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麗の偽日記

『明日は』

関東地方でも
午前から降り始める雪が
一日中続く場所もある予報。
積もる雪で
足元には注意。
公共交通機関にも影響が出て
通学や通勤の足が止まるかもしれないから
気をつけて行動するようにと
海晴姉様も予報していた。
特に、電車には大きな影響が出るだろうから
わがやの自慢の
電車好きの子は、あまり落ち込まないように
元気を出して。
と、
私は見ていないけれど、そう言っていたと
立夏ちゃんから聞いたわ。
もう!
わざわざテレビでそんなこと!
だいたい、
もっと心配することが他にいっぱいあるでしょう。
寒くなるから
体調管理は注意。
この前みたいに、張り切って雪かきをして
汗びっしょりになってしまったら
ただでさえ、大変な一日になりそうなのに
はたして体力が持つのかしら?
張り切るとなかなか止まらない性格は
家族だから似ているのか
この家にも、そんな人はたくさんいて
特に、後からやって来たはずなのに
いちばんこの家族らしいというか
どこかで見たところのある困ったところばかりというか
後先を考えないというか
なんでみんなにこんなに似ているんだろう、
と疑問で仕方がないような。
買出しの荷物持ちも
毎日の皿洗いも
お風呂掃除も
少し前の秋は落ち葉の掃除だって
いつの間にか中心になって
みんなに囲まれて
やけにうれしそうに。
明日も、疲れているんだからとか
何も言い訳をしないで
子供みたいに雪景色に飛び出して
みんなに囲まれて、はしゃいでいるのね。
そんな性格だから
あっさり自分の部屋からも追い出されてしまう。
こんな日にも、あなたは
文句も言わずに
リビングのソファで眠るのね。
いえ、
四六時中観察しているわけでもないし
文句を言わないかどうかは知らない。
みんなが気を使って、私に伝えないだけかもしれない。
それに、心の中を覗くことはできないから
実は内心では不満があるとしてもわからない。
でもたぶん、
たいして不満も言わないだろうし。
それで気を悪くしてもいないだろうし。
困っているのがわかるのに
うれしいのか何なのか
楽しそうにしているのだと思う。
今日も。
広いリビングで、
急ごしらえの布団をソファに敷いて
まるまりながら。
きっと世界で一番幸せな日を過ごしていると
何も疑っていないような
いつもののんきな顔で
憂鬱な大雪が降るのに
何もかもが待ち遠しいみたいに
明日を待っている。
旅行のとき、立夏ちゃんにつっつかれた
あの無防備な寝顔を浮かべて
眠りにつくまで
もう、あとわずかな時間。
ほんの数日前、
私が旅行カバンと自分の布団を抱えて
部屋を譲るよう要求したときに
立夏ちゃんと仲直りするように
やけに心配して。
別にけんかをしたわけじゃなくて
しばらく落ち着いたところで考え事をしたいだけだからと
そんな短い説明で。
そわそわ
心配そうに。
のそのそ
困ったように。
何度も振り返りながら
自分がこれからどうなるかも想像していないみたいに
人のことばかり気にしていたらしい
私がどうしても向き合っていく
イベントの当日が、明日にはやって来る。
あなたにも大変な日になることは
わかりきっているはずなのに。
盛り上がる女の子たちに全力で体当たりされて
一日を走りきって
お疲れで通り過ぎていく
毎年の、この日。
私だって
普段から感謝はしていないわけじゃないけど。
というか
いつも助けてくれているのでなければ
こんなふうに困ったときに、駆け込んだりはしない。
いつのまにか私のことばっかり
こんなに気にかけていて
19人も姉妹がいるのに大丈夫なのかな、
と思って
改めてじっくり観察してみたら
ちゃんと、家族みんなのことを
同じだけ気をかけているようにも見える。
その状態が、本当に大丈夫なのかどうかは
おおいに疑問だとしても
私が頼れる先を
真っ先に思いついたみたいに
たぶん、姉妹みんなが頼りにしていて
いちばん大好きな
自慢のお兄ちゃん。
もしくは、弟。
あるいは同年齢。
私の家族。
それは、みんなが日頃の思いを胸に
お世話になっている気持ちとか
感謝とか
迷惑をかけて気の毒だとか
せっかくいい人がいるんだからとか
