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蛍の偽日記

『手紙』

お兄ちゃんへ。

いつも、お迎えありがとうございます。
日が暮れると、とっても冷え込む季節。
風邪を引かないように、暖かくしてお迎えに来てね。
蛍もいっぱい着ていきます。
太って見えてしまうなんて言ってられない!
お仕事をするからには、体調管理が一番大事です。
もこもこしながらがんばります。

今日の日記は、蛍のお当番。
お互い忙しくて、日記を渡すときにあまり長くお話ができない。
だから、今日は文章だけで蛍のお話をお届けします。

アルバイトのあとでお迎えにきてもらって、
お仕事の話題を聞いてもらって、今までよりもお話ができてうれしい。
とても冷え込む帰り道、手袋で顔をさすりながら、
それでも伝えたいことばかりで、言葉が止まらないホタです。
お兄ちゃん、蛍のお口で手袋がもごもごして声が聞き取りにくくない?
町はだんだんクリスマスムード。
イルミネーション、クリスマスツリーの点灯が始まっているところも増えてきました。
とってもきれいで──
こんなに大勢の人がクリスマスを楽しみにしているんだと思うと
蛍はほっこりしています。
お兄ちゃん、蛍はおにいちゃんと並ぶ帰り道はずっと、
きれいですね、
こんな風景をお兄ちゃんと見られて幸せだなって
そんなことばかり言っていたような気がします。
だけど、ちゃんと他の人のことだって考えているんです。
今年の蛍は、はたらく女の子ですもの。
いろんな人に幸せをお届けするお手伝いをするんですよ。
どうか、みなさんのところに、幸せなクリスマスがやってきますように。
そして、私たちの大切な家族が住むこの家にも。
蛍もみんなのために張り切って、我が家のクリスマスを盛り上げようと思います。
お兄ちゃん、今度の帰り道は町の景色を見ながら
そんなことを相談したいな。
このごろはたくさん話しているから
日記に何を書こうかな、と思っていたけれど
いざペンを手に取ると、伝えたいことが次から次へと溢れてきます。
顔を合わせてはなかなか言えない蛍の気持ち、たくさんあります。
聞いてください。

お兄ちゃん、
蛍はお仕事をがんばれているでしょうか?
ときどき思うんです。
ふと、充実した時間のすきまに、蛍の胸に忍び込む考え事があるの。
お店の人も、お客さんもいい人ばっかりで
蛍は毎日、一生懸命。
お仕事はだんだん慣れてきたかな?
まだまだ未熟で
目の前のことに向き合うのが精一杯だけど、どうにかお店のお役に立っているみたい。
憧れていたかわいいパン屋の制服も、
お兄ちゃんに似合っていると言ってもらえてうれしいな。
でも、蛍は本当にこれでいいのかしら、
このお仕事は蛍の性格だとあんまり向いていないんじゃないかな、と思うときが
あるんです。

