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ヒカルの偽日記

『断ってきた』

喫茶店の話。
やっと、伝えることができた。

というより、
伝えるだけは前から伝えていたんだから
わかってもらうことができた、
かもしれない。

喫茶店メニューのおかずは
正直まだ名残惜しいけれど
もう決めたんだ。

だいぶ前から考えていた。
期待されても、喫茶店で働くことはできないんだから
おかずをもらい続けていたら悪い気がする。

相手に無駄に希望を持たせてしまったら申し訳ないし
私も気がひける。

でも、
やっぱり私の付け焼刃の腕前では
とても本職にはかなわなくて。
おいしくて。
毎日のお弁当の時間に、楽しみが増えてしまった。
得をしたような、って言ったらせこいけど
すごく上手だったから。
春風も対抗して張り切って、
私は、いいのかなと少し動揺しながらも
二人に甘えていた。
だって──
おいしいおかずがいっぱいあると、楽しかった。

もういいか、
ここまで世話になってしまったから
何日か働いてみても、
なんて考えることもあった。
喜んでくれるはずだ。
こちらが毎日心のこもったおかずをもらっているんだし
少しでもお礼の気持ちを表現することができたら
きっと、誰にとっても悪いことじゃない。

本当は、自分の得意分野で思いっきり戦えたらよかったな、
と何度も思った。
お弁当勝負に巻き込まれる形じゃなくて。
働くか働かないか、
私が積み重ねてきた日々の力を
発揮する場だと思って
竹刀を構えて、正面からぶつかり合って、
負けたらそれで、すっきり話はまとまる。
そうしたくても、相手には剣道の経験はないからな。
働くのも剣道をするわけじゃないから
意味がない。
もしも私が、自分の得意分野で結果を出せたとしても
喫茶店の助っ人に何か影響があるということは
たぶんないんじゃないかな。
本当にないな。
意味のない想像だな。
あーあ、
本気で戦って決着を付けられないなんて
どうも盛り上がらない。
残念だったよ。

なんとなく、受け入れかけていた。
相手が熱心に誘ってくれるのは、うれしいことなんだ。
今はピンと来なくても、
やってみれば考えが変わるかもしれない。

麗だって、気が進まない演劇をしようとしているんだし。
でも、麗を見ていたら
あんまりやりたくないのは変わらないみたいでも。
私とは、何かが違う。
このごろあきらめたみたいで、一応やるだけはやると決めたみたい。
家族に不満を言いながら、
それを笑って慰めてもらって
むくれている。
仕方ないなーって、自分でも少し笑って。
家族に話せないで悩んでいたらしい、少し前の顔と比べたら
そういえば
気が楽になっているみたいに見えるな。

ああ、なんだ、
悩んでることがあったらこんなふうに話してもいいんだ。
みんな、ちょっとうるさそうにしながらも
なぐさめてくれるんだ。
それはそうだよな。
家族だし。
当たり前だ。
私はあんまり話さないで、なんで一人で考えて
決めようとしているんだろう?
麗が不得意な戦いに挑んで
家族に励ましてもらっているように。
私だって当たり前に、大事な妹の麗を元気付けているように。
私が苦手な分野で戦ってみて、
家族に励ましてもらってもいいんじゃないか。
私がしたいことはたぶん、喫茶店で働くことじゃない。
流されるままに、そのまま誘いに応えるんじゃなくて
私の気持ちを伝えたかった。
言葉だけで気持ちを伝えるのは苦手なんだ
たぶん、自分で考えているよりもずっと苦手だ。
これまでうまく話せなくて、誤解されることもあって
もっと体だけでぶつかれたらいいのになって、いつも考えていた。
今回は。
うまくいかなくて、相手を悲しませてしまったら
私にはつらい話を聞いてもらえる家族がいる。
聞いてもらおうと決めた。
大事な友達に誤解されて、傷つけることになるとしても
私はやらなくちゃ。
苦手なやり方だけど、
いつも剣で語ってばかりいられない。
麗は不満そうにしているけれど、
文句を言いながらも、自分ひとりでは向き合うだけでも難しい壁を乗り越えようと
前向きになっているみたいに見えたから。