あれこれの理由があって
チョコをあげたくなる
そんなことだってありえるわ。
家族に男の人がいなかったら。
それがこんなふうに、みんなでチョコをあげて
あげるほうももらうほうもうれしいバレンタインが
この家に訪れるような
そんな人が、ここにいなかったら
私は悩まないですんだのかどうか
一人で部屋にこもって、
ゆっくりと
長い時間、無駄とわかっていることを考えたものだけど。
いくら考えても
あなたがこの家からいなくなるわけはない。
もしかしたら、進学や就職を迎えて
別のところに住むことはないとは言えないけれど
それでも、ここはもうあなたの家なのだし
いつでも帰ってくる場所にになった。
まあ、今の様子を見ていると
家族のことが気になって当分出て行かないなんて
自分の都合で決めるのはありそうだなと
なんとなく予想してしまう。
本当に、
なぜこんなに
あっというまに、人のことを好きになってしまう
そんな人が、この世にいるのだろう。
いくら家族だからって
出会ってすぐ、
家族なんだからというたった一言で
全部が決まったみたいに
あなたは私たちを
見つめることにしたかのよう。
寂しがりやなのか
甘えんぼうなのか
心配性のようでもあり
ただの泣き虫かもしれない。
私たちを気にしている。
この世で一番大事なものであるかのように
たぶん、
うれしすぎて
自分を抑えきれないみたいに接して
愛している、
と、言っているような。
ときどき思っていたの。
こんなにあっという間に家族に馴染んで
家族がいないとひと時もいられないとでもいうくらいの人が
一人部屋になって
寂しくないのかな。
やっぱり、趣味の電車の写真集みたいなものを
一人で落ち着いて眺める時間が
こんなにいいお兄ちゃんだって欲しいのかな、
と思って
気を使って、電車の写真集を貸してあげたことは
よくあるけど。
この部屋で何日も過ごして
今頃はチョコを心待ちにしている人に
なんであげないといけないのか悩みながら
普段の生活を想像していると
聞こえてくるのは
どこかで、家族が笑っている声。
大きな声を出して泣きながら
助けを呼んでいたりもする。
くだらないことで大騒ぎするケンカの原因も
ここに一人でいたら、結構聞こえてくるものだし
その後、少し前に危なっかしいぶつかり合いをしていた子たちが
たちまち仲良く転がりあっているらしい様子も
ひっきりなしに届いてくる。
どこかわからない遠くから、
ちょっとの距離なんて関係ないと主張しているように。
もしかしたらどの声も
思ったより、ずっと近くから聞こえているのかも。
すぐにわかる。
私たちは、すぐ近くに家族がいるということ。
この部屋にいたら
寂しくないかもしれない。
きょうだいの人数が多いと
なかなか落ち着いていられないようで、普段から大変ね。
よく聞こえてくる声は
元気な子ばかりとも限らないし
落ち着きや大人っぽさとも関係がない。
ああ、また夕凪ちゃんが叱られているな、とか。
吹雪ちゃんがまた何か騒動を引き起こしているとか。
毎日ユキちゃんに遊んで欲しい子が多いんだとか。
声が届かないくらいの子も
すぐ近くにいるのが、よくわかるよ。
私の家族は今日もわいわい言っているんだって
一人で部屋にいるのもわかる。
なんだ。
寂しくなんかないじゃない。
この前、私の様子を見に来て
部屋を出てみんなと遊んでいるなんて
にやけていたわね。
ここにいたって、みんなを気にしていられるのは
あんまり変わらないじゃない。
出て行きたくなかったら、まだいてもいい。
でも、みんなが待っているだなんて
心配そうにして。
私を叱って部屋に戻しても
この部屋にいて楽しく過ごせるのは間違いないし
リビングで寒い思いをして眠るより
ずっといいはずなのに。
ここにいても、
声が聞こえてくる。
家族みんなが、
いつもいるよっていう声。
誰一人として欠けることなく。
そろって、
私のそばで
この家にいる。
みんなの声が、一人で座っているだけで
ここに届いてくる。
バレンタインのチョコレート作りに失敗している悲鳴が
だんだん増えてきたみたい。
やっぱり、失敗する子は多いのね。
私も手先は器用なほうじゃないから、
どんな失敗をしているのか、目に見えるようだわ。
きっと、何度も。
わかっているのに
教えられた通りなのに
なんで!
