、ならないか。
ちょっと惜しい。

まだ夏じゃないけど。
気分は、夏でいいかも。
今日は夕凪、
上着をスッポーンと脱ぎ捨てて
シャツだけになって
汗だくになって遊びまわって
帰りにアイスを買ってきた!
もう夏を満喫した!
あとはプールで遊べたら、
しばらくは夏はいいや。
二ヶ月くらいは。
都合のいいことに、明日は休日。
昼と夜の時間が同じになる
マジカルな日を記念したお休み。
夜が大好きな霙お姉ちゃんも
昼間は大暴れのあーちゃんも
仲良く楽しい
どまんなか。
気候もよくて、
寒いと調子がいい吹雪ちゃんも
冷え性の蛍お姉ちゃんも
にこにこ、うふふの、ちょうどいい日。
春の始まり。
夕凪が待ちに待った、お兄ちゃんと遊べるお休み。
それなのに、
明日はくもり──
神様、
わかってないなあ!
せっかくのお休み、
お兄ちゃんと一日一緒にいられるのに。
まあ、春休みになったらいつでも遊べるからって
星花ちゃんは言うけれど
春休みなんて短いし!
五秒で終わるよ!
というのは、大げさだけど。
この感じ、わかるでしょ?
春休みは、あっという間。
なにしろ、過ごしやすい陽気だから
毎日昼寝してしまいがち。
なんの罠?
そんな短いお休みが過ぎたら、
びっくりすることに一つ上の学年なんだよ。
そんな心の準備、できるような時間じゃないよ。
ああ、一瞬だあ。
今のうちから、楽しむ準備を整えておかなくちゃ。
進級する心の準備は、まあいいや。
精一杯遊びたい春休みの前の
貴重な祝日を、
お兄ちゃんと、かんかん照りではしゃぎたかったのに。
でも、あんまり暑いと吹雪ちゃんやユキちゃんは調子が悪いみたい。
家族がそろうお休みだから、このくらいでちょうどいいのかな。
今日だって吹雪ちゃんは、
風通しのいい涼しい場所を探して、家の中をうろうろしてたよ。
埃っぽいのも苦手だから、なかなか大変な放浪の旅。
結局、ユキちゃんの部屋にいた。
あの部屋は、暑くもなく、寒すぎることもなく。
わりかし適温、いつでも春分、
夢心地の別天地。
体が弱いユキちゃんが休むのに、おうちでいちばんいいところ。
吹雪ちゃんも、あんまりうるさくならないようにしたいって。
そのうち夕凪もあの部屋で過ごしてみたいな。
ユキちゃんが元気になったら、たまに夕凪と部屋を取りかえっこしよう。
お兄ちゃんは今でも元気だから、すぐにでも取りかえっこできる。
夕凪のベッドは丈夫だから、お兄ちゃんが寝ても大丈夫だよ。
跳ねても壊れないんだから。
お兄ちゃんの部屋で寝るのはどんな気分だろう?
いつでも大丈夫だよね。
入れ替わってみようよ。
あとね、夏になったら、今度こそビニールプールを出して遊ぼう。
きっとだよ!

