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ヒカルの偽日記

『絵本の日』

今日も風は冷たかったけれど
ユキは大丈夫、元気に学校へ行ってきたよ。
寒いと言っても、もう3月も中旬になる。
うちの姉たちも桜の開花が気になる季節。
数日前までは、春が来ないうちに
もう初夏になりそうな天気だったけど──
私は今日みたいにゆっくりと季節が変わってくれるほうがいい。
急な変化には、誰だってそう簡単についていけないものだし。
と思うけど、オマエが来たときはすぐに馴染んだ子が多かったな。
どこか、そういうものだと前から思っていたなんて言った子もいるし。
我が家にはずっと、不思議と何か足りなかった気がしていたって。
そこに当たり前みたいにすっぽり入ってくるものなんだって。
いずれオマエが来るものだと、最初から決まっていたような感じ。
それまでだって楽しくても、幸せでも、平凡でいることに何の不満もなくても
なぜか欠けていたような、必要なもの。
物足りなかった心のどこかに、気がつかないほどかすかな隙間風。
一人やってきただけで、こんなに暖かくなるものなんだろうか。
いったい、なんなんだ?
これからの私たちに、また新しくそんな変化なんて起こるのかな?
嬉しい、騒がしい、当たり前の、
私たちの日常の小さな一部分。
いつも通り過ごす日々は何も変わっていないはずなのに
オマエが入るだけでずいぶん違った景色に見える。
思い出深い昔の日々も懐かしいけれど、
そんな頃に戻りたい気持ちが全くないのはなぜだろう。
まあ、戻ろうとしても、もうオマエを家から追い出すわけにはいかないし。
その分、おかしなことをしたらしっかり叱って、
叩き直してやらないと。
夕凪のいたずらに付き合ったり、
拾ってきた猫をかくまってやったり、
虹子の納豆を代わりに食べたり、
あたりは、問題なく許せるとして。
風呂を覗いたりしたら驚く姉妹が多いだろうけど、
オマエはそんなことはしないか。
家族なら一緒に風呂に入るし、覗いて楽しいこともないもんな。
意外とおかしなことはしないんだな。
男って、もっとよくわからないものだと思っていたんだけど
一緒に生活してみないと見えないことがある。
全然、普通だ。
勉強もそんなに好きじゃないって言いながらしっかりやってるし。
苦手なわりに、結構教えてもらえるし。
私の運動にも付き合ってくれるし。
同じ歳っていうのもあるけど、
きょうだいで誰より、一番近いような感覚までしてくる。
すると、やっぱりオマエも、春になると変な気分になったりするのかな。
この日々が通り過ぎてしまうと困るような、わけのわからない気分。
過ぎ去る時間を止めるわけにはいかないのに。
別に、新しいことが始まるのが嫌なわけでもないのに。
特別に変わってしまう具体的なことなんて何もないのに──
なんだか、寂しいような、怖いような、
よく似ているけどまったく別の感情のような。
新生活に向けて忙しくしている間はあんまり気にならないけど、
ふと息をついたときに、物足りなくなる気持ち。
まるで、誰かに近くにいてほしいと
私の体のどこかでつぶやいているみたい。
変なの。
まあいいや。オマエも片づけが大変じゃないか?
古い教科書をまとめて、来年の分を入れる場所を作らなくちゃ。
高等部になったら、一年前の教科書も後で見直すことが増えるって春風が言うから
どうしようか考えていたんだけど──
中等部の頃にも同じように言われて、こないだまですっかり忘れていた。
まとめて押入れに放り込んだけど、見直す機会なんてなかったよ。
だから、まあいいかと思って。
うちにはさいわい、勉強で困ったときに教えてくれる人がたくさんいるんだし。
頼りにしてるぞ。
嫌いだからって、あんまり勉強をサボるなよ。
私も、できることがあったら助けるよ。
できそうなことって、体を鍛えるときくらいしかないかもしれないけど。
その時は相談して。
今年の教科書をきつく縛って押入れに持っていったら、
懐かしいものを見つけた。
もちろんそれは、中等部のときの教科書。
この時期の私はまだ鍛え方が甘かったのか、
縛り上げた紐にも、まだ余裕がある。
今ならもっと圧縮できるのにな。
後で縛りなおすから、暇だったら手伝って。
オマエが手伝ってくれたら、古本圧縮の記録を更新できるかもしれない。
それから、他にも見つけたもの。
ずいぶんボロボロになったけれど、今でもよく読まれている本。
これから先もしばらくは、すぐに取り出せるような場所においておかないと。
私たちも小さい頃に使っていた、一番最初の教科書。
いつまでも色あせないというには見た目のほうは自信がないけれど、
内容は文句なし、
今の子供たちにも新鮮なお話の数々だ。
オマエはどんな絵本を読んで育っただろうか。
たとえば、100万回生きたねこの内容って、覚えてる?
さっき見直したけど、こんなに切ない終わり方だったかな。
バーバパパの子供って、7人だけで寂しくないかなあ。
ウォーリーを探すことにかけては霙姉は実力があった。
あの性格でいつも正解をじらすものだから、悔しい思いをしたっけ。
あさひが必要としなくなるまで、もう少し活躍しそうな、
ほこりっぽい押入れで見つけた宝の山。
それとも、あさひが大きくなってからも
うちにはこれを引き継ぐ子が現れるかもしれない。
そうか、これから嬉しい変化があるとしたら
また当たり前みたいに赤ちゃんが増えていくってことだな。
ママはその気がないみたいだし、
オマエがどこかから赤ちゃんを連れてきたら、
やっぱり私は怒るところなんだろうか。
それとも、家族たちが喜びそうだし、私もそれを見て一緒に嬉しくなるのかな。
うーん、考えてもわからないか。
それより、今のところは早く作業を終えてしまおう。
私が当たり前に新年度を迎えるための、忙しい時期。
また今年の春も、オマエと普通に過ごすつもりだ。
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