アルケイディア&キュクレイン

アルケイディア&キュクレイン TOP  >  スポンサー広告 >  小雨 >  小雨の偽日記

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

小雨の偽日記

『やってきた』

こっちかな?

それとも
やっぱり
こっち?

どちらも正しいような気がする
どんと座っていてくれる場所は
みぎ、
ひだり。

どちらでもいいって言う立夏ちゃんと、
いいのかなと思う小雨のふたりでは
堂々巡りの迷路に落ち込んでいたかもしれない。
抜け出せないまま
こっちがきれいかも、
ううん、こっち?
いつまでも、振り子のように行ったりきたり。
あのままでは、はたしてどうなっていたことか。

麗ちゃんが、
去年のお写真を用意して
確認してくれなかったら
当日に間に合うかどうかも疑わしいばかりか
小さい子たちのおもちゃになってしまったら
大変です。

私たち女の子の成長を祈る
とても立派なお雛様。
今年のお飾りの役目を
海晴お姉ちゃんからじきじきに任せてもらったのは
小雨でした。

どうして、
いつも失敗ばかりの小雨だったんだろう?

きっと、
六年生の先輩の卒業が近づいて
小雨が自信をなくしていたから。
来年の小学校を背負っていく
いちばんの年上。
同級生の子が
大事な生徒会を受け継いで、
来月には卒業式で送り出すお仕事があります。
残された私たちでも大丈夫だと
先へ向かう人たちの一歩に、
これまで支えてもらった私たちのお手伝い。
立派に卒業式のお仕事を果たして
手を振って見送って
涙を見せないで。
私たちは大丈夫ですと
胸を張ってその日を迎えるために
いま、小雨たちのクラスは準備をしています。
卒業して言ってしまう人は
来年度からこの学校にいなくなる。
春が近づくのに、冷たい風が吹くような寂しさ。
小雨たちが小学校のみんなを引っ張っていくなんて
本当にできるのかな。
小学校の授業や、委員会のお仕事を
いっしょうけんめい続けています。
満点のとてもいい結果を出せてほっとしたり、
みんなで協力して進めたお仕事が
ちいさな不注意でうまくいかなくなって
時間が足りないときもありました。
それは小雨がいけなかったりしたことも、
いつもみんなを引っ張ってくれる元気な子が
たまにどうにもならなくなってしまったことも
本当にたくさん、失敗を続けて。
そんなとき、立ち止まったままどうしていいのか何も思いつかないで
動けない私たちに手を差し出してくれて
おびえて座り込んでしまいそうな小さな子がいても
差し出した手をつかんでもらうまで
やさしく待っている。
小雨がどこにも見つけられない道を教えてくれて
一緒にみんなの失敗を背負ってくれるみたいにして
歩いてくれた大きなおとなの
お兄さん、お姉さんたち。
本当は、小雨たちがまだ全然そんなお姉さんになっていなくても
卒業しないで小学校に残るなんてできないと、知っています。
もし卒業式がうまくいかなくて、上手に送り出すことができなくても
お兄さんやお姉さんたちは小学校に残るみんなを不安に思ったりしない。
いっぱい学校生活を一緒に過ごして、よく知っている子のことは
もう心配いらないってちゃんとわかっているんだし。
それに、これから先の中学校生活に進む未来で
胸がいっぱいになっているはず。
小雨たちの任せられた卒業式がうまくいかなくたって気にしない。
たぶん、うまくいって恩返しをしたいなんて
そんな気持ちは届かないかもしれない。
小雨にできることなんて、そんなにないのだし。
どんなに寂しくて、不安だって
がんばれば上手に気持ちが届くとは限らない。
小学校に残る私たちが
この学校にいたみんなのおかげで、少し立派になりましたなんて
伝える必要は何もない。
期待に溢れて振り返っているどころじゃないのならなおさら。
卒業生の人たちが笑顔で旅立っていけるのならうれしい。
でも小雨は
春が来て、次の学年に進んでいくのがなんだかこわい。
そんな小雨に
しっかりしてほしいって思ったのかな。
海晴お姉ちゃんは
小雨ちゃんにしかできない大事なことがたくさんあるよ、って
いつも言ってくれます。
この家に小雨がいて、みんながとてもうれしいんだということ。
小雨にもできることがあると教えたくて
お雛様の準備を任せてくれたんだと思います。
でも小雨は
自分は何も上手に何もできないと
大切なお仕事を進めている途中で、ますます実感してしまうようで
なんだかつらくて
手が止まってばかり。
立夏ちゃんにからかわれたみたいに、お雛様にみとれてしまっているようだっていうのも
中断の理由には、少しはあるんだろうけど。
きれいなお雛様。
小雨の手で飾るにはあまりに華やかすぎるお雛様。
小雨の成長を守ってくださるなんて
とてもおそれおおい、豪華に着飾った美しい我が家のお雛様。
立夏ちゃんと麗ちゃんが手伝うと言い出してくれなかったら
小雨はどうなっていたのかな?
お兄ちゃんも手伝ってくれて、ありがとうございます。
小雨は目の前のことで頭がいっぱいで
周りを見ている余裕が全然なくて
お兄ちゃんから、最後にいちばん上の壇に来てもらうお内裏様を渡してくれたとき
ああお兄ちゃんだ、と思って
どうしてここにいるのかわからなかったくらいなんですけど。
小雨を手伝ってくれているんだ、と当たり前のことに気がつく前から
お兄ちゃんがいることにちょっとほっとした小雨でした。
こんな小雨でも
心強い人がいてくれたら、
大事な飾りつけの一番最後をきっちり終えることはできるんですね。
やっと完成した雛壇を前に
ふーっと長い息を吐き出して
緊張から解放されて、やっとまわりを見回したときに
小雨の周りには、
いつのまに家族のみんなが来てくれていたんだろう?
みんな、心配かけてしまってごめんなさい。
みんなで飾り付けをしたお雛様がいてくれるから
小雨は元気な笑顔でいられます。
我が家の立派なお雛様。
今年も小雨たちのところへ来てくださって
見守ってくれているんですね。
小雨たちを見ているすまし顔に恥ずかしくないように
小雨は、たぶんどうしても、いつもたくましくというわけにはいかないだろうけど。
なるべくもう少しの間だけは
泣かないで、がんばっていけたらと思います。
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL


ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。