アルケイディア&キュクレイン

アルケイディア&キュクレイン TOP  >  スポンサー広告 >  綿雪 >  綿雪の偽日記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

綿雪の偽日記

『寒い日』

冷たい雨が、
雪に変わるかもしれない予報。

お空はずっと、雲の灰色。
明かりをつけた部屋の中も、
普段より暗く沈みこんでいるよう。

指先に染み込む寒さや、
日差しをさえぎる暗さ。
とても厳しい、冬の一日。
さむいさむい日でした。

お兄ちゃんは大丈夫だった?
ユキがこんな心配しても仕方ないんだけど、
だってお兄ちゃんはもう大きいんだから
ユキみたいに無理をして具合が悪くならないで
ちゃんと暖かくしていると思います。
わかっているんだけど、少し心配になってしまったの。

こんな日には
ユキはいつも
お外に出てはいけません。
仕方ないことだって、ユキも知っています。
体のことなんだから、わがままを言ってはいけないんです。
誰も、ユキをいじめたくて閉じ込めているわけじゃない。
ユキのことを思っていてくれるから。
これ以上ユキがつらくて苦しい思いをしないように考えてくれているから。

お兄ちゃん、
今日、
ユキが元気で学校に行って来たなんて
教えてあげたら、
お兄ちゃんはやっぱり心配するでしょうか?

昨日からユキは変なんです。
楽しいことがたくさんあって、
ドキドキすることがたくさんあって、
少しも落ち着いている時間がないほど
家族みんなが大騒ぎだったバレンタイン。
本当なら、
疲れてしまってお休みが必要で、
ただでさえ、体調が悪くなってもおかしくないのに、
なぜか今日は、
体の調子もよかったんです。、
このまま、寒さなんかに負けない子供みたいに
学校に行きたかったの。
お友達と会って、
楽しかったこと、
張り切ったこと、
ユキが勇気を出してチョコを渡せたことや、
お兄ちゃんが家族みんなといて嬉しそうだったこと、
いつもみたいにかっこよかったこと、
ユキたち家族が幸せに過ごせたこと、
ユキが本当に幸せなバレンタインを過ごせたことを、
お友達に話したかったの。
自慢するつもりじゃなくて、
ただ、そういういいことがあったって、
それだけのことを
いろんな人に聞いてもらいたかった。
ユキといつも仲良くしてくれるお友達に
たくさん聞いて欲しかった。

お天気のことがよくわかっている海晴お姉ちゃんは
もちろん反対したし、
氷柱お姉ちゃんだって、こんな寒い日にユキを学校に行かせて
どうなるかちゃんとわかってる。
でも、
ユキは昨日の興奮がまだ冷めないみたいで、
普段なら絶対に言わない、
他の誰でもないユキ自身の体のことだから
いけないってわかっている──
無茶なことを言い出して
お姉ちゃんたちを困らせてしまいました。

だけど、
少しでも調子が悪くなりそうならすぐに帰る、
無理をしないように、っていう条件で
行ってもいいって。

ユキがお休みばかりじゃなくて
普通に学校に通ってみたいと思っていること、
お姉ちゃんたちは知っているの。
とてもよくわかってくれている。
だから、お姉ちゃんたちも困ってしまうんだって、ユキはちゃんとわかってる。
いつもなら、かなうわけもない
ユキのいけない願い。
つまらない、たいしたことのない、
誰かに迷惑をかけるだけしかない、
ささやかだけど叶うことのない
悲しくなってしまうような、ユキの切ないお願い。
だけど、今日は体の調子がいいまま
一日を終えられそう──
大丈夫、こんなに寒くても
体が弱くても
ユキは今日は大丈夫だと思う。
だって、昨日は楽しかったんだもの。

小学校の女の子たちの間でも、
昨日のバレンタインの話は盛り上がります。
女の子は誰でも、頬を赤くして
興奮して、ちょっと照れて
甘い体験を教えてくれます。
まだお兄ちゃんから見たら
小さくて手足も短くて、
まだお花のつぼみでも若葉でもない
種から芽を出したかどうかもわからない子たちばかりの
一年生の教室。
それでも、いつもよりほんの少し、にぎやかな気配でした。

