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観月の偽日記

『桜』

古より、巨木はあがめ奉る対象であった。
年ふり経たものは、畏敬すべき魂を宿す。
ましてや、天を突く高さ、大勢の大人が集まってやっと囲める太い幹。
巨大な、不思議な、それは生きるものたちの中心。
いつの世も、偉大なる存在として敬われてきた。

兄じゃは、わらわたちの家族の大きな柱、
中心の巨木であるおのこ。
どれほど偉大な力を持っているのであろう。
わらわたちは、兄じゃの恵みを受けながら
飛び交う蝶か、さえずるうぐいすか、
祭りをする元気な子か、
横でゆっくり育つ小さな幹か、
そのあたりじゃ。
まあ、兄じゃは樹木ではないし、オーラも違う。
山に出かけたときの木々の気配も心地よいものじゃが、
あれはマイナスイオンと呼ぶらしいの。
癒し系じゃ。
兄じゃは家族を落ち着かせるだけではないから、
マイナスイオンは出ておらぬ。
何が出ておるかというと、
わらわが兄じゃを好きになる
謎の力じゃ。
兄じゃから妖怪が飛び出して、わらわの心臓を矢で射抜いたのかも知れぬ。
大きな存在には、そのようなもののひとつやふたつもおるであろう。

霊が宿るのは大きいものばかりではない。
芽を出したばかりの双葉であっても、偉大な生命力に満ち満ちておる。
小雨姉じゃの手入れする花壇には、今日も不思議な力がいっぱいじゃ。
また、巨大な岩も、鬼も、崇拝を受けてきた。
であるならば、花壇の小石も、角がある小さな虫も、力に溢れていることは疑いない。
毎日青空が新しい虫を発見して喜んでおる。
小雨姉じゃは、どんな虫も殺せなくておろおろしておる。
のどかな春。
生き物がこぞって動き出す気配。
そんなこの頃の、尊敬すべき巨木は
やっぱり、あれじゃな。
桜じゃ!

桜の花がなぜあんなにきれいに咲くか、
兄じゃは知っておるか?
うむ。
桜の木の下には、
実は、死体は埋まっていない。
死肉を食らうあさましいものたちが
桜の木を狙ってくるとは聞いたことがないからの。
桜が美しいのは、
人に見てもらいたいからなのじゃ。
わらわたちと楽しく、一緒に騒ぎたいからなのじゃ。
でなければ、あれほどまでに華やかに咲く理由はない。
あっちの桜にも、
こっちの桜にも、
もうすぐ咲く季節に備えて、
そわそわと化粧や衣装選びを始める
乙女心いっぱいの妖精が集いはじめた。
どこかで見たことのある光景じゃの。
イベントを前にした我が家のあわただしさに、よく似ておるな。

つい先だってより、
九州、四国で開花のしらせが続々と届く。
海晴姉じゃの天気予報によってじゃ。
いま、桜前線はどのあたりであろうかと、気になっていた。
というか、九州や四国とは、どこのあたりじゃ?
吹雪姉じゃに尋ねてみると、
「観月は日本の歴史に興味があるようなので、
 昔の言葉で説明してみましょう」
と言って、教えてくれた。
九州とは、筑紫、薩摩、肥前、肥後──
おお! 知っておるぞ!
そうか、あれのことであったか。
肥後と言えば、
あんたがたどこさ、の手毬歌に出てくる国じゃ。
そうじゃそうじゃ。
あれは九州であったのか。
そう言えば、以前の家族旅行で九州に行ったときには
古い地名はあまり気にしておらなんだ。
惜しいことをしたの。
肥後と言えば、確か他にも
ガラッパがいるのは、あのあたりではなかったか?
旅行に行ったときに、会ってみたかったのう。
相撲が得意というから、教えてもらえばよかった。
そうすれば、わらわは小さい体で、兄じゃも投げ飛ばすぞ。
そーれ!
ひょーい!
とな。
でも、まだ出会っていないから
兄じゃ相手の初金星はお預けじゃ!
うーむ、惜しかったの。
ガラッパのほうでも、かわいいわらわに稽古を付けることができなくて
さぞ残念であろ。
今頃は、桜を愛でておるかもしれぬ。
それを言うなら、河童に似合うのは
黄色い桜じゃな!
かっぱっぱじゃな!
河童の花見が、黄色い桜とは
わらわはうまいことを言ってしもうた。
どやぁ。
じゃ!

今日はついに、東京都心で染井吉野が開花したと、
海晴姉じゃもテレビの向こうでにこにこしておった。
近いうち、上機嫌で遊んでくれるかもしれぬ。
その時は兄じゃも一緒にどうじゃ?
いよいよ春も本番じゃの。
こんなにいい季節、わらわも浮かれて
桜の咲いたお祝いじゃ、
おやつの時間に少しおまけもよかろうと
せんべいの袋を開けて
ぽりぽりしていたら
そんなに食べちゃダメでしょ! と
氷柱姉じゃに怒られてしもうた──
どうやら、氷柱姉じゃの春はまだ遠いようじゃな。
おいしいせんべいは、
花見の本番が来るまでの辛抱。
宴のための豪華な料理も、
喜びを彩るゆかいな芸も、
尊く、華やかな
桜の木々と遊ぶ
お祭りの日のお楽しみじゃ。
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