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観月の偽日記

『夜来たる』

昼と夜の長さが
同じになる
一年にたった二回だけの日。

そして、
これからはだんだんと
昼の時間が長くなっていく。
それでも──
夜がなくなることはない。
暗闇に隠れ住まうものが
行き場を失うことは決してない。
見よ、
夜が短くなるにつれて
闇は熱を持ち
体温を孕むようになる。
深みまで染み込むように、濃厚さを増し
牙を立てるがごとく、夜は人の世に食い込む。
もしもこれが海を渡った
遠い白夜の国であっても
暗がりは消えるものではない。
いずこでも匂いを感じる、
死の気配、
淀む穢れ、
異界は時に山であり、時に森であり
彼らはそこに住むよう定められた。
いかなる神の血を受け継いだか、
異形や異能は、人が知ることのない領域。
われらは、その者たちを祭ることしか許されぬのじゃ。
どこにでもいるぞ。
柳の下や、四つ辻、井戸の底ばかりでなく
武者人形のがらんどうにも
家具の隙間にも
ハイカラなベッドの下にも
ビデオテープの中にも。
どれだけ日のさす時間が長くなろうと、彼らはどこかで跳梁する。
なぜならば、
それが実在するものだからであろう。
理知の目には見えぬとも、
気がついたとき、どこかに必ずいる。
短い夜に密集し、
濃い影の内部に凝縮される。
いかにも、夏の夜に怪を語るわけじゃ。
おそれ、うやまい、怯えながら
身の無事を乞わねばならぬのだから、
その知識を得るために。
わらわのような、少し心得のあるものだけが
少しやんちゃをしすぎたモノノケをつかまえて
こら! いかんぞ!
と、こらしめるくらいが関の山。
なーに、
この役目も、言うほど恐ろしくもない。
あやつらも臆病者で、好んで人を襲うことはあまりない。
つきあってみれば、なかなか話が分かる。
このキュウビのように、何かと力を貸してくれる
かわゆらしいものもおるしの。
時にはのさばる連中も多いが
この家にはわらわがいるし、
兄じゃも心強いし。
なんとかなる。
消し去ることはできぬ、古き友。
これからはじまる熱き夜を、共に堪能していきたいものじゃ。
どこにでも見つかるからの。
探さなくても、向こうからやってきて賑やかになるであろう。
おっ!?
これは!
兄じゃ、動いてはいかん!
なんというものを連れて来たのじゃ、
その肩にあるものは!
心配しなくとも良い、わらわがついておる。
そっとかがんで、
接吻するように
近づいておくれ。
ほれ、
うまいこと取れたぞ。
小さな子でも、頼りになるであろ?
これがついておった。
桜の花びら──
家に持ち込んだら、また掃除が大変になる。
春風姉じゃは、こないだ青空の汚れようを見て
もう、男の子みたいに元気なんだから!
おうちにはもう、男の子はお兄ちゃんがいるのにね!
王子様ったら、いつも元気です!
きゅん!
とのことじゃ。
しかし、青空にしとやかさを求めるのは、もうちょっと育ってからじゃな。
この季節は家中、掃除の仕事で大騒ぎ。
新学期に向けて、部屋の整理整頓が大変らしいぞ。
わらわのような幼稚園組も、
掃除の先輩の姉じゃらに教わって、
ちょっと背伸びのお手伝い、小学校仕込の雑巾がけをしておる。
床をはいはい、
おしりふりふり、
しぼりきれていない雑巾で、びちょびちょ。
役に立っておるであろうか?
姉妹が一丸となって、
霙姉じゃの部屋の、密林のような散らかりように立ち向かう。
あの部屋には、どれだけ得体の知れぬものが住んでおるか
想像するだけでもうきうきするではないか。
春分の日というよりは、ひたすら掃除におおわらわであった。
おおわらわと言われても、大きいのか、わっぱなのか、
さて、さっぱりじゃ。
どういうことであろう?
のどかな春先というのも、意外とゆっくりしていられぬものじゃな。
兄じゃも、この騒ぎの隙に妙なものに体を乗っ取られぬよう
日ごろからよく身を清めることを心がけるのがよいぞ。
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