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バレンタイン2300

・立夏

来た、
ついに来たネ、
この日が来た。
リカが一年で
いっちばん楽しみにしている日は
いったいどの日かと言われたら。
一年よい子にしていたら
よくがんばったねって
きらきらきらめくリボンのプレゼントが届く
クリスマスももちろん大好き。
お正月もいいよね。
めでたくってうかれちゃって
お正月だけの遊びは
なんとなく華やかで
かわいいお着物に良く似合って。
お年玉がもらえるなんて
なんてトクベツなの?
お正月にも一票!
それから
春休み、夏休みの毎日ももちろんだし
家族旅行のゴールデンウィークもわいわい、
とまらない盛り上がり。
中学生からは文化祭と体育祭もあるし
もう少し大人になればオニーチャンと
デートみたいに学園祭をまわれるね。
でも大人になったらやっぱり
本当のデートの日が特別なのかなあ?
オニーチャン、
いったいいつになったら
リカを誘ってくれるのかな?
ほんとは、リカの一番楽しみな
とびきりのイベントの日。
どんなときと比べたって
こんなことはなかったくらい胸がドキドキする
女の子の勝負の一日。
バレンタインが来てしまったら
例え大雪になったって
止められない。
早く会いたくて
おうちで一緒にいたくて
雪道も、凍りかけた歩道も
動物的な運動神経で回避して
走って帰ってきたら
危ないでしょって
氷柱ちゃんにチョップされたー!
わーん!
リカだってわかってるもん。
危なっかしかったことくらい。
ただちょっと待ちきれなかっただけだもん。
どうしても落ち着いて帰ってくるなんて
できなかった。
だってせっかくのバレンタインだから。
もちろんリカは知っている。
オニーチャンが、リカのことを
ちっちゃなかわいい
ピヨピヨの妹としか見ていなくて
この恋なんて
チョコレート一つくらいで
がんばってみたって
そう簡単にはかなわないということ。
不器用なリカが、いくら愛を込めたところで
世界で一番の立派なチョコで
胸の中のはちきれそうな愛を伝えることは
今はまだ全然無理なんだということ。
わかっていても
伝わらなくてもいいから
ただ受け取ってほしいだけの気持ちで。
リカは早くチョコを届けたくて
猛スピードの駆け足で帰ってきて
怒られました。
やっぱりまだ小さい子供かなあ?
でもオニーチャンと過ごせるバレンタインに
落ち着いていられるリカなんて
何年も何十年も経ったって
考えられないヨ!
ハッピーバレンタイン、
オニーチャン。
今年のチョコもリカの心を込めた
手作り。
見た目は悪いけど
愛を感じてネ!

・青空

バレンタインは
おおゆき!
バレンタインは
おやすみ!
たのしい
ちょこのひ。

そしたら、
そらがおきたら
みんないなかった!
バレンタインなのに
でかけた!
うえーん、
ちょこのひは
おやすみじゃなかった?
ないていたら
なぐさめてくれた
ゆき!
ゆきはがっこうを
おやすみしたの。
バレンタインだから。
いいこね。
ゆきはりっぱな
バレンタインむすめ。
きっと、バレンタインにいいことが
たくさんある!
っていったら
あったよって。
かわいいそらちゃんとあそべたよって。
そらも、ゆきとあそべる
バレンタインがすきよ。
でもね、
バレンタインはほんとうは
ちょこをあげるといいよ。
だいすきなおにいちゃんにちょこをあげよう!
そら、
しってる!
ほたからちょこをもらって
おにいちゃんにあげるの!
ゆきはね、
ゆきがちょこをつくって
のばすから
かたぬきしたらいいよって
ひらたいおおきいちょこをつくった!
いっぱいいっぱい
そら、かたぬきしたの。
かたぬきの
おうさま。
かたぬきの
ヒーロー。
ぬきぬき。
よくできた!
そらちゃんがいっしょうけんめいつくったちょこは
ぜったいおいしいって
ゆきがいったよ。
きっと、せかいいちおいしいよって。
もうひとつおいしくするくふう。
そら、おしえてもらって
うまれてはじめて
じをかいた!
こっちのちょこの
このじは
す!
こっちは
き!
こっちの
ハートは
おにいちゃん!
そらのちょこは
せかいいち。
おにいちゃん、おいしい?
バレンタインは
いいおやすみ。
あしたもバレンタインしよう!
まいにちしよう!
そら、まいにち
かたをぬいて
まいにち
おにいちゃんがだいすきよ。