で、上着を放り出して帰ったから、
家に帰ってから怒られた。
そしたらね、後から帰ってきた星花ちゃんが
これは夕凪ちゃんが着ていったやつだ、って持ってきてくれたの。
今朝、胸のハートにこぼした、目玉焼きのソース。
調子に乗ってこしょうをかけすぎて、くしゃみが出たときに飛ばしたソース。
ごしごしこすってごまかしたけど、よく見たら間違いない!
よかった!
ソースもこぼしてみるものだ!
夕凪はいいお姉ちゃんを持ったよね。
星花ちゃんありがとう!
一生ついていくね!
星花ちゃんがお兄ちゃんと契りを結んで生きるときも死ぬときも一緒になったら、
夕凪はそのお手伝いについて行くね。
今日はずいぶん薄着になっちゃったけど、
怒られるほどじゃないよね?
夕凪はまだ小学生なんだし、薄着になるくらい普通。
もうちょっと大人になったら、ブラが透けるからまずいって聞いたけど。
まだだし。
早いし。
ぺったんたんの、つるっつるだし。
でも、あこがれるのはかわいいブラ。
夕凪は割りと成長が早い女の子だから、
もうそろそろスポブラをつける頃じゃない?
星花ちゃんのクラスだと、もう何人もブラをしている子がいるって。
夕凪は身長なら星花ちゃんを追い越すくらいだし、
いつブラをつけてもおかしくないくらいには成長してきたよね?
そうなったら夕凪だって、恥ずかしくないように気をつけると思う。
ブラ一つで、大人の女のしぐさ!
いいなあ、ブラをつける女の子。
夕凪がつけるならピンクがいい!
それか、情熱の赤!
星花ちゃんに相談したら、色がついてると透けるんだって。
体操着は白だし、下着の色が透けたら大変。
だから、小学生のスポブラは白で決まり。
そんなー。
大人みたいなふんわり乙女色のファッションは、
ずいぶん先の話。
というか、中学生になっても、制服は白なんだよねえ。
やっぱり、透ける?
お兄ちゃんとおそろいの征服になるのは嬉しいけれど、
下着の色も白だなんて、中学生なのにまだ子供みたいじゃないかなあ。
だから、氷柱お姉ちゃんと同じ特進クラスになる!
大人の上品さが増した、かっこいい黒。
大丈夫、夕凪はやればできるんだから。
今からがんばれば、入れるって!
だけど特進クラスになったら、それからも勉強が大変になるんだよね。
それはちょっと、
気が進まないなあ。
中学生になったら、お兄ちゃんと同じ学校。
その時にはもう大人だし、帰りには一緒に寄り道しよう。
アイスを食べて、肉まんを食べて、たい焼きを食べて、焼き芋を食べて
二人きりの放課後を過ごしたいな。
勉強ばっかりの生活なんて、夕凪には耐えられない!
ブラが自由になるのは、いつの日か?
かわいいブラをしたいけど、
それには早く大きくならなくちゃ。
バランスよく栄養を取るようにってお姉ちゃんたちから言われてるし、
小学校の勉強もしなくちゃいけないし、
放課後に校庭の場所をとるダッシュの競争も続くし、
大人になるって大変だ。
いつか夕凪が立派に育ったら、
最初にブラを付けたときに、一番にお兄ちゃんに見せに行くね。

夕凪の偽日記

『春の約束』

はっぴーは
夕凪におまかせ!

らっきーも
夕凪がなんとかする!

はねむーんは
夕凪とお兄ちゃんの
二人でね。

聞いてよ、
お兄ちゃん。

思ったんだけど、
夕凪とお兄ちゃんが二人きりなら
どこにいても
気分ははねむーんでしょう?

