アルケイディア&キュクレイン

アルケイディア&キュクレイン TOP  >  2013年03月

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霙の偽日記

『曇り空』

蛍の体調もすっかり戻ったようだ。
よかった。

ただ、急に無理はさせられないから
春休みのお出かけは先になるかもしれない。
小さい子を中心に、何人かはやけに元気が有り余っているが
そこはオマエに任せることにしよう。
それに、たとえどこにも出かけられなくても、
この家には宇宙を構成する全てがある。
光、暗黒、
喧騒と静寂、
嵐も凪も繰り返し、
生命の鼓動と、そしてやがて到達する終末。
彼方にばかり目をやることはない。
儚くきらびやかに散り急ぐものは、
名所に咲き誇る桜ばかりではない。
我が家の庭にも、春は訪れ
足音も立てず過ぎ去っていく。
桜も、うちの妹にちなんだわけではないだろうが
植えられて、この庭にも花を咲かせている。
もなかちゃんも、虹子にちなんだわけではないが
四季折々の彩りと共に、おやつに並ぶ。
小雨に教えてもらった、この季節の庭に咲く花の名前は
オマエは覚えているだろうか。
大きな声では言えないが、私は忘れてしまった。
後でこっそり教えてもらうつもりだから、オマエは忘れるな。
弟がいるというのは便利なものだな。
こういう時に役に立つ。
たまに、私の好みのおやつを
春風や蛍に進言してくれているようだし
気の利いた弟を持つのもいいものだ。
まさか、単に私を話の種にして
からかっているというわけはあるまい。
うん。
女の子が多い家に、おしゃべりの花が咲くのも
話題の中心に、恋の話があって、オマエがいてくれて、
口を滑らかにする食の道楽が
季節の甘味として届けられるからだろう。
乙女たちにも、春は来ているのだな。
別に冬の間にこらえていた様子はないが
まあ、それでも咲くときはやはり華やかだ。
どこに出かけなくとも、花を愛する心と
花より団子を旨とする乙女の信条は、ここにあるのだ。
お出かけだけではない家族の春休みを過ごすとしよう。
それに、どうもこのごろ天候が不安定だ。
おしゃれに着飾って出かけるどころではない。
春らしい薄着では、また誰かが体調を崩しかねない。
進級の季節に、大人になったような気分で
あんまり下着で勝負を続けていたら
この気温ではおなかを壊す。
家族が無茶をしないように
しっかり見ていてくれ。
任せたぞ。
このごろは、家にいるのが無難そうな休日。
大好きなお兄ちゃんが一日中いてくれることだから、
そう簡単に飽きることもないと思う。
この家に来たのが運命だと思って
付き合ってやってほしい。
時には家族と並んで庭を駆け回り、
時には家族から克明に観察され、
同じ気持ちで笑ったり泣いたりする運命。
生まれつき備わったものだから、決して逃げられない。
滅びの定めと同じく、
この賑やかな日常を生きることは。
そして、私も時にはオマエと助け合い
時には足を引っ張り合い
同じ運命を過ごすのだろう。
オマエとならば悪いものではない。
休みくらい家でのんびり過ごすようにと、神の与えた曇り空。
私はもちろん、風邪など引かないように
布団とコタツを存分に活用しながら過ごそうと思う。
もちろん栄養をたくさん取ることも大事だな。
健康的な生き方とは、こういうものではないだろうか。
模範的なはずなのに、小さい子に真似をされたら困るのはなぜだろう。
これは私くらいになってからの、正しい生活なのだな。
子供は風の子、私も昔は寒さに負けず庭を走ったものだ。
なに、危険なパンツをはいてでもいない限り
そうそう冷えすぎることもないと思う。
そういうときは、オマエが臨機応変で対応してやればいい。
ちゃんと、正しく伝えてやるんだぞ。
オマエの好きなパンツが何なのかを、
心のままに、誠心誠意。
わかったな。
みんなの期待に応えてやるんだぞ。
真実の気持ちを伝えること、
それが、オマエの家族が望んでいることなのだから。
たとえ、それが場合によっては
ちょっとした騒動を引き起こす火種になるとしても
ためらってはいられない。
お互いに思い合うことが大事だ。
愛するというのはなかなか簡単にはいかない。
まだ小さい子には、ルールも必要になるな。
オマエもまだ、かわいがりがいのある小さいほうだ。
それとも、私たちはみんなそうなのかな。
まあ、好きなパンツを言ってはいけないというルールはないから
そこはその場の判断で行くといい。
元気な妹たちの相手で遊び疲れたら、
こたつの中へかくまってやろう。
そう、私も時には遊び相手が欲しいときもある。
昼間は妹たちに貸しておいてもいいが
さすがに一日中では大変だろうから。
私は体力を要求したりはしない。
落ち着いて過ごすのも、家族の休日の一場面。
ゆっくり休んでいくといい。
かわいい弟ががんばって活躍して帰ってきたら
たまにはマッサージもしてやろう。
春風と違って大人しいやつだから、大丈夫だ。
オマエにとって、良い春休みであるように
姉としても優しくしてやりたいからな。
穏やかな季節の休みにふさわしく、
私といるときくらいはまったりとしていられたらいい。
そういうのが似合う空間は得意だ。
癒し系の姉を持って幸せだな。