・虹子

うっふん
だいすき
にじこのバレンタイン。

ふっふー。

バレンタインは
だいすきのひ。
おにいちゃんに
にじこはおにいちゃんが
だいすきで
とってもだいすきで
だいだいすきだって
いっぱい
チョコをあげるの。
ゆきおねえちゃんにおしえてもらって
そらちゃんといっしょに
かたぬきをして
じをかいて
あいしています。
おにいちゃん。
でも、
だいすきは
まいにちだし
おにいちゃんとおやつをたべるのも
まいにちだよね?
きょうはすてきな
バレンタイン。
かぞくみんなが
おにいちゃんに
いちばんとくいな、あいのこくはく。
にじこ、おうたとおどりがじょうずだから
うたっておどる!
バレンタイン!
ぼんおどりがとくいな
にじこでしょう?
クリスマスは、おうたをほめてもらった
にじこでしょう?
おしょうがつにも
うれしくて
おめでとうのおどりをして
よろこんでもらった
みんなのじまんの
ちいさいにさい。
にじこなの。
テレビのアイドルといっしょに
すぐおどる。
アニメのおんなのこといっしょに
すいすいおどる。
はーい、
にじこでした!
はくしゅかっさい。
おおもりあがりの
たのしいかぞく。
にじこがおどれば
ゆうなちゃんだって
りっかちゃんだって
ときどき、おにいちゃんまで
おなじおどりをはじめるの。
そしたら、
とってもたのしいな。
にじこはね、
おにいちゃんがすきだから
バレンタインは
おにいちゃんのために
おどりをかんがえて
みんなで
あいしていますっていったら
きっと、みんなたのしい。
ゆきおねえちゃんは
おおゆきでさむくて
かぜをひいたらいけないから
おやすみをしたけれど
おうちのなかはあたたかいから
にじことあわせて
おどってくれる、バレンタイン。
ゆきをあたまのうえにのせてかえってくる
おねえちゃんたちが
にじこをまねて
おどってくれる
バレンタイン。
みんなが、おにいちゃんのことを
だいすきなの!

・さくら

バレンタインは
おいしい
チョコをあげるの。
てづくりだったら
もっとおいしい。
さくら、
ほたるおねえちゃんにたすけてもらって
じぶんでチョコを
つくりました!
さくら、チョコだいすき。
とってもあまくて
とろけるよ。
とろーん。
かたまったチョコは
おくちのなかで
あーん、
とろーん。
さくらがとってもだいすきな
チョコレート。
お兄ちゃんもチョコをもらったら
おおよろこびするね、
さくら、とってもたのしみな
今年のバレンタイン。
おにいちゃんは、さくらにちょっとだけ
チョコをくれるかなあ?
いつもやさしいお兄ちゃんなら
さくらにくれる!
さくらはいつも
お兄ちゃんにやさしくしてもらっているから
わかっちゃった。
お兄ちゃんは、さくらといっしょに
いっぱいいてくれて
すきなたべものをもってきてくれるよ。
でも、バレンタインのチョコは
お兄ちゃんにぜんぶたべてもらったほうが
いいのかな?
お兄ちゃんにチョコをあげる日なのに
さくらがもらっていいのかな?
お兄ちゃんは、チョコのほかに
なにかほしいものがある?
さくらは、チョコもすきで
お兄ちゃんもすきだから
お兄ちゃんに、お兄ちゃんをあげられたら
きっとお兄ちゃんはよろこんで
チョコもおいしいし
お兄ちゃんといっしょでたのしいなって
うれしくなるよ。
ほたるおねえちゃんに聞いたら
お兄ちゃんは、今のままでお兄ちゃんだから
もっとお兄ちゃんをもらっても
あんまりいらないんだって。
そうなの?
じゃあ、何がほしいのかなあって
聞いてみたら
さくらちゃんはかぞくがいっぱいで
うれしいから
お兄ちゃんも、さくらちゃんがかぞくでいてくれたら
うれしいよって
おしえてくれたの。
お兄ちゃん、
さくら、チョコがおいしいかなあって
じぶんでつくったチョコを
はしっこだけちょっとたべてしまう
かぞくだけど
さくらがかぞくで
お兄ちゃんはうれしい?
さくらはきょうは
いっぱいお兄ちゃんと
かぞくです。
いつも
かぞくかな?
わからなくなってきちゃった。
ねむくなってきたよ。
さくら、お兄ちゃんとかぞくだから
いっしょにおふろにはいって
ごほんをよんでもらって
ねむります。
バレンタインがおわって
そのあとで、
もしもかぞくじゃなくなっちゃったら
さくらないちゃう。

