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小雨の偽日記

『奇跡』

小雨がおうちに帰ってきた頃から
ぽつぽつと降り出した雨は、
お兄ちゃんたちの帰宅を待たずに
どんどん強くなっていきました。

今日は、クリスマス合唱会の練習で
お兄ちゃんたちは遅くなります。
高校と中学が終わったら、小学校に行って星花ちゃんと夕凪ちゃんも合流するんだと
朝は話していたけれど
みんなは移動の時に濡れてしまわないかな。
それとも、もうお兄ちゃんたちは練習をする公民館に到着しているかな?
霙お姉ちゃんは早めに行って準備をするから
お兄ちゃんたちもお手伝いをするみたいな話をしていました。
誰も濡れていないで、無事に帰ってきてくれたらいいけれど。
もし濡れたときのために着替えは、朝はまだ降りそうになかったから
やっぱり持って行かなかったかな。
ちゃんと天気予報を見ていて、傘は持って行ったでしょうか。
立夏ちゃんは昨日の夜も張り切ってストレッチをして、声を出せるように体を整えて
よく運動したから、今朝はまぶたが重そうなぼんやりねぼけ顔でした。
顔より大きくお口をあけてあくびをしているって言ったのは、麗ちゃん。
小雨はいくらなんでもそんなことはないと思うんだけど
立夏ちゃんのあくびを見ていたら、本当に顔より大きいような気がしてくる不思議。
あのあとちゃんと目を覚まして、傘を持った?
着替えを届けに行ったらお邪魔かな……
家にたどり着いたとき、小雨が珍しくこんな天気でも帰宅中に雨を呼ぶことがなく
小さい子たちの賑やかな声がするおうちの中に無事に帰りついたときは
ほっとして、もう一仕事終えたような気もしてしまうくらい安心したものでした。
でも、お兄ちゃんたちはまだ移動中なのかもしれないし
小雨は自分のことばかり考えている場合じゃなかったんです。
なんであんなに安心してしまったんだろう……
お兄ちゃんたちが冷たく濡れていないだろうかと思うと、
お空の色みたいにどんどん灰色になっていく小雨の気持ち。
でも今日は、小雨はおうちで大事なお仕事があるもの。
温かいご飯をたくさん作ってお帰りって言ってあげなくちゃ!
着替えを届けに行ったらいいのか迷っても、実際はそんな余裕がなくて
力が足りない小雨ですけど。
せめて、おうちのお手伝いだけはしっかりしたい。
温かいご飯は、とても大事なこと。
お外で一生懸命がんばってきて
帰ってきたときにご飯がおいしそうだったら、とても安心すると思うもの。
ヒカルお姉ちゃんとも相談したけれど
どうしても傘や着替えが必要な時は電話があるかもしれないし
やっぱり、最初の予定通り晩ごはんの支度はしておいたほうがいいだろうと
そんな話でまとまりました。
今日は……
たぶん、とても大変なお仕事になりそうだったから。

ヒカルお姉ちゃんは、昨日は一生懸命お料理の練習をしていました。
喫茶店のお誘いには負けない!
初心者でも、いい先生について努力すれば、卵焼きなら上手に作れる。
味付けにこだわって、おうちならではの個性も出しやすいし。
お弁当に入っていたらうれしい定番メニュー。
苦労してようやく、お弁当を開けるときが楽しみになる卵焼きが完成したみたいでした。
春風お姉ちゃんと抱き合って喜んでいたっけ。
その結果はと聞いてみると、
喫茶店のオムレツにはやっぱりかなわなかったそうです。
それはそうかもですけど……
ヒカルお姉ちゃん、今日もはっきり断れなかったのかな?
心配だな……ヒカルお姉ちゃんまでお仕事に行ったら、
用事がなくておうちにいつもいる家族の一番年上が、小雨になってしまうもの!
今日のお料理の監督は、月曜日はアルバイトがない蛍お姉ちゃん。
サポートするのはヒカルお姉ちゃん。
昨日の経験もあるし、きっと頼りになります。
吹雪ちゃんも今日はあまり過激な実験はしないでいてくれました。
お手伝いの人数が少なくて、そんな余裕はないって吹雪ちゃんもわかっていたのかな?
蛍お姉ちゃんに丁寧に教えてもらったり、本を見たとおりに作れば
ちゃんと見た目も味も、何も問題ないものが作れるんです。
まだ2年生なのに、すごい!
身長が足りなかったり、包丁はまだ危なかったりして
ヒカルお姉ちゃんの手を借りる場面は多いけれど
それでも、吹雪ちゃんが責任を持って担当するお料理はしっかりできています。
小雨は教えてもらったとおりのそのままに作っても、普通のお料理にはなかなかならなくて
それがとてもうらやましいのですけど、
どうしてちゃんとできる吹雪ちゃんはときどき無茶なことをしようとするんだろう。
しっかりしている吹雪ちゃんなのに、
タコの足を切らないでおでんに入れようとしているところをヒカルお姉ちゃんに見つかって、
止められていました。
後から聞いたら、タコの足はよく煮るとどの程度柔らかくなるのか、
限界を試してみたかったそうです。
ヒカルお姉ちゃんに、そんないたずらしていたら
ご飯の支度が嫌で合唱会に参加したいみたいだぞって言われて
びっくりしてすごく慌てていた吹雪ちゃんは、一瞬だけでしたけど
いつもの冷静で立派な、自慢の妹ではなくなったみたいで、かわいそうだけどなんだかかわいかったな。
丁寧にお料理の支度を手伝ってくれるユキちゃんも、とてもしっかりしているように見えたけど
窓の外を見つめて、お兄ちゃんたちは今頃がんばっているかな、
寒い思いをしないで元気で歌っていたらいいなと話している時、
その時だけは、こんな小雨だけど同じ気持ちだよって言えました。
そして、お兄ちゃんはここまでの話で、もうわかってしまったでしょうか。
小雨は今日もあまりお役に立てなかったということを。
今日も、何回も盛大に足を引っ張ってしまった。
しっかりしなくちゃって思うほど、手足がいつも通りに動かなくなって
一口大に切るはずのじゃがいもが、いつの間にかみじん切りになっていました。
これではおでんに入れられないんです。
蛍お姉ちゃんの機転で、急遽ハッシュドポテトをメニューに組み込んだの。
ごぼう天とじゃこ天のために、揚げ物の準備ができていたから。
おでんの横になぜかハッシュドポテトがつけあわせみたいに並んでいたのは、
そういう理由だったんです。
帰ってきた立夏ちゃんは、高カロリーだってうれしそうに悲鳴をあげていたけれど
疲れた体にはこれもありだって喜んでいました。
発声練習だけでそんなに活動していないのにって、霙お姉ちゃんが不思議そうにしていましたね。

