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観月の偽日記

『小鬼』

夏至に訪れるマホウは
結婚のマホウ。
だそうじゃ。

過ぎてしまったの。
兄じゃは、結婚しなかったの。
年齢的に、まだ早いという。
そうか?
あるいは、実はもう結婚しておるかも知れぬ。
こっそり、わらわにだまって
そんないいことを。
楽しい宴もなしに
秘密の愛を。
そうでもないか?
ひそめた思いの通じ合うのも楽しいが、
わらわはやっぱり、一生の一度のこと。
せっかくだから
華やかに祝福されるのが良いかと思う。

夕凪姉が、
妖精のマホウは真夏だと思って待っていたら
過ぎてしまったので
タイトルにだまされた!と
びっくりしておった。
本当は、夏至らしい。
海を渡ってきた習慣には
あいにくわらわは詳しくない。
しかし、夕凪姉もがっかりするのは早い。
この季節、妖精ならずとも
様々な狐狸妖怪がわんさか。
本朝の話なら、わらわにおまかせじゃ。

夏の妖しい風習といえば怪談。
真夏の怪談が涼しい理由は
恐ろしい話をしていると、寄ってきてしまうから。
いや、安心せい。
わらわが正しい儀式を知っている。
あらぶるもの、よこしまなものを鎮める方法。
怖い話をして何かあったら、きちんとわらわを呼ぶのじゃぞ。
ちょうど今の時期は、訪れるものが多い。
腕を磨いておく季節。
修行も、精進潔斎も、準備万端じゃ。
わるいものも、力あるものも、いっぱい来るぞ。
迎え火で招くご先祖様にも、
わらわの成長したところを見せるのじゃ。

いたずらをするものは
伊与狸に佐渡の弾三郎狸、
それに、この季節は
知らないお祭りが開かれていると
魅惑の匂いに誘われて近づいてみたら、
見たこともない品が並ぶ
不思議な市であったりもする。
爛熟の果実が香る露店に気を取られて
提灯の影に隠れる商人の姿が実は
人より小さな生き物であることに気がつかない。
うかつに足を踏み入れてしまったら、
呪いに取り込まれて、
逃げ出した後も正気に戻れぬ。
闇の宴を夢見て、
求めても二度と得られぬ魔法の果実を思いながら
さまよう、新しい魔物になる。
やつらの仲間入りじゃ。
そうなってしまったら、やつらの思うつぼ。
いかにして元に戻れるか、果たしてわらわのお祓いが効くものか。
容易に誘われぬように、気をつけておれ。
魔界の香りなんかに惑わされてはいかん。
迷わぬよう、
おうちで満足行くまで味わっておくといい。
お腹いっぱい詰め込もうぞ。
種類もさまざま。
夏のおいしい旬のもの。
子供にも人気の、定番は──
もちろん西瓜に、
甜瓜や桃、葡萄。
もとより桃と葡萄は神仙の霊験もあらたか、ありがたい果実。
妖魔の季節にうってつけ。
とはいえ、うちの家族はそんな細かいことは特に気にせず、
夏の果実のお好み、それぞれにごひいきがあるようじゃ。
わらわも、神仙の儀式は関係なく
甘い桃!
みずみずしい西瓜!
が、大好きじゃ。
兄じゃはどれが特にいけるであろうか。
台所の主におねだりしておくとよいぞ。
ホタ姉じゃも、春風姉じゃも、
聞いてくれるぞ。
家族それぞれに一番は分かれるものの、
食卓にどれが並んでも
みんなが喜ぶ
季節の宝物、
夏の甘い果実。
小鬼の宴に魂を抜かれぬよう、
ここでたっぷり、分け合おうぞ。
夕餉の献立は、今日は桃。
皮を剥いて小さく切って、子供でもぱくぱくいける。
おっと、いかん。
明日のお買い物の予習にと
かけておいた電車の映像に気を取られて
だらりだらり、手が汁でべとべと。
はかまの上はちょっとした水溜り。
後で粘るから大変じゃ。
お洗濯をして、
お風呂に入って、
綺麗になったら、早く床につかねば。
そう、今日のところはな。
まだまだ小さいわらわゆえ、
夜更かしして魔物退治は、少々不便。
夏休みでも夜歩きは怒られる。
魔物からは逃げて明日にして、夜は良い子でねんねしようぞ。
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