アルケイディア&キュクレイン

アルケイディア&キュクレイン TOP  >  2013年04月

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星花の偽日記

『素直に、ありがとう』

ついに新年度を迎える
はじまりの、晴れがましい日。
それなのに春休みの一日として埋もれてしまって
あんがい特別なこともなく。
何かが新しい、この時期限りのわくわくを実感するのは
たぶん、学校が始まってからになります。

そんな中途半端な気持ちを映したみたいに
空はきれいに晴れ渡っている、というばかりでもなく
風が冷たかったり、ときどき雲がかかったり
なんとなく、決めかねる態度。
新しく始まる、さわやかに変わっていく生活、ではない普通の日、
まだお兄ちゃんに報告することは何もなく、
ぴしっと背を伸ばして受け取る心地よい緊張感も、まだ先のお楽しみ。
それまで、あともう少しの間だと思って、
特にこれといって変わったことはないお休みを楽しんでいます。

そんなふうに過ごした4月1日、
お兄ちゃんは
だまされた?
だまされなかった?

吹雪ちゃんが公園に行くのは気が進まない様子だったので、
どうしたの?
いじめられたの?
そんなことがあったら、星花は鍛え上げたカンフーを振るいます!
でも、怖いからあんまり振るいたくないかもです!
話し合いで解決できないかなあ、と思って聞いてみたら
子供のつく嘘が苦手なんだって。

星花も嘘を見抜くのは下手っぴです。
どうして氷柱お姉ちゃんや霙お姉ちゃんは
隠していることがあっても、すぐに見抜けるんだろう?
吹雪ちゃんも、けっこうまわりを観察しているほうだから
嘘を発見するのは得意だと思っていたけど
苦手なんだ。
意外です。
でも、出かけたくない理由を話すのは恥ずかしそうだったのに
そういう時に嘘をついたりしないのは、性格なんですね。
苦手って、自分で嘘をつけないから、人の嘘にも慣れていないってことかな。
あっ、これじゃあ、氷柱お姉ちゃんや霙お姉ちゃんが
よく嘘をついているみたいになっちゃうかな。
氷柱お姉ちゃんは、悩み事を家族に隠しちゃうことがあるんだって。
そうなのかな?
お兄ちゃんに相談したらいいのにね。
本心をなかなか言えないのは、麗ちゃん。
家族で一人だけ通う学校で
新学期のこと大丈夫かな、と思うけど
そこまでは星花が聞いたら余計なお世話でしょうか。
お兄ちゃんなら、麗ちゃんも心を開いてくれるかな。
なんだか星花は、お兄ちゃんによりかかってばかりですね。
今日もだまされっぱなしで、お兄ちゃんが近くにいたらハラハラしたかも。
星花、気付いて!
それは嘘だ、だまされてる!
って。

公園には、今日も仲のいい友達が集まったけど、
一番きれいにハマった「だまされたー!」感があった嘘は、
ラーメン屋さんのヒゲ割り引き。
1メートル以上は今日だけ100円おとく!
さすが関羽様、おとくです、と思ったけど
関羽様が100円で喜ぶ器だろうか、というあたりで気がつきました。
それから、東京特許許可局は実在しないという話。
後になって、これは本当だったことがわかったので
えっ本当? ああ、なんだ嘘なんだ。えっやっぱり本当?
こんがらがっちゃった!
東京特許きょきゃきょく。
嘘かどうかは置いといて、みんなで言って盛り上がったよ!
エイプリルフールの不思議なテンションでした。
あとね、男の人は毎日おっぱいを見つめると
寿命が延びるって話。
学術的に統計を取って確認したらしいけど、
どんな統計を取ったんだろう?
お兄ちゃんは、おっぱいは好きですか?
もうエイプリルフールは終わったから、
回答に混乱する心配はなさそうで安心です。
でもお兄ちゃんはもともと、あんまり嘘をついてだましたりしないですね。
誠実な人柄のご主君様です。
戦国の世を渡っていくとき、正直すぎて何か困ることがあったら、
星花が駆けつけて、力になります。
と宣言したいけれど、
カンフーでいじめっこをやっつけるのも怖い星花が、役に立てるでしょうか?

星花はだます側になれないから
だまされる側だけど、それでもいいと思っています。
でもこれじゃあ、策略をめぐらす孔明様にはなれませんね。
お兄ちゃん、頼りない妹でごめんね、
軍師の素質がない妹で。
嘘なんてつけなかったけど、面白い日だったね。
だまされるのは妙に楽しかったです。
不思議な話題が飛び交って、なんだかくらくら。
大変なことが起こっているような、別にそんなこともないのに、変な高揚感。
何もないのに、なぜか特別の日みたいでした。
いつも普通で特に変わったところのない星花が、
今日だけは特別な事件に次々と巻き込まれていくようであり、
実は全然そうでもないという。
ぶっとんだり、安心したり、こんがらがったり。
今日の星花は、ちょっと普通の女の子じゃなくて、
大きな歴史的イベントの主人公みたい。
こんな体験ができるエイプリルフールって、なんだかいいですね。
また、来年もやりたいな。
これから続いていけば、一生で一回くらいは、楽しませる人になれるかな?

吹雪ちゃんが苦手な、嘘をついてもいい日。
お姉ちゃんたちが教えてくれた、嘘を見抜くコツは
勘!
それと、嘘をつけないと自分で分かっている人が
嘘なのか疑われないようにしたいなら、
その人に本当の気持ちをたくさん伝えること。
普段から、どれだけ相手のことが好きなのか、力いっぱいに。
本気で、全力で、
手加減なんてなしで
嘘なんかつかないで。
そうすれば、たまに気持ちを伝え損なって
誤解が生まれそうになったって
そう簡単に、信頼が揺らぐことなんてない。
お兄ちゃん、
星花は、普段から気持ちをちゃんと伝えられているでしょうか?
ときどき、ひとりよがりかもしれない、
行き過ぎて迷惑かもしれない、
そんな不安な時にも、
お兄ちゃんが笑顔でいてくれるから
星花は、自分の未熟さを自覚しながらも
いつも甘えてしまって、
自分のしたいように、お兄ちゃんに本心を何でも言ってしまいます。
星花が嘘をついたら、簡単にわかっちゃうね。
お兄ちゃんがどんな嘘を言ったって
普段から星花たちのことを思ってくれているおかげで、
星花はすぐに見破れそうです。
覚悟していてね、
忠誠心厚い義兄弟に、ごまかしは何も通じないんです。

だから星花も今日は、
お兄ちゃんに、本当の気持ち。
嘘を言える日が終わったから、
もし、星花が恥ずかしくて嘘を言ってしまっても
簡単に分かるように。

星花の大事なご主君様、
いつも星花たち家族といてくれて、ありがとうございます。
これからも星花は、お兄ちゃんの都合も忘れて
自分の心のままに行動してしまうことがあると思います。
どんなに星花が溢れる気持ちを抑えきれないか、
伝えたくて、わかってほしくてどうしようもない。
全身でぶつかっていきたいです。
迷惑だなんて言わない?
困ってなんていないよね?
お兄ちゃんは優しいから
あんまり負担はかけたくないけど
でも、家族たちを愛してくれているんだなと
どんなときでも教えてくれる、嘘をつかないお兄ちゃん。
星花がもっとしっかりして、立派な忠臣になるまで
どうかもうしばらく、甘えることを許してください。
星花はこれからも、お兄ちゃんのためにがんばっていきます。
家族に生まれた永遠の絆が、さらに熱いものになるように。
義兄弟の誓いには一片の嘘もないと信じてもらえるようになりたいです。
ちゅっ!
あっ、あっ、なにしちゃったんだろう。
今のは嘘です。
もう日付は過ぎちゃったけど。
まだ、楽しかった興奮が残ってるのかな?
星花は嘘が苦手です。
きっと簡単だと思うから、
お兄ちゃんがすぐに本心を見抜いてください。
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小雨の偽日記

『おでかけですか』

まだ、お料理番を任せてもらえるなんて
とうてい無理な小雨です。

お手伝いできることはがんばろうって思っているのに
それもまだ不安が残るくらい。
にんじんの皮を剥くだけなのに、ピーラーで指を切るなんて
逆に器用だと言われるくらいです。
もちろん、器用だからではないんです。
そんなミスが月に2、3度。
蛍お姉ちゃんも、小雨くらいの時にはそのくらい失敗ばかりだったって言うけど
本当なのかな?
ううん、家族の言うことを疑うわけじゃないんです。
だけど、小雨が蛍お姉ちゃんくらいの歳になって、
あんなにいろいろできるようになるかというと
全然そんなイメージが浮かばないです。

お手伝いだけでは、とも思うし。
あのあずき鍋のとき、
ほうれんそうを切っていたのは小雨です。
ごめんなさい。
謝ることじゃない気もしますけど。
あと、そのあたりの真実とか、詳しい事情は
今月の末になって明かされるかも、とのうわさなのですけど
どういうことでしょう?
私たちのマンガが、雑誌で好評連載しているみたいな、謎のうわさ。
小雨みたいな地味な子でも、プロの人に描いてもらえたら
ほんの少しでもかわいくなれるかな。
ともかく、
お手伝いができるようになるだけじゃ、お料理は上手にならないですね。
お姉ちゃんたちが風邪を引いてしまったとき、何にもできないし。
ついこの前も、春風お姉ちゃんと蛍お姉ちゃんが体調を崩してしまったの。
小雨もそろそろ、本格的なお料理のお勉強をしないといけない時期が
来ているのかもしれない。
それでね、このごろお弁当作りを試しているんです。
おにぎりとおかずの簡単なメニューばかりではない、
もう少しだけ高望み、普段から家族みんなに食べてもらえるよう、
小さなお皿でいいから
食卓のはしっこに、ひっそり並んでいてもいい
メイドイン小雨になるために。
努力の途中の高望みメニューは、今のところは
氷柱お姉ちゃんの夜食や
ヒカルお姉ちゃんがもうちょっと欲しいときなどに
食べてもらっています。
時々は、霙お姉ちゃんにもリクエストをもらえるくらいになりました。
食べた人それぞれ、いろいろな感想をもらえるの。
こんな感じでいいのかな、
こんなんじゃまだまだかな、っていう、
真剣であっても子供の遊びの範囲。
優しいお姉ちゃんたちに支えられて、
こんな怖がりの小雨でも、おっかなびっくり修行中です。
小さい子の口に入るものになると、まだ学ぶことはいろいろあるんだし。
健康、安全、おいしさ、彩り、
そして楽しい食事の席。
小雨のお料理が笑顔の助けになるような。
めまいがするほど遠い目標です。