だから、なんとかして
お兄ちゃんと二人だけで過ごせないかと思って。
それなら、お兄ちゃんが一人でいるところを狙って
夕凪が突入していけばいいんじゃないかな。

なんでお兄ちゃんのお部屋には一人で入っちゃダメなの?
そうしたら取り合いになるから、って聞いたの。
いれかわりたちかわり姉妹が出入りしていたら
お兄ちゃんも落ち着けないでしょうって。
でも、夕凪がいても落ち着いていられるよね?
夕凪、お兄ちゃんが大人しくしてなさいって言ったら
絶対大人しくできるよ。
お兄ちゃんがおあずけって言ったらできるし。
でも、お兄ちゃんはやさしいからそんなこと言わないかなあ?
だからいいかなあと思うんだけど、
なんでダメって言われるんだろう。
これじゃあ、ケッコンするときまでなかなかはねむーんできないじゃない。
ねえ?
それならお兄ちゃんが、部屋から出て一人で待っててくれればいいかな──
と思ったんだけど、
部屋を出て一人でいたら誰かが見つけるよね。
どっかないの?
隠れ場所。
そんないい隠れ場所があったら、
夕凪は嬉しくなって家族みんなに自慢するよ!
お兄ちゃんを独り占めできるはねむーんすぽっと!
でも、夕凪の秘密の場所だから入れてあげないもーん。
って。
どこかないかなあ。
この家の中って、秘密基地見つけた! って思っても
どこでも霙お姉ちゃんのおやつが隠してあるし。
なかなかないんだよね。
どこのおやつも製造日が最近だから、いつも使ってるみたいなの。
隠れてるところを発見したことはないけど、
あんなにいろいろ隠れ場所知ってるんだし、そりゃ見つからないよ。
年の功だよね。
たくさん知ってるのは。
ずるいよね。
夕凪はちょっと遅く生まれただけなのに!
ママももうちょっと、順番を考えて生んでくれればよかったのに!
夕凪が長女だったら、
ちゃんとみんなをかわいがるし、問題ないと思うな。
お兄ちゃんを長女の権力で独り占めしたかったのに、
なんでそうならなかったんだろう。
お兄ちゃんも、残念だなって思うでしょ?

だから、この春は
野望を実現させる計画!
あ、長女になるプロジェクトってわけじゃなくて。
はねむーんのほうだよ。
今からもう、時々話に出ているの。
今年の春休みは、どこかへおでかけしようかって。
早く決めておけば、準備とか楽だって言うし。
泊まるなら予約もできるからって。
まあ、春休みの旅行はだいたい日帰りかなあ。
あんまり長くないから、春休み。
遊んだりのんびりしてたらあっという間に終わっちゃう
一瞬のお楽しみだよ。
ちょっとでも多くのデートを堪能できるように、
今のうちから知恵を振り絞らなくっちゃ。
行き先は、お兄ちゃんと二人きりになれる場所がいいんだけど
家族旅行でしょ?
そんな行き先あるかなあ。
こういうときに年の功が便利そうなのが霙お姉ちゃんなのに、
今回は相談相手にならないんだよー。
今からライバルになりそうなんだよー。
このままじゃ、霙お姉ちゃん提案のお花見に決まっちゃうよ。
それもいいけど、みんな一緒ですぐ目に付くような配置で座るでしょ?
家族の目を盗んで二人きりになる場面なんてなかなかないよ。
ましてや、夕凪は絶対気分が盛り上がって、物まね大会なんかはじめるよ?
超ウケを取るよ?
今のうちから歌番組を見て、ネタを仕込んでるよ?
あんまり色っぽくならないじゃない。
お子様って感じになりすぎて。
夕凪のマジカルなラブバラード、どうしてセクシーにならないのかなあ?
元気がいいって褒められるのは、たぶん何か違うよねえ。
だいたい、いい雰囲気になっても、みんないるもんね。
お花見の途中で抜け出すのも難しいじゃない。
歌って注目を浴びながら、ちょっと用を思い出してとか言えないじゃない。
何飲むー? とか聞かれたら、そのままなごやかな雰囲気になだれ込むじゃない。
みんなの目を盗んで二人きりなんて、ムリだよ。
ムリムリ。
お花見になったらたぶん、夕凪すっごく楽しんでるもん。
あんまりはっぴーで、
あんまりらっきーで、
お兄ちゃん楽しいね! っていう家族はねむーん。
もう二人きりのはねむーんのことなんか頭からすっ飛んでるよ。
きっと。

だから、お兄ちゃんにお願い。
夕凪と二人きりになれる旅行、
何か考えてね!
霙お姉ちゃんの提案に反対の意見が出せる子って、
今回はあんまりいないんだよ。
吹雪ちゃんも、埃っぽいのは苦手だけど
代わりのアイデアも別にないって。
だからいいかって言ってるの。
そういうんじゃなくて、自分の意見があったら主張しなくちゃ。
相談してたら、図書館がいいって言い出したから止めたし。
それ春の旅行じゃないよ!
お休みにいつでも行けるよ。夕凪も付き合うよ。
吹雪ちゃんは本当に、図書館以外に行きたいところあんまりないのかな?
夕凪はいろいろあるんだけどなあ。
お兄ちゃんのお部屋とか。
これも旅行じゃないか。

