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麗の偽日記

『憂鬱』

やっぱり
あなたも──

私のことを慰めようと思っているの?
春のダイヤ改正で、
また、私の気分は憂鬱になる。
新しい出会いよりも
切ない別れが重くのしかかるのは、
二度と取り戻せないものが
どれだけ大事なのか、知っているから。
悔やんだって何にもならないことは、わかってる。
前向きにならなきゃいけないのにね。
うつむいてばかりなんて情けない、周りの人にも笑われちゃう。
役目を終えて、誇らしく退場していく車両たちにね。
誰も、無念の思いで去っていく人なんていない。
私が勝手に悲しくなっているだけ。
だけど、
こんな思いを持っていたら、いけないの?

落ち込んでいたって、何かが変わるわけじゃない。
私が本当に電車を愛しているなら
新しいことに挑戦する人たちがいるんだから、応援してあげないと。
いつまでも、同じところにとどまっているなんて
電車にも人間にもできないこと。
そんなことを目指したらいけない。
自分に言い聞かせたところで、
悲しい気持ちがなくなるなんてことはない。

私がしなければいけないことは、
失われた大切なものを忘れないこと、それだけじゃなくて──
それだけじゃなくて。
でも、春が来たから何がはじまるのかって言うと
私には何も喜ぶことなんてないし。

新しいことが始まる変化の季節だからって、
ある日いきなり私の体が人間から電車に進化した、
なんてことは絶対にありえないって、
いくら私が子供でも、そんなことはわかってる。
ありえないと思う。
まずないわよね。
本当にないのかしら?
もしかしたら、広い世界なんだし
たまにはどこかでそういうことが起こっていても──
もちろん、
起こらないことは起こらない。
人間は水の上を歩いて渡ることはできない。
そんなことが起こったらただのトリックだし。
春が来たって、
どんな望ましいことがあるっていうの?
できないことはできないのに。
私が大きくなったら、
今は全然想像もできない方法で
とても無理だと思っていたことを可能にできるのかしら?

それまでに
どんなに悲しい思いをするかもわからないのに
あいまいな未来に希望を託すとか
とてもやっていられない。
でも、儚い願いを繋がなければ
私は一歩も前に進めない。
悲しんでばかりなんて、良くないことなのよね。
良くないことでも──
良くないからって言い聞かせたら、自分の気持ちが変わるわけじゃないもの。

他の人たちは、こんなときにどうするの?
悲しい思いをするのは、世の中に私だけだって
そんなわけはないって
私は知っている。
だけど、どうすればいいのかは誰も教えてくれない。
その痛みは、自分で乗り越えなくてはいけないなんて
その場しのぎのことを言ってごまかして。
本当は、みんなただ忘れるだけなんだわ、きっと。
でも、私は忘れない。
絶対に忘れたくない。
何が何でも、そんなの受け入れられない。
悲しいままでもいい。
忘れて次へ進むなんて、私には無理なの。
私だって時々は、
そうしたほうがいい、
それでいい、
って決めたんだと思い込むときもある。
本気でそのつもりなのか、それともただの気の迷いなのか
ふらふら、はっきりしないまま。

私も、
立派な車両たちみたいに、一生懸命走り続けて
胸を張って引退していくことができたなら
こんなに苦しまなくてすむのかな。
納得行かないって、その時も泣くのかしら。
だいたい、電車になることなんてできない。
銀河鉄道999にでも乗らないと。
しかも、私はどちらかというと
メーテルだってみんなに言われるし。
それは見た目だけなんだけど。
かと言って、鉄郎でもないけど──
まあ、詳しくないから、本当は鉄郎なのかもしれないけれど。
でもビフテキは好きじゃないから、やっぱり違うわね。
男の子なんだから、あなたが鉄郎をやっていればいいわ。
一人で。
私はメーテルにもならない。
よく知らないから、気がついたらメーテルになっているかも。
それはないか。
私がなりたいものは、
たぶん、違うんだけど。
それが何かは、まだ私もわからない。
無邪気に電車の運転士を目指していた幼稚園の頃とは違う。
あのときより、もっとたくさんのことがあって
好きなものが増えて
悲しい出来事がある。

結局、春が来たからって、そんなにいいことはない。
何が起こるって言うの?
ひとつ学年が上がったくらいで、
たくさん電車に乗りに行けるわけでもないし。
横断歩道を渡ろうとしているおばあさんを助けたら
実は鉄道会社の偉い人で
電車乗り放題のゴールドパスをもらえるわけでもないし。
そんなパスないけど。
男嫌いも変わらない。
そんなの、変わるところなんて想像できないし。
何も私の気持ちを変えられないのなら、
このままでいられるように
私を取り巻くものが何も変わらなければいいのに。
変化は何も、私のためにならない。
春が来ても、
七夕のお願いも、
クリスマスプレゼントも、
あなたは、初めて出会った時期を思い出せば
私たち家族に訪れたクリスマスプレゼントだって
姉様たちは時々言うけれど
私は、そうじゃないと思う。
ただ面倒が増えただけ。
私のほっと安心できるこの環境に
よりにもよって男が!
でも、考えてみればうるさい子はうちにもたくさんいるから
もともと安心できる環境というほどでもなかったわ。
賑やかなこの家になじんで、
いつのまにか、最初からいたみたいに
すっかり、全員が認める家族の一員みたいな顔。
あなたが来る前に、誰にこんな話をしていたのか
もう思い出せなくなっている。
私の悲しい話。
一人で大事にしまって、どこにも持って行かない
私だけの秘密だったのに。
聞いてくれて、ありがとう。
こんなつまらない話、すぐ忘れてくれたらもっと助かるわ。
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