もちろん、おでかけのお弁当作りも勤まらない。
春風お姉ちゃんと蛍お姉ちゃんは
またぶり返してもいけないから、無理をしてはいけないし、
お弁当を持ってのおでかけは、この春休みは実現しないようです。
準備が大変だし、それに、不安定なお天気は続くし。
蛍お姉ちゃんは、もうこんなに元気になったって逆立ちして見せたり
病み上がりっていうわけではないけれど。
海晴お姉ちゃんたちを説得する、いい意見ははっちゃけなかったようです。
とはいえ、どこにも行かない春休みも少し寂しいという意見もあって。
少しくらいお天気が不安定でもなんとかなり、
お弁当の用意も必要なく、
小さい子が多くても楽しめて、
お兄ちゃんやお姉ちゃんの負担にもならず、
できれば、そんなに混んでいない場所が良くて、
春休みのちょっとした思い出になるような。
海晴お姉ちゃんの知り合いの人の好意で、
お昼に席を取ってもらえたので
明日はみんなでおでかけ。
ようやく家族が待ち望んだ、春休みの一大イベント。
全員で作る楽しい思い出の舞台は、
すぐ近くのファミリーレストランです。
それっておでかけ?
と、立夏ちゃんは疑問もあるようだけど
20人もの人数で行くなんて、なかなかできないもの。
もう、一大イベントの盛り上がりです。
小さい子たちは、初めてのお子様ランチを期待して
胸を弾ませ、目はきらきら。
小雨も、ファミリーレストランは慣れない場所。
まだ家族がここまで多くなかった頃に
ほんの小さな、今よりもっと頼りなくて、泣いてばかりだった小雨が
連れて行ってもらった、緊張と興奮の、冒険みたいなお食事。
おうちでは味わったことのない、違う種類のおいしさ。
だったような?
あれは、やっぱりお子様ランチだったのかな。
みんなで食べるいつもの愛情料理となんだか違う、
その時だけ、小雨のために用意してもらった特製メニュー。
でも、実はあんまり良く覚えていないので
期待している小さい子たちから、どんな味だったのか聞かれても
要領を得ない答えしかできないの。
いつのまにか、もうお子様ランチなんて頼むと恥ずかしい歳です。

お兄ちゃんも楽しみでしょうか?
小雨は、ほとんど行ったことのない場所だから、不安も多くて
立夏ちゃんがよく友達と行くし慣れているっていうから、
離れないでついていけばいいかな、と思っていたの。
でも考えてみたら、
立夏ちゃんはよく動き回って、ときどき追いかけていけなくなって
どこに行ってしまうのか予想もつかないですよね。
立夏ちゃん本人も、それは自信を持って保証してくれました。
初めての小さい子たちは小雨よりも不安なことがあるだろうし、
なるべく見ていてあげたいし。
それで、あの、思ったのはね、
お兄ちゃんなら小さい子たちに目を配るのが上手だし、
近くにいれば頼りになるし、
小雨が、そばの席に座ってもいいでしょうか?
だめでしょうか?
みんなが狙うかな?
頼りになるお兄ちゃんの周りには、
様子を見ていないといけない子が並ぶと思うし、
お兄ちゃんも、近くの席にいて欲しい好きな子がいたら、選んで欲しいし。
もし、離れた席に座ることになっても
家族みんなが一緒ですもんね。
立夏ちゃんに置いていかれて心細いようなとき、
不安で誰かに頼りたくなっても、
小雨はお姉さんなんだから
なるべく不安な子がいないように、妹たちを見ていてあげたい。
みんなが楽しめるお食事にしたいです。
小雨もちょっとくらいは力になれるよう、がんばります。
蛍お姉ちゃんは、店員さんの衣装を今後の参考にしたいと
おでかけのお弁当が作りたいって主張も、今はしていません。
接客業の衣装は、どれも自作の参考になるって。
勉強熱心で、すごいですよね。
実は小雨も楽しみにしていることがあって、
たまに食べに行く、おうちでもない、給食でもない、
お食事専門のお店の、本物の外食。
小雨は家で作るご飯に応用できるよう、学べることを探そうと。
新しい生活を迎える季節、
小雨も野望に目覚めたのでしょうか?
不安半分、楽しみ半分。
小雨も新しい経験を積んで、
おいしいご飯が作れるようになれるかな。
成長中のささやかな小雨弁当、もっとおいしく作れるようになったら
お兄ちゃんも注文してみてください。

あさひの偽日記

『ぶっぶぶ!』

もんもん
おちゃ
もーもー


おおおっ

ぶっぶぶ!

おんものののの
あー。
あいまのののの
あー。

むんむんむん!

ふわっ!
ほんわー。

らっらっらっ
むんむん
あーあーあおー。

(こんこん
かぜ
ごほごほ
せき

そんなさむさを

ぶっとばせ!

さむいときには
あさひをだっこ。
ひまがあったら
あさひをだっこ。

あついよ!

かぜひくな!
あったかくしてね。

はるになって
あつくなっても
はなさないでね。)

観月の偽日記

『おばけ』

やれやれ、
大変な風が吹く日であったの。

せっかくのおでかけが
えらいことになってしまった。
玄関を一歩出たそのときから、
兄じゃや姉じゃたちは、家族を守ろうと命がけ。
さくらはせいいっぱいのおめかし、お気に入りのワンピースが
食堂との往復で、すっかりびしょびしょ。
がっかりしたやら、怖いやら、半泣きで、
それでいてお子様ランチは残さずぺろり。
家に帰ってきて、濡れた体を温めるために風呂に入ったときも
こわかったー、と兄じゃにしがみついておった。
怖がりの家族たちには、なかなか過酷な一日になったようじゃな。
しかし、大人しくしているならまだ安全なほうで、
手に負えなかったのは、
このめったにない暴風と雨に
気分が盛り上がって、
水溜りに自分から踏み込んで跳ねるなどの奇行をとる
元気な子供たち。
わらわはもちろん、
元気なほうじゃ!
風の子じゃ!
今日のためにおろしたはかまも、
だいぶ妖怪退治の修羅場を潜り抜けてきたみたいになってしまった。
お疲れさま。
いつもの癖で、すそをひきずるはかまでないのはまだよかった。
これで体が冷えたわりに、体調を崩さなかったのも
神仏の加護じゃ!
お風呂のおかげもあるかの。
うちの風呂場には、いい神様がいついておるようじゃ。
家族食堂で、甘味まで追加注文して
栄養を取ったおかげでもあるやもしれぬ。
ん、何かおかしいか?
家族食堂。
舶来の言葉は、なかなか使い慣れぬ。
同様に、舶来の文化も──
しかしお店のお勧めらしく大きく紹介されていた
きれいなアイスの盛り合わせを今日は注文してみた。
堪能したぞ。
甘いものを買ってもらえるのは幸せじゃ。
子供に生まれてよかった!
舶来の習慣も、あんがい悪いものばかりではない。
いいものじゃ、あのようなお店も。
それで、わらわも敬意を示して
きちんと正しい名前を覚えるとしよう。
この際だからの。
ふぁ、
ふぁみ
ふぁみれ、
す、
じゃ!
それからな、お勉強したぞ。
ふぁみ、は家族のこと。
わらわたち全員のことじゃ。
この天気で、兄じゃや姉じゃたちには苦労も多かったようだが
また家族で行きたいのう。
帰ってきたら、まるで長い旅行から帰ってきたかのように
大勢で声をそろえて
やっぱり家が一番落ち着くな!
たった数時間のおでかけだったが、
家族みんなにとって、ずいぶん強烈な体験になったな。
過激な思い出の一日、みなそれぞれに楽しんだかの。

それにしても、
疲れて帰ってきたのだから、ゆっくり休めばいいと思うが。
あともう少しで春休みも終わりになるから、
じっとしていられないか。
ヒカル姉じゃは、録画していた野球を観戦して
目を潤ませては、
興奮を抑えきれない様子で
もうれつな速度の腕立て伏せを繰り返しておった。
それから、大きい子も小さい子も混じって
この春休みに楽しもうと買い集めた本を片付けなおして、
先日読んだ、
まだ読んでない、と話は弾む。
短いはずの春休みなのに、
ずいぶんいろいろな場面を
めいめいが辿ってきたかのように
語り合ったものじゃ。
しかし、誰が選んできたものか
おどろおどろしい気配を放って混じっていた一冊が、
悪い予感をかきたてる。
聞けば、わらわが異界のものを好むだろうと
一緒に楽しみたくて、買ってきたとか。
うむ、わらわはあやかしに強いぞ。
しかし、それは修行を積んできたからであって、
まだ知らぬ領域を集めた
世界の怖い話の本は
わらわの修行では、なかなか及ばぬ。
科学の発展によって改造された恐ろしい生物、
夜空の彼方より飛来する未知の侵略者、
そして文明の機器がとらえた理解困難な異常、
あの心霊写真とやら。
吹雪姉じゃが言うには、カメラに詳しい人なら
たいてい原因は見当がつくそうな。
しかし、吹雪姉じゃもそうらしいという話を聞いただけで
カメラに詳しくはないので、説明してはもらえなかった。
わらわが見るに、これはおそらく──
怨念というには、印刷物やフィルムから感じるというものでもないし。
うーん、不思議じゃ!
よくわからなくて、
怖いのう!
実は兄じゃ、
わらわは今日、ふぁみれす、に行って
どりんくばあ、を生まれて始めて体験して
わんさかジュースが出てくるぞ、
裏の山からジュースの井戸でも掘り当てた
ジュース長者のお祭りか何かなのか、
と、面白がって飲みすぎて、
夜寝る前にごふじょうに行っておかないとまずいと
わかっているのだが。
あいにく、こんなときに限ってキュウビまで疲れたようで
気持ち良さそうに鼻提灯を出している。
おそらく、恐ろしいものが相手でも
話せば意外と悪いやつではない。
わけのわからぬものにおびえながらも、なぜか心を惹かれるのは
それが解明可能だと、なんとなく思えるからであろう。
でなければ、不思議の塊である兄じゃに
これほどまで惹かれる理由がないではないか。
家族であれば、いつかは恋人の心のうちもわかるやもしれぬ。
わらわの力の前では、やがて兄じゃの謎はまるはだか。
兄じゃの全てを知ってしまった後は、
今度はわらわの主導で仲良く過ごす時間の始まりじゃ。
そうなれるよう、精進の毎日を過ごすとしよう。
もうちょっと強くなるまでは、わらわが手も足も出ない
えいりあんや、こわいこわい顔のようなしみに
襲われたときには、守ってもらわねばならぬのじゃ。
今夜だけでもいいから、ついてきてくれぬかの。
こわーい写真には、言って聞かせるわけにもいかん。
科学の恐ろしさが相手では、古来よりの闇に対抗する力もなすすべがないが、
家族の愛の前では、その恐ろしさもちっぽけなものになりはてるのじゃ。

さくらの偽日記

『しんがっき』

どきどき、
しんがっき。

ぴっかぴっかのいちねんせい
に、なると
ともだちは
ひゃくにん!
できるんだって。

ひゃくにん、
って、
どのくらい?
なんにん?

にじゅうにんよりおおい?
すくない?
おうちのかぞくよりおおかったら
ふぁみれすにいくまえに、よやく。
かぜのひは、いのちがけであそばなきゃ。
とほうもない
にんずうです、
ひゃくにん。

いちねんせいになるって
たいへん!