・麗

だいたい予想はついていたけれど
やっぱりそうなるもので。

いくらバレンタインだからって
チョコを作る全ての人に
奇跡なんて起こらないし
神様はバレンタインのチョコ作りを
助けてなんかくれないし
器用じゃない指先が
突然、自分の意思を越えて
輝く完璧な手作りチョコを
完成させるなんて
あってもおかしくないような気は
少ししていても
実際には、ありえない。
私も、学校や街中を駆け巡る
そわそわした空気に刺激されて
ついうっかり、おぼろな幻を
夢に見てしまったのかもしれない。
いきなり試してみて
突然うまくいって
受け取るほうも喜んで
あげるほうもほっとする
心地のいい夢物語。
女の子に生まれたら
誰にでも、予定調和みたいに
実現するような気がしている想像は
私のところには
実際に訪れることはなく
目の前にある現実として
いくつも転がっている完成品は
どうも妙な形をした
チョコレートかどうか以前に
食品なのか疑うような
つやのない謎の物質。
感謝の気持ちだけは込めたと
言い訳しても
一生懸命作って
やれるだけのことはしたんだと
伝わってほしくても
どう見ても明らかに
食べるには勇気がいる
失敗作。
蛍姉様がリボンでラッピングしたって
包みだけ立派で
中身は浮いている。
これが私の
今年の感謝の形だと言ったら
あなたは、
まあ、怒ることはなさそうだけど。
警戒もせずに
食べてしまいそうだけど。
それどころか
一目見て
わあ、おいしそうだなあと
心にもないことを
ひきつった表情で、叫ぶかもしれない。
いつも見ているように。
蛍姉様のときも
氷柱姉様のときも、
霙姉様のときも。
まさか私のためにもう一度
そんな無理をするようになるなんて
考えてみたことはなかったわ。
あげるつもりはなかったから。
だいたい、あげるつもりだったら
練習すればうまくいくようなはかない期待は
わずかにあったのだし。
今年は
練習が足りなかっただけなのかな。
それともずっと
このままなのかな。
わかっているのは
あなたが、これからも
私がチョコレートをあげるたびに
同じように繰り返すのだということ。
もし食べたくないなら
食べなくていいのよ。
あなたがどうしようと
私は必ず
来年は、もう少しはちゃんとしたチョコを作って見せるんだから。

