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麗の偽日記

『痛くない』

いたたた──

おしりが
痛い──

ううん、
痛くない。

このくらい、なんでもない。
だから気にしないで。

ちゃんと湿布も貼ったし。
湿布特有のにおいがするけど──
誰に文句を言うわけにもいかない。
自分が悪いんだし。

今日の放課後。
帰り道は寒いけど
早く駅にたどり着いて電車に乗れたら
何も気にならないの。
早く、
早く──
駆けて行く心。
自然と急ぐ足。

雪ですべって
水たまりの中へ転んだわ。
傘を放り出して
水しぶきも高く、盛大な尻餅。
まあ、おしりを打ったくらいで怪我もしていない。
泥水の中に転んだけど、服までしみるほどでもなかった。

だけど、本当なら、
寒い日にはそれなりの楽しみがあるのに。
暖房の効いた電車にゆっくり
揺られてみたかったな。
心穏やかに、
どこか少し胸を弾ませて。

こんな寒くて大変な日も
私たちを乗せて、がんばって走っている車両たち。
たとえ私のほうで勝手に
つらいことがあっても、落ち込んでいても──
力強く走るあの姿を見ていたら
泣き言なんて忘れてしまえる。
少しだけでも、私は元気でいられる。

それが、今日は散々だったわ。
いつもは私を歓迎してくれる実直なベルの音。
駅の構内を行き交う車両たちの駆動音。
当たり前みたいに、迎え入れてほしかったのに──
それが、いくら拭いてもまだ泥を端っこに付けたコートで
なんとなく気後れして人ごみに混じっていると、
おしりからじんじん響く痛みがますます責めさいなむようで
情けなくて、悲しくて、
なんだかみじめで。

ううん。
泣いてなんかいない。
鏡を見たって、ほら。
目が赤いのは、おしりを打ったときにびっくりしたから。
私、目が赤くなりやすい体質なの。
初めて言うけど、そうなの。
それだけなの。

おうちに帰ってきて湿布を貼って
姉様たちは、あんまり怪我がひどくなくてよかったねって。
体のどこも悪くしないで済んで。
そんな不注意で車でも来てたらどうするの、
ってかなり怒られたり。
冗談めかして、顔に怪我でもしたらお嫁に行けなくなるかもしれない、
せっかく美人なんだから、って言われたり。
どこにもお嫁になんて行く気はないんだけど。

骨折や捻挫をしなくてよかったとは思う。
怪我がひどいと、きっと家族にも心配をかけてしまうし。
もし入院でもしたら、好きな電車にも乗りにいけないもの。
そうなったら、どうなってしまうか想像もつかないわ。
毎日電車の夢でも見るのかしら?
でも私、いくらなんでもそこまでディープなマニアじゃないか。
まあ、考えても分からないことだし、どっちでもいいわ。

一晩もすれば
こんな打ち身なんて治って、
元気に電車に乗りに行けるはず。
転んだくらいで、めげていられない。
もっと、これからも、
どんな季節でも、
ちょっとくらい体調が悪くたって、全然平気。
好きな電車にいつでも、いっぱい
乗りたい気持ちは果てしないんだから。
いたたた──
このくらい、大丈夫だってば。

天気予報では、晴れだって。
明日は暖かくなるといいな。
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