さくらは、
ようちえんのねんしょうさんです。
そのうち、ねんちゅうさんにそだって、
ねんちょうさんでむねをはって、
どうどうとそつぎょうしたら、
ほんとうにいちねんせいになれるのかな?
ようちえんでしっかりおべんきょうできないと、
さくらはだめよ!
って、いわれるかもしれない。
そうなったら、かなしいです。
いちねんせいってとおいね。

ねんしょうさんは、
ともだち、なんにん?
さくらは、
いち、
にぃ──
……
あんまりいないの。
ちゃんとひゃくにんになる?
そんなんじゃ、ともだちひゃくにんできません!
いちねんせいはだめ!
って、なる?
まだだいじょうぶ?
ちいさい子なの。
そらちゃんだと、ともだちどれくらいいるのかな?
そしたら、おしえてくれたよ。
ごひき!
にじこちゃんは、ともだちのにんずう
はっぴき!
と、はちにん!
おうちや、こうえんにくる、
ねんしょうさんよりちいさいおともだち。
あーちゃんは、まだあかちゃんだから
かぞくだけ。
じゅうきゅうにん。
あれ?
あかちゃんなのに、おねえちゃんたちより
ふえた。
おおいね?
おうちのかぞくは、いっぱいです。
さくらも、あかちゃんのころは
おともだち、じゅうきゅうにんだった?
そうだとおもうの。
だって、かぞくは、きのうもきょうも
にじゅうにん!
これからだって、
にじゅうにん!
いつでも、
にじゅうにん!
ママがいたら
にじゅういちにん!
なの。
でも、さくらね、
おともだちがほんとにそんなにたくさん
できるかなあ?
ひゃくにんって!
あのね、
おともだちをつくるの、にじちゃんがとくいです。
ふぁみれすにいったら、
さくらは風にびっくり、
人のかずにびっくり、
お子さまランチがたのしそうでびっくり、
たべておいしさにびっくりして
おどろいてばっかり。
にじちゃんは、
お兄ちゃん、おいしいね!
お兄ちゃんも、おいしいですか?
あーん!
まあ!
りはつなこね。
かわいいね。
いくつ?
にさい?
おとなっぽいわ!
まわりのおばさんたちと
すぐ、おともだち。
にじちゃん、いちねんせいになるよりさきに
ともだちひゃくにん
できるかも!
お兄ちゃん、あーんしてもらえてよかったね。
おーいしかったもんね、おしょくじ。
かわいかった、お兄ちゃん。
にじちゃんの
いもうと?
じゃあ、さくらのいもうと?
お兄ちゃんに、なでなで。
あーん。
だっこしてあげる。
かぞくだいすき、
かわいいいもうとだいすきな、さくらなの。
お兄ちゃんのことも
だいすきなかぞく。
おおきいから、だっこはできない?
もう、
おとなになった
お兄ちゃん。
さくらをだっこしてください!

ユキおねえちゃん、かわいいから
おともだちひゃくにん
すぐできるよ。
マリーおねえちゃん、かしこくて
みんしゅうひゃくまんにん
こんどはちゃんと
したわれるんだって。
もちろん、おともだちもいっぱいできるの。
おおきくなると、
おともだちはなんにん?
みはるおねえちゃんは
いちおくにんだって!
テレビの向こうで
かつやくをおうえんしてくれている
おともだちが、
そのくらい、
いるかもしれないって!
すごーい!
いちおくにんって、
なんにん?
さくらのおててのゆびと、
お兄ちゃんのおててのゆびと、
あと、どれくらいたしたらいいのかな?
じゅうはっさいで、いちおくにん。
それでね、さくら聞いたことある!
いちおくのつぎは、いっちょう。
おともだちが、いっちょうにんになるのは
なんさい?
はたちくらい?
おとなになる、はたち?
あれ? お兄ちゃん、はたち?
まだ?
おとなじゃないの?
そうかなあ?
お兄ちゃん、おとなだよ!
はたちだよ!
はたちじゃなくても、りっぱだよ!
さくらの大きなお兄ちゃんです。
おともだちはなんにんいる?
いっちょう?
それとも、さんごくしみたいに
だいじなしんゆうが
ふたりくらい?
さくらにもできるかな?
はたちになったとき
お兄ちゃんに、しょうかいするの。
おともだち、いっちょうにん。
できたらいいな。
まっててね。

吹雪の偽日記

『メリーゴーランド』

新学期が始まりました。
私は今年から、小学2年生です。

国語、算数、
理科、社会、
体育──
そして給食。
すでに知識のある分野も
そうでない分野も、豊富です。
もらったばかりの新しい教科書を開くと、
これから一年、この教科書を友として
未知の世界に歩み出すのだと実感します。

正直なところ、
知っているのにまた学習する義務は億劫です。
興味深いことは多く、世界は限界なく広い。
知れば知るほど、新しい謎を発見し
また私の庭は広がっていく。
なぜだろう、
なぜだろう、
どうなっているのだろう。
その疑問に、小学校の教育が答えられるとは思えません。

しかし、不満を言っても仕方がない。
それよりも、今は、私の兄と姉たちがみな経験したという
小学校そのものに興味を覚えます。
同じ教育を受けて、なぜこれほどまでに
異なる個性を形成したのか。
私と一生を共に過ごすこの特別に興味深いもの、
家族、
そのひとりひとりを現在まで育てることについて
いかなる役割を果たしたのか。
それは文部省の学習指導要領によるものか、
あるいは、そこで過ごした別のことに意味があるのか。

キミはどのような小学校生活を送ったのですか?
男子は、幼い時期はたいてい無茶をすると聞きます。
何かしましたか?
無知と野生の衝動に駆られるまま
危険なこと、非道徳的なこと、
家族に話せないことをしましたか?
疑問です。非常に考えにくい。
いけない経験によって、好意的かつ一般的と思える人格が育まれるものなのか。
何があったとしても、小学生時代のこと。
今のキミへの評価を変えることはないので
正確に、全ての情報を公開することを望みます。
必要なデータです。
去年は、私のクラスでスカートめくりが流行しました。
不愉快な行為です。
あれは良くないことです。
いけません。
ただ、知識欲を止められない気持ちは分かります。
過激であるということはつまり、密度が濃厚な交流手段のひとつでもあります。
しかし、同意を得ないでしてはいけません。
そもそも、同意を得ても、そんなことをしてはだめです。
私たちは小学生なのですから。
いえ、大人になれば同意を得た上で可能な行為なのか、それは知りませんが。
とにかく、小学生が控えるべき反社会的行為です。
私は家族から学んだ経験によって
まずは話して聞かせること、
相手の気持ちになるべきと私たちが学ぶように、
相手にも私の気持ちを想像するよう、促しました。
気分を害していたため、冷静な口調ではなかったかもしれません。
気持ちをわかってもらえるようにと心がけて伝えた、というか
説教した結果、
叱った本人だけでなく、かつて被害にあった周りの生徒たちからも
あねご!
あねご肌だ!
と、慕われるようになりました。
あねごは、面倒見がいいのだそうです。
そうでしょうか?
私は家族の中でも、好んで人に干渉するほうではないと考えます。
学校を基準とした生活集団では違うのでしょうか。
快適だとか、自分に都合が良いばかりでもありませんが
発見も多い、実りある小学校生活です。
今年から2年生に進級し、
学校生活において、名実共におねえさんとなります。
また学ぶことも多いでしょう。

キミはスカートめくりをしたことがありますか?
とても困る行為なので、なるべく避けてもらえたら助かります。
どうしてもと言うのであれば、家族のことでもあるので、真剣に考えます。
考えるというのは、許可するという意味ではありません。
その行為がどのような意図から出ているかを観測し、
他人では許せないことも許し、
なるべくなら、よい交流ができるようにしたい。
愛することは理解であると霙姉は以前に言っていましたが、
そうなのでしょうか?
私はキミを知りたいと思います。
現時点では、何よりも好奇心を刺激される存在です。
愛なのでしょうか?
あるいは、知識欲?
男子がスカートの中身を知りたがるように?
不快なら言ってください。
これが許されない行為だとしたら、別の手段を探します。
学校では教えてくれないかもしれませんが。

大人になるために、小学校が必要であると考えられているようです。
毎日の学習で得られたことを大事にしようと思います。
学校が始まる前、
名残惜しい春休みの終わりに、
立夏姉たちは、買い溜めたおやつの食べおさめをしたそうです。
私も参加しました。
春休みはやはり特別な時間であったと、寂しさを感じたからです。
これまでにも何度か経験した、隙間風が吹くような大事な日々の終わり。
終わって、また始まって、次の終わりに通過する場所は
また同じなのか、それとも──
なるべく控えめに参加していたのが私と麗姉の二人。
なのに麗姉は、久々に袖を通す制服が
少々きつかったためにショックを受けていたようです。
しかし、成長することは止められないし、歓迎すべきこと。
私は、
大きくなれませんでした。
もう少し、暴飲暴食を、
いえ、成長期を待つことにします。
大人になったら海晴姉の後を継いでお天気お姉さんになって欲しいと
期待されています。
霙姉は、私が生徒会長になったら面白いだろうと言っています。
面白いとは、どういう意味の面白さでしょう?
これは期待されているのか、からかわれているのか。
キミは私に、どんな未来を期待しますか?
真剣に考えます。

ヒカルの偽日記

『愛され』

激しい雨と、
吹き飛ばされそうに強い風。

台風みたいに強烈な
春の嵐。

うちのチビたちも
また興奮する。

低気圧が好きなのかな?
元気がありすぎて、
激しい気候には対抗心が生まれるのか。

今日は、昼過ぎから雨が降り出すと、
普段の雨とは違った勢いに、盛り上がる妹たち。
青空はガラスに鼻をくっつけて
食い入るように外を眺めていた。
顔が冷たくなかったのかな?

