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観月の偽日記

『おばけ』

やれやれ、
大変な風が吹く日であったの。

せっかくのおでかけが
えらいことになってしまった。
玄関を一歩出たそのときから、
兄じゃや姉じゃたちは、家族を守ろうと命がけ。
さくらはせいいっぱいのおめかし、お気に入りのワンピースが
食堂との往復で、すっかりびしょびしょ。
がっかりしたやら、怖いやら、半泣きで、
それでいてお子様ランチは残さずぺろり。
家に帰ってきて、濡れた体を温めるために風呂に入ったときも
こわかったー、と兄じゃにしがみついておった。
怖がりの家族たちには、なかなか過酷な一日になったようじゃな。
しかし、大人しくしているならまだ安全なほうで、
手に負えなかったのは、
このめったにない暴風と雨に
気分が盛り上がって、
水溜りに自分から踏み込んで跳ねるなどの奇行をとる
元気な子供たち。
わらわはもちろん、
元気なほうじゃ!
風の子じゃ!
今日のためにおろしたはかまも、
だいぶ妖怪退治の修羅場を潜り抜けてきたみたいになってしまった。
お疲れさま。
いつもの癖で、すそをひきずるはかまでないのはまだよかった。
これで体が冷えたわりに、体調を崩さなかったのも
神仏の加護じゃ!
お風呂のおかげもあるかの。
うちの風呂場には、いい神様がいついておるようじゃ。
家族食堂で、甘味まで追加注文して
栄養を取ったおかげでもあるやもしれぬ。
ん、何かおかしいか?
家族食堂。
舶来の言葉は、なかなか使い慣れぬ。
同様に、舶来の文化も──
しかしお店のお勧めらしく大きく紹介されていた
きれいなアイスの盛り合わせを今日は注文してみた。
堪能したぞ。
甘いものを買ってもらえるのは幸せじゃ。
子供に生まれてよかった!
舶来の習慣も、あんがい悪いものばかりではない。
いいものじゃ、あのようなお店も。
それで、わらわも敬意を示して
きちんと正しい名前を覚えるとしよう。
この際だからの。
ふぁ、
ふぁみ
ふぁみれ、
す、
じゃ!
それからな、お勉強したぞ。
ふぁみ、は家族のこと。
わらわたち全員のことじゃ。
この天気で、兄じゃや姉じゃたちには苦労も多かったようだが
また家族で行きたいのう。
帰ってきたら、まるで長い旅行から帰ってきたかのように
大勢で声をそろえて
やっぱり家が一番落ち着くな!
たった数時間のおでかけだったが、
家族みんなにとって、ずいぶん強烈な体験になったな。
過激な思い出の一日、みなそれぞれに楽しんだかの。

それにしても、
疲れて帰ってきたのだから、ゆっくり休めばいいと思うが。
あともう少しで春休みも終わりになるから、
じっとしていられないか。
ヒカル姉じゃは、録画していた野球を観戦して
目を潤ませては、
興奮を抑えきれない様子で
もうれつな速度の腕立て伏せを繰り返しておった。
それから、大きい子も小さい子も混じって
この春休みに楽しもうと買い集めた本を片付けなおして、
先日読んだ、
まだ読んでない、と話は弾む。
短いはずの春休みなのに、
ずいぶんいろいろな場面を
めいめいが辿ってきたかのように
語り合ったものじゃ。
しかし、誰が選んできたものか
おどろおどろしい気配を放って混じっていた一冊が、
悪い予感をかきたてる。
聞けば、わらわが異界のものを好むだろうと
一緒に楽しみたくて、買ってきたとか。
うむ、わらわはあやかしに強いぞ。
しかし、それは修行を積んできたからであって、
まだ知らぬ領域を集めた
世界の怖い話の本は
わらわの修行では、なかなか及ばぬ。
科学の発展によって改造された恐ろしい生物、
夜空の彼方より飛来する未知の侵略者、
そして文明の機器がとらえた理解困難な異常、
あの心霊写真とやら。
吹雪姉じゃが言うには、カメラに詳しい人なら
たいてい原因は見当がつくそうな。
しかし、吹雪姉じゃもそうらしいという話を聞いただけで
カメラに詳しくはないので、説明してはもらえなかった。
わらわが見るに、これはおそらく──
怨念というには、印刷物やフィルムから感じるというものでもないし。
うーん、不思議じゃ!
よくわからなくて、
怖いのう!
実は兄じゃ、
わらわは今日、ふぁみれす、に行って
どりんくばあ、を生まれて始めて体験して
わんさかジュースが出てくるぞ、
裏の山からジュースの井戸でも掘り当てた
ジュース長者のお祭りか何かなのか、
と、面白がって飲みすぎて、
夜寝る前にごふじょうに行っておかないとまずいと
わかっているのだが。
あいにく、こんなときに限ってキュウビまで疲れたようで
気持ち良さそうに鼻提灯を出している。
おそらく、恐ろしいものが相手でも
話せば意外と悪いやつではない。
わけのわからぬものにおびえながらも、なぜか心を惹かれるのは
それが解明可能だと、なんとなく思えるからであろう。
でなければ、不思議の塊である兄じゃに
これほどまで惹かれる理由がないではないか。
家族であれば、いつかは恋人の心のうちもわかるやもしれぬ。
わらわの力の前では、やがて兄じゃの謎はまるはだか。
兄じゃの全てを知ってしまった後は、
今度はわらわの主導で仲良く過ごす時間の始まりじゃ。
そうなれるよう、精進の毎日を過ごすとしよう。
もうちょっと強くなるまでは、わらわが手も足も出ない
えいりあんや、こわいこわい顔のようなしみに
襲われたときには、守ってもらわねばならぬのじゃ。
今夜だけでもいいから、ついてきてくれぬかの。
こわーい写真には、言って聞かせるわけにもいかん。
科学の恐ろしさが相手では、古来よりの闇に対抗する力もなすすべがないが、
家族の愛の前では、その恐ろしさもちっぽけなものになりはてるのじゃ。
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