氷柱の偽日記

『つらら女』

つらら女は冬の妖怪。

輝く純白のつららを褒めた男のところに
ある日、妻にして欲しいと、美しい女がやって来る。

女は、風呂に入るように言われ、そのまま出てこなかった。
男が様子を見に行くと、風呂場には溶けかけた一本のつららが
垂れ下がっているだけだったとさ。

また別の言い伝えでは、
冬が終わると女は姿を消した。
男は代わりに、別の女を妻にもらった。
その年の冬、男は家のつららが首に刺さったために死んだという。

変な言い伝えもあるものね。
つららが人間になるなんて、そんなものいるわけないのに。

観月が時々言うの。
そういう話があるからって。
「氷柱姉じゃは、冬の終わりに消えてしまわないであろうか?」
ぴんぴんしてるわよ!
ちゃんと毎日、お風呂に入ってるわよ!
そう簡単に消えないわよ。
たんぱく質でできているわよ。
儚くて美しいお話じゃなくて悪かったわね。
文句あるの?

観月が勉強していることについては
あら、園児にしてはずいぶん雅な趣味ね、
と感心していたけれど
あれは本当に雅なのかしら?
どう思う?
まあ、下僕の意見なんか聞いたってどうなるわけでもないけど。

気温が上がった日に心配するのは
私じゃなくて、ユキのことだわ。
今日は下僕と一緒で楽しそうだったけど
陽気がいいからって、あんまり無理はさせないで。
ユキのこと、こんな気が利かないのに任せるなんて。
まったく。
粗暴な男なんだから。
おかげで、青空はますます野生的になるし
さくらはやけに元気になるし、これはいいことだけど。
観月は、話が会う相手を見つけて嬉しそう。
妖怪といえば男の子の趣味ってイメージがあったけど
観月は元からかな。
もう少し女の子らしい趣味でもいいのにね。
例えば、
そう、例えば──
何よ。
私だって女の子らしい趣味なんてないわよ。
悪い?
勉強ができるのは、悪いことじゃないでしょう?
それはまあ、料理ができるのも悪いことじゃないわ。
優しい心使いができるのも女の子らしくていい。
でも、できないものはできないの。
だから、観月もあれでいいの!
つらら女でいいの。
やっぱりよくない!
人を妖怪扱いしないように
きっちり言っておかないと。
私も、
ユキも、
春の気温で消えたりしません。
消えるのは、浮かれた春風姉様の理性──
じゃないといいけど。
浮かれているのは、小さい子たちね。
曇りの予報だったはずが、
昼過ぎからずいぶん暑くなったものだから
はしゃいで、走り回って、ぐっしょり汗をかいて
家族の間では、一日中シャワーが引っ張りだこだったわ。
こたつを愛することをあんなに高らかと宣言した霙姉様も
日なたにでてきて、お茶を飲んでのどかにぽかぽかしてる。
調子がいいんだから。
こんな過ごしやすい日こそ、勉強を進めるにはいいのに。
遊んでばかりだと、きっと後悔するわよって言い聞かせようとしても