お兄ちゃんはどこへ行きたい?
夕凪とはねむーんできるところがいいんじゃない?
遊園地、動物園、水族館なら
見たいものや乗りたいもの別で分かれて行動してもいいけど
どこのチームにも小さい子がついてくると思うんだよね。
小さい子が固まると、面倒を見るほうも大変だし。
やっぱり旅行中に隙を見て、って難しいかなあ。
ローマの休日みたいにならないかなあ。
あ、それならローマ行く?
お兄ちゃんが行きたいって言えば聞いてくれそう!
夕凪が考えたことは黙っていれば、
みんなたいして不自然に思わないよね!
ローマで休日しようよ!
ジェラート買ってね。
真実の口に手を突っ込んでびっくりさせようとしても
夕凪はだまされないぞ!
日帰りでどのくらい楽しめるかなあ?
行きに何時間くらいかかるの?
飛行機で行くなら、麗ちゃんは怒るかなあ。
その前に夕凪はお姫様じゃないから、連れ出してもらえないかな?
マホウを使ってお姫様に変身すればいいのか。
休日が終わったら寂しいお姫様の仕事に戻るのも嫌だし、
変身するくらいでちょうどいいよね。
夕凪はそれまでにマホウを完成させておくから
旅行先のほうはお兄ちゃんがなんとかしておいてくれる?
約束だよ!

お兄ちゃんは王子様なんだし、
お姫様とケッコンしたほうがいいよ。
あの映画に合わせたら新聞記者だっけ。
どっちでもいいから、
お姫様を連れ出してくれないと!
休日になったら、夕凪を案内してね。

夕凪の偽日記

『夕凪の野望』

お兄ちゃん!
冬は
寒いねえ!

今ちょっと冗談っぽく
あつはなついね!
みたいなのを
勢いで仕込もうかなと思ったけど
そんな余裕全然なかったね!
今日の夕凪は普通だね!
普通に寒いね!
冬!

夕凪がもうちょっと強力なマホウ使いだったら
地球を傾けて日本を赤道まで持っていって
一年中暖かい国にするんだけど、
いくらなんでもそこまでのマホウなんて
さすがに大人にならないと使えないと思うんだよね。
大人になったらなったで、他に使いたいマホウたくさんあるし。
寒いくらいしょうがないか!
がまんする!
けなげな夕凪だよね。
お兄ちゃん、褒めたくなったら褒めればいいじゃない?
マホウに向ける気持ちは真っ直ぐだ!
寒さなんか気にしてたら
夕凪の大きな野望のマホウは
いつまでたっても完成しないぞ!

夕凪が大人になったとき、
そこまでして使いたい
マホウはもちろん
お兄ちゃんとケッコンして、
仲良く暮らすマホウ!

おかえりなさい、あなた!
ってやるの。
おやつにする?
マホウにする?
それとも、夕凪の──
宿題を手伝ってくれる?
夕凪の宿題を代わりにやってくれる
かっこいい旦那様!
夕凪はマジカル新婚パワーで
疲れて帰ってきた旦那様の疲れを
ふっとばします!
杖で叩いて癒すよ!
別にマッサージとかじゃなくて、新婚パワー注入で!
だいたいそんな感じの結婚生活。
楽しそうでしょ?