・夕凪

バレンタインってすごい!
本当に
マホウが起こるんだ。
夕凪のチョコは
昨日までの練習で
どろどろ
ぺっちゃんこ。
ほとんどうまくいかなかったのに
まあいいか、
お兄ちゃんならきっとおいしく食べてくれると思って
作ってみたら
なんか急にうまくできた!
色は悪いけど
一応、形になっている。
なんだ、
練習する必要なかった!
夕凪は本番に強い子だったんだなあ。
パティシエの才能が開花したよ。
それともこれは
奇跡を起こす恋のマホウの力かも?
お兄ちゃん、
マホウ使いの妹がいてよかったね!
夕凪が一つ味見をしたときは
明らかにチョコの味がしなくて
なんだこれ? と思ったものだけど
こんなにたくさん作ったんだから
ひとつくらいちゃんとしているはず。
お兄ちゃんの口に入るチョコは
夕凪が起こした奇跡の力で
絶対成功していると思います。
安心して食べてね!
でも不思議だったなあ。
きのう、雪の予報を見たときは
うわっ!
これは絶対
夕凪は遊んで帰ってくる!
本番当日に早く帰ってきてチョコ作りなんて
かなわない願いだったんだ、
うわーん、このまえバレンタインが成功するようにお願いした
お星様のバカー、
と思っていたら
夕凪は今日、帰ってくるとき
あんなにすごい降りの雪が
ぜんぜん見えないみたいに
まっすぐ帰ってきて
あとで、よく寄り道しなかったねって言われたときに
そういえばって
自分でびっくりしちゃった。
バレンタインが大成功したのは
お願いしたお星様の力なのかな。
ありがとう、
お星様!
それか、
夕凪がマホウ使いなんだから
お兄ちゃんにもマホウの力があるのかなあって
前から考えていたから
やっぱり、お兄ちゃんの力で
夕凪がまともなチョコを作ったのかな。
ありがとう、
お兄ちゃん!
お兄ちゃんのおかげで
できたチョコなんだから
いっぱい食べて、
どんどん食べて!
ひとつくらいは
ちゃんとした味のチョコが
混じっているかもしれない!
夕凪がそのチョコを食べてしまったら
がっかりしてしまうから
一緒に食べるのは無理だけど
お兄ちゃんは
きっといつも、マホウの力で
夕凪のことを見ていてくれて
夕凪にやさしくて
みんなにやさしくて
かっこよくて
だから、みんなで毎日楽しいおうちなんだろうって
ときどき考えていたけど
やっぱりそうなんだなって思った!
ありがとう、お兄ちゃん。
こんど夕凪に
マホウの力を教えてください。
そしたら、
夕凪はもっとすごいマホウを考えて
いっぱいお兄ちゃんを幸せにします。

・小雨

いつも小雨のことを
優しく見守ってくれるお兄ちゃん。
小雨がたくさん失敗をして
迷惑をかけてしまっても
嫌な顔も見せないで
小雨のために駆けつけたら
たちまち小雨を笑顔にしてくれる
とても特別な力のある
小雨の大好きな
自慢のお兄ちゃん。

全然しっかりしていない
こんな小雨を助けてくれる
家族のみんな。
みんな優しくて、
特にいちばん
小雨をとっても気をつけてくれて
笑顔でいつも小雨の悩みを解決してしまう
立派なお兄ちゃん。

どうして小雨には
こんなにいいお兄ちゃんがいるのだろう?
それとも、かっこいいお兄ちゃんと
優しい家族がいるから
そのほかには何もいらないだろうって
神様は、小雨をこんなふうに
うかつな性格の子にしても
かまわないと考えたのでしょうか?
時々は、自分の力が足りなくて情けなくて
泣けてしまうことがあっても
小雨は、この家族に生まれて
みんなと家族でいて
お兄ちゃんが一緒にこのおうちにいてくれることが
あんまりうれしくて
幸せで
こぼれる涙はいつも
小雨が気がつかないうちに
嬉し涙に変わっている。
小雨はこれからは
なるべく失敗をしないで
つらい気持ちで涙を流さないようにしたいけれど
うまくいかないほうが多いんじゃないかって
そんな、考えてもどうにもならないことを考えて
あんまり上手に作れなかったチョコレートに
涙をこぼしそうになっています。
甘さを引き立てるための塩味だって
涙が混じっていたら、どうしたっておいしくない。
小雨の後悔の涙なんて何の役にも立たないよ。
いつも小雨のことを気にしてくれて
少しでもお返しをしたかった。
お礼の気持ちを伝えたかった。
小雨はお兄ちゃんが大好きで
こんな足手まといの小雨でも
ときどき涙を抑えながら
これからもずっとお兄ちゃんと一緒に生きていきたいんだって
見栄えのいいチョコレートをがんばって作って
気持ちをわかってほしかったのに
小雨はつらいです。
でも、
気持ちを伝えたい人がいて
小雨の気持ちはたぶん
お兄ちゃんがくれる小雨の勇気だから
こんな気持ちを持っているだけで
小雨は世界一の幸せ者で
この胸の中の
たぶんお兄ちゃんから見たらとてもちっぽけな
小雨にとっては抱えきれないほどの大きな気持ちを
いつか、わかってもらえるような
小雨が立派なチョコが作れたり
お兄ちゃんのお役に立てたり
言葉で伝えられるようになったり
そんな見たこともない小雨になりたい願いは
わがままで大きすぎて、たぶんいつまでもかなわないと思います。
それでも小雨は
お兄ちゃんの妹に生まれて
とってもうれしい。
いつまでも決して変わることはない
小雨の気持ちです。
お兄ちゃん、
今年のチョコではたぶん伝わらない小雨の気持ちが
いつか届くように。
できないとしても、
届くかもしれないと夢だけは見続けていられるように。
小雨をこれからも
お兄ちゃんのそばにいさせてください。
そうしたら小雨は
今日こうしているみたいに、これからも
明日も、ずっといつまでも
世界で一番の幸せな女の子のままでいられるんです。