春休みに宿題はないから、誰も聞く耳は持たない。
みんなのほうこそ、春休みくらい遊ばないと後悔するよ、って
私に気を使っている始末。
何だか、微妙に納得がいかないわ。
だんだん調子に乗り出して
予想外に晴れたものだから、
遊びに出かけてもいいよね!
遠くじゃなくてもいいから、と
小学生以下の一同が
揃って、お買い物のお手伝いを買って出た。
行ってみれば大丈夫。
そう簡単に体調を崩したりしないから。
案ずるより生むが易し。
そうね、20人も生んでるこの家では
無駄に説得力がある言葉よね。
ただ、小学生以下って言ったけど
乗り気じゃないのが小雨ちゃん。
みんなが忘れていそうなおうちのお手伝いを
自分に任せて欲しいって。
小雨ちゃんが好きでやってるのはわかってるけど
みんなで分担するはずのお手伝いを一人に任せるのは
何かおかしいんじゃない?
だから、それはその場で話し合って
家の中のお手伝いもきっちりやるって決めて。
それはそれとして!
だって。
その場の勢いに任せて始まったそれぞれの主張、
あの子たちが言う、春休み革命。
新しい刺激が欲しいみたい。
退屈になりがちな春休みを、できるだけ楽しみたいのはわかるけど。
お兄ちゃんが引率してくれるから
デパートでいいからお買い物に出かけたい!
お手伝いのごほうびに、
デパートのフードコートで一人一品くらいは買って欲しい!
その時は、こんなに暑い春休みなんだから、
中学生より下の子もアイスの制限をとっぱらってほしい!
それから、数日前から不満に思っていたらしいこと。
春休みも就寝の時間は変わらないけれど
学校がない分、お姉ちゃんたちが夜更かしできる機会が増えて
その時間でお兄ちゃんを独占するから不公平だ、
だから、春休みの夜更かし要求と
氷柱から上の姉たちは、大人の時間だからってお兄ちゃんを取らないで欲しい。
なんで私も含まれているの。
下僕を独占した覚えなんてこれっぽっちもないわよ。
そんなふうに見える場合があるとしたら、
働きの悪い下僕を教育して、叩きなおしてやっただけだと思うわ。
これでも大変なの、
攻められるいわれなんてあるものですか。
まったく、子供は何を言い出すかわからないわ。
下僕もあんまり真に受けないで
春休みだからと言って、家族がだらけないように気をつけてよ。

綿雪の偽日記

『あしあと』

楽しい春休み。
小さい子が多いこの家では
今日も、玄関から廊下へ伸びる
汗とほこりだらけのあしあと。
そのまわりには、散り敷いたような花びら。
すっかり春ですね。
過ごしやすい日が続いて、本当に良かった。
お兄ちゃんも、春休みを楽しんでいますか?
ユキはもちろん、
お兄ちゃんがいてくれるから、毎日がとても楽しいの。
こんなに、ユキたちだけのお兄ちゃんにしていいのでしょうか?
もっとたくさんのことができる春休み。
お兄ちゃんは、したいことがたくさんあるかもしれないのに。

