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霙の偽日記

『新年』

あけましておめでとう。
これが今年最初の、私の日記になる。
去年が終わろうとしている頃、
この年もまた滅んで行き
私たちが儚い運命を受け入れ、やがて塵に戻る日が
またわずかに近づいたのだと思い
いつか必ず訪れるこの宇宙の最後を想像すると
それはエントロピーが増大していく結果だと言われるが
であるならば、この私の部屋もエントロピーが増大を続けるはずであり
なぜ終わりを迎えるときに部屋の掃除などをするのだろうと
ゆっくり考える楽しみの果てに
年が明けて、
私たち家族は新しい何かに向かって歩みだしている。
そうか、
大晦日は終わりではなく、始まりの準備に過ぎなかったのだな。
そうとわかっていれば
なんだかんだ言い訳をして、部屋の掃除を引き伸ばして
今こうして乱雑な部屋を前に途方に暮れてなどいなかったであろうに。
冬休みあけに提出する宿題は、今日持っていく必要があるため
どうにか発掘できたが
これから授業が始まるのに
教科書の一冊すら見当たらないというのでは
少し困るかもしれないな。
まあ、
どうにかなるだろう。
すべては塵に帰り
消え去っていく定め。
何もかも、形をとどめてはいられない。
弱い私の力で解決できない悩みは、この身と共に消え去る。
宇宙におけるただひとつの真理だ。
私がやがて
あのきらめく星空の一部に変わり、消えていくこと。
あいにく今夜は、私たちの町では久しぶりの雨で
片付けの途中で休憩を取り
暖かいコーヒーを手に夜空に思いを馳せる豊かな時間は
こんな日に限って得られない。
昼過ぎから降り始めた雨に、
傘を持って行かなかった幼稚園の子たちを気にして
迎えに行きたいと
半日授業が終わって集まった私たち木花に通う面々は
帰り道に幼稚園へ向かうべきか
いったん家へ戻るべきか
たまたま全員が揃ったので
なかなか白熱した話し合いとなったな。
こんなことでもなければ
わからないそれぞれの本音というものもある。
傘の数が幼稚園の子たちの分が足りないとわかったとき、
春風が相合傘を希望するまでは予想の範囲だったが
一応これでも男だから無駄に体が大きくて、傘からはみ出るだろう、
濡れたら風邪をひくから、と
阻止を続けた氷柱の顔が
やけに真剣だった、あの光景。
ふむ。
確かに、全員がオマエと同じ傘で帰ることはできないからな。
かといって、あんまり春風と仲良く寄り添っている場面を見たら
氷柱も心穏やかではいられないのだろう。
まさか、氷柱がそんなに春風に好意を持っていたとは。
春風は優しいものな。
氷柱はまだまだ甘えたい年頃なのだろう。
私でも、春風の包容力には尊敬を覚えるときがある。
オマエも氷柱の気持ちをわかってあげて、
少しは甘えさえてやらないと
あのぷんぷんした性格は、しばらくそのままになってしまうだろう。
それともオマエも春風に甘えたいのならば
相談に乗ってくれると思うし
あるいは、その春風を育んだ姉である私の包容力に期待してもいいだろう。
まあ、今の話はだいたい冗談だ。
どこから冗談が始まったのか
私にもわからない。
軽口とは、そういうものだ。
きっと宇宙のどこかから、目に見えない小さな粒子のようにやってきて
ほとんどは受け止める者もどこにもいないままに
観測さえできず、通り過ぎていくのだろう。
私たちの生きていく日々は、
ときどきはそんな知覚できないいたずらに揺れているのだろうな。
私も、自分にこの種のアンテナがあって
敏感な部分らしいことは、愉快な気もするが
しかし、片付けができる能力が降りて来てくれたらと沈む日もある。
年末だけでもいいのに。
私にとって、この少々うっとおしい雨雲が
春風にはこの上ない歓喜の予感を運び
氷柱がなかなか言葉にできない本心をちらりと覗かせるきっかけであるとしたら
ただ重苦しい灰色の天気というばかりではなく
私に愛する家族がいることによって
その色彩を変化させていきながら
かけがえのないものになるのだろう。
だとしたら、
冬休みが過ぎ、とうとう学校が始まって
明日も寒い中を出かけていく気分さえ
オマエたちがいてくれたら
見たこともないほど彩りを増していくのだろうな。
まあ、いくら寒くて
部屋のどこにも教科書が見当たらないとしても
宇宙は永遠の虚無である姿を変えることなく
私の運命は、お正月気分をおしまいにして学校へ通うようにと告げている。
これからも家族と過ごす新しい年に、少しばかり期待をして
また始まった日常へと、しばらく身を浸すとしよう。
広大な宇宙を、ちっぽけな私たちが遠く彼方まで眺めることで発見があるように
学校生活だってもう少しの間は距離を置いていれば
面白い発見もあるのだろうと考えることもあるが
まあ、距離を置けるものばかりとは限らない。
私が家族といる関係も、遠くから眺めるものではないからな。
離れて見つめなおす機会があるとしても、私はあまり気が進まないだろう。
ヒカルが合宿に行ったとき、一人で自分を見つめなおすことで
新しい発見もしたようだが
私は合宿で遠く離れるということもなさそうだからな。
卓球部の強化合宿などに誘ってもらうこともあるが
特に気が向くわけでもない。
誘ってくる友達は、私が唯一持っている天性の特技なんだから生かすべきだと
失礼なことを言うが
まったく、わかっていないな。
まあその辺は
知っていてほしい相手にだけわかってもらえればいいことだ。
私が伸ばしていきたい得意技は。
私の家族たちが、ただ家族であるというだけで
何よりも愛しく、
かけがえのない大切なものになる、この思い。
決して、口先で人を言いくるめたりする才能ではない。
そうして大掃除の機会を引き伸ばしてきたせいで、今こうして後悔しているのだし。
どうだろうか。
私が姉だからといって、甘えるのが苦手だとは
まさかオマエは考えてはいないだろうな?
次女でありながら、生まれ来る小さな生命たちの
よい導き手であろうと心がけ、
果たして、いつもよい影響を与えられたかどうか不安も残るが
私自身は家族から多くを教えてもらいながら
どうにか、この程度に大きな肉体には成長してきた。
家族と過ごした日々のひとつひとつが素直に染み込んで行くこの体は
おそらく、頼りになるたくましい弟に
支えあう二人の時間を求めることも
そんなに苦手ではなく、教わっているのだろう。
もうすぐ三連休だな。
オマエは、何か予定はあるだろうか?
私と重ねていく日々に
いつも必ず笑顔を保障できるとは断言できない。
だが、愛する妹たちが
可能かどうかを考えず、いつもお前に届けようとしているように
新しい発見を続ける、退屈しない時間贈ろうとすることならば
この私にも、挑戦はできると
教えてもらっているから。
私がオマエを求めているこの思いに
応えてもらうことが、できるだろうか。
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