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文化祭2

バレンタインで書けなかった子の分を早くしたいと思いつつ……文化祭も進めたいと思いつつ。
せっかくだから雛祭りに全員更新は無理かなあとか、本当は何事もない普通の毎日だって全員分書きたいんだけど、その気になればいくらでもできそうとしてもかといっていいものが書けるかどうかわからないとか……とにかく今日は文化祭です。

・虹子
にじこのおなかが
ぐーぐーなりだしたら
まってました!
おねえさんたちのめがひかる。
ぴっかーん。
すぐに
よびこみがはじまるの。
おにいちゃんのがっこうの
きれいなおねえさんたちは
よびこみじょうず。
いろんないしょうで
めいどさんも
はっぴのひとも
おやすいよ。
おいしいよ。
いいにおいだよ。
たいいくかんでは
おどりのはっぴょうがあるよ。
にじこ、
どこにいったらいいの?
わかんない。
そこで!
えへん。
いいものがあるの。
これよ!
せいとかいじるしの
しょっけんです!
なんでもすきなもの
ひとつだけ
おねがいしていいんだよ。
よいこだけが
もらえるんだよ。
おにいちゃんは、もらった?
しょっけん。
なにたべた?
おいしいにおいの
やきそば?
たこやき?
カレー?
おばけ?
おばけ!?
しょっけんを、よくみると
おしらせがあるの。
おばけやしきも
ぜひどうぞ。
おにいちゃん、がくえんさいで
おばけやしきを
ひらいているんでしょう?
おばけやしきで
おばけをたべるなんて。
おにいちゃんのがくえんさいは
どんなおまつり?
そしたら、
よくみたら
おばけやしきは
ごはんがでないから
しょっけんがいらないんだよ。
おしらせしているだけだよ。
おいでください、って。
まぎらわしい!
でも、
きてほしいってせんでんして
がんばってるんだね、
すごいね、って
こさめおねえちゃんがいうの。
おにいちゃん、
がんばってますね!
ごはんをもって
たいいくかんは
おぎょうぎがわるいかも、っていうから
ちゅうもんのまえに
さきに
ちょっとみにいこう。
おどりをしています。
うたにあわせて
おどります。
まるで
アイドルのように。
かわいく
てんしのように。
ぴっかぴか
かがやくから
なんだか
もう、
めがみのよう。
おねえさんになったら
にじこも、ここでおどる?
めがみのたまごの
にじこだよ。
おどるのも
うたうのも
だいすきで
とってもじょうず。
このステージが
まっていたんだ!
がくえんさいのぶたいが
にじこを
まえからずーっと
よんでいたんだ!
にさいのちいさい
いまのにじこより
もーっと
おどりがじょうずになって
もーっと
おうたがすきな
がくえんさいにじこを
おにいちゃんも、みたいでしょ?
はやく
みたいでしょ?
じゃあ、みせちゃおう!
こさめおねえちゃんとそうだんしたの。
おうちにかえったら
にじこ、へんしんして
まってるね。
にさいのこがへんしんする
アイドルいしょうがあるよって
こさめおねえちゃんがおしえてくれたから。
おにいちゃんも
おばけやしきをがんばったら
おうちで
めがみがまっています。
いっぱい、おばけをうって
はやくかえってきてね!
にじこも、
おどりをみてから
ごはんのあと
おばけやしきに
おうえんにいくね!

・吹雪
食券は一人当たり五枚。
小雨姉、麗姉、星花姉、夕凪姉、
そして私の分があるので
合わせて二十五枚です。
私の一つ年下のユキはあいにく、
体が弱いために
これまで木花の学園祭は
来れたり、来れなかったり。
まだ生徒会の補佐を行うには
校内の知識が不足していますが
霙姉の言葉によれば、今日の働き次第では……
というのは、ユキが
家族と協力しながら、小さな妹たちを引率して
一行が学園祭を楽しんで、無事に帰宅できたら。
来年からはこの腕章をあずけて
少女生徒会の仕事をまかせることになるだろうと
そのような約束でした。
霙姉が、まず真っ先に
私たちのことを
ちびっこ生徒会と呼ぼうとして
何事もなかったように咳払いの後で、少女生徒会と言い直したのは
他の誰も、特に問題に気が付いた様子はなかったので
私も少し疑問はありましたが
ユキも喜んでいるし
おそらく呼び方や、どう見られているかよりも
どのように活動するかが大事だと考えて
深く追及する必要もないと思って、そのままにしておきました。
冷静に考えれば
小学生にあまり大きな期待はかけないかもしれない。
霙姉は、この仕事は学園祭を大きく盛り上げるはずで
自分も、仲間たちからそのような言葉で頼まれたと主張します。
私たちが預かった腕章は
生徒会補佐の仕事を堂々と主張する張り紙が
貼り付けられていますが
腕章をデザインする段階でもう少し考えていれば
はみだした大きすぎる張り紙はいらなかったような。
というよりも
現状のデザインでも、充分に必要な情報として
生徒会関係者の文字は目に付くように書いてあるので
張り紙は必要ない気がします。
これほどまでに必要以上に、お手伝いを主張する意味があるのでしょうか。
よくわかりませんが
ユキは、どうしても来年は自分も腕章をつけて
正式なお手伝いになりたいから
今年はたくさん困った人を助けて
立派な生徒会補佐をしているところを見てもらう!
と、やる気になっています。
霙姉は、学園祭を楽しめばいいと言って
そこまで困った人のお手伝いを張り切るようにとは頼んでいなかったような気がします。
建前上は、確かに腕章にはそのように書いてあるとしても
なにしろ、
実質的にはちびっこ生徒会です。
あまり気負って仕事を引き受けようとする必要もないでしょう。
今日の目的としては
この学校に通う私の兄と姉たちが
盛り上げようと準備をしてきた
一日だけのお祭りを楽しめたら、それでいいと思います。
それにしても、この食券の数は
多すぎないでしょうか?