夕凪ねえ、
お兄ちゃんとの子供は
50人くらい欲しい!
うちが20人きょうだいだから
夕凪は対抗してもっと多くなると思うな。
でも、それだと
一番下の子が生まれるころには
上の子は50歳だ!?
おばあちゃんだかお姉ちゃんだかわからないよ!
さすがにそれは大変かなあ。
やっぱり、20人でちょうどいいのかな?
あ、大人になるころには科学が進んで
50歳くらいならまだ若いままかも?
なんだ大丈夫だ。
科学って便利だね。
これでケッコンマホウも安心だ。
じゃあ、もういっそのこと100人にしよう!
多ければ多いほど楽しいに決まってるよ。
少なかったら寂しいって思うし。
子供100人作って暮らそう!
友達1000人になるよ!
一家全員で物置に乗ってぺしゃんこにしちゃおう!
うわぁー楽しみだなあ。
お兄ちゃん、いいよね?
いいなあ、お兄ちゃんの未来はバラ色じゃない?
家に帰ってきたらかわいいマホウ使いの奥様が
パワーをためて待っているし、
100人の子供がお帰りなさいって
一斉に襲ってくるの。
きっとかわいいよ。
夕凪がお兄ちゃんになりたいくらいだよ。
だって、こんなかわいくてマホウの才能がある夕凪がお嫁さんで
夕凪に似た子供たちがいっぱいいるんだもん。
でも、夕凪もかっこいいお兄ちゃんがいて
お兄ちゃんに似た子供がいっぱいいるんだから
夕凪のほうが幸せな気がしてきたよ?
どちらかというと、こっちのほうがいいかも。
やったあー!
お兄ちゃん、いいでしょ!
夕凪なんて、お兄ちゃんのお嫁さんなんだよ!
うらやましい?
かわってあげないよ!

よし、新婚ごっこもう一回。
おかえりなさい!
誓いのチューして
子供を作ろう!

早くケッコンしないと
子供100人には間に合わないよー。

夕凪の偽日記

『ドンキホーテ』

よく、
昔の人は
馬に乗ってでっかい風車と戦ったって
いうけど。

いつも思ってたんだよね。
昔の人は大変だな、
そりゃ怪我もするよ、
夕凪みたいにマホウ使いならよかったのにな、
風車も竜も、杖の一振りだよ。
もしこれからお兄ちゃんが風車に立ち向かうときは
夕凪を呼んでくれれば
ぜったいお兄ちゃんは、夕凪に惚れ直すってわけ!
よゆうよゆう。

だけど──
なんでもやっつけるマホウがあっても
できないことがあるんだよ。

海晴お姉ちゃんは、
雲の動きを予測するのにすごく勉強してるけど。
だったら雲の小さいようなやつ、
湯気!
も、そりゃうかつに扱えないじゃない。

他のみんなは
結構簡単に進めてるけどさ、
チョコに水分が入らないようにって言われても、
人間だって寒かったら白い息を吐くんだから
お湯も湯気くらい出すよ。
湯気が出たらチョコに入るでしょ?
入るんだよ!
湯せんってむずかしいよね──
こっちの手でボウル、こっちの手で木べら、
こっちの手にはもうひとつボウルだよ?

まだ一度も
チョコ作りを成功させていないのは
夕凪とヒカルお姉ちゃんのふたりだけなんだよね……
立夏ちゃんも小雨ちゃんも、小さいユキちゃんも
なんとか簡単なものなら完成させられるようになったし。
マリーちゃんから下は、形を作るくらいだっていうし。
夕凪にもまだ早いのかなあ?

このままだと、
チョコ作りが大変すぎて夕凪は力尽きて、
たどる運命はお話のドンキホーテと同じ。

夕凪が死んだら、
お墓にはこんなふうに書いてね。

愛に生き、
愛のために死に、
愛の力でよみがえり、
お兄ちゃんと愛を誓い合って、
いつまでも幸せに過ごしたマホウ使い、
ここに一度眠る──

ほーんと、
思ったより大変なんだなあ。
パティシエの繊細な指先が夕凪にも欲しいよ。
器用になるマホウとか、
落ち着きが出るマホウとか、
もうちょっと早めに考えておけばよかった!
あと、チョコを作らなくてもお兄ちゃんの愛を
夕凪一人で独占するマホウも。
そっちを作るほうが早い気もするよ。

バレンタインはチョコじゃなくてさあ、
お肉の日にしたらどうかな。
好きな人とお肉を食べる日。
おいしいし。
元気が出るし。
もしお兄ちゃんがそれでいいなら、
今年からそういうことにしようよ。
ほら、お兄ちゃん、
だんだんチョコじゃなくても良くなってこない?
そんなにチョコなんていらないでしょ?
だったら変えちゃおう!