・ヒカル

今年もバレンタインがやって来た。
女の子らしい感覚が
よくわからない私には
前からちょっと居心地の悪さを感じる
どうやって過ごしたらいいのか迷うみたいな
私が、普段の私でいられなくなるような
ちょっと戸惑う日。
小さい頃から
いくつもチョコをもらって帰ってくるたびに
こういうのがバレンタインなのかって
どうしてみんなが夢中になっているのか
さっぱり理解できなくて
自分の中に欠けている乙女心らしい気持ちを
実感する
そんなふうにこの年まで過ごして
たぶん一生、変わらずに
ちょっと遠巻きに、はしゃぐ家族たちを
うらやましさも感じながら
微笑ましい気持ちで見つめるのが
この日の私の一番落ち着くポジションだと
前からずっと決めていた
2月14日。
今でも、たぶん
そんなふうにあまり関係ない顔をして過ごすのが
気持ちは平静でいられるんだろうと
予想はしていても。
もう、そんなふうに無関心ではいられなくなった。
家族の騒ぎに引っ張り込まれて
わいわい大声を出しては
落ち込んだり、喜んだりしながら
この家でたった一人の男の人に
自分自身の手で、チョコを渡すのが
ドキドキしても
悩んでも
それが私にとって一番自然だと思える
過ごし方になった。
この季節、
いつも胸の中のもやもやは
すっきり晴れているとは限らない。
他に私がバレンタインをどんなふうに送っていくのか
まるで思いつかないから
まあいいか、みたいな気持ちで
やるからには一生懸命チョコを作る、
そんな年もあったし。
どうせオマエにチョコをあげるなら
こんなにみんなでわいわいするだけじゃなくて
何か別の形でいられる光景が
ふいに頭の中に浮かんできて
あわてて両手でかき消すこともある。
私の柄じゃないし。
それにオマエは大事な家族の一員。
私だけのものじゃない。
ずっと私たち家族は
ずいぶん遅刻して、やっとみんなの来てくれた
家族のただ一人の男の人を
大事にしている。
みんなが大好きで。
これからも一緒にいたいと願っている。
うちの女の子たちが
お姫様みたいで
かわいくて、大切にされているのと同じで
たった一人の男の子は
この家の誰にとっても
これからの人生で決して離れることはない
大切な人になっている。
春風がときどき夢を見るみたいにして語るように
オマエが誰か一人だけの特別になるなんて
そんな日が来るのだろうか。
私がやっと自分の場所を決めた気がする
毎年過ごす家族のバレンタインは
これから変わっていくのだろうか。
いつかオマエと
たとえば私が
二人きりのバレンタインを迎えるようになったら
それは、19人で大騒ぎする
今よりも寂しいのかな。
それとも
私はいつか望んで
こんな夜に
その人を求めるのだろうか。
今の私たちでは、バレンタインに
オマエにぽっかり時間が空いて
誰かと二人きりでいるなんて
こんな油断をする、ふとした夜更けがあるばかり。
大騒ぎの時間も一段落で
落ち着いてチョコを渡す時間。
こうして出会えなかったら
渡すタイミングが見つからない私は
やっぱりまだ、バレンタインに慣れていないのかもしれない。
きっと、春風や蛍のチョコとは比較もできない。
たぶん小雨や星花のほうが上手なくらいだし
もしかしたら、ユキにだって負けてしまうかもしれないな。
でも私は
気が引けるのを自覚していても
このチョコをあげたいから。
毎年、これまでそうだったように
これからも。
受け取ってもらえたらうれしい。
これが今年の私の気持ち。
ハッピーバレンタイン。
おやすみ。
今日は大変だっただろう。
ゆっくり休めよ。