・海晴。
文化祭は
みんなが一生懸命になって形にする
文化の一大祭典。
つまり、例えるなら
たくさんの人が集まるにぎやかな
万国博覧会みたいなもの。
……
ではないかもしれないけど
とにかく、がんばって学生たちで作り上げるお祭り。
私がまだこの学校の生徒だった頃と比べたら
変わらないのは
とにかく楽しく盛り上がって
学生時代の思い出を作りたい
お祭り好きの子たちが放つ熱気。
むんむんしていて
もう少しで、目に見えるよう。
ようこそ!
両手を広げて歓迎してくれた
校門の大きなアーチにも。
掲示板に、所狭しと貼り付けられた
宣伝の紙にも
そして見渡すと
お祭りに頬を赤く染めている生徒のみんなの表情に。
どこにだって
やるぞ!
と、若人の息吹が満ち満ちている。
年月を重ねても変わらない、文化祭の景色。
いつの時代も、そこにいる生徒たちは
ふだん見つからないものを見つけている。
大切な学生生活の思い出になる
熱い日差しも今日はどことなくやさしい、秋の一日。
時間が過ぎて
私が現役のぴっちぴちだった頃になかったものは
体育館のステージに、ダンスのそろったアイドルグループの台頭。
各教室では、定番の出し物に混じって
高まる防災意識を反映して
地元の災害対策の歴史や緊急時の対応についてのレポートなどの発表も。
増えつつあるメイドさんのお店も、お姉さんにはまぶしいものだし
それに何より
あの頃になかったもので
今の私が一番うれしく探しているのは
まだ同じ学校にいなかった家族たちの、今年の活躍。
右も左もわからなかった頃の妹が、
今度は活躍しているという噂を聞いて歩いてみると
私がいた頃と変わらない学園祭、
本当に霙ちゃんが下級生をまとめる最高学年で、
春風ちゃんがそのひとつ下で──
華やかな学園祭を中心になって引っ張っていく上級生の一人だなんて
いまだに信じられないみたい。
あわてていた春風ちゃんや、蛍ちゃんたちの姿が
懐かしい学校の景色に、今も姿を現して走り去っていくような
そんな景色が見つかりそうだよ。
ちゃんとしっかり
学園祭を盛り上げてる?
おうちではまだまだ小さな妹のままで
準備の間も、はたして間に合うのか成功するのか
聞いていてこっちまで不安になるような日々に
手を貸してあげられたら、と願う自分を抑えるだけで大変なくらいだったのに
本番を迎えた今は、どうしているだろう?
私はもうこの学校の卒業生。
さみしいけど、学校のイベントを成功させようと努力する子たちのために
できることはもう何もない。
かつて過ごした母校では、愛する後輩たちが活躍している。
私の家族が同じ学校に憧れて
二度とない青春時代を
昔私が通っていたのと同じ場所で、
たぶん、今も変わらないままの大事なものがたくさんある日々を重ねている。
懐かしく学園祭の日を歩くこんな卒業生たちのことなんか
今はまだ、目に入らないみたいに
ただ今日のことだけで精一杯に。
もちろん、卒業生がこうしてゆっくり
変わらぬ懐かしい学び舎の面影を穏やかに歩いたり
時には、今の生徒たちの顔が並ぶお祭りの感覚に
胸が高鳴る感覚。
やっぱり、卒業したあとでも
学園祭が賑やかに開催されているのを見たらうれしい。
通っている生徒たちの様子は
雰囲気だってもうすっかり慣れないものばかりになってしまったけど。
にぎやかに母校。
私の家族は、今もこの学校で
さっきは、助けてあげられることなんて何もないって言ってしまったけれど
でも、実際には失敗したときにはアドバイスできるかもしれないし。
学園祭の失敗談なら
この学校で現役の学生生活を過ごした先輩たちには
まだまだかなわないと思うわ。
いつだって、年上として見ていてあげることはできる。
でも、今年の学園祭の主役は
今この学校に通っている生徒たちなんだ、
なんてもどかしい思いもしながら
見て回って。
ずっと何年も過ごして、もう全部隅々まで知っていると思っていた
卒業した後の、大好きだった学校に
まだ知らなかった景色を発見して
ときめいている。
今日は、学校中がおめかしして迎えているような
緊張した気配も、慌ててしまう子もやっぱりそこらじゅうにいるけれど
弟と妹たちが主役の一人になって参加している
みんな、一日がんばってね。
かげながら応援しています。
来年には卒業する子も、新入生もいて
学園祭を経験したあとで成長した子もいるはずで、
今の生徒たちがそろって
こんなに楽しい学園祭を過ごせる日は二度と来ない。
どうか今年も、
私の好きだった木花学園で
たくさんの後輩たちが素敵な学園祭を過ごせますように。
今となっては、何も気負うことのない軽い気持ちで見て回りながら
いっぱいうれしそうな顔を見つける時間を
今日はたくさん、楽しませてもらおうと思います。
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