って、
よく聞くことだけど
人は学ぶ生き物だから
一度失敗したら、同じ失敗は繰り返さないようにできるって。
あれは間違っていると私は思う。
何度も繰り替えしている。
うんざりしても
忘れているつもりはなくても
厳しく気を引き締めているつもりで
自分が嫌になるほど
失敗は繰り返して
いつも落ち込むものだと
私はよく知っている。
それなのに、わざわざ
何を作る必要があるんだか!
わかっているわ。
上手にできないどころか
迷惑ばっかりかけてしまうことは。
チョコだけじゃない。
わがままを通して
くだらないことで泣いて
情けない思いをして
私はいつも
家族のみんなに慰められているということ。
失敗を何度も繰り返して
おかしな思い込みで
突拍子もない行動ばかりで
情けなくなっても
どんなときでもそばにいてくれる人がいる。
優しい言葉ばかりではなく
笑顔でいられるときばかりじゃなくても。
私には、どんなことがあっても
どうやっても離れることができない
家族がいるの。
つい最近、この家にやってきたばかりだと思っていたのに
いつの間にあなたは
私のわがままを何でも許してくれる
家族の一人になったんだろう。
私が無理を言って
たぶんチョコだって今年はもらえないと
あなたは知っているのに
よく、寒いソファで納得して
それが当たり前みたいに
私に優しくしていられるわね。
どんなことがあったって
決して変わることなく
家族なんだと
言葉だけじゃなくて
いつもいつも、
私が何かを告げるたびに
伝えてくれる。
触れるだけで。
どこかから声が聞こえてきたら
それは、すぐそこにいる家族だったように。
間違っていても、許している。
迷うことなく
私を受け入れている。
大事な家族の一人。
きっと、あなたが体調を崩したら
悲しむ人が多いわ。
小雨ちゃんの様子も聞いたの。
私がいつ部屋に戻ってきてもいいように
しまってあった余りの布団を用意して、ベッドに敷いて
毎日寝る前に
私の分もベッドを整えているって。
立夏ちゃんも、そのたびに手伝っているって言うけど。
まったく。
あんなに大雑把な立夏ちゃんが手伝って、
ちゃんときれいに整ったベッドメイクができるわけがないじゃない。
手を出さないほうがいいくらいなのに
余計なことばっかり。
私は……
去年のこの時期から
ほとんどお菓子作りはしていないし。
今年も全然練習していないから
明日、急に教わったくらいで
いいものが作れるなんてこと
どう考えたってありえないわ。
感謝の気持ちのつもりで
自分でも納得いかないものになると
最初からわかっているような
絶望的なチョコ作りに
不器用な私が挑戦して
喜ぶような変わった人がいるなんて、
まあ、この人のことだから
そういうことはあるかもとは
少しは思っていたけれど。
本当にそうなんだろうな、と思うようになったのは
ほんとについさっき。
あなたが今日も、
雪まで降る中、寒いところで眠っているなんて。
私には、お兄ちゃんができたんだな。
と、そう思ったのは
気の迷いかもしれないけれど
明日には。
きっと大変な日になるから。
ほら。
変なものを食べておなかを壊さないように
今からでもゆっくり休んで
少しでも体調をしっかり
万全なものになるように心がけてきたらいいわ。
私も、これから部屋に戻るから。
きっと立夏ちゃんがくしゃくしゃにしている
私のベッドだけど、仕方ないわ。
それじゃあね。
また明日。
どんなチョコを贈られるとしても、文句を言うのは、
って、あなたなら心配いらないか。
じゃあ、少しでも元気いっぱいで
明日を迎えられるようにね。
おやすみなさい。
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