私はこういう天気を無邪気に喜べるほど
子供じゃないみたいだ。
せっかくの土日なのにな、って。
これから学校が始まったら
嫌でも机にかじりついていないとならないのに。
別に、それが嫌というわけではないけど。
そんなことを言ってしまったら、妹たちに偉そうな口はきけない。
でも嫌かどうかは置いといて、
やっぱり外で体を動かすのが健康的でいいよ。
ああ、なんかもったいないな。
もったいなくて、ウズウズするな。
おまけに、もうすぐ身体測定。
体を張って記録を出して、
健康な肉体を数値で残す日。
来年の成長までの公式記録。
これまでずっと、一年をそうして楽しみにしてきたのに
直前になって体を鍛えられない
このもどかしさ。
蛍はこの際だから体重を絞るつもりらしいけど
こう雨が降ると、私が手を貸してやれることも少ない。
蛍の成長も著しくて喜ばしい。
本人は、このままだと胸がミサイルぽく飛んで行ってしまわないかなんて
冗談を言うくらい。
でも、風呂で見ると確かに予想を上回る成長に
これはもしかして冗談でなく心配になることもありそうだと
見ていてはらはら、
風呂場で蛍に相談されて、赤くなったり青くなったりした。
って、この話はオマエにしないようにって口止めされていたんだった。
聞かなかったことにして、すぐ忘れるんだぞ。
わかったな。
自分ではままならない、体の成長。
女の子に生まれたんだから、悩むことも多い。
春風だって、王子様に振り向いてもらえるようにと
毎晩、愛されボディを目指して、努力を続けている。
これも言わないほうがいい気がするな。
別に口止めはされていないけど。
誰だって悩むとはいえ、
体のことなんて、なるようにしかならない。
成長なんて人それぞれ。
そんなこと気にしないで、明るくいられたら一番いいんだけどな。
というかそもそも、愛されボディって何だ?
筋肉がついた頑強な肉体は、
やっぱり女の子の目指すゆるふわじゃない気がするな?
まあいいか。
私には、なれないし。
それより体を動かすほうが楽しい。
とはいえ、達観するのも難しい年頃の、
そんな子が多いこの家だ。
オマエが男の子として、意見を言ってやったらどうだろう。
体の成長で悩むことなんてない、と。
かける19。
私は言ってもらいたいほど女の子らしくしていないから、
18人分でいいや。
それとも、オマエも体の成長にはひとことあるだろうか。
それもありだな。
相手のことを思っているなら、思うとおりに伝えればいい。
家族なんだから、隠し事は良くないよ。
もしそれが万が一、相手を泣かせるようなことなら、
同じ家族として、私がフォローすればいい。
何を言い出すとしても、
オマエが悪い人間じゃないことは良く知っている。
女の子の体のことで何か意見があったら、きっと参考になる。
あ、まず私が聞いてやる。
先に麗あたりに聞かれたら、男の子の意見に動揺しそうだし。
今日明日は、暇もありそうだし。
話があったらいつでもいいよ。
外に出られないで、時間をもてあます週末。
興奮した妹たちをなだめるために、
年上の私たちは、今日はずいぶん遊んでやって、
へとへとで、だけど満足して、わりとみんな早く寝付いたみたい。
家中こんなに熟睡しているようだと、
チビたちなんて、起きたらすっかり体力もみなぎっているだろう。
明日の天気予報によると、朝方まで雨で、その後も一日空模様は不安定。
また子供たちは、体いっぱい精いっぱい遊びたがるかな?
雨があがったら外に出てみたくなるかもしれない。
そうなったら、危なくないように見ていなくちゃいけないし、
付き合って遊んでやりたいから、また疲れるかも。
私に天気の予測はできないけれど、
長年の経験を生かして、たまにはしてみたい。
家族の、今はまだ分からない活動予報。
私の予報では、
明日は全員が全員、一日中ずっと手に負えないだろう。
過去のデータも天気図も人工衛星も使わない、根拠のない予想。
もし当たったら、
ちょっと嬉しい。
それだけ。
仕事でもない、役に立たない、ただの遊び。
当たればいいな。
その時、また明日が元気な子を相手にする日になったら大変。
オマエも早く休むんだぞ。

氷柱の偽日記

『できないから』

ちっちゃい子たちと
たくさん遊べて
よかったじゃないの。

ふん。

雷が鳴ったら
抱きつかれ、
風に吹き飛ばされないよう
抱きつかれ、
雲の晴れ間に
手を引っ張られて
急に雨が降ったら
妹たちを小脇に抱えて
屋根の下へ走るの。

優しいお兄ちゃんね!

泥だらけになった子供たちの服を
家の中に干すのも手伝って、
窓際の日当たりのいいところで乾いたら、
明日はパンツをたたむのだって手伝うんでしょうね。

私たちの家には、
いい家族が来てくれたものね。
優しくて、頼りになるそうじゃない。
ふーん、こんなのがね!
こんな下僕がいいのかしらね。
お兄ちゃんが欲しくてたまらない小さい子たちの気持ちは
私にはわからないわ。
小さい子じゃないから。
私たちの家族に必要だったのは、
こんな優柔不断な男なの?
考えられない。
理屈に合わない。
ばかばかしい。
好きになるなら、勝手になればいい。
こんな男でよかったら。
でも、その男が調子に乗り出して
いいところだけ持っていくのは気に食わないわね!

雨が降りそうなとき、
風が強くなって寒いとき、
家に入りなさい!
っていう当たり前の忠告をしたら
何がいけないの。

まだいいじゃん!
氷柱ちゃんの
おにばば!

どうせ私は、
優しいほうじゃない。
どちらかというと鬼に近いわよ。

女神がいる泉に落し物をしたら
たぶん戻ってくるものは──
金の斧、
きれいなジャイアン、
ボインのにこにー、
知的な下僕。
それから、
優しい氷柱。
きっとね。

いいわね。
頭があんまり回らなくて
ひねくれていないってだけで
歓迎されるのは。

本当は、
節分で豆を撒いて追い払われるのは、
お面をかぶったみんなの人気者じゃない。
あなたは、うちにやってきた福の神。
そういうことになっている。
生まれたときから来ることが決まっていて、
だから、いてくれたら嬉しくて
仲良くしているのが嬉しくて
余計なお世話を焼いてみたくて
これからもずっと、一緒にいようねって
言ってる人は、私じゃないけれど。

まあ、私だって
豆をぶつけられたくらいじゃ逃げないから。
だいいち、本当は追い払う必要がありそうな鬼でも
家族だからって家に置いて優しくしてしまいそうな
お人よしだらけ。
パンツをたたんでいる時点で
何かおかしいって思わないのかしら。
思わないのか。
私たちのこの家だもんね。

雨の日も、風の日も、
みんながいるから楽しい家族。
あの子たちと楽しく遊んでくれるのは
いいことだと思ってる。
家族が幸せで、不満を感じる理由なんてない。
何が気に入らないのか、って
そんなこと知らない。
ご主人様が不興なら
下僕が解決策を考えればいいでしょう。
たいして期待もできないけれど。

春の短いお休み、
すぐに終わる特別な日々も
いつの間にか日常の一部になっていた。
多感な季節に、私も影響を受けているわけでもないだろうけど。
明日からはまた、学生らしい日常に戻って
これまでどおりの一年が始まる。
春には新しい学習が始まり、
夏は自分なりに挑戦してもいいし、
秋を落ち着いて過ごして、
寒い冬を乗り切ったら、
また今度の春休み、があるのかな。
それまで、どうせ優しくもできないし、
仕方ないから、また不愉快な嫌われ者でいい。
どうなったって、きっと来年だって一緒でしょ。
過ぎた季節を惜しんでも仕方ない、
新しい学年に不安を抱いてもいない。
やっと研鑽に励む、学生の日常に戻れるわ。
下僕も取り残されないよう、
足りない頭をそれなりに使って、学生らしく励んでね。

霙の偽日記

『月うさぎ』

私たちは、宇宙の全てを知っているわけではない。

学校とは知りたいことを残らず教えてくれる場所ではない。
しかし、知を収集する助けになることは間違いない。

全ての知識が書物となって所蔵されている
バベルの図書館は、宇宙よりも巨大になると聞いた。
私たち人間の及ぶ領域ではないな。
人の脳は、不可能を可能にする小宇宙。
それでも、あまりにも及ばぬ知の深遠。
あらゆる人間が塵に等しいと同じく、
学問を求めるものには、宇宙でさえも塵の一粒となる日が
いつかやって来るのかもしれない。
知を求めることの空しさ、儚さ。
しかし、追い求めることが喜びであることもまた
否定できない。
誰もが一度は疑うことであるとしても
どうしても取り戻そうとする、新しい希望のはじまり。
それは人類にとって新たな出会いであり、
新大陸であり、
成し得ない一歩を実現させて踏み出す天体であり、
やがて、目的に至ろうとする危険に満ちた航海もまた
目的そのものであることに、いつか気がつくはずだ。
そして、私の学校の生徒が道を見失うときには
私が生徒会長として、手助けできることもあるだろう。
もしも、
学校はつまらない、
一部の者のためにできている、
そう思い悩むときには
決してそうではないと
知っているから私なら教えてやれる。
それは私たち誰もが迷う
果てしのない旅の縮図。
やがて踏み出す荒野の冒険において、きっと手助けとなる経験。
この小さな校舎で迷うことがあるならば
絶望的なまでにちっぽけなひとかけらの同士として、
手を取り合い闇を透かし見ることを試そう。
または、わずかに先を進む先輩として
ほんの少しの助けになろう。
そして、同じ道を迷う航海の、別の船を操る船長として
私に多くのことを学ばせて欲しい。
私は全ての入学生を歓迎し、
全ての生徒が学び続けることを喜ぶ。
多少のはねっかえりもいるだろう、
誰もが戸惑いを見つけるだろう。
だが、つまづくこと、傷つくことは、立ち上がれなくなることと同じではない。
大丈夫、何も間違いなどない。
この学校で誰よりもやりたい放題やっている私が
生徒会長として言うのだから、確かなことだ。

新学期が始まって、数日。
学校生活はどうだ?
困ったことがあったら、いつでも頼ってくれ。
たまに学校にいないかもしれないが。
そうだ、これでも忙しいから
骨休めと思って自主的に英気を養う場合もある。
そんな時は、家で相談に乗ろう。
オマエがいつも帰ってくる場所だ、必ず顔を合わせるだろう。
しかし、オマエも難しい年頃だから、
家を出て一人で考えたくなるときもあるだろうか?
ないか?
私は、ないな。
嘘をつかないでいられる、過ごしやすい家だ。
次女として、多少は過ごしやすさに貢献した自負がある。
あと、年上の特権を利用している自覚もある。
これが学校だと、多少は飾る部分も必要だ。
新入生歓迎の挨拶に、
塵だの儚いだのと入れては困ると
先生方から事前チェックでNGが入った。
いいスピーチだと思うんだがな。
というわけで、先ほどの説教は没になった原稿からの再利用だ。
残念ながら、これを披露できる相手は気を許した仲の人間だけだ。
とはいえ、まだ外面を良くしようと着飾っている感じはあるな。
たとえば、大航海時代をやけに称えてしまったが
コロンブスが新大陸を発見したのは、実は偶然だった。
当時から地球が丸いことは知られており、その大きさも予想されていた。
地球の大きさを勘違いしてインドへ向かおうとして、
失敗するはずの航海でたまたま見知らぬ島にたどり着いた。
コロンブスの卵とは、計画性がないという意味でもある。
たぶんコロンブスが先端を割った卵は、勢いで半分くらい割れていたんじゃないかな。
それに、大航海時代に行われた文化の破壊の多くも、ずいぶん乱暴だった。
当時の倫理観で許容できずに破壊した記録。
そのせいでイースター島のモアイ像は、人類の技術では不可能なオーパーツとなった。
運搬の用途で活用できる木がないあの島で、どうやって巨石を運んだのか。
実は、モアイ像が作られた当時には木があって、その後なくなっただけの話だ。
この発想の転換がコロンブスの卵だ。
知の航海もまた、海を渡る冒険に等しいのだな。
オマエもなるべく無理のない範囲で学問に励むといいだろう。
間違っていても、コロンブスのように何かを見つけるかもしれない。
つまらない意地を張ったとしても、後を追うものが始末してくれるかもな。
人間はちっぽけなものだが、活躍するときもあるのだ。

