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霙の偽日記

『赤鬼はじめました』

この家に、
悪い子はいないか?

フフフ──

これは微妙に違うな。

それに、
オマエは家族たちが認める
満点お兄ちゃんのようだから
私に悪い子をさらっていく権利があったとしても
簡単に私のものにはできない。

だが、いいお兄ちゃんだったとしても
いい弟であるかどうかは別問題だ。
困ったときには年長を頼り、
姉を規範として、正しく行動しようと心がけ、
何より、姉を尊敬し、その指導を仰ごうとする謙虚な姿勢が
オマエにあるだろうか?
まあ、その生活態度の結果は
当日のお楽しみとしておこう。

というわけで、
私が節分の鬼を任されることになった。
例年なら、イベントに張り切るのはあまり気が進まないが、
蛍が製作した赤鬼の全身タイツが
なかなかの出来だったものだから、
これはと思った。

普段から、何事も塵に帰る儚いものと決めていても──
やはり年頃の女子高生でもあるからな。
ファッションには胸がときめくものがある。

パーティグッズとして売っている全身タイツは、あまり感心した出来ではないが、
さすが蛍の手にかかると違うな。
まず色合いからして違う。
私の愛する小豆色を思わせる魅力を発揮しながら、その深みには赤鬼の風格もある。
絵本の中の赤鬼を思わせる、大物感のあるこの輝き。
誰でも一目でわかるこの威圧感、迫力。
ただの赤ではない、別の色でもない。
まさに赤鬼のために用意された赤と呼ぶにふさわしい。
見た目だけではない。
着てみてわかる、長時間動いても不快にならない作り。
こういう細部に気を使えるものこそが本物だ。
素材には相当にこだわっているようだな。
今日もずいぶん気温が上がったが、この全身タイツだけは別格だった。
まさに、節分の鬼をつとめるために作られた逸品。
節分という伝統と、見事な蛍の腕が生み出した芸術品だ。

それにしても、試作品を次々と着替えることになったこんな日に
妙に気温が高くなったのはなんだったんだろうな。
何度かシャワーを浴びるくらい、汗で蒸れてしまった。
私は自分でも知らずに
天の神様の気に触ることでもしただろうか?
全てはいつか滅びるものと受け入れ、
定めに身をゆだねて、
塵に等しい少々の快楽の他は何も求めず、
品行方正に暮らしているというのに。
そうか、きっと、天の神様が私を憎んでいるわけではない。
逆に寒いほうが体調を崩す心配があって危険だった。
むしろこれは、寵愛と言っていい。
私を愛するあまり、少し張り切りすぎてしまったかな?

まあ、それは冗談として。
蛍の手になる衣装は、実はもう一つある。
こちらは青鬼だ。赤鬼と負けず劣らず、なかなかの完成度になっている。
着用者の候補は、オマエとヒカルだ。サイズもそれに合わせてある。

今年はオマエにも、選ぶ自由がある。
いつもやっている鬼を担当するか。
たまには豆を投げる側に回ってみるか。
好きにするといい。
もしも鬼を選ぶというのなら、
この輝ける青鬼の全身タイツが
いつでもオマエを歓迎するだろう──
ヒカルと取り合うことになったら、話し合いかジャンケンだな。

ところで、
天気予報によれば、明日から急に気温が下がるという。
家族たちの体調を心配する一方で、思うことがある。
急に何の話だろうと思うかもしれないが、
一般に、長期的な視野で天気を予測することは非常に難しい。
私は気象予報士を目指すつもりはないが──
バタフライ効果の例えもある。
あまりに規模の大きい複雑系は、人類の知恵でどのように扱えるのか?
カオス理論の話まで行ってしまうと、天気予報とはまた分野が違うのか。
もしも、蝶の羽ばたきが天候にまで影響を与えるなら、
私の唇の動きだって同じだろう。
これからもこの家に幸福が訪れるように、と願いながら口に出す
鬼は外、福は内、の繰り返しが、世界の営みに関係する可能性は考えられる。
私たちの祈りが、結果を出せるものだと
いつかは科学的に説明できるようになるかもしれない。
だから、塵のように儚い私たちが
節分に祈りをこめることは、間違っていないんだ。
誇るべき日本の伝統行事だ。

そんな雑な理屈で吹雪をからかって遊ぼうと思ったが、
やはり知識量ではまるでかなわず、すっかりやりこめられてしまった。
あの冷静な子が元気に豆を投げるところを見たかったのに。
オマエの意見はどうなんだ。
いや、元気な吹雪のほうではなく。
私の考えはやはり、強引すぎるかな?

まあ、
どんなに強引な理屈でもいい。
私たち家族のところに、たくさんの幸福が訪れて欲しいものだな。

今日は暖かかったからと言って油断せず、
体調には気をつけるようにな。
こんな日に風邪でも引いてしまったら──
明日は邪気を祓うために、どれだけ豆を投げられるか分からないぞ。
私も体調を管理するために、
少し甘いものでも食べてから、休むことにしよう。
うん、それがいい。
オマエも付き合ってもいいぞ。
いやあ、健康な体を維持するというのも一苦労だな。
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