宿題がなくて、自由な時間がいっぱい。
家族それぞれが、思い思いに好きなことをしているみたいです。
お姉さんたちに遊んでもらって
青空ちゃんが庭を駆け回っていると、
あーちゃんまで追いかけてこようとして、
ガラス戸の周りをはいはい。
にぎやかなのが好きなのかな?
この様子だと、すぐに歩くのも上手になりそうですね。
我が家には、活動的な赤ちゃんが二人もいるんです。
お兄ちゃんは、青空ちゃんとあーちゃんと、どっちがより元気だと思う?
あーちゃんは今のうちからもうこんなに、いたずらもいっぱいするし
姉妹の誰よりも行動力がある子になりそう。
もう、なってる?
これから二人もそろうと、きっと大変。
相手をするお兄ちゃんやお姉ちゃんたちにしてみれば
あんまり大急ぎで成長するのも困りもの?
それとも、大変でもいいからやっぱり早く大きくなって
元気な様子をたくさん見せて欲しいのでしょうか。
どんな思惑にも関係なく、止めようとしても止められない速さで
日に日に成長していきます。
もっと一日中お兄ちゃんと遊べるように?
こんなに楽しいこと、言葉が通じなくてもわかってしまいそうですもの。
ユキは、あーちゃんが早く大きくなるように願っています。
あんまり動き回れないお姉ちゃんの分も
妹たちはみんな元気になって、たくさんはしゃいでください。
とっても楽しいよ、あーちゃんももう少しで仲間に入れるよ。
ユキに教えてあげられる遊びはあんまりたくさんはないけれど、
全部残さず、ユキの知っている素敵なことを教えてあげるね。
晴れた日に外を歩くのも、
寒い日に部屋にいるのだって。
絵本も、おやつも、ごはんも、お風呂も。
きっとすぐにあーちゃんは、ユキを追い越してしまうわ。
そうなったら、もうユキに教えてなんて言わないから
どんどん先に走っていって、その後のことは何も気にしないで。
好きなように、みんなが一番幸せであるように。
ユキを追い越して、どんどん引き離していく背中、
体の弱い子には遠く見える道に進んで活躍するその姿を
嬉しく見送っていくのだと思います。
それまで、一緒にいるからね。
短い間だけでも、ユキにもお姉ちゃんとして活躍させてください。
でも、ユキは立派にお姉ちゃんができる?
まだお兄ちゃんに甘えてばかりなのにね。
まとめてお世話をするお兄ちゃんは、きっと、もっと大変。
それでも、甘えてしまう気持ちを止められない。
ユキは、こんな体だけど
お兄ちゃんの妹をしていて、いいですか?
してほしいことが、まだまだたくさんあって
大人になるまで待てない。
だから、この春休みを
もっと一生懸命に過ごしたい。
氷柱お姉ちゃんは心配しているけれど、
小学生だって、春休みをなまけてばかりではありません。
星花お姉ちゃんは、前から興味があった漢詩のお勉強──
は、難しすぎるから、日本の詩を読んだり、書いたり、調べているの。
吹雪ちゃんは家族の情報を調べるのが好きみたい。
まだ身体測定がない虹子ちゃんたちも、丁寧に計ってくれて
春に向けての新しい服作りに協力しています。
夕凪お姉ちゃんは、ピンク色の花が咲き誇るこの季節だからこそ
恋のマホウ研究が進むに違いない、とがんばっているの。
それから、麗お姉ちゃん。
テレビのニュースを真剣に見たり、
他の子たちが投げ出すほど難しい本で勉強したり。
春のダイヤ改正があって、調べることが多いみたいなんだけど、手を抜かないんです。
とっても美人で、しっかりしていて、意見もはっきりしていて、何事もまじめで丁寧で
なんだか整いすぎて、少し遠い存在みたいにも思える麗お姉ちゃん。
でも今日は、調べ物のお手伝いをしたの。
ユキが退屈そうにしていたみたいで、声をかけてくれたよ。
時刻表の数字を調べる作業は大変だったけど、
見所があるって言ってもらえました。
本当なのかな、本当だったら嬉しいな。
ユキも麗お姉ちゃんみたいに、かっこいいお姉さんになれるでしょうか。
でも、そんな麗お姉ちゃんのことを、妹として愛してあげられるお兄ちゃんやお姉ちゃんたち。
なんだかユキには想像もつかないくらい大人です。
どんな気分なんだろう?
大人っぽい麗お姉ちゃんも、
手がかかってしまうユキも妹になるなんて
どうなってしまうんでしょうか?
教えて欲しいです。
そして、春休みにユキがしようと考えていること。
新しいことが始まる季節のおかげでふくらんだ、大きな夢。
それはもはや、生まれてはじめて胸に抱くと言ってもいい、身の程知らずの野望。
お兄ちゃんが、どうしてこんなにユキのかっこいいお兄ちゃんであるのか、
どこにでもついていって勉強することです。
お休みの間だけでも、いいですか?
みんながそれぞれ好きなことができる春休み。
こんなふうにしている一歩一歩が、
いつか、ユキたちがふと振り返ったときに見つめるあしあとなんでしょうか。
ユキはこれから、お兄ちゃんがつけるあしあとを辿ってみたいです。
ときどき気が向いたら、歩いた道を思い出してね。
そこには、お兄ちゃんみたいに立派になって、お姉ちゃんをしているユキの姿が
たまには見つかるかもしれません。