・海晴

今年もとうとう
バレンタインの一日が
通り過ぎていこうとしている。
日付が変わる間近の
静かな時間。
降り積もる雪のせいなのか
毎年、キミをあわてさせている
この大変な一日は
今日はいつもよりも
音もなく
ゆっくりと立ち去る気配。
誰もが、気が済むまで声を出して
思いを伝えて
満足しきったみたいに。
違うかな。
今年も気持ちを届けようとした
私たちのせいいっぱいは、
キミの中で
また来年も私たちといられる約束になって
強くたくましい根を張ったんだと
なんとなく、理解したような。
またこうしてみんなで
幸せに過ごせるバレンタインが
必ず来年もやって来ると
心のどこかで知っているから
安心して眠りにつける
幸福な夢の夜。
私たちに
また今度も、と約束を告げてくれたのは
チョコレートを受け取ったキミの
うれしそうな顔だったのかもしれない。
19人のそれぞれに
19人分。
たまには、困った顔が混じっているみたいに。
また別の時は、ちょっと心配そうに、
元気を出してくれたらいいなって
優しい瞳が言っている。
大慌てをして、戸惑ったり
そわそわ落ち着かなかったり
キミが見せる顔は
19人みんなに、ひとつも同じものはなかったと
お姉ちゃんは見ていて、そんなふうに思ったよ。
そして今キミが私に向けてくれている優しい笑顔は
私だけのもの。
どんな表情も
19人の姉妹みんなを愛してくれていると
一目でわかってしまう。
気持ちが隠せない、
私たちの大好きな男の子。
お疲れなのもわかってしまうけれど
それでも、私たちと一緒にいられてうれしいって
思ってくれているのがわかる。
みんな、キミに伝えたい気持ちが
いっぱいありました。
バレンタインが終わるね。
こんなに楽しい時間は
早くてもまた来年。
愛する人に向かっていくたくさんの気持ちを
一人のちいさな胸の中だけにとどめておかなくてもいい
特別な一日だった。
またそのうちにこの日が来るまで
私たちは何事もないさりげない時間も
みんなで楽しく過ごしていく。
今日みたいに困らせてしまったり
気持ちを止められなかったりしながら
いつも家族で幸せに暮らしていくのだろうと
そう信じています。
こんなに素敵な日の終わりに
最後にお姉ちゃんが
長女の特権を駆使して
二人きりになった今、
どうしても言ってみたくなる
素直な気持ち。
私たち家族は
19人姉妹のそれぞれが
たぶん、みんなそれぞれの方法をしているから
ちょっと見た感じでは一人ひとりの形は違っているけれど
全部が真剣で
純粋で、
心からキミを愛している。
なんの混じりけもない愛が
私たちの気持ちの全部です。
これから家族といて
こんなに大勢で個性的なみんなと過ごす時間は
簡単なことばかりじゃないと思う。
つらいことも
悲しいことも
大変なことも
私たちはいっぱい経験して
でも、一人きりで抱える気持ちは一つもなく
みんなで分け合いながら。
私は長女だから
少しだけわがままを言うなら
キミが一番に私のことを頼ってくれたら
私はうれしくて
幸せをたくさん感じることができて
そしたらこれからいっぱい、
ますますキミと幸せを分け合える
家族になっていくんだろうと
楽しみにしています。
どうかこれからも
バレンタインが終わった後も
私たちの愛を受け取って
いつまでも、
私たちに幸せをください。
よろしくね。
一年に一度の
愛の大騒ぎの日、
キミもきっと疲れたよね。
私はまだ伝えたりないことがいっぱいだけど
明日も、明後日も
キミを愛したくて努力を重ねて
そしてまた来年には
もっと上手に伝えられるようになっているんじゃないかな。
だって、愛しいキミが私の家族でいてくれるんだから
きっと間違いないよ。
来年も私たち家族は幸せなバレンタインを過ごせると
私は知っています。
おやすみなさい。
大変なバレンタインだったけど
疲れを取って、ゆっくり休んでね。
きっとキミも今夜は
いい夢を見て眠れると思います。