そして、学校だけが学ぶ場所ではないこともまた知っておくべきだろう。
今日は暇な時間を作って、新しい学年に進む妹たちの様子を見に
小学校へ向かい、
家族の成長を喜び、
誘われるまま
サッカーに参加して
いい汗を流してきた。
あの屈託もなく楽しむ小さな姿こそ
私が通り過ぎてきた幼い姿であり
これから進む道を示す師でもある。
発見を繰り返す、いい放課後だった。
サボリだなどと驚かれるのは心外だ。
迎えに言ってあげた当の妹たちにまで、
学校はどうしたのかと心配された。
そこまで自由奔放に見えるだろうか?
少し自由なだけだ。

これからも気兼ねなく
自由気ままにやっていられたらいいのだが
学校が始まれば、朝早く登校する規則正しい生活は必然。
これで夜更かしができなくなる、と思うか?
甘いな。
甘いものは好きだ。
オマエが私を甘く見ていているのもかわいいものだ。
私なら、学校が求めるものにとらわれない。
夜の暗黒、宇宙の浪漫を楽しむことに妥協はない。
月を見上げて、餅をつくうさぎもまた学問の師。
暗黒の広さに思いを馳せ、
しるこの缶を開けるとしぶきが飛び跳ね、ひととき白い月を背景に踊る。
あれは儚い活動なのか、未知を目指す偉大な一歩なのか。
この言葉では表せない愉悦の時間。
夜に学ぶ何かもまた、私の儚い生を少しだけ豊かにする。
師よ、月に住み、同じ食の好みを持つ友よ。
おまえもやはり、あんころ餅が好きなのか?
学校が始まっても、私の楽しみは誰にも奪えない。
飛び跳ね、収穫を喜ぶ月の同士と
夜の歓喜を分かち合おう。
小さな窓だが、無限へと繋がっている。
私たちが作る学校生活もまた、そうありたいものだ。

麗の偽日記

『不機嫌』

人の趣味は色々。

新しいクラスで数日を過ごして。
去年までの友達も、
よく知らない人も、
少しづつ打ち解けて話すようになって。

よく話題になるのは
趣味のこと。
好きなアイドルに
マンガ雑誌、
よくやるスポーツや
普段の習い事。
花壇の世話についてだとか、
お菓子作りの挑戦もある。

小学生女子の趣味なんて
かわいいものね。
すぐ宇宙の塵なんて言い出さない、
勉強をしたほうがいいなんて知らない。
日記を書いてがんばって仲良くなる必要もない。
ましてや、王子様を求める夢なんて見ない。

ここは守られた女子校、
まだ恋を知らない世界。
そんなはしたない言葉は、なくていいの。
私たちの思いは、まだ閉じられた箱の中。
長い間秘めた感情も
知ったばかりの苦味も甘さも
全部、やっと顔を出し始めたばかりのつぼみ。
興味本位で触れることは
誰にも許されない。
粗野な男なんて、どこにもいなくていいの。
このままでも、ときめきの羽も夢の帆船も充分。
求められる学び舎、
もうしばらく必要な温室。
そうでしょう?

男に同意を要求する理由はないけど。
そういうところなの。
不愉快に我慢する悲劇は
なるべく少なくていい。
たとえ、試練が絆を強くするとか
ピンチはチャンスとか
安易な展開が求められるとしても
私たちの年頃の子は、複雑で繊細で
何も固まっていない、物理的な説明ができない物質。
型にはめる理屈よりは、
広々とした箱庭でもう少し。
健全な心身を育むの。
なんで木花は共学なんかになったんだろう。
男なんかに触れないで学ぶ時間が
必要なんだってこと、
春風姉様の持って行かれる姿を見れば
誰にだって判断できることだと思う。
あの、不要なよろめき。
学習するべき大事なことが足りていないわ。
何か。
つつしみ、だとか。
そんなのが。
なぜないの?
共学校では学べないのかしら。
私は、姉様たちみたいに
男にたやすく気を許す
はしたない大人にはならないわ。
家族だから少しは認めてもいいけど
せいぜい。その範囲。
優しいところがあるから子供たちは喜ぶけど
そんな相手だからって、ふらつきすぎ。
私はこれからも女子校に通って、ちゃんと育つの。
あと2年で、あなたと同じ学校に通うなんてことはない。
その時にはヒカル姉様が生徒会長になって
健全なけじめがついた学校に変わっていると思うけどね。
あなたが退学になると気の毒だから
とりあえず、そこまでは要求しないわ。
ともかく、私が今後も女子校に通える理屈、
何か考えておいてね。
あなただって、こんな妹が一緒に学校に通うと苦労するのは
想像できるでしょ?
私に世話を焼く余裕があったら、
来年から小雨ちゃんを助けてあげてよ。
ね。
それが、収まりどころ。
誰も不幸になってはいけないものね。

魅力的な電車の話を、
学校でもしてみると、
男の人が話し相手にいたらよかったね、だって。
そうでもないわ。
うちにも男の人が一人いるけど、
そりゃ、時々は電車に乗りに連れて行ってもらえるけど。
話し相手になってもらって、楽しいかどうかは
かなり、
疑問!
男なんて、がさつなだけだし。
私の話をわかってくれているのか、どうなのか。
女の子でも、伝わっている気はしないけど。
話し方の問題?
ところで、家族に男の人がいるって言ったら
お父さん? って聞かれた。
お父さんって。
まさか。
こんな頼りにならない人の娘に生まれた覚えはないわ。
お兄ちゃんがぎりぎり。
許容範囲。
やっぱり、ときどきアウト。
しっかりしてよね。
いくら憧れるからって、電車の娘になるわけにはいかないんだし。
同じくらいたくましくなって、とまで願うのは酷だけど。
あともうちょっとくらいは、希望していい?

学校で盛り上がらない趣味の話は、
家で帰りを待っている小さい妹が目を輝かせて聞いてくれる。
誰の、どんな話でも、
電車のこと、
宇宙のこと、
マホウのこと、
恋の話まで。
今のところは、数学の話は人気がないみたいだけど
電車の話も、なにかよくわからないけれどかっこいいものだと
ヒーローみたいな扱い。
まあ、だいたい合ってるから、今はそれでいいか。
もう少し大きくなったら、正しく理解できるようになるよね。
かっこいいならお兄ちゃんみたい? って言い出すの。
子供の言うことは思いがけないものね。
全然違うのにね。
どこをどう混同したら同じになるんだか。
恋の話も電車の話題も似たような扱いの、小さい子たち。
いつまでもその純粋な心を忘れないでいてほしいな。
お兄ちゃんみたいになりたい、って夢と
電車みたいになりたい、って夢が同じらしいのは
私としては複雑なところだけど。

星花の偽日記

『安全第一』

今日は、ユキちゃんに嬉しいことがあったので
日記の番を替わろうか、
と相談したところ、
順番は決まっているわけだし、
理由があって替わっていたらきりがない、と
海晴お姉ちゃんの決定です。
例外は、麗ちゃんのときくらいかな?
ちゃんとした理由があったら、いいかなと星花は思うけど。

でも、
これからだって
ユキちゃんにはいいことがあるよね。
ついに小学生になったんだから。
寒い曇りの日でも
風が強くても
心配なことが多くても。
家族がいつでも助けに行けるから
ユキちゃんは学校に行きます。
本人からお兄ちゃんに嬉しい話を伝えられる日も、
またあるはず。

あんまり入れ替わりをありにすると
夕凪ちゃんがみんなから前借りしすぎて
当分日記をかけなくなってしまいそうです。
そうなったら、また南の島に
お兄ちゃんが連れ去られてしまう!
愛のマホウの限界突破。
日記の間隔が開かなくても、ときどき発動しているかな?
というわけで、
今日の日記は
学校であった星花のできごと。

晴れやかな新学期になり、
一年生を迎えて、
登下校も新しい班を組んで
お姉さんたちが見守ります。
さて、新しい学校に通う子たちには必要なお勉強。
馴れた子達だって、この機会に確認しておくのもいい大事なこと。
それは、
交通ルール。
今日の午後は、全校生徒で体育館に集まって
交通安全指導の講習です。
劇団の人たちが演じる、危険な状況のお話。
あっ
あぶない!
小さな子も、目を大きく見開き
はらはらしながら舞台を見つめて
まじめに勉強していました。
ときどき、おもしろい演技でなごんで、
突然、はっとする瞬間。
たちまち迫る車輪。
不注意って、こわい!
道路を走る車は、もちろん危険なのですけど
歩行者が油断せず、交通ルールを守ることで
確実に事故を減らせます。
お兄ちゃんも気をつけてください!
いくら丈夫でも、人間は車に勝てません。
ちょっと無鉄砲な夕凪ちゃんだって
今日の帰り道では
右を見て、左を見て、手を上げて。
立派だったよ。
褒めてあげてね。

そして、講習の最後には
思わぬ試練が。
といっても、予想していないのは一年生だけで
二年生からは、去年かその前に経験しています。
壇上に何人か呼ばれて
習ったことの確認、
そして、普段から安全を心がけているか、
緊張の抜き打ち指導です。
選ばれたのは、ユキちゃん。
こころなしか、いつもより赤い顔をして
だけど、内気なユキちゃんが顔を上げて
元気にお返事。
お兄ちゃん、
ユキちゃんはがんばったよ!
その時、星花は気づいたの。
もちろん、いい子にしているから答えられる質問なんだけど
あれって、劇団のお姉さんのお話が上手で
丁寧に誘導してくれるから
緊張している子でも
劇の内容をうっかり忘れてしまっても
ちゃんと、大きな声で答えられるように
できていたんです。
星花は大人の事情を知ってしまいました。
昔、星花のシニヨンがまだ
ぴょこんと跳ねた癖っ毛みたいに短かった頃。
憧れは、関羽さまよりも
同じ赤いならイチゴだったあの幼い時間。
突然、壇上に呼ばれて試されたお友達に
がんばれ、がんばれと
心の中で声援を送って
誇らしい笑顔で戻ってくれたとき、自分のことのように
喜びあえたあの時の星花には
もう戻れません。
と言いながらも、星花は悲しくないの。
上級生のみんな、あの立派なお姉さんを目指すのでしょう?
一年生の不安な子を見てあげて、
登下校のとき、忘れそうになっている安全を
辛抱強く声をかけ、厳しく優しく思い出させてあげる
尊敬できる、年上のお姉さん。
いよいよ、どちらかというと下の子達を見てあげる
年齢になりました。
まだ最上級生には程遠いから
小雨お姉ちゃんのお手伝いをして力を付けていくの。
お兄ちゃんやお姉ちゃんたちがしてくれるような凛々しい指導。
家族として、星花にも受け継がれているでしょうか?
指導するべき下級生も、しっかりしている子が多いみたい。
今日のMVP、ユキちゃんをはじめとしていい子ばかり。
吹雪ちゃん、素直な夕凪ちゃん。
まだまだ年下の子に助けられそうです。
いきなりは、みんなを導けるようになれはしないけれど
たくさんの立派な大人の人たちを目標にして。
お兄ちゃんたちのかっこ良さを目指して!

この春から、少しお姉さんの学年になり、
四年生ライフを始めます。
かわいい一年生たちの見本になるように
背筋を伸ばして
何より、安全を心がけて。
後輩たちに、恥ずかしくない後ろ姿を見せられるよう
決意のさわやかな深呼吸を胸に
歩みだす道のりがはじまります。
行ってまいります!