だから、今日はお弁当のおかずは受け取らないことにした。
ごめん、ってちゃんと言ったけど
おかずが嫌だったわけじゃないことはわかってもらえただろうか。
別に、そんなに喫茶店で働きたくないってことではない。
今は蛍と氷柱がアルバイトに行って、家に人手が欲しい時期。
麗が苦手な演劇に挑戦しているのを、なるべく励ましてあげたいし。
本当は、私にできることは少ないのかもしれない。
もしかしたら、今の家族の忙しい時期を乗り越えるために
私の力は何の役にも立たないのかもしれない。
ときどき、そんな気はしている。
オマエと一緒に料理を習っているのに
まだ見習いで、簡単な仕事を任されるだけ。
麗が悩んでいる時も、そこまで難しく考えていなかったり。
私には、家族の気持ちをわかってやることなんて
できないんだろうか。
だけど、近くにいたいんだ。
家族がそれぞれの用事であわただしく活動しているこの時期に、
なるべくみんなのそばで見ていたいと思った。
力を貸せることが全然ないとは限らないじゃないか。
実は全然ないとしても、
私は、家族を見ていてあげたいから。
喫茶店の仕事は手伝えない。
今の私には、とても大事なことがあるんだ。
どうしてもやりたいことは、ずっと前から家族を守ることだった。
今でも、気持ちは何も変わっていない。
時々、役に立っていないと感じることがあっても
ずっと変わらないままだと思う。

バカって言われた。
うん、たぶんそうだろうとは思っていたけれど
実際に面と向かって言われると、かなりショックだ。
そんなに大事なものが
ちゃんと自分でわかっているのなら
どうしてもっと早く、はっきり決断しなかったのか。
どうしてだろう。
おかしいな。
家族が一番大事だって、最初からわかっていたつもりなのに。
なんとなく、別に私がいなくてもいいみたいな気がしていた。
たとえ必要とされていなくたって
私が一番大事なのは、家族なのに。
いや、
ちゃんと私は家族に必要とされていて
何があっても変わらずに、ずっと愛されているんだって
ちゃんとわかっている。
でも、わかっているつもりだっただけなんだろうか。
迷惑をかけたくないって、遠慮していたのかな。
私も麗みたいに、悩んでいるときは甘えてみたくなったのか。
今日は素直に、
つらいことがあったと、オマエに話したい。
友達を泣かせてしまったよ。
クラスメートなんだ。
仲が良くて、これからもずっと仲良しでいたかった。
一緒にいると楽しいことがいっぱいあって。
私は、友達のことが嫌いで断るわけじゃなくて
とても大事に感じているけれど
今の私には、もっととても大事にしたいものがある。
申し訳なく思っている気持ちを
ちゃんと伝えたつもりだけど、
うまくいったのかわからない。
明日からも、今までみたいに仲良くしてくれるかな。
もう、お弁当のおかずはもらえないけれど。

トレーニングの走り込みの準備をしていると、
こんなふうにしている時間で
喫茶店の手伝いもできたんじゃないかって、悩み始めてしまう。
私にそんな器用なことができるわけなんてないと、知っているのに。
体を動かして、何も考えないでただ走るだけに専念して
すっきりする気持ちのいい時間が好きでやっていることだ。
やめればそれでいいという話じゃない。
ちゃんとわかっている。
きっと、少し走れば集中できると思う。
今日はなんとなく一人じゃなくて
誰かについて来てもらって、ペースを上げてもらいたい気分。
もしも暇だったら、ちょっと付き合わないか。
この季節は、夕方遅くにランニングしていると
あっという間に暗くなって、なんとなく不安になるときもあるけど
空はよく澄んでいて
星が見えて綺麗だよ。
町のほうでは、人工の明かりが邪魔でなかなか見えない星も
家に近づいてきて、裏山が見える場所まで来ると
明かりも少なくなって、またたく星の光がよくわかるようになる。
あの星の下に私の家族がいるんだと、教えてくれるみたいだ。
家族が一番大事なはずなのに、たまに見失ってしまう私に
あの星空はもうしばらく、これからも輝いて
道を示してくれたらいいな。
ここに、私の大事な人たちがいるんだよ。
って。
私がもう迷わないようになって、
ちゃんと一直線に、
何にも惑わされないで、今一番行きたい場所に向かっていけるような、
そんなふうに私がしっかりするまで、
もうしばらく、オマエにつきあってもらいたい。
どんな悩みも吹き飛ばせるほど、私が全力で走れるように
これからも一緒にいてもらわなくちゃ。
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