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観月の偽日記

『バレンタインの妖怪』

どろどろとうずまく
邪念がすっかり祓われた
節分の行事が過ぎて
まもなく、

何物にも邪魔されぬ
純粋さを伝える
バレンタインがやって来る。

よく出来ておるものじゃ。
和洋折衷が果たした妙な偶然。
妖怪をめぐる文明開化といえよう。

海を渡ってきた習慣が
時間とともに受け入れられ、
変容を繰り返しながら
人々の生活と融合を果たしていく。
伝統文化として伝えられ
人の心の支えになる。

多くの文化がたどってきた道のり。
いつかは、バレンタインを取り入れた文化が
古来からの伝統と尊ばれるのであろう。
その日、人々が思い浮かべる古来とは
わらわが正直な気持ちのまま
過ごしてきた時間に他ならない。

伝統は残そうとして残るものではなく、
ただ自然と伝えられていくものゆえに。

だが、変容していく風習によって
闇に隠れるものたちも変わっていく。

夜の暗がり、
深い森の中、
日の差さない場所でしか生きていけない異形のもの。
古い風習に寄り添うことで、己を繋ぎとめるものたち。

彼らはそうあるように生まれ、そのためだけに形を変えて長らえた。
人の目にうつらない小さな姿も、見上げるほどの怪異もある。
暗がりに潜んで生き、やがて、器用に自分を変えることなどできないまま
古い風習とともに滅び──

時代は変転し、
また新しい異形が
語り伝えられるようになるのじゃ。

バレンタインの妖怪とはどのようなものかの。

思いを伝えようとする情念。
届けたい思いと届かない無念が混沌を成し、
甘いチョコレートすら、呪物と化していく。
おお、おそろしや。
早くわらわの腹に放り込んで浄化してしまわねば。
これからしばらく、試食を任せてもらうことになろう。
楽しみじゃのう。
だが、甘いものの食べすぎは体によくないかもしれぬ……
兄じゃは本番までおあずけじゃ。
今回は、祭りの準備はおなごの役目。
寂しくとも、男はこらえて我慢の子じゃ。

ところで、
このごろよく見かける小さきものは
やけにふわふわしておるな。
やわらかそうな真っ白な毛玉が
風もない穏やかな暗がりを
気ままに飛び交い、ゆかいに転がり
行ったり来たり。

恋の波間に漂う、浮気の虫かの?
人のこころは、とらえておかねばすぐに変わってしまう。
恋慕の情を食らい、運ぶ小さな虫たちは
いつでも気まぐれにうろつき、
行く先は予想も理解もかなわぬ。
なまなかな感情など、
あのようなものに狙われたなら、すっかりふぬけてしまうぞ。

兄じゃよ。
いざというときには、
しっかり誠意を見せるのじゃぞ。

兄じゃが望めば、わらわも家族みなも
ふらつくこともなく、繋がっている。
離れられないよう、伝統のものたちが守ってくれるであろう。
だが、ちょっと浮気な心を起こしてみたら
人の気持ちはどこへ向かうか分からぬぞ。
まあ、いざという時は、わらわが兄じゃの味方について収拾に当たろう。
何かあったときに備えての、日ごろの精進潔斎じゃ。

兄じゃ、わらわがいつも清らかな気持ちであるように
どうか協力してくれぬか。
バレンタインなどなくても、男は気持ちを伝えてよいと聞く。
不安な恋の妖怪も、
チョコレートが大好きな子供の困った食生活も、
兄じゃの態度ひとつによって、すぐに闇の奥へと
逃げ帰ってしまうであろう。
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