真璃の偽日記

『休日の予定』

春休みが終わってしばらく経ち、
新しい生活にも慣れてきた頃。

フェルゼンはどう?
新学年に馴染んできたのはいいけれど
そろそろ、日々に新鮮さを感じなくなってきた?

そんなの、もったいない!
いつも心はフレッシュでいなくちゃ。
新しい世界を見つけ出して、触れ合って、よろこび。
敏感なのは、いいことよ。
退屈な日々なんて、いつでも隙を見て入り込んでしまう。
何事も楽しまなくちゃ。

春の花も
初夏の花も同じなんて言ったら
いっしょうけんめい咲いている花たちに
失礼だもの。
毎日の、きれいなところを
見つけ出しましょ。

マリーのきれいなところは
肌!
それから、
フェルゼンに似た目元!
さらに、
人を導く行動力。
ついてきて。
一歩進んで
三日で三歩。
あら!
そんなペースじゃあ
不満だわ。

マリーは新しいクラスでも女王様。
小学生からはクラス替えがあるって聞いたけど
幼稚園にはないの。
だから、同じままのクラス。
女王の座を競い、高めあうライバルたちもまた
この一年、よろしくね。
スポーツ万能の
リカちゃん。
おはなしの得意なみんなの中心、
アッコちゃん。
気立てが良くて人気者の
ももこせんせい。
マリーも負けていないのよ。
かけっこでも、
人の心をつかむ話術でも、
男を惑わす美貌でも。
そうでしょ、フェルゼン?
ピアノの腕前と歌声だけは、せんせいにかなわないけど
歌は虹子と、特訓中。
虹子せんせいは、意外とスパルタよ。
フェルゼンも、虹子には覚悟しておいたほうがいいかもね。
見ていて。
マリーは今のままで収まる器ではないわ。
厳しい試練を乗り越えて、
リカちゃんも、アッコちゃんも、ももこせんせいも
マリーにはかなわないってびっくりさせてあげるの。

それにしても、リカちゃんは大きくなったら
おうちのリカお姉ちゃまみたいに
元気が抑えきれないようになるのかしら?
それはないか。
リカお姉ちゃまほどには、なかなかなれない。
タフな幼稚園児の妹たちを相手にして
同じくらいの元気で張り合える中学生。
おまけに、ぐんぐん成長している真っ最中の年頃よ。
フェルゼン、マリーも伸びてると思うの。
でも身長の伸び幅では、心の成長は計れない。
マリーとリカお姉ちゃまと、どちらが本当に
フェルゼンにふさわしい女の子になるか。
焦って決めてはダメよ。

毎日を生き生きと過ごすのは素敵なこと。
驚いてばかり。
ちょっと大変。
聞いてよ!
こないだ春休みが終わったと思ったら
お姉ちゃまたちは、もうゴールデンウィークの相談をしているの。
早いわ!
早すぎるわ!
でも、
早く準備をしないと
予約でいっぱいになってしまうの!
ゴールデンウィークの魔力。
誰もが心うきうき。
人より先にと、急いでしまう。
もう少しのんびりしたらいいのにね。
わかるけど。
毎日をキラキラさせたい、
刺激をいっぱい詰め込みたい。
マリーだって遊びに行きたい。
今度は、
遊園地がいい!
子供だからこそ、無心になって
無邪気に遊びまわれる
そんな経験も必要でしょう?
でも、混んでるかな。
女王になったらその力で貸切にしたいけど。
ゴールデンウィークを楽しみにしているのは、女王だけじゃない。
あんまり横暴なことをしたら、革命だって起きてしまうわ。
遊園地革命。
あの女王は、遊園地をひとりじめして命を落とした。
歴史書にそんなふうに記されてしまうなんて!
本当は、家族みんなで楽しみたくて
愛のためにしたこと。
でも、そんな気持ちは歴史は伝えない。
いいの。
マリーの愛は、家族がわかってくれている。
信じている。
それで、マリーは満足。
フェルゼンも、マリーからの愛を疑わないで。
いつでもあなたへの愛が一番だということを。
運命が結んだ今度の関係に、何も間違いはない。
歳が離れているのは、
フェルゼンが立派になる頃には
マリーがちょうどよくかわいくなっているから。
人の長い歴史、愛のために死なねばならない女王もいるだろうけれど
マリーはフェルゼンのお嫁さんになりたいから
革命が起きないよう
遊園地は貸切にしない!

ゴールデンウィークの希望があるなら
早めがいいみたいよ。
海外旅行とか、予定に組み込めるし。
うちでは無理かしら。
小さい子が多いから。
それに、ベルサイユ宮殿に行っても、別に何にもない。
今のマリーだと、そんなに興味ない。
だってマリーが住む場所は、家族がいるこの家。
わざわざ出かけていく先じゃないものね。

また家族旅行ができるのかな。
刺激的な毎日と、
楽しみなゴールデンウィークが
革命なしでも、マリーの命を輝かせる。
愛が燃え上がるの。

海晴の偽日記

『誰のため?』

入学式の頃から
風が強く、
寒い日が続いています。
困ったね。
新年度が始まり、
ただでさえ波瀾万丈。
そんな中で、凍える気温。
やけに猛烈な新学年の始まりよ。

気になる週末のお天気は、
土曜日はまだ寒さが残りますが
それからは、暖かくなりそう。
大変だった一週間の骨休めには、日曜日はちょうどいい暖かさ。
変化がいっぱいのめまぐるしい週が過ぎて
ほっと一息つけそうね。

さて、今日は金曜日。
待ちに待った、かな?
週末が近づくと、
天気予報コーナーにたくさん届くリクエストは
お天気を招くマホウ踊り。
意外と人気。
特に、小さい子からの便りが殺到。
週末は、各地で何かしら予定があるものだからね。
全国で増える、晴天の願い。
私はまだ夕凪ちゃんから教わる弟子だから
そんなに効果があるお天気マホウはできないけれど
テレビを見ているみんなの願いをかなえたくて
がんばってみるの。
明日のマホウ踊りは、うまくできそう。
晴れの日曜日になーれ!
お日様さんさん、
ぽかぽか陽気。
とっても嬉しい、春の日差し。
まもなく来るよ!
楽しみにしていてね。

休みといえば、
そう、
まもなく。
というには、まだだいぶ先の話。

マリーちゃんもびっくりしちゃうわよね。
もう相談が始まっているというか、
4月のカレンダーの最後に並ぶ赤色の目立つ数字に目を引かれ
そうだ、今月末は連休ね!
と、私がつい話題を出したのが始まり。
だから別に、すぐ予定を決めるわけじゃないよ。
確かに、現代人に必要なのはスピード、とはいえ
世の中は焦って決めることばかりでもないし。
それから、連休の本番はたぶん
3日からの、4連休。
たっぷりのお休み、どうしよう?
家族で生かしたいよね。
キミもリクエストを出してくれれば
なんとかなるかも。
なんでも言って。
大丈夫、
無理なお願いだったら、ちゃんと
ダメよ!
って言うから。
おでかけの行き先でも何でも
20人もいると、話し合いは大変。
全員が納得いく結論なんて、なかなか出せない。
だから決まっているのはルール。
今年の連休を決める運命の鍵は
いったい何かしら。
多数決?
じゃんけん?
くじ引き?
それとも、誰かの鶴の一声?
その声を出せるのは
まだ麗ちゃんではないみたいね。

旅行のときになると、ちょっと切ないことが多い
麗ちゃん。
頼れるお兄ちゃんが来てからは、
ときどき望みが叶うこともある。
さすがに続かないかな!
残念ね。
そういつも鉄道旅行ばかりできないね。
麗ちゃんは、たまに我慢も覚えなきゃ。
ただ、我慢してばっかりで、妙なひねくれ方はしてほしくない。
何でもお願いは聞いてあげられないけれど
麗ちゃんのことは大事に思っていると、
わかってもらえるかな。
小さい子たちの思い出に残るようにと願うのと同じで、
麗ちゃんが家族のイベントを楽しめるようにと願ってる。
悲しまないでいてくれるかしら。
伝わってないかな。
愛を伝えるって難しいね。
キミには伝わってる?
難しいところ。
あーあ、
愛って何だ?
長女もまだまだ勉強中。
はりきって学んでいかないと!
家庭教師は19人。
私の場合は弟が1人と、妹が18人。
優しく教えてね。
私も、いつでも特別授業してあげるよ。
麗ちゃんにも、どうか
届け!
この愛。

家族のイベントは、みんなで楽しむもの。
意見があったらいつでも言って。
良さそうな意見ばっかりじゃなくてもいい。
麗ちゃんも、理性的な発言が増えたらいいけど
そうならないなら、それもかわいい。
却下されるとわかっていて、最初から意見を出せないなんて
悲しいよね?
家族の間だけは、そんなことがないようにしたいの。
なんでも言っていいんだよ。
マリーちゃんを育んだベルサイユ宮殿にする?
いいの、
ちゃんと無理って言うってば!
誰のための家族旅行なのか、
それは家族のため。
キミも家族の一員だから、
さんざん無茶を言っていい。
大騒ぎの家族会議にしたいね。
いつも望みがかなうわけじゃないとしても
いつもみんなが幸せでいられる家族で、
旅行にでかけよう。

虹子の偽日記

『どにち』

わーい!
どにちだよ!

おやすみだ!

どにち、
には、
おにいちゃんとなかよくなる
にっきがないの。

いやーん、
そんなの
さみしいよ。

だから、
にじこは、
おにいちゃんともっともっとなかよくなる
にっきをかくよ。

えっとね、
きょうはね、
みんながおうちにいて
あそんだよね、
おにいちゃん。

えほんをよんでもらったり
おひめさまのえをかいてもらったり
おひめさまにしてもらったり
したよ。
おせんたくと、おやつのおてつだいをしたよ。
えらいでしょ?
ポケットをたたくと
ビスケットはふたつ。
ならべたの。
にじちゃん、かつやく。
おおそうどう。

あしたは、どにちの
にち。
あさからずーっと
かぞくがそろっておうちにいるよ。
おにいちゃんに、
おはよう、
こんにちは、
こんばんわ、
あいしてる。
いちにちじゅう、ずっといる?
いいの?
ほんとなの?
ゆめみたいよ。
でも、ゆめじゃないんだって。

どにちがあって
よかったな。

あのね、
にじ、きいたんだけど
しってる?
しらない?
もうすぐ、いいことがあるの。
それは、
ながいおやすみ。
どにちのおやすみよりも、
もっと、たのしいらしい!
ごーるでんうぃーくっていうの。
きらきらかがやくほうせき、
きんきら
おうごん。
それが、ごーるでん。
おうごん
しゅうかんよ。
すごいおやすみがくるんだね。
よいこでまってます。
おうごんのひは、
きらきらするの?
どにちよりもずっと、かぞくがいっしょに
いるらしい。
そんなにもりあがったら
にじこ、
どうなっちゃうかしら?
おやすみはいいものね。

おやすみのおうさまは
なつやすみ。

おやすみのけらいは
ふゆやすみ。

ちっちゃくてかわいい
おやすみのあかちゃんは
はるやすみ。

どにちはね、
テレビをつけたらあかるいあいさつ
したしみのもてる
おやすみの
おてんきおねえさん。

それでね、
ごーるでんうぃーくは
きらきらだから
おにいちゃんなの。
おやすみのおうじさま。

それとも、
りっかちゃん?
ぴかぴか
はではで
きらきらファッション、
まぶしいえがお。
みんなのアイドル、
おやすみのおひめさま。

いいなあ。
にじこも
おひめさまがいい。

おにいちゃん、
にじこ、きらきらするよ!