真璃の偽日記

『女王は知っている』

マリーは知っているの。
冬の気候は三寒四温。

もしかしたらマリーも
将来はお天気お姉さんになるのかしら?
毎日、大喜びで海晴お姉ちゃまの活躍を見ているし。
好きなのかもね。
天気が。
ていうか。海晴お姉ちゃまが。
朝の生放送は、家族に向けて
おはようといってらっしゃいの愛の言葉。
カメラを通しても変わらない、いつもの優しさ。
誰かがお天気お姉さんを受け継がなければいけない
宿命を背負った家族──
ではないけど、
やっぱり、家族に継いで欲しいみたいだし。
マリーがカメラの前に立ったら、
あふれ出る気品は隠し切れないで、全国に伝わるわね。
いいのかしら。
その影響を受けて、日本の朝食がフランスパンになってしまっても。
パンがなかったら、作り置きのクグロフを食べる習慣がついても。
怒られてしまうわ。
日本の伝統を伝えるお母さんたちから。
でも、我が家の肝っ玉母さんの春風お姉ちゃまと蛍お姉ちゃまも
和食は得意だし、洋食も定番。
そうだ!
観月もお天気お姉さんになって、交互に番組を担当すればいいわ。
朝の和食と洋食のバランスも取れて、いいじゃない?
だけど観月はちゃんと天気図を見て予報するかなあ。
科学で解明できないものから天気を教えてもらってるようだって
吹雪お姉ちゃまが頭から煙を出していたわ。
煙は例えだけど。
観月と仲がいい謎の生き物なんて見たら、マリーだって煙くらい出したくなるわよ。
マリーも知らないことがあるの。
観月の予報はけっこう当たるけど、
あれってお天気お姉さんに向いてるっていうことでいいの?
マリーが知らないことはまだあって、
冬場、寒い日と暖かい日は交互に来るっていうけど
今は冬でいいの?
今日は寒くなったわね!
もう3月も終わりだって言うのにね。
だから、こんな日は家の中で過ごす休日。
せっかくの春休みではあるけれど、
たまにはこうしてゆったり、優雅な時間を過ごすのもいいわね。
ティーカップから立ち上る香りを楽しみながら、
と思っても、小さい子には、いつも熱いお湯で淹れる紅茶は危ないし、
それに、甘くないから小学生以下の子はだいたい苦手。
立夏お姉ちゃまも、もうすぐ中学生になるのに、飲み物は甘いのを選ぶわ。
コーヒーには角砂糖を三つ、が食後の口癖。
でもコーヒーを選ぶだけ、中学生を意識してるのかもしれない。
マリーたちは牛乳が好き。
あったまるの。
休日に、牛乳の香りに包まれて、っていうのはどうも風情がないけど。
こんな柔らかな日は、牛乳はともかく、女王らしく過ごしてみたくなるというもの。
他の子たちも、本を読んだり、春らしく詩を書いたり。
そんなわけで、今日はみんなで、ラブレターを書いたわ。
フェルゼンにも届いた?
海晴お姉ちゃまは、お天気お兄さんを期待する手紙を書くって言ってたけど
そんな手紙だった?
修行を付けてあげるのが楽しみだって。
手取り足取り、微に入り細に入り。
いいなあ。
見込まれてるのね、フェルゼン。
そうなったら、どんな天気予報を見せてくれるのかしら。
マリーが気に入るような、
家族への愛にあふれた予報をお願いね。
優雅でも、泥臭くても、
フェルゼンらしい愛情予報ならそれが一番。
でも今日は、私たちから愛を送りたい気分だったけどね。
さくらや虹子の直球の言葉と違って、
大きなお姉さんになると、文章を推敲するようになるの。
推すか、敲くか。
ねえフェルゼン、そんなのどっちだっていいと思わない?
そりゃあ、気持ちが伝わるほうがいいし、
虹子や青空あたりは、字というより半分くらい絵だし。
さくらは、ちくらだし。
観月はやけに難しい字を書くし。
フェルゼンに、愛している気持ちが届くといいな、
って思って、文章をわかりやすくしようとするとしても。
だけど、大事なのは、何を伝えたいかであって、
どうやって伝えるかなんて、二の次よ。
好きなものは好き!
他の言葉ではあらわせない、この気持ち。
好き、好き、
いつまでも一緒にいてね。
マリーがお天気お姉さんになったら
わりとはっきりした予報になる?
晴れよ!
雨よ!
ズバッと!
降水確率50パーセントなんて廃止よ!
ゼロか、100か!
愛しているか、そうでないか!
フェルゼンには、そうでないってことはないから、
愛してる!
マリーは100パーセントの愛しか伝えられないみたい。
こんなんじゃ、お天気お姉さん失格ね。
やっぱり女王になろうっと。
それで、愛する人とふたりで永遠に過ごすの。
手紙は優雅だけど、
もう言っちゃった。
どんな立場だって、愛を言葉で伝えるときは相手の目を見つめるのが一番ね。