それか、
バレンタインを違う日にするなら、
お兄ちゃんに何でも言うことを聞いてもらえる日がいいなあ。
だって夕凪、お兄ちゃんとしたいことたくさんあるよ。
恋のマホウを研究するとか、
庭でかけっこするとか、
おやつをわけてもらうとか、
気がついたら不思議と散らかっている部屋の掃除とか、
いつでも適当に作った歌を一緒に歌うとか、
何か踊るとか、
チョコなんて作ってる場合じゃなくない?
でも、いつもお兄ちゃんにやってもらってることだから
バレンタインだけ特別にってわけじゃないかな?

夕凪はおやつのチョコも好きだし、
チョコだって食べると元気出るし、
お兄ちゃんにはいつも夕凪の言うこと聞いてもらえるし、
バレンタインくらいは
もうちょっとがんばってチョコを作ってみようかな?

どこから見ても
明らかにチョコじゃない
謎の物体しかできなかったとしても
受け取ってね!

夕凪の偽日記

『一年生の作文』

お兄ちゃん、こっちに来て──

シッ、静かに!
誰にも見られちゃダメだよ!

この廊下の影なら大丈夫かな。

ねえ、お兄ちゃん。
次の夕凪のマホウ、いつできると思う?
もしかしたら、今この場で
新しいマホウが爆誕するかもしれないよ。
ことはお兄ちゃんの協力にかかってるんだよ。
で、相談なんだけど……

さっきまで夕凪、
物置をひっくり返して探してたものがあるんだ。
ママが少し前、お土産にもらって持って帰ってきた
外国のチョコレートの、食べちゃった後の空き箱。
何か小物入れにでも使えるかもって話だったから
たぶん取ってあると思うんだよね。

箱のイラストは、
外国の民族衣装。
重ね着がカラフルな、かわいい女の子。
もしかしたら、夕凪もあんなふうにかわいく変身できるかもしれない!
外国のお土産だもん、マホウくらいあるよ。

お正月にハワイに行って来たっていうクラスの子は、
さすがハワイだけあって、そう言えばなんか違うな!
なんて感じのオーラが出てたし。
あのおいしいカレーを発明したのはインドだし。
ラーメンは中国だし。
ケーキもチキンも外国っぽいし。
絶対何かあるって!

物置を探してたら、なんかマトリョーシカがあったから
これでもいいかなーって思ったんだけど、
マトリョーシカマホウって何?
お兄ちゃん知ってる?
かわいいっていうか、面白い顔だし。
夕凪は何も思いつかなかったからねー、
もっと探してたら、
見つけたの!
すっごいよ!
間違いなくこれはね、
外国よりもすごいものだよ!
なんだと思う?
お兄ちゃん、見たい?
そうだなー、見たかったらお願い聞いてもらおうかな。
キス一回分かな?
でも、
夕凪も早くお兄ちゃんに見てもらいたいから
夕凪のほうから先にキスするね?
チュッ!

はい、
見つけたのは、これ!
古そうなファイルで、
開くほうにある紐がきつく縛ってあって、
表紙には

一ねん
あまつか つらら

ね?
これ何かわかる?
ファイルに挟まってるプリントの量から判断して、
氷柱お姉ちゃんが一年生だったころの
勉強をまとめたやつだと思う!
なんか物置に紛れ込んでた。
マトリョーシカもあるくらいだから、そんなこともあるよね。

ということは、
この中には、
小学生の定番、
将来の夢をテーマにした作文!
も、たぶん入ってるよ。

夕凪はね、
マホウ使いになりますって作文に書くと
書き直しさせられるからー、
もっと真面目にって!
ひどいよね!
真面目って、もっと普通の将来にしてほしいってことでしょ?
そりゃ、あんまりマホウ使いになる人は見かけないけど、
当たり前だよ! マホウ使いなんだもん!
そんなにあちこちにいるわけないよ!
でも夕凪なら、なれてもおかしくないじゃない?
ていうか、なるじゃない?
じゃあなんて書けばいいの?
教えてよ! お兄ちゃん!