実は、小雨自身のこともそうなんですけど
麗ちゃんの様子を見ていると、とても心配なんです。
小雨が人の心配をしている場合ではないはずなんですけど……
さくらちゃんが幼稚園で乱暴な男の子と仲良くできているか
とっても心配だと、二人で話していたんですけど
今日、さくらちゃんが楽しそうに幼稚園の話をしてくれて
よかった、麗ちゃんもこれで安心だねって横を見たら
なんだか暗い顔をしていて、話を聞いていないみたいだったんです。
あんなにさくらちゃんのことを心配していて、
今日は少しは麗ちゃんが元気になったら良かったんだけど
お料理で毎日失敗を繰り返して、とても落ち込んでいるみたい。
今日、帰ってきたときからずっと暗い表情でした。
そんなにお料理が苦手なのかな……
もうすぐクリスマス。
奇跡が起こる日が近づいています。
もし奇跡が起こるなら、麗ちゃんを元気にして欲しいな。
小雨はせめて、人並みにお料理ができるようになりたい。
クリスマスに起こる奇跡がどんなものになるのか
小雨は全然知らないけれど
そんなことがあったらいいのに──
吹雪ちゃんに話してみたらね。
こう言っていたんです。
この家では毎日、奇跡が起こっているのかもしれないって。
20人きょうだいの家族が幸せでいられる、世界のどこにもないはずの奇跡。
クリスマスが近づくとそんなことを考える時もあって、
お兄ちゃんにも聞いてもらったことがあると。
そうか──
小雨が失敗ばかりしていても
落ち込んでばかりでも。
この家にいられてうれしくて
毎日幸せを実感しているのは
こんな小雨にも、毎日奇跡が起こっているからなんですね。
その上さらに自分のお料理のことも奇跡を望むなんて
小雨はぜいたくですね!
反省しなくちゃ。
お料理は、自分の力で上手になります。
がんばりたいな──

お兄ちゃん。
蛍お姉ちゃんたちがアルバイトに行くようになって
小雨たちがお手伝いを任されて。
小雨は自分でも、すぐに弱音を吐くだろうと思っていたけどね。
まだ、もうちょっとやめないでがんばろう、っていう気持ちになれるんです。
全然うまくできないけれど、なぜかまだあきらめていない。
これって、信じられないことだと思うの。
やっぱり私たちには、毎日奇跡が起こっているのかもしれませんね。
小雨が麗ちゃんを元気にしてあげるのも
奇跡に頼ってじゃなくて、小雨の力でできたらいいな。

お兄ちゃんの帰りが遅くなって寂しくて、
それなのにまだ小さくて合唱に参加できない虹子ちゃんや青空ちゃんは
自分たちで合唱団を作って、
クリスマスには、お仕事をがんばっている蛍お姉ちゃんやお兄ちゃんたちに
歌ってあげるんだって張り切っています。
だから、お兄ちゃんが帰ってきたらいっぱいクリスマスの歌を教えてもらうんだって。
お兄ちゃんのために歌ってあげたいのに、お兄ちゃんに教えてもらうのは変じゃないのかな?
それに、お兄ちゃんはお仕事というわけではないですけど。
今日はお疲れ様でした。
あんまり雨に濡れなかったみたいで、よかったです。
合唱の練習も大変でしたよね。
あの、もし余裕があったらでいいんです。
虹子ちゃんと青空ちゃんは、お兄ちゃんをいい子で待っていたから
一曲だけでも、クリスマスの歌を教えてあげられませんか?
もしもお疲れなら、今日ではなくてもいいかもしれないけれど
虹子ちゃんと青空ちゃんも、歌うのが大好きで、
お兄ちゃんに歌ってあげて、喜んでほしいみたい。
小さい子たちも一生懸命、
お兄ちゃんたちを応援したいんだと思います。
小雨もお兄ちゃんのために何かできたらいいなって……
だから、虹子ちゃんと青空ちゃんの気持ちがわかるような気がするの。
もしよかったら、遊んであげてください。
きっと、とても喜んでくれると思います。
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