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星花の偽日記

『実験』

お兄ちゃん、
星花は良いお姉ちゃんかなあ?

どうなんだろう。

たまに、夕凪ちゃんの残したにんじんを食べてあげて
氷柱お姉ちゃんに見つかって
そんなのは本人のためにならないから!
と、いっしょに怒られてしまう星花なの。

きのうのハンバーグは、
お兄ちゃんとヒカルお姉ちゃんが作ってくれて
星花たちは、久しぶりにお料理作りはお休み。

お料理の前に、材料を見ていた夕凪ちゃんが、
うわあー、今日はにんじんとピーマンだあ。
いやだなあって
困っていたんだけどね。
ハンバーグが出てきたときは、全部忘れて嬉しくて踊っていたよ。
それが、今日になってから
あのときのにんじんとピーマンはどこに行ったんだろうと
やっと疑問に思いはじめたみたい。
帰ってきてから、吹雪ちゃんと一緒にキッチンを探していたんです。
見つからなくて、ますますおかしいって。
今日は晩ごはんのアジのひらきと格闘していて、また忘れていたみたいなんだけど。
このままでは、ハンバーグの秘密が見破られてしまうかもしれません。
夕凪ちゃんでもおいしく栄養をとれる便利な手段なんだけどな。
やっぱり隠しているのは良くないのかなあ、とは思うの。
でも、隠しておいたほうがいいかもしれない事はあるんですよね。
この季節になると、特に思うし。
もうすぐ12月。
気づかれるのがハンバーグだけだったらまだいいのかな?
吹雪ちゃんは、きのうさくらちゃんが残したハンバーグをやけに熱心に見ていたの。
なにか気がついたのかもしれないね。
でも何も言わないのは、夕凪ちゃんの体を心配しているからかな。
好き嫌いが多い夕凪ちゃん。
いつか、自分の体のことを考えてきちんと栄養をとれる日が来るのでしょうか?
来るのでしょうかというか、星花の大事な夕凪ちゃんのことなので、
ひとごとみたいな言い方ではいけないんだけど。
これからずっとそばで見ている家族だから
隣にいて、食べてあげるだけではいけないんですよね。
食べたくなくても夕凪ちゃんの体のためだから、と厳しく言うのは
氷柱お姉ちゃんがするから星花はいいかな、と思っていたら
アルバイトに行ってしまった氷柱お姉ちゃん。
月水金は、帰りが夕食後です!
これからどんどん寒くなる時期なのに、遅くなって大変ですね。
お迎えに行くお兄ちゃんも、暖かくしてくださいね。
氷柱お姉ちゃんがいない間は、夕凪ちゃんのことは、星花がきちんと……
ハンバーグの秘密を知られてしまったとき、
星花はどう対応するのかわからないから
自信を持っておまかせと言えないのが、残念なところなの。

お姉ちゃんたちがアルバイトに行くので、お手伝い。
星花は、お料理をするのはわりと好きです。
春風お姉ちゃんのあのおいしいうどんのだしはこうやって作るんだ、とか。
かつおぶしの使い方でいいにおいがしてくるあの感じ。
おいしくなるマホウは、ここにあるのでしょうか?
キッチンでは夕凪ちゃんのマホウは禁止ですけどね。
刃物や火を使って危ないから、うまく扱えないこともあるマホウは禁止。
おうちのことをお手伝いする星花たちの毎日。
学校で遅くまで遊べないのは残念だけど
家でお料理を教わるのも楽しいから、これはこれでいいのかな?
でも、おうちのお姉ちゃんがアルバイトに行ったから星花がお手伝いをするんだって
お友達に言うと、
ああ、やっぱり大家族だとそうなんだ、
働いて稼がないと、
みたいな話で理解してくれるんです。
それはたぶん違うと思うんです。
お金に困って働きに出ているわけではないので……
あと、星花くらいの歳になると、学校で話が盛り上がること。
サンタはいるのか、いないのか?
いない派の子が言うんです。
きっとクリスマスのプレゼントを買うお金のためよ!
たぶん違います……
だって、最初は働きに出かける予定はなかったみたいだし。
その前からプレゼントは早めに決めて置くといいよって言われていたから
お金がなくてプレゼントが買えないとかで働きに出たわけじゃないんです。
それに何より、
サンタさんはちゃーんと、本当にいるんですもの。
そうだよね、お兄ちゃん。