仕事がうまくいっていないわけではないし、
不満があるというのも違うんです。
働き出す前は、蛍の力なんて小さなものなのにいいのかなとすごく不安だった。
家でみんなに食べてもらうのとは違う、立派な商品を扱うなんてできるのか。
でも、クリスマスが終わってからも働いてほしいってたまに言われるくらいだから
思ったよりも蛍はお仕事をこなせているみたい。
パン作りはもともと家でやっていたし、お店の厨房もすぐに使い方を覚えることができました。
接客に向いていると、褒めてもらえることもある。
天使家は海晴お姉ちゃんや霙お姉ちゃん、春風ちゃんやヒカルちゃんがいて
学校でも少し話題になるから
蛍が働いているお店だからと見に来る木花の生徒も多いんです。
お客さんが蛍の話をしていたり、
声をかけてくれたりしたら、
こんなホタでもこのお店の力になれているんだと思えて。
ようこそいらっしゃいませ!
とってもおいしいパンがたくさんありますよ。
今日はこちらのパンがおすすめです。
お客さんは甘いものは大丈夫ですか?
がっつりいきたい気分のときも、おまかせください。
このお店のパンは、どれも楽しい個性があって、みんなおいしいんです。
これなんて焼き立てです!
今この瞬間だけの出会いです!
自然とそんなふうに声をかけている。
おいしいパンがいっぱいのお店で働けるって、とても楽しいことなんだと思う瞬間。
蛍はよく知っているんだから。
たくさんいいものがあります。
どうか、蛍の好きなこのお店のファンになってください。
まだ新人の店員でたいした力はありませんが、
あなたのおいしさを見つけられるように、お手伝いをさせてもらいたいんです。
同じ学校の制服を見ていると、身近に思えてしまうのでしょうか。
こんなでしゃばりかもしれない店員ですけど、
蛍を見に来たお客さんにはそれでいいと、お店の人も言ってくれている。
氷柱ちゃんのお店にも木花から見に行く子がいるんだけど
お友達が来てくれたのに、見世物じゃないときつく言って追い返そうとして
店長さんにすごーく怒られたらしいんです。
今日、氷柱ちゃんのお友達が蛍のお店に来て、つい漏らしてしまったそんな話題。
こんなふうに笑顔でお客さんを迎えられる余裕が氷柱ちゃんにもあれば! って。
きのう、お兄ちゃんと一緒に氷柱ちゃんをお迎えに行ったとき、
氷柱ちゃんは何も言っていませんでしたね。
むしろ順調にいってるみたいに話をしてくれて。
怒られて、きっとすごく落ち込んだはずなのに。
お兄ちゃん、今日はおうちにいた氷柱ちゃんの様子はどうでしたか?
悩んでいるような気配はなかったでしょうか。
もっと打ち明けて話してくれたらいいんだけど……
怒られて落ち込んだなんてことくらい、家族に話せば気が楽になるようなことなのに。
わりとうまくいっている蛍でも、失敗して怒られるくらいよくある当たり前のことなのに。
さりげなく聞き出すようにしたら、やっぱり氷柱ちゃんは怒るよね。
クリスマスのきらめく町の魔法みたいな雰囲気が、
氷柱ちゃんにも、素直になる勇気をくれたらいいのにな。
明日は氷柱ちゃんのお迎えに、蛍も一緒に行っていいですか?
土曜日は、蛍と氷柱ちゃんの仕事が重なる日。
まだ仕事を始めたばかりの氷柱ちゃんが心配だし
お迎えは氷柱ちゃんのほうを優先してもらうことになりそうですね。

たまに怒られている、と言ったけれど
蛍が悩んでいるのは、怒られているからという理由ではないと思うんです。
それは確かに、新しいパンを開発する相談のとき、
ホタが20個くらいアイデアを考えていったら、全部ボツだったときには
さすがに落ち込んだけれど。
霙お姉ちゃんの好きなあんこと組み合わせるのって、いいと思ったのにな。
ヒカルちゃんはいっぱい具があると喜ぶかと、お肉を大盛りにしようかって。
焼き上げるのが難しかったり、採算が取れないと言われました。
そうですよね……蛍はそんなこと全然考えていなかった。
家で試したこともあるオリジナルのお楽しみパン。
お店で販売するパンはやっぱり素人の考えとは違うんだと、実感した瞬間でした。
笑顔で接客ができているお話は、さっきもしたけれど
パンを紹介するとき、ちゃんとお客さんを見て話しているのか、とたしなめられるときもあります。
単に個人的な好みで紹介するだけでは、店員として充分とはいえない。
お客さんの一人一人に、それぞれ考えていることがあるのだし、
このお店に来て、パンを選んでくれるのはどういうことなのか。
決して、誰も同じ気持ちの人はいない。
その思いに私も真剣に向き合って欲しい、と言われました。