そう思って、
何かの参考になるかなって。
それに、氷柱お姉ちゃんの頭の良さの秘密もわかるよ。
夕凪にも、頭の良くなるマホウが使えるようになるかも!
氷柱お姉ちゃんみたいに、学校の勉強が好きだなんて普通じゃないし。
お兄ちゃんだって、学校の勉強はあんまり好きじゃないでしょ?
ほら!
あれは絶対何かのマホウだよ!
氷柱お姉ちゃんは偶然何かのマホウにかかってそのまま
頭が良くなったのかもしれないよ!
そのヒントがここにある、と思う!

あと、
ほら、
小さい頃の
氷柱ちゃんの将来の夢ってなんだったのか
気になるじゃない。
お兄ちゃんだって知りたいでしょ?
今みたいにガリ勉になる前の夢だよ?
怒りやすい氷柱お姉ちゃんが
怒ってもたぶん今ほど怖くなかった頃だよ?
霙お姉ちゃんと一緒におやつを食い逃げしていた現役の頃だよ!
友達百人欲しくて歌ってたとしたら、それがこの時代の氷柱お姉ちゃんだよ!
それが今では、友達と遊ぶ間も惜しんで
勉強大好き! 勉強楽しい!
何があったの!?
このファイルに、全ての秘密が隠されているよ!
秘密がなくてもいいから、普通に見てみたい!

でも見てよ、
この紐の縛り方!
ここまでしっかり縛る必要あると思う?
小学一年生なのに、なんでそこまでするの氷柱お姉ちゃん!?
もう少し大きくなってから結んだのかなあ。
夕凪にはほどく自信がないよー。
ほどけたとしても、元通りに戻すなんて絶対無理だから
見たことがすぐバレちゃうよ。

でも、お兄ちゃんならできるよね?
ねえ、お兄ちゃん。
夕凪の頭が良くなるかどうかは、今まさにこの時にかかってるの!
というか、別に夕凪は頭が良くならなくてもいいから
氷柱お姉ちゃんの作文を読んでみたいな。

氷柱ちゃんがまだ無邪気だった頃に
どんなふうだったのか、
お兄ちゃんは気にならない?

夕凪の偽日記

『真夜中のマホウ』

夕凪が最近、
知ったこと。

恋のマホウの正体、
それは!

エス!

イー!

エーックス!

なんだよぉ、
お兄ちゃん!

知ってた?
知らなかったでしょ?
夕凪もはじめてわかったときは、
びっくりしたんだ。

だって、まさか、
まさか、そんな、
それに気づいた夕凪が、もしかしたら
本当にマホウが使えるようになるかもしれないじゃん!

夕凪の一番使いたい、恋のマホウ。
恋人同士だけが知っている、特別な、ラブラブのマホウ。
お兄ちゃん、夕凪にどんどん夢中になっちゃう。
もう離れられなくなっちゃうよ。

恋に必要な、まず最初のことは、
スピード!
思い立ったらすぐに行動、
自分の本当の思いを逃がさない力だよ。

はっぴーらっきーはねむーん!
日の出の光、夕凪と走れ!
地平線まで一瞬に照らし出すスピードが、
恋する小さな体を、何より早く運ぶ。
急いで、迷わず、
お兄ちゃんの胸に飛び込んでいけ!

