アルケイディア&キュクレイン

アルケイディア&キュクレイン TOP  >  スポンサー広告 >  観月 >  観月の偽日記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

観月の偽日記

『霜月』

神無月は昨日まで。

出雲に集っていた神々も
戻ったであろうか。
厳しい守護者の留守を見計らって、はめをはずしがちだった妖怪たちは
今日は急に大人しくなったようで、とんと姿を見せぬ。
来年が来るまで、羽を伸ばすのはこれっきりと
昨日のお祭りに乗じてはしゃいでいたようじゃ。
舶来のお祭りなのに、楽しければ無節操。
子供と同じじゃ。
うむ、わらわもじゃ。
パレードにこっそり混じって、お菓子をもらっていく客人は
人ばかりではなかった。
ハロウィンパレードにはだいぶ人も妖異も集ったようで
人を熱狂させる魔力を使うものでもいたのか、
赤字覚悟でお菓子を配ってしまったおじさんたち。
奥さんに怒られていたようじゃ。
聞いた話によると、死者が戻ってくるお祭りであり、
収穫祭を取り込んだとも聞く。
実りを助けてくれるのは、立派な神々だけとは限らぬ。
このあたりにはいつも、出雲に集まるほど立派なものでなくとも
我らの暮らしを見守り、時におどかし、時に助けてくれる友は
たくさんいる。
お礼を捧げることができたなら
これからも、時々は力を貸してくれるかもしれぬな。
昨日のお祭りの賑わいと、もらっていってくださったお菓子の山。
あの者たちにも気持ちが届いたであろうか。
来年のお祭りにもまたいらしてくださると良いな。
仮装コンテストで優勝したカボチャ頭の子と、二位を獲得したシーツの子は
顔を見せないまま表彰台から降りて、どこへともなく去って行ったな。
というのは、もしかしたらの話であるがな。
今日からは神々のもと、しばらくはいたずらをすることもないであろう。
次にあの子らがやってくる時まで家族たちが息災で、
おいしいものがまた我が家にも届いたなら
その時も、一年の収穫に感謝を捧げたいものじゃ。
楽しいことは好きだが、臆病なところもあるものたち。
どこに潜んでやってくるのかわからないから、来年もお菓子は盛大に用意するのが良いであろう。
兄じゃも、お祭りには遠慮なく参加して、たくさんお菓子を配ってくれたら男前じゃぞ。

ハロウィンのにぎわいは去ったが、
これからの時期に楽しみが近づいてくると言えば、やはりあれじゃな。
そう!
霜月神楽じゃ。
しかし、家でも幼稚園でも
これにはあまり同意してくれるものはおらぬが
兄じゃはどうじゃ?
やはり、馴染みがなくてあまり楽しみではないか?
むう……
実際に見に行けるわけではないからの。
大事なお祭りなのじゃが。
もともとは旧暦霜月に行われていた、収穫を感謝する祭り。
今の暦で言えば10月、収穫のあとの時期。
実はハロウィンと同じ目的のお祭り。
それなのにあまり話題にならない。
華やかなのに……
お菓子やプレゼントが存在しないゆえであろうか?
ともあれ、感謝を捧げたい気持ちは確かなもの。
昔からの伝統にのっとり
繰り返す一年の、ひとつの節目。
おいしいものを作る手助けをしてくださった神様に。
我らを取り巻く広い大地、畑と木々とあらゆる場所に座を占める神々に。
この自然を使わせてもらう我らが、ありがたい収穫を報告し感謝を捧げたい。
よき日を選んで
身を清めて。
礼を尽くして、神を呼び。
この時期は、湯を浴びていただき穢れ祓いを祈る祭りが多いようじゃ。
また来年も新たな姿でそのあるべき座につき、人を導いてくれるように。
今日まで一日一日をつなぎとめてきた命に感謝し
来年のこの日を迎えられるよう願う。
その先も、なおその先も
敬う神々と共に地に暮らし、
これからも自分を取り巻く人々と生きていけるように。

よいはしめ よなかはしぐれ
あかつきの かみもどしに あうひとは
寿命ながかれ 命ひさしき
また来年も かくのごとくに
神はゆけゆけ 森はとどまれ
このさとに またくるとしも 神よびもどす

古より連綿と語り伝えられてきた、大切な感謝の歌。
これは、人をこの地に繋ぐ、ありがたい収穫へ捧げる気持ち。
今日もあり続けられた尊き生命を寿ぎ、
喜びを捧げようと昔から続けられた儀式。
小さな地域の祭りは、いかに伝統があろうとも
人の世の移ろいと共に
やがて時の流れに押しやられ──
いずれはすたれてしまう定めなのかもしれぬ。
しかし、人の命を続けていく仕組みが変わることはない。
千年、二千年も前から、何一つ変わってはいない。
どれほど年月を重ねて行こうと、これからもずっと。
そして、親しき人たちと命を喜び合いたくて──
この思いを誰かに伝えたい感情もまた
どれだけ人の営みが移り変わったように見えても、
同じように、あるいは違う形になったとしても
その根っこにあるものは変わらず、繰り返されていくのだと思う。
今年の霜月神楽にも、人々が吉日を迎えられるよう
わらわもこの地で、力及ばずながら祈るばかりじゃ。
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL


ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。