そーれ、
くねくね
ぴかっ。
はい、
おほしさまだ。

にじこ、
ぴっかりきらきらした?
まだ?
もっとひかるぞ!

うっきっき、
ぴかぴかする
あかいおしり。
はい、
おさるさん。

どう?
おうごんのひ。
きらきら、
たりないきがするな。
きらきら、
もっとしたいな。

そうだ!
おやすみにはね、
しゅくだいがあるものなんだって。
だから
おにいちゃんにしゅくだいあげる。
にじこをきらきらひからせるように
してください。
わかった?
しゅくだいができたら、よくできましたのはなまるよ。
よくできたら、
いいものあげます!
ごほうびは、
なでなでとチュー! だけど、
それはひみつです。
なにがもらえるかな?
きっといいものよ。
おやすみのひには、
がんばって
しゅくだいしましょうね。

青空の偽日記

『しちへんげ』

がおー。
おおかみだぞ!
たべちゃうぞ!

おとこはみんな、
おおかみなんだって。
おにいちゃんも、おおかみ?

それから、

じゃーんじゃーん!
かんうだぞ!

おねえちゃんたち、いってたよ。
おんなのこは、
きまぐれ。
ひとよんで、しちへんげ。
いいもの、たくさんに
かわるよ。
しちへんげだ。
おんなのこのみらい。

りっかちゃんは
おにいちゃんをおそう
うえたおおかみになる。
おにいちゃんは、
おとこだからもんどうむようで
おおかみになる。
こわいなあ!
こわいこわい、
それがおおかみだ。
ひのたまをはきだす!

せいかちゃんは
かんうになる。
つよいぞ!
つよいつよいかんう。
ひのたまをはきだす!

うららちゃんは
でんしゃになる。
とおもったら、
ならない!
うんてんしになる。
かっこいいよ、
うんてんし。
ひのたまをはきだす!

それから、
はるかは
あいのかりうどになるの。
やせいどうぶつは、いちもうだじん。
おおかみをつかまえるよ。
りっかも、
おにいちゃんも、
にげられない
あいのかりうど。
ほたは、
おでぶになる。
いやーん!
おでぶになっちゃう!
うれしそうにいうよ。
いいものなの?
おでぶ。
そらも、おでぶをめざす!
ふとったいきもの、くまさん。
はちみつをたべすぎて
すのあなからでられない。
かわいいね、くまさん。
あいのかりうどはつかまえる。
やせいどうぶつ!
おでぶのくま、つかまっちゃう。
そらもつかまっちゃって
おやつもらう。

こさめは、
こさめじだいになるよ。
いつでも、どんなときも
はやりのおんなだ。
こさめ!
それから、
おにいちゃんは、なんになる?
おねえちゃんたちはね、
おひめさまになりたいこがおおい!
おにいちゃんも、おひめさまになればいい。
おすすめ!

あれ?
おおすぎる?
かわるもの。
しちへんげの
しち、は
こえた?
そら、もっともっと
なりたいものあるよ。

だからね、
しち、よりおおいもの。
ひゃく!
ひゃくめんそう!
したことあるよ、
ひゃくめんそうごっこ。
こんや、
おにいちゃんのこころを
いただきにまいります。
りっか。
っていうの。
こんや、
ひゃくめんそうがくる。

こんやって、
いつ?

そうだ!
はるかがいってた。
こんやは、
おうじさまに──
おいしいごはんを
たっぷりたべさせてあげたいな!

こんやは、
ばんごはんのじかんのこと。
おにいちゃん、ごはんすき?
ごはんのとき、
そらはひゃくめんそうになる。
ゆでたまご、はんぶんあげる!
いっこは、そらにはおおすぎる。
ひゃくめんそうのしわざだよ。
ばんごはんのできごと。

立夏の偽日記

『行き先』

ああっ!
休日が
もう終わりダ!

せつない笑点。

せつないサザエさん。

明日からは学校だよ。
いざ、
女の子らしく磨き上げる
自慢の生足
サラサラヘアー
明るい笑顔
元気なハート
などなど、もろもろを見せびらかして
通わなきゃ。

朝のニュースの占いは
どんなかな?
悪かったら、
運がいい子の近くにいなくちゃ。
20人もいれば、ひとりくらいは超ラッキー。
オニーチャンの運が良かったらいいな。
楽しみな一週間の
はじまりだ。

この休日、
元気チャージできた?
まだなら、今夜はヨフカシで
リカともうちょっと充電してくといいヨ。
元気の源は
チョコレート。
好きな人の話。
入浴剤で、バブルバス。
ホラー映画。
どれからはじめる?

もちろん、
ゴールデンウィークに向けて
旅行の予定も気分が盛り上がる。
温泉もいい、
混浴もいい、
家族風呂もいい。
他にもあるよ。
肌の露出がそこまで激しくない行き先。
たとえば。

最近、
暗黒物質とやらが見つかった
可能性があるとか?
まだるっこしい話。
よく知らないけど──
とにかく今、宇宙がアツイ!

だから、旅行先は宇宙にしよう!
というのは冗談で。

霙おねーちゃんの提案で
プラネタリウムが有力候補だよ。
知性的だし、
ロマンティックだし、
流行っぽいし。
おまけに、こどもの日のイベントも
開催されるところがあったりして。
暗黒物質のおかげで
女の子の関心は集中。
流行に弱いんだよね!

暗がりだし。
手を握る?
もっとする?
プラネタリウムに行くのが待てなかったら
映画館でする?

だけど、
リカはせっかくの長期休暇。
思いっきりはしゃいで楽しみたい。
走り回って跳ね回って、
疲れて帰ってきて寝ても、
まだ休みが残ってる。
なんてゼイタク。
やったー!
なんてのも、いいよね。
まさに連休を満喫。
こういうときにこそ、張り切りたい。
アドレナリンを放出したい。
だから、リカの提案は
子供も大人も一緒に体を動かして遊べる
筋肉もりもりの、夢の国。
アスレチックパーク。
広い草原で、グラススキーをしよう!
さわやかな春の風とひとつになれる、
この季節はやっぱり野外でなきゃ。
こどもの日のイベントもあるよ。
あと候補は、お花のテーマパークって案も出てる。
こどもの日のイベントも、やっぱりある。
どこにでもあるね!
こども多いもんね。
うちにもまだ、たくさん来ていいよね。
こども。
みたいなことを言ったら、氷柱ちゃんはいつも
自分がこどもみたいでなにをって笑うけど
リカはもうベイビーじゃないよ。
あ、オニーチャンがベイビーになりたいなら
いつでもいいよ。
こどもの日も近いし、
童心に返ってもいいと思うな。
せっかくだから、リカも子供に戻ろうかな。
大きくなったら、
オニーチャンと結婚する!
って、よくあるみたい。
リカ、まだ子供だった。
結婚するまで子供だ。
いつにする?
プロポーズの言葉は、どちらからにする?

気分が盛り上がったところで、
明日からの一週間も張り切っていこうネ。
進級してからの特別な日々が過ぎ、
小さい子たちがうらやましがる
大人の学園生活。
日常の一部分になろうとしています。
あと足りない部分は、
カレシ、
デート。
学園生活を見きわめて
デートスポットを探そうよ。
隠れてキスできるところはどこだ?
楽しもうよ、
一緒に通う学園ライフ。
寝過ごさないでね、
おやすみ!
リカが寝過ごしたら、キスで起こしてね。

夕凪の偽日記

『パワーのみなもと』

夕凪は知っている。

人間の成長に
欠かせないもの。
それは、
愛と、
カルシウム。

お兄ちゃん、
愛ちょうだい!

カルシウムは大事だよ。
骨になる。
そんな体のみなもとが、
牛乳に入っている。
夕凪は、牛乳が好き。
ご飯のときでも
おやつのときでも
いつでも飲むよ。
おいしい牛乳。

朝から牛乳。
夜まで牛乳。
うれしい牛乳。
おいしいな。

いや、そこまで一日中は飲まないけど。
栄養がとれて
おいしくて
暖かくて
いいものだ。
いい人生のお供、
いい牛乳。

星花ちゃんは、ご飯には合わないっていうけど。
まあときどき、お米と一緒だとむにゅってなるけど。
でも、牛乳。
やっぱりこういうとこで食う物に文句言っちゃ
いけないぜ!
これは、井之頭五郎のマネ。
夕凪の食べるこういうところって、どういうところかというと
家族がいっぱい、
友達わいわい、
一緒に食べる人が多い。
孤独じゃないグルメ。
でないと、味気ないよ。
ていうか、意味ないよ。
意味ないと思うんだけど、どうかなあ。
栄養は取っているから、意味はあるかなあ。
さみしいよ?
なんでやねん! って思うよ。
食べながら。

それがさあ。
牛乳はいいものなんだけどさ。
わいわい食べるのもいいけどさ。
お兄ちゃん聞いてよ。
男子はいけないんだよ。
牛乳。
給食の時間に、狙って変な顔をして
笑わせて吹き出させるの。
ひどい、ひどいよ!
夕凪のカルシウムを
どうするつもりだ!
反撃すると先生に怒られるし!
給食は男子と対抗する時間じゃありません!
仕方ない、
家に帰ってきて冷蔵庫の牛乳を飲んだ!
おいしいよね、家の牛乳。
いっぱいあるし。
たっぷりほしい、栄養。
育ち盛り。
と思って飲んでたら、
なくなっちゃった。
意外となかった!
20人は多かった。
というわけで、大量に飲んでしまった夕凪が
このたび、任されたお仕事。
明日は時間があったら
おつかいで買ってくるの。
お兄ちゃんも行く?
楽しいよ、お買い物。
おつかいの合言葉は、
さくらちゃんの知恵!
わきしょうをいたす。
なんて、さくらちゃんが一緒かどうか
明日のことは分からないけれど、
怖いものがあって泣いても、家族とにっこりするといいよ。
お兄ちゃんが怖がって泣いたら、
夕凪がニコニコマホウで笑顔にする!
まだ開発してないマホウだけど、すぐできるんじゃないかな。
夕凪は、牛乳を飲んでるときは狙わないから大丈夫。
そんなことを家族の前でしたら、
こわいこわい。
それに、誰かを笑顔にできるのは、変な顔だけじゃない。
ダジャレだけでもない。
くすぐりは、家の外だとアウト。
はしたないって叱られるよ。
とにかく何か考えておくね、ニコニコのもと。
でも、お兄ちゃんが泣き出すほど怖いものってなんだ?
氷柱お姉ちゃん?
チョコカツカレー?
大丈夫、デパートにはないから。
よーし!
じゃあ明日はお兄ちゃんとお買い物デートだ。
約束ね。
ニコニコの予感だ!
マホウをかけられてもいないのにな?
牛乳が足りなくても、こんなに元気。
いっぱいあれば、なお元気。
明日は両手に抱えて帰ってこよう!
おいしい牛乳がお得だとラッキーだ。
行ってみるのが楽しみだよね。

綿雪の偽日記

『公園デビュー』

世の中には
たくさんのデビューがあるの。

アイドルデビュー。
モデルデビュー。
グルメリポーターデビュー。
炭火焼肉デビュー。
かにしゃぶデビュー。
お姉ちゃんたちはしてみたいって言うけど、
ユキは、まだ知らないデビューが多いな。
あんまり小学校デビューとは言わないみたいだけど
なんでかな?

