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綿雪の偽日記

『あけましておめでとうございます』

1月1日
午前0時。

おめでとうございます、お兄ちゃん。
新しい年がやって来ました。
ユキたち家族が、いよいよ新年を迎えた瞬間です。
これから始まる、
まだ何も決まっていない
真っ白な一年。
家族みんなのところに、そろって届きました。
もう眠ってしまった子たちも、
除夜の鐘に耳を済ませているお兄ちゃんたちも、
おそばのおかわりも一段落して、一息ついている春風お姉ちゃんたちも
あわてなくても
決して、誰も置いていかれたりしない。
みんなで手を繋いで一歩を踏み出すように
同じ時間に
うれしい、すがすがしい年の訪れ。

まだ小さいユキがこんな時間に起きているのは
こわいような気もして
いけないことのようで
胸が鳴っている。
ドキドキしています。
大晦日だけは特別、って
おうちの小学生の子たちや、ちっちゃいみんなも言ってもらえました。
だからいけないことではないのに
どうしても止まない、不思議なときめき。
ユキが生まれて初めて体験した
新しい年に変わる瞬間。
観月ちゃんは、言っていたよ。
去年の歳神様が一年を経て
いっぱいお仕事をして、おじいさんになるまで歳をとったあとに
次の年を担当するまだ小さい新しい歳神様に
世界中の人を見守る大切なお役目をお願いする時なんだと。
もう、だいぶ前に眠ってしまった観月ちゃんには
今はお話は聞けないけれど
いったいどこで会うのか聞いていなかったから。
ユキは歳神様が交替する場面は見ませんでした。
どこかでひっそり
ふたりだけの秘密みたいに交替しているんでしょうか。
ほんの少し前になって通り過ぎていった、その時間。
時計の針が進んでいった時に
今日、日付が変わる時間はいつもとは違うと
ユキは知っていて、
でも、実際に何が違うのか詳しくは説明できない。
不思議な夜です。
昨日と今日で
全然違う、別の年になるなんて!
もう過ぎていく一年の最後と
ついに待っていた一年の始まり。
ずいぶん遠くに離れているように感じるふたつのものが
ほんの一瞬、隣に並んで。
そして私たちのところには
新しい年が残って
これからの時間を刻み始める。
おじいさんの歳神様は役目を終えて、それからどこかで一休みするのかな。
新しい年を担当する小さい歳神様は、
観月ちゃんとまだそんなに違わないくらいの子供だって聞きました。
きっと大変だろうな。
責任重大なお仕事に、震えていないかな。
もしかしたら、ドキドキ張り切っていたりする?
年が変わっていくその時。
いったい何が起こるんだろう? と
なんとなく落ち着かない気持ちで待っていました。
どこか遠くから聞こえてくる、除夜の鐘の音。
いけない悪い気持ちを全部おはらいして
すっきりした気持ちのいい新年を届けてくれる合図です。
あんまり聞きなれない音なのに
何も心配することはないみたいに
ユキは、お兄ちゃんたちと聞いている。
なんだか静かな
落ち着いた気持ちになる響き。
除夜の鐘がひとつ、またひとつと鳴り始めたら
お姉ちゃんたちは、懐かしい音がするって言っていました。
今年初めてこの鐘の音を聞いたユキも
この気持ちは
懐かしいと言っていいものなのでしょうか。
今年もいろいろなことがあったな。
鳴っては静まり、また響く鐘の音は
なぜか、一年の思い出を呼んでいるみたい。
悪い気持ちを取り除くんじゃなくて。
もしかしたら、おはらいのために
一年の間にあったいいことをたくさん思い出して
来年もまたこんなふうにすごそう、って気持ちにしてくれるのかな。
日付が変わったその時、
まだおきていた小さい子はユキだけでした。
ユキのお部屋はすぐ近くだから
いま戻っても、そばでみんながわくわくしながら待っているから
眠れないような気がして
いつでも眠くなったら戻ろうと思っていたけれど
そのまま、ずっとみんなと一緒に過ごした大晦日。
楽しかったことを思い出して
たくさんのお話をして
ときどき、みんなは言葉もなく
何かを思い返しているようでした。
ついに生まれて初めて迎えた
新しい年のはじめは
そこにいる家族のみんなで
穏やかに、
おめでとうのあいさつを贈り合った、静かな時間でした。
何も大きなイベントもなかったし
見たことのない何かが起こるような気がしていたけれど
別にすごいことがあったわけでもなくて
ただ、おめでとうの気持ちをみんなが持っていると
実感している時間が
ユキはなんだか
うれしくて
さわやかな年越しだな、と思ったよ。
次の年へとやって来たユキたちの
今もまだ届く鐘の音は
思い出を呼んでいるみたいじゃなくて
同じ鐘の音が
これからいろいろなことがはじまると
遠く聞こえてくる鐘の一つ一つが
教えてくれているようです。
いったい何が待ってあるかはわからないけれど
お兄ちゃんたちと迎えた年越し。
今年もいろいろなことを
お兄ちゃんと迎えたいです。
お兄ちゃん、
今年も一年、ユキと仲良くしてください。
新しい年──
うれしいな。
おめでとうございます!
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