吹雪の偽日記

『嘘』

嘘はよくないことです。

しかし、嘘と真実を見分けることは困難です。
たとえば、科学の分野では信じられないことが良く起こります。
液体ヘリウムの粘性がゼロになることで起こる超流動。
水星の近日点移動が計算に合わないことから導き出された
重力と時間に関する新しい計算式。
超伝導は実際に確認されている現象ですが、
常温超伝導の観測は間違いであった?
人の常識は、簡単に覆されるもの。
地球は丸いのか。
私たちは、太陽の周りを回っているのか。
トロイア戦争は実際にあったことで、
シュリーマンが発掘した遺跡は本当にイリアスだったのか。
アリストテレスの詩学では喜劇はどのような位置づけだったのか。
詩学の欠損部分は、あの論の趣旨を大きく覆すものなのか。
ならば、ミロのビーナスの両腕部分もまた
本来の姿をとりもどしたとき、私たちの想像と違う意味を持つのか。
語られていないということは、厳密には嘘とは表現しません。
しかし、伝達過程で誤情報が混入することはありえます。
意図的でなくとも、嘘とどう違いがあるのか。
伝言ゲームはそれを楽しむ遊びです。
そしてまた、人間は嘘を楽しむ習慣があるようです。
しかし、天気予報で嘘をつくのは
視聴者を非常に困惑させるいけないことであると
海晴姉は妹たちの面白半分の提案を却下していました。
私も、それはいけないと思います。
雨に濡れてしまったら、健康に良くない影響があり、
体が弱い人や、疲労が蓄積している人には
命に関わる危険もあります。
楽しめる嘘の範囲とはどこまでなのか?
許される嘘とは何なのか。
あるいは、嘘と真実の境目はどこにあるのか。