恋を成就する、ふたつめの秘訣は
エネルギー。
いつまでも止まらずに、どこまでも行く力。
あきらめないで続けること。思い通りに行かないなんて泣かないで、立ち上がること。

さんさん、かんかん。
真昼の太陽に乗って、夕凪に注ぐスーパーパワー。
腰に手を当てて胸を張って、
うつむかないで、
止まることなんて考えないで
山があったら飛び越えて行こう、
お兄ちゃんはきっと待っている。
夕凪の溢れる力を受け止めるために。

あのねー。
ここまでは、吹雪ちゃんが物理の勉強をしながら
一緒に考えてくれたぶんで、
次は本当に、夕凪のオリジナルだよ。
あ、でも、エックスの意味がまだ知らないってことって言うのは教わったけど
そのくらいだし。

そう、
夕凪が気づいた三番目の秘密は、
シークレット。
お兄ちゃんのことを知れば知るほど、夕凪はお兄ちゃんのことが好きになるぅ!
どれだけ秘密があっても、マホウで探り出しちゃう。
お兄ちゃんって夕凪の知らないところでどんなふうにしてるのかな、
とか、
お兄ちゃんって夕凪と同じものを見て何を考えるのかな、
とか、
お兄ちゃんって何からできているのかな、
とか。

手探りで進むよ、
夜の道。
お兄ちゃんを隠すものは、深い暗闇。
かすかな月明かりだけが手がかり。
お兄ちゃんを知りたい気持ちが、
夕凪を進ませるすべて。
夜よ、もっと奥にお兄ちゃんを隠せ。
夕凪の進む楽しい道のりを
続けさせてよ。

どうかなあ、お兄ちゃん。
夕凪、これでマホウ使えそう?

あのね、
ヒントになったのはね、
スフィンクスのなぞなぞ。
小学校の図書館の本で見たんだよ。

朝は二本足、
昼は十本足、
夜は八本足、
これなんだ?

答えは、
朝は一人で出かけた夕凪が、
昼には追いかけてきた家族の十人と合流して、
夜には引っ込み思案で方向音痴な八人と合流して、
さすがにあーちゃんだけはまだそういうわけにはいかないから、
こっちから迎えに行かなくっちゃ、
っていう話!

あれ?
これだと、昼は二十本足で
夜は十六本足だよね?
うーん。
まあいいや。

だけど、夕凪がこのごろ思う
もしかしたら、の
もう一つ。

ほら、夕凪さ、大晦日には夜更かししたでしょ。
夜遅くまで起きてることって滅多にないけど、
真夜中になるとさあ、
鐘が鳴ったり、おそばを作ったり、
いつも夕凪が起きてる夜の、ゲームしてプロレスしておふろで泳いだりする楽しさとは
なんか違うよね。
身が引き締まるっていうか。
あと、普段、夜寝てるときに部屋で目を覚ましたりすると、
あれ、
この家って、こんなに静かだったっけ──
って思うし。
そんな時、隣のベッドの星花ちゃんを呼ぶ声もこそこそ。
星花ちゃんが顔をこっちに出して
話す声もなんだか自然と、ひそひそ声になるの。
同じ部屋の吹雪ちゃんは深く眠っちゃったら、ちょっとやそっとじゃ起きないって知ってるのに
なんでかなあ。
夜の、まだ夕凪の知ってる時間は、そうじゃないんだよ。
うるさくして、よく怒られるし。
きっと、夜のマホウは、実はもう一つあるんだよ。
夜遅くまで起きていられる大人しか気がつかない
もう一つの夜。
いいなあ、
夕凪も早く、夜更かしできるようにならないかな。

朝の光がくれるスピードで、
夕凪が早く大人になれ!
昼の日差しがくれるエネルギーで
夕凪の体がぐんぐん大きくなれ!
夜の暗がりに潜むシークレットで
夕凪のハートがもっとかわいくなれ!

真夜中の、まだ夕凪が知らない秘密のマホウ。
早く夕凪のところにやって来い!
お兄ちゃんと夕凪の恋のマホウが
早く完成するように──


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