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ヒカルの偽日記

『ハロウィン』

この日のために、何度もサイズ合わせをして
よく動けるように、きつくないよう細部にまで気を使って。
私のことだから、筋肉で服がはじけ飛んでもいけない。
小さい妹がいじめられたらすぐ怒ってしまうから。
そこまで筋肉はないと思うけど。
本物の貴族が着てもいいくらいきれいに仕上がった
蛍の渾身の力を込めたバンパイアの衣装も、
結局、本番では袖を通さないまま終わってしまった。

狙っていた仮装コンテストの優勝も逃した。
みんなが期待しているなら、と当日までは覚悟していたけれど
ステージに上がらないで済んだのは、ちょっとほっとした気持ち。
ときどき思うんだ。
華やかな注目を浴びるために、体を鍛えているんじゃない。
私は、そんなにたくさんのものはいらないんだ。
自分がその時楽しくて──
たまに家族を守れるくらいの力があれば、それだけでいい。
優勝商品のお菓子詰め合わせは、チビたちのためにもらっておきたかったけど
今日はそんなことがなくてもみんなたくさんもらえるだろうから、いいか。
かわいいからな。
うちの女の子たちは。
それから、ただひとりの男の子は──
海晴姉はかわいいと言う。
姉妹には、オマエのことをかっこいいって言ってる子も多い。
そうかな。
私は、そんなふうにはっきり言えないような気がする。
うまく言い表す言葉が、なかなか思い浮かばない。
のんびりしてるほうだけど、わりと普通だな──と言い切るには
他の男と比べたら、何か違うものを持っている気がする。
根性があるってことだろうか?
こんなにきょうだいが多い家なら
根性がなくてはなかなか大変だから。
氷柱が妙な怒り方をしても
小さい子がわがままをはじめても
オマエは不思議と楽しそう。
根性があるからだな。
そのへんは私の意見。
ハロウィンパーティに参加した人がどう見るかは、わからない。
オマエは特別かわいいというわけでもなく、普通に近いほうだと思うんだけど
お菓子はたくさんもらえた?
小さい子にわけてあげられる量になった?
もらったものをどんどん配ってしまった私みたいにならなかった?
私も、バンパイアになって参加していたらもうちょっともらえたのかな。
今日の仮装は、見る人はセクシーだねってびっくりしちゃっていた。
ハロウィンにおかしをもらうのに向いた衣装じゃなかったのかも。
前にも着た衣装だけど、やっぱりこれは蛍の趣味が出過ぎてしまったようだ。
春風は、私のおなかを守れなくて悲しそうだった。
でもまあ、私のおなかは私が守らないといけないものだし。
今日は自分の意思で着たものなんだから、春風が悲しむこともない。
悲しんでいるだけでもなかったよ。
春風にもかわいいって喜んでもらえたし。
おなかは、帰ってきて食べた鍋が暖かかったから大丈夫。
今日はさくらとおそろい。
お姉さん虎と、妹虎。
それともお母さん虎と子虎に見えるだろうか?
本当のことを言うと、蛍はさくらの衣装は鬼のつもりで作ったんだって。
さくらがちょっとでも鬼を怖がらないで、仲良くなれるように。
なるべくがんばって、かわいく鬼をディフォルメして。
鬼に化けた子がいるかもしれないハロウィン。
前に観月が仮装したときは、何も気にしていなかったさくらだから
ハロウィンは特別なのかも、と蛍は考えたらしくて。
こんなときにこそ、仲良くなれる鬼もいるんだとわかってほしかったみたいだけど
いきなりは無理だったな。
急遽さくらの衣装を虎っぽく細部を調整したんだ。
私が大きい虎になって、ほえ方もその真似をすればいい。
先輩虎は、前にちゃんと虎をしたんだ。
いろいろあったけど、どうにか虎だったと思う。
お姉ちゃんが虎なんだから、さくらに教えてやれる。
マリーが女王なら、さくらも女王の素質がある。
いつかマホウも使えるはず。
どうしても怖いものがあったら
今は隠れてしまってもいい。
虎だって小さい頃は守ってもらわなきゃ。
ライオンも本当は子供を谷に落としたりしないし。
私がついていてやるから、今日は虎っぽい振る舞いも、さくらのできる分だけでいい。
どうせ必ず、怖くても立ち向かわないといけなくなる日は来る。
自分から望んで、険しい道を進むことになるのか。
それとも、春風や蛍に押し切られて、思っても見なかったイベントに参加するのか。
いつでも隠れているなんて──
さくらみたいに怖がりだって、実はできないと思う。
さくらがこれからどんなふうに駆け出していくのかわからないけど。
それまでは、私がついていてやるから。
いつでも家族が見ているって、まずそのことをたくさん教えてあげなくちゃ。
今日はずっと手をつないでハロウィンパレードを歩いたよ。
私があきらめた仮装コンテストの優勝は──
かぼちゃをかぶった、まさにハロウィンらしい子供。
二位は、きらきら飾りがいっぱいのシーツおばけ。
そして三位に入賞したのが、てんびん座をモチーフに正義の女神に仮装したユキだった。
お菓子はたくさんもらえるはずだからそんなになくてもいいって自分では思っていたけれど。
やっぱり、家族がもらえると嬉しいものだな。
おめでとう、ユキ。
でも、半魚人をかわいく改造されて、いつのまにか貝殻のブラで人魚になっていた氷柱が
最初に声をかけられていて
恥ずかしいからと入賞を断っていたことは
うれしそうなユキの前ではあまり言えないけれど。

家族で十二星座の仮装をしたから、ただの気分かもしれないけれど
星がきれいな帰り道だったな。
いよいよ空気が澄んだ冬が近づいているのかな、と思った。
ハロウィンの間は寒い服を着ていたから、そう思っただけかもしれない。

せっかく作ったのに、もったいないから
みんなが休んでしまったあとでバンパイアの服も着てみた。
普段着にもできないし
明日から着る機会なんてないと思うし。
もう家族でたくさんもらって帰ってきて、お菓子が欲しいわけではないのに、
私は何をしているんだろう。
いたずらがしてみたいのかな?
もうすぐ日付が変わる時間。
おばけがあふれる一日は終わろうとしている。
やり残したことがある気分なのか。
もういたずらをするような子供じゃないのにな。
バンパイアの衣装を来て蛍が喜ぶところも見たかったのかも。
ハロウィンが終わる前に
オマエにこの仮装を見てもらって、何か言ってもらえたら
この落ち着かない気持ちの答えが出るのかもしれない。
それともやっぱり、いたずらしてみたいだけなのだろうか。
トリックオアトリート。
時間が来たら終わってしまうお祭り。
そうか、今わかった。
子供に帰ったみたいに私も楽しんでいたんだな。
来年もまた、同じ顔ぶれで行けるような気がしているけれど
今は、もう少しだけ誰かと一緒にいたいんだ。
いたずらをしてみたいのかもしれないな。
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