キミは、私に嘘をついたことはありますか?
私は嘘を見抜くのは苦手です。
家の庭にはピンクのシマウマが闊歩しているかもしれないし、
シマウマの日は、しまうまうまの語呂あわせである可能性はある。
嘘と断言できる要素は、この世のどこにもない。
また、真実であると疑いなく受け入れることができる事実も
数は少ない。
ニュートン物理学が拡張されたように、
より正確な別の物理法則が成り立つことがありえる。
ラプラスの悪魔は量子論の不確定性原理によって否定されたように見えます。
しかし、現在の物理法則が完全なものである保証はない。
というより、そのほころびを示す観測は多くあります。
それらの観測が全て単純なミスだという可能性と、
現在の私たちの知識は不十分なものとする考え方は、
同じように蓋然性がある。
どちらかが間違いであるか、どちらも間違いであるか、
それとも、どちらも本当であるということが成り立つのでしょうか。
論理的な立場で言えば、ありえない。
しかし、現在の論理学が完成されたものであるとは限らない。
嘘つきはいったい誰なのか。
意図的な嘘もあれば、意識しない嘘もある。
単純なミスは誰にでも避けられず、慎重である姿勢は求められますが
非難されるべきではない。
ヴェリコフスキーの荒唐無稽な説は、確かに疑問だらけです。
では、彼が唱えた嘘と、現実の脅威の間に、どこに区別があるのか。
意図的な嘘や明らかな知識不足による迷惑を許容できるとは限りませんが
いったい、許せる嘘はなんなのか。
罪もなく、笑って受け入れることができる嘘が良いとするならば
ヴェリコフスキーの一見して間違っている説は
ただの冗談で終わるはずだったのではないか。
人類が月に行かなかったという説も、
源義経が大陸に渡ったという説も、
明らかに勘違いだらけなのに、どうしてこれほどまで議論の対象になるのでしょう。
長篠の戦いで鉄砲の三段構えが勝利の決め手となったのは嘘で、
そもそも、武田家の騎馬軍団は実際にあったのかどうかも疑問視されている。
名馬の産地であることは間違いないのですが、
軍馬として組織されていたかどうかは、疑問の余地があると。
しかし、勇壮なイメージの武田軍とは相性がいいようで、
桶狭間の戦いにおける織田信長の革新性などの印象もあって
伝説として、好意的に受け入れられているようです。
許される嘘なのか、
正しい歴史を知ることが望ましいのか。
三国志は、演技の内容は歴史と違っていることもあるようですが
そういうものだとして、熱心なファンがたくさんいる。
星花姉の意見を聞いてみたいです。
しかし、明日は疑心暗鬼の日ですので、議論には向いていないでしょうか。

休日には公園に出かけることも多く、
私も、小さい子を見る役目を引き受けたいのですが
時期的に、今は子供が多く集まっていて
おまけに明日はどのような誤情報が飛び交うかわかりません。
罪のない嘘ならばいいのですが、
天気のこと、遊具の使用法、トイレなどの施設は
深刻に関わってきます。
また、ベンチにペンキ塗りたての張り紙があったらどうするのか。
笑い事ではありません。
子供を休ませる場所を安全に確保できるかは、非常に重要な課題です。
また、ほこりが苦手で、この時期にはあまり外出はしたくないと思っています。
明日は保護者役を断って、家にいるつもりです。
家の中でだまされるくらいであれば、問題も少ないでしょう。
私が無条件に信じていることはあまり多くありませんが
家族の言葉が、どのような嘘が含まれているとしても
私が受け入れるべきであることは、疑問を持っていません。
ただ、子供の嘘が苦手だから子守りの仕事を断りたいとお願いしたら
説得力がないでしょうか?
我が家では麗姉に対しても日記への参加を要請したように
荒療治も時折行われ、それが成功する場合もあります。
むしろ外に出て、多少は嘘にもまれてきたほうが良いとする考え方もあるでしょう。
しかしやはり、私は気が進みません。
家族の説得に協力してもらえますか?
どのような事態になったとしても、キミの援護を期待しています。
願わくば、嘘を見抜く助けとなり、
そして共に同じ冗談を笑い合える人を。

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