お兄ちゃん。
蛍がパンを前にして考えていること。
お店の大事な商品を大切に扱いながら考えているのは
いつも家族のことなんだよ。
気がついてしまいました。
焼きたてのパンを一番に食べさせてあげたいのは
おいしそうに食べてくれる蛍の家族です。
お客さんのことが見えていないというのは、たぶんその通りなの。
蛍は、いまお兄ちゃんがここにいたらどんな顔をするのかな、
みんながここにいたら、とよく考えている。
蛍にとって、家族がこんなになくてはならないものだなんて、
そうかもしれないとは感じていたけれど。
クリスマスにはサンタクロースの服を作って仕事をしたいね、とお店で話しています。
店員のそれぞれに飛びっきりに会う服を作れたらいいね、なんて。
趣味の手芸が得意な人が多いお店です。
蛍も少しはできると話していたから、決して変な話題ではないんだけど。
なんでだろう?
おうちのみんなに服を作ってあげるときみたいに心がときめかないよ。
かわいいおうちのみんなのサンタ服、
みんなの個性に合わせて作ってあげたいな。
普段なかなか着ないようなのも、挑戦してもらいたいな。
家族にかわいくなってもらうことにかけては、
いくらでも腕を振るいたい蛍なのにな。

小さい頃から、優しいお姉ちゃんやかわいい妹たちがいっぱいの家で育ったから
自然にそんなことばかり考えているのかな?
それじゃあ、この家に来たばかりのお兄ちゃんは
家族とずっといることに、まだそれほど馴染んでいないのかな。
ううん、いつも蛍たちを守ってくれるお兄ちゃんだよ。
それに、家にやってきたばかりと言っても
蛍はお兄ちゃんのことをとても大事に考えています。
私、いつでもお兄ちゃんがいないとだめだよ。
それは出会ったときからずっとです。
日に日に強くなる気持ちです。

お客さんと真剣に向き合うことをしないといけないけれど
蛍が喜んでほしいのは、いつも大好きな人なんです。
蛍が見ているのは、大切な人だけ。
何をしていても、変わらない。
自分がこんなにわがままで自分勝手だなんて、知らなかった。
サンタ服を作るのは、会ったこともない人に見せるためじゃないんだよ。
お世話になっているお店の人たちにお礼をするためでもないの。

お兄ちゃん、蛍は悩んでいることもたくさんあります。
うまくいっているはずなのに、どうしてなんでしょう?
こんな蛍を見込んでいてくれる人のために
せめて、クリスマスまでは仕事を続けたいと思っています。
蛍にできるでしょうか?
本当にできるのでしょうか。

お兄ちゃんに話を聞いてもらえることが、こんなに力になるのだと
蛍はここしばらく、今までになかったほど感じています。
いろいろとっても大変だと思いますが、
これからもときどき一緒にいてもらえたら、蛍はすごく元気が出るんです。
不思議なの。
悩んでいて、迷っていても、お兄ちゃんがいるだけで
世界はつらいことなんて何もない、全然違うものに変わっている。
蛍の大切な大切なお兄ちゃんが
どうか体調を崩したりしないように
体には気をつけていてください。
すごくすごく、
どうしても、
風邪なんてひいたら悲しいです。
今の蛍が頼りにしてしまう、蛍のお兄ちゃん。
お願いです。
これからもずっと元気でいてね。

まだまだ伝えたいことはたくさんあります。
いくらでも頭に浮かんでくるんだよ。
もっとたっぷり時間をとってお話したい。
お兄ちゃんのこともいっぱい聞かせてほしいな。
でも、きりがないので今日はここまでにします。
明日は、お料理のお勉強してもらうと約束していますね。
お兄ちゃんが家族みんなのかっこいいシェフになれるように、
ホタは一生懸命付きっ切りでお世話したいと思います。
よろしくね。

こんなわがままな妹ですが、これからも仲良くしてください。
蛍はいつも、お兄ちゃんがいてくれてうれしい気持ちでいっぱいです。
どうか、よろしくお願いします。
ぺこり。

大好きなお兄ちゃんへ。

蛍でした。
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