ユキ、普段はお友達の元気なお話を
いいなあって思いながら聞いてることが多いんだけど、
今日はね、ユキがみんなの話題の中心になって
いちばん元気にはしゃいでいたかもしれない。
お姉ちゃんがいっぱいいるおうちのバレンタインだし、
それに、チョコの手作りもみんなより少し早く経験しているし、
それにね、まだまだ他にも違うところがあるの。

ユキのお兄ちゃんが世界一すてきでかっこいいっていうこと。
お兄ちゃんが、大事な家族としてユキを愛してくれていること。
そして、ユキがお兄ちゃんを大好きな気持ちが、
きっとすごく大きいっていうこと。
まだ小さい一年生のお友達みんなの中でも、
体の成長が少し遅くて体調も不安定なユキが
実は、人を好きになる気持ちだけは、他の誰よりも
激しい勢いで膨らみ続けていること──

この気持ちを手のひらに乗せて、お兄ちゃんに見せてあげたいのにな。
そうしたら、ユキの胸の中にあるのが
どれくらいのものなのか、
言葉にするよりもずっとわかってもらえると思う。

でも、そんなわけにはいかないので、
言葉で伝えてお兄ちゃんに分かってもらおうと思います。

お兄ちゃん、
今日、ユキが元気で過ごせたのは、お兄ちゃんがいるからです。
いつも学校に通ってお勉強できるのも、
とっても弱いユキが繰り返す寒い日を乗り越えられるのも、
きっとお兄ちゃんがユキを好きでいてくれて、
ユキを守ってくれるから。
ユキに、大事な気持ちをたくさんくれるからだよ。
まだ子供のユキは、ときどき自分の気持ちを抑え切れなくて
無茶をしてしまって、お兄ちゃんにもお姉ちゃんたちにも
心配をかけているけれど──
もう少し大きくなって、
きちんと自分の気持ちを整理できるようになって
それで、お兄ちゃんにユキの気持ちを
今よりも上手に伝えられるようになって、
ちゃんとした女の子に成長したら、そのときには
ユキはお兄ちゃんの自慢の妹になりたい。
体があんまり良くなくても普通に過ごせる日が、もっと増えるの。
お兄ちゃんのためにいろいろなことができるようになります。
いつもありがとうの感謝の気持ちを毎日伝えたいです。
お兄ちゃんが幸せになるお手伝いを、
ユキにできる小さなものでいいからしていきたい。

ユキは、そんなふうになりたい。
今まで、叶わない願いはたくさんあったけど、
この願いは叶うでしょうか。
いつも願いが叶うとは限らないのは、ユキの体なら仕方ないことなの。
でも、ときどきだったら叶います。
お兄ちゃんが叶えてくれるからだよ。

今日はユキにしては無理をしてしまったから、
ゆっくり体を休めないといけません。
体の調子が悪くなるときはどんな気配がするか、
ユキは何度も経験しているからなんとなく感じるけれど、
そんなときも、具合が悪くならないと思いたくて
不調を見ないふりしようとするから、
ユキには自分の体のことなんてわからないのかもしれません。
だから、いま少し悪い気配がしていても、
調子が悪くなるって決まったわけじゃない。
必ず、ユキは元気で明日の朝を迎えます。
明日もお兄ちゃんに元気なおはようのあいさつをして、学校に行って、
これからも毎日、体調を崩さないで
ユキは元気にお兄ちゃんを助けてあげられるようになって、
また来年のバレンタインを迎えたいです。
お兄ちゃんと幸せな毎日をたくさん過ごすの。

お兄ちゃん。
来年のバレンタインも、ユキと一緒にいてくれる?
これからも離れないでいてね。
ユキがもっと大人になって、もっと元気になって、
もっと上手に気持ちを伝えられるようになったら、
毎年のバレンタインがどれだけ楽しかったか、
お兄ちゃんに話したいことがたくさんあるんです。
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL


ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。