ユキの妹デビューは
生まれたときから。

だけど、お兄ちゃんのお兄ちゃんデビューは
最近のこと。
なんだか不思議な気がするね。
実は、ユキがお兄ちゃんの妹デビューをしたのは最近。
だから、不思議なことじゃないの。
おうちでは、生まれてすぐにお兄ちゃんの妹デビューをする子は
あーちゃんだけ。
うらやましいような、ほほえましいような、特別です。

この春にユキが経験したのは
フルーツバスケットデビュー。
小学校のレクリエーションの時間に教えてもらいました。
おうちで遊ぶときは、
ユキはいちご?
うさぎさん?
自由に選んでいい?
お兄ちゃんのことが好きな子は誰だ?
ちょっとドキドキ、
ユキのことが好きな家族は誰でしょうか?
明るいフルーツバスケット。
家族がたくさんいるのって、うれしいね。

たくさんの新しいことに出会う
お兄ちゃんの妹。
これからどんなデビューをしていくのでしょうか。

もうすぐゴールデンウィークです。
前半の三日間、お天気の様子を見て、
できたらいいなと
家族で話し合うこと。
この前半の、大事なお出かけ先は公園です。
あーちゃんが迎えるドキドキの体験
公園デビュー。
上手にできるでしょうか。
他の赤ちゃんと仲良くなれるかな。
あーちゃんは、特に人見知りすることがないほうだと思うけど
なんだか不安になってしまいます。
ユキが公園デビューするわけでもないのに、おかしいね。
でも、妹の出発を迎えて、力になれるかどうか分からない気持ち。
自分のことでもないのに、怖いような。
お兄ちゃんもドキドキする?
どっしり構えているかな?
いっしょに行こうね。
みんなであーちゃんを支えよう。
大丈夫だよ。
ユキが見ているよ。
何も怖がらないで、家族がいるよ。
って、言ってあげよう。
ね。
みんなでね。

でも、残念ですね。
海晴お姉ちゃんは、たぶん参加できないって。
この時期は、お天気お姉さんの需要が急増。
テレビでの活動は、始まりの春が過ぎ、いよいよこれから。
仕事場でお勉強することもたくさん。
急なお仕事が多くて、
今年の連休は、どうもお休みが取れそうにないみたいで
家族がそろわないんです。
ゴールデンウィークは、後半が本番。
今年は後半の連休が長いの。
だけど、海晴お姉ちゃんはずっとお仕事。
忙しいの!
とっても大変そう。
がんばって。
でも、無理はしないでね。
テレビのこちらからだけじゃなくて
直接応援に行けたらいいのにな。
あーちゃんみたいな赤ちゃんのことじゃないんだから、
そんなことを思うのは変かな。
変じゃないよね、
家族だもんね。
海晴お姉ちゃんが元気で活躍できるように
何もできないけど、せめて近くで見ていたい、
と考えるのは迷惑でしょうか?
無力なユキだから。

連休の家族旅行も無理かな、
全員がそろったほうがいいもんね。
そう話し合っていたら、
ママがテレビ局のお仕事をしているおかげで
見に行けることになりました。
ユキのいけないお願いがかなってしまって
いいのかしら?
でも、嬉しいな。
テレビ局なら、海晴お姉ちゃんも時間を見て合流できるって。
連休後半のお出かけは、テレビ局。
もちろん、みんなが一緒です。
揃って行けるよ、お兄ちゃん。

だけど、海晴お姉ちゃんが抜ける時間が多くなるし、
責任者になる霙お姉ちゃんは、心配もあるみたいです。
きっと大丈夫だよね。
お兄ちゃんもいるし、春風お姉ちゃんも、ヒカルお姉ちゃんもいる。
蛍お姉ちゃんも、氷柱お姉ちゃんだっているもの。
それに、ユキたちはきっといい子にできます。
お兄ちゃんの妹たちは、みんな言うことを聞くいい子だよ。
家族に心配をかけないように気をつけます。
小さい子たちも、助け合ってがんばるよ。

お仕事の迷惑にならないように
決まっている通りに見て回る
普通の観光ツアーの予定だったけど、
ママは、お兄ちゃんと誰か一人だけなら
番組に出られそうだと、話を決めているみたいです。
その番組は、新婚さんいらっしゃい。
えっ、新婚さんじゃないよ?
ところがなんと、新人お天気お姉さんの家族なら、
テレビを見ている人たちもきっと気になっているはずだから
特別に出演できるんだって。
本当でしょうか?
冗談かもしれないって、氷柱お姉ちゃんも疑っているの。
ユキは、おおぜい家族がいるおうちを取材する番組か、
初めてのおつかいが、おうちの家族には合っていると思っていたけど。
春風お姉ちゃんは、張り切っています。
お兄ちゃんは、春風お姉ちゃんと一緒に
新婚さんいらっしゃいに出るの?
みんな半信半疑なんだけど、いざとなったら
くじ引きで決めるのが公平だって話し合っているの。
新婚さんを選ぶのに、そんな運任せでいいの?
別に新婚さんじゃないから、いいの?
もしもユキがくじで選ばれたら
お兄ちゃんはそれでも、ユキと一緒でいてくれますか?
家族を思う愛情の強さでは
みんな同じ、お兄ちゃんの家族。
新婚さんじゃないけれど、一緒に出られるかな。
新婚デビューって言うと、何かおかしいかな?
新婚にも、デビューにも、始まりっていう意味があるからだって
吹雪ちゃんが教えてくれたよ。
新婚をはじめます、と言うよりも
新婚です。
で、いいそうです。
お兄ちゃんと新婚になったら、それはユキたちの新しい始まりなのかも。
胸ときめく連休が、もうすぐやってきます。

蛍の偽日記

『ふつう』

連休です。

そう、
プリンが9個で、
りん、きゅー。
の、連休です。
おうちでは9個では足りないけれど──
任せてください!
ホタがいれば、プリンの10や20は
たちまちできあがります。
今日のごはんは、プリンは合わないかもしれないね。
楽しい連休。
張り切って作ったごはんが、
連休を元気に過ごすお役に立てたら嬉しいです。
なぜちゃんこ? って思いましたか?
それは理由があって、話は長くなるの。

連休の一日目。
お兄ちゃんはどんなふうに過ごしましたか?
風が冷たい日でした。
家の中で過ごす子も、
寒いお庭に駆け出していく子も、
思い思いに過ごした日。
こんな日でも仕事で忙しいママや海晴お姉ちゃんには
特別なおもてなしを用意して
帰りを待ちます。
食べやすくて元気になる栄養料理、
ホタの腕前がどれだけ大人の世界に通じるかな?
もう少しでいいから力があればと、いつも思う
ふがいない五女です。
もちろん、小さい家族たちのお世話も大事。
寒い風が吹いても体が冷えないように
激しく動いてもいいようにと通気性を考えた素材で
スパッツ、
タイツ、
腹巻き、
靴下。
コーディネートは蛍の腕の見せ所。
女の子はかわいく楽しみましょ。
お兄ちゃんのこと、なかなか見繕いができなくてごめんね。
男の人の運動用品、
とても生まれながらの女の子、蛍の手には負えないの。
かっこ良さと行動力と汗臭さの三角形を
上手に手綱を取って扱いこなせるのはヒカルちゃん。
でも、蛍にもできることはあるんです。
休日の激しい活動に必要なエネルギーの提供。
朝、昼、晩、さらにおやつの時間。
蛍は力が入っています。
みんなが元気でいられるように。
ご飯のときくらいは、運動が得意な子も苦手な子も
同じように喜んでもらいたいから。
目標もなくだらだらと過ぎてしまうかもしれないと
心配していた大事な連休。
いつも通りの土曜日、家族と過ごす蛍の大切なふつうの一日。
意外と充実している休日です。

お兄ちゃんは、夕凪ちゃんとお買い物に行ったんですか?
やっぱり、おねだりされてお菓子を買ってあげたかな?
いいなあ、
蛍もお願いすれば、時々はわがままを聞いてもらえる?
なんて。
大人なんだから、そんなことを言うのはおかしいですね。
年齢が違うもの。
蛍はもうすぐ、結婚もできる年齢。
といっても、赤ちゃんが欲しいとかそういうわがままになるというわけでは
今のところはなくて。
そう言えば、風が冷たい日にあーちゃんは外に連れて行けなかったの。
明日は晴れになりそうな予報です。
期待します!
まだおしゃれを知らないあーちゃんに、
かわいい服を用意してあげたいな。
それに、おむつの準備、
おっぱいの準備。
家族が多い蛍の明日も充実することになりそう。
生まれながらのお母さんなんでしょうか?
みんなにしてあげたいことが多いです。

お休みなのにかえって疲れてしまうよう。
あっ、気にしないで!
休日の本番は、お休み、また学校、それからお休みのその時。
ゴールデンウィークのおでかけに、普段のことは忘れて楽しむつもりです。
テレビ局の見学は、ママがきっちり予定を立ててくれています。
新婚さんいらっしゃいは、さすがに冗談だとしても。
家族旅行が、もうすぐ。
新鮮な体験はいいリフレッシュになると思うの。
学校がまだあって、その先。ずいぶん遠い気もしますね。

今日の蛍は、
何かと忙しい、家族と一緒だったふつう。
満足のいつも通りでした。
それでね、テレビを見ていたら
両国で行われているイベント、ちゃんこ通り。
いいなあ、と我が家の食いしんぼうたちが言うから
今日はちゃんこ記念日。
記念日は嘘です。
料理の腕はまだ至らないかもしれないけど、
家族を幸せにしたい気持ちは
蛍も負けない!
張り切って作りました。
寒い風も吹く日だったもの、ちょうどいいよね。
ちゃんこが得意ですけど、
蛍はそれほど太っているわけではないですよ。
ふつうです。
たくさん食べて、力を蓄えて、
明日も家族と楽しく過ごせるように、
男の子で栄養が必要なお兄ちゃんが明日もいい日を過ごせるようにと、
願いをこめた愛情料理。
おなかいっぱい食べてもいいんです。
ちゃんこだもの!
寒かった日のちゃんこ、
いいイベントです。
我が家でも、いい晩ご飯になったかな?
プリンは出なかったけど、笑顔がいっぱいの夜でした。
たくさん食べた?
遠慮しないで、まだあるよ。
蛍の愛情は、こんなに。
好きなだけどうぞ。
もりもりいける、おいしいちゃんこ。
あったまっていってね。

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