・綿雪

起きていますか?
お兄ちゃん。
きのうの夜からお兄ちゃんが
ユキのお部屋のお隣のリビングを出て
元のお部屋に戻って行ってしまって
さみしい思いをしているユキです。
もともとお兄ちゃんはお部屋にいたのだから
きのうまでの生活が特別だったことは
よくわかっているけど。
だから、お兄ちゃんがこれからも
ユキのお隣で仲良く眠ってくれるなんて
手が届かないお星様みたいに、
この季節は寒くなるほどまぶしく輝くお星様みたいに
遠い願いだということは
ユキも知っています。
でもきのうまでの毎日が楽しすぎたのは
本当だから。
お兄ちゃんが寒いところで眠って
つらい思いをしているかもしれないなんて
そんな当たり前のことに気がつかないで
ユキが眠れなくて声をかけたら
いつも励ましてくれる優しい声が返ってきて。
そっちに行ってもいい? って聞いたら
ユキの子供っぽいお願いは
もういけません、って叱られても仕方のないものなのに
毎晩変わらないお兄ちゃんの返事は
いいよって言ってくれたの。
真夜中に怖い夢を見たときも。
まぶしすぎる星空に
あのお空の星になって
にこにこと無邪気にまたたくユキは先の話だと
自分の心に言い聞かせても
見ていると吸い込まれていきそうで
朝起きたら、ユキがお兄ちゃんと遠く離れた場所に行ってしまう
悪い想像で不安になってしまう夜も。
悲しいことも嫌なことも何もなくて
いっぱいの楽しかった満足とちょっぴりのお疲れを連れて
一日をこのまま終えてしまうのが
もったいなくなってしまったような
少し夜更かしをしていたいだけの
いけないユキだったときも。
お兄ちゃんはユキが声をかけて、お邪魔をすると
仕方のないユキだなあって言うみたいに
いつもの明るいみんなのお兄ちゃんの笑顔じゃなくて
ちょっと困ったような顔をして
ソファに敷いたお布団の中に、一緒に入れてくれたね。
ユキがどんなお話をして
本当は怖いわけではなくて、お兄ちゃんと眠りたいだけだったと
お話した夜も
ユキはお兄ちゃんのお布団に包まれて
暖かく眠りました。
きのうの夜から
ユキがいつでもお話できるすぐ近くには
いなくなってしまったお兄ちゃん。
でも今日はみんなで
大好きな気持ちをいっぱい伝えて
とっても楽しい一日だったから
ユキはこんな日を過ごせただけでも
うれしくて、胸がいっぱいで
もうこれ以上は何も望まないでいられるはずだったんだけど。
お兄ちゃんがユキのそばにいない夜に
ユキはどうしてもお兄ちゃんに聞いてほしい
幸せな夢を見てしまったから。
きのうまでの特別が、もう終わってしまったことは知っているの。
こうしてお部屋にまで押しかけてしまうのは
本当はいけないことです。
今回だけだなんて言い訳をするのは、悪い子なの。
それなのに、
ユキはどうしても
お兄ちゃんに聞いてほしいお話があるんです。
きのうまでが楽しすぎて、
それから今日もみんなでお兄ちゃんに大好きだって言えて
まだ特別な時間が続いてほしいと
願っている。
ユキの子供っぽくて、
でもとっても幸せだった夢のお話を
聞いてもらってもいいですか?
あの。
ユキはこんな体で
いつ病気が重くなって
優しい家族のみんなに心配をかけてしまうことになっても
小さなユキにはどうしようもない仕方のないことだって思うから
つらくて泣いてばかりでいたらいけないの。
今日みたいに、雪が降るとてもきれいな日に
学校に行ったらいけなくて
元気な子たちよりも、自分の体を大事にしていなければならないから
ぜんぜん高すぎるお熱がなくて、
学校だっていっぱいお洋服を着ていけば大丈夫だと思いたくても
でもやっぱり海晴お姉ちゃんはだめだって。
ユキが、自分の体に気を使うのは
当たり前のことで
悲しんだり、落ち込んだりしていたらきりがない。
重い病気も
つらくなんかない。