星花は普通にお料理をしているのが好きで、
夕凪ちゃんが食材をむやみに混ぜたり
最近では、吹雪ちゃんまで実験を始めるのはなぜかなあと思っていたの。
まだ吹雪ちゃんも遊びたい年頃なのかな?
家族のために普通に料理を作るだけでもとっても楽しいんだけどな。
これは、お姉ちゃんとして星花がしっかりお料理をしてあげられたらいいな!
そう思っていたんだけど。
きのう、さくらちゃんが泣き出してしまったでしょう?
大勢の前でおうたを歌うのが怖いって。
そうですよね、きっと怖いだろうなって星花も思う。
星花は、小学校で毎日練習した合唱の発表もすごい緊張して、
本番では練習していた力が全然出せなくて、体がかたくなってちぢこまって。
くやしかったな──
下手だとわかっていても、せめて全力を出せればよかった。
やるだけのことはやったと思えれば、悔いは残らなかったのかもしれないのに。
大勢の人の前に立つのって、本当に怖いですよね。
さくらちゃんが今朝も泣いてしまって、お兄ちゃんにしがみついて離れなかったとき。
星花は何を言ったらわからなかったの。
肝心なときに頼りにならないお姉ちゃんなんですね。
でも、そんなときにね。
虹子ちゃんと青空ちゃんが、さくらちゃんの代わりに幼稚園に行って歌ってあげるんだと
堂々と言い出して、
あさひちゃんまで側に控えて、ついていく気まんまんみたいな顔でした。
まさか赤ちゃんなのだし、さくらちゃんを助けるとか
そんなつもりは全然なかったんだと思うけど、
雰囲気でお出かけか何かだと思ってしまったのでしょうか?
虹子ちゃんと青空ちゃんの手にあったのが、
見ていると勇気が出る、お兄ちゃんのお写真。
それから、観月ちゃんが作ってくれた健康のお守り。
さくらちゃんは、お兄ちゃんのお写真をお守りの中に入れて
勇気のお守りにして、出かけて行きました。
夕凪ちゃんや吹雪ちゃんが無茶をするのはどうしてだろうと思っていたけれど
こういう時に、どうしたらいいのか本当にわからなくて
それまでのがんばりが全然役に立たないような気持ちになってしまうときに、
解決法を見つけるためなのかな。
さくらちゃんは帰ってきたとき、お守りのおかげで元気が出たって言ってたよ。
星花の合唱の発表会にも、青空ちゃんがいてくれたらよかったね。
さくらちゃんはあまりにも元気になりすぎて、
幼稚園のお庭や公園でいっぱいお友達と仲良く走り回って、
お守りをどこかに落としてきてしまいました。
お守りがなくてもさくらちゃん自身の勇気が出せたってことだから、これからも大丈夫かもね。
でもお兄ちゃんのお写真は、いまごろ寒い冬の空の下、こごえているかもしれません。
今日はもう遅いから、明日探すのを手伝ってあげる予定です。
こうしてさくらちゃんにいろいろなことを教わった星花の、
お礼の気持ちが伝わるお手伝いになるでしょうか?
捜索をするのは、放課後になってしまうけれど
はりきって行ってまいります!
おうちのお兄ちゃんは、今夜は寒い思いをしないようにしてね。
冬の夜でも、おふとんをかけたらあったか。
もし本物のお兄ちゃんを落としちゃったら、夜だって探しに行くよ。
お兄ちゃんとさくらちゃんと、星花たちが
おうちではいつも一緒です。
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