ユキにはどうしても必要な、毎日の健康の心配。
逃げたり、目を背けたりしてはいられないんです。
大きくなって、体が丈夫になるまでは。
本当に大人になるまで、大好きな家族といられるのか
何もわからないまま
ユキは、自分の体を大事にしなければいけなかった。
だけど、
楽しい今日を過ごして
おうちの中が、チョコレートの匂いと
きっと目には見えなくても、愛でいっぱいになった
こんな日だから
ユキは少しだけ
未来の夢を見ました。
ユキが大人になってからの夢。
今の海晴お姉ちゃんみたいに
大きなお姉さんになったユキが
その時も、この家で過ごしているの。
もうあーちゃんも大きくなる頃のはずなのに
ユキの周りには、小さな子がいっぱい集まって
キッチンに慣れた様子の子も、まだあぶなっかしい子も
みんなが大好きな人のために
がんばってチョコレートを作っているんです。
目をキラキラさせて
今のユキたちみたいに一生懸命に。
大好きな人のことだけを思って
その人に伝えたい気持ちで胸の中をいっぱいにして
みんなが思い思いの
それぞれが特別だと決めた大切なチョコレートに
自分の気持ちを込めようとしています。
まだユキが名前も知らない小さな子たちが
あんなに真剣にチョコを作ってあげている
幸せな人がいったい誰なのか
結局、ユキにはわからないままで目が覚めてしまったの。
だけど、夢の中で
ひとつはっきりしていたこと。
大きくて元気なお姉さんになった大人のユキが
子供たちの真剣なまなざしに負けないくらい
思いを込めて、一生懸命作っていたチョコを贈る相手は
ユキのたった一人の大好きな人。
大人になったその時も
今こうして子供に戻った時でも
ユキが見つめている一番大事な人は
変わらずにおうちにいて
まだ子供の時に渡したときと同じように
ユキのチョコレートを、うれしそうに受け取ってくれるんだと
夢の中の大きなユキは
もう、とっくの昔から知っているんです。
愛がいっぱいの今日のおうちの
不思議な力が
夕凪お姉ちゃんみたいなマホウの力を
ユキにくれたのかな。
お兄ちゃん。
ユキはもう、つらくないよ。
病気でも怖がったり、不安になったりしません。
大きくなったときにユキは今と同じように
にぎやかで、楽しい毎日を生きているともうわかったんだから。
もしかしたらその時は
今は想像もできないけれど
もっともっと楽しくて、
ユキの今日の幸せな時間を
ふだんは思い出す暇もないくらいに
毎日が幸せでいっぱいで
うれしいことをたくさん知って大人になったんじゃないかと
ユキは思いました。
あのとき、大きなお姉さんだったユキの中に
まだ今のちいさなユキには
長い時間が経ったあとでないとわからないような
とても大きなうれしそうな感情が
あふれているのを、ユキは見つけました。
大きくなったときのバレンタインも
ユキはお兄ちゃんに、幸せいっぱいのチョコレートを届けるよ。
約束じゃないよ。
もう決まっているうれしい未来を
本当にユキは見たんだもの。
これからもまたお兄ちゃんが
楽しいバレンタインを過ごせるように
ユキは泣きたいときがあってもくじけないで
お兄ちゃんを幸せにしたくて
がんばっていきたいです。
お兄ちゃん、
ユキに幸せなバレンタインをありがとう。
これから、ずっと毎年
ユキと幸せなバレンタインを
続けていこうね。
ユキはお兄ちゃんが大好きです。
これからもっとお兄ちゃんのことを
どんどん好きになっていって
大好きなお兄ちゃんを、とっても幸せにしていきたいです。
また来年、
ユキがお兄ちゃんにいっぱい大好きって言えるようになる日まで。
またユキが幸せになれる日まで。
ずっと一緒に、バレンタインを過ごしたいです。
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