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夕凪の偽日記

『冬のマホウ』

寒い日も
マジカル。
ぷるぷる
凍えそうでも。
手のひらをすり合わせながら
うわー、
あったかいところにいたいな、
と思っていたって。
気がついたら
夕凪はミラクル。
いつのまに!?
雪を転がして
手袋を放り出して
雪だまを丸める手は、きんきんに冷えている。
きゃー、
たのしい!
こんなに寒いのに、
なぜ平気?
どこから出てくるのか
夕凪は自分でもわからない
あふれる元気!
これは、やっぱり不思議な力だよね。
そこらじゅう走り回って
遊んでいたら
手袋、
消えちゃった。
ええー。
あんなに目立つオレンジ色が
見つからないなんてことがあるのかなあ。
これは、マジカルなできごと?
それとも、夕凪が不注意なだけ?
もしかしたら
夕凪がまだ知らない謎のちからが
雪の積もった通学路には
いっぱいある?
怒られちゃったけど
しょうがないじゃん。
雪が積もっていたんだもの。
歩道の雪は溶けていても
はしっこに残っているんだもの。
そんな日には
小学校はもう
ワンダーランド。
きっとね、
絶対に、雪の妖精が
そこらじゅうにただよって
手招きしているんだから。
ほら、
こっちだよ。
雪があるよ。
遊んでよ!
いっぱい夕凪たちに遊んでほしくて
目に見えないのに
ふわりふわり
そこらじゅうにいるのがわかるよ。
こんな日には
たくさんのマホウが
起こるのです。
子供が元気になるマホウ!
それから、
お兄ちゃんが
ユキちゃんの隣の部屋に引っ越してくるマホウ!
夕凪も一緒におやすみしてもよくなるマホウ!
と思っていたら
リビングはさむーいさむーい
さむいから
ダメだよ、って言われた。
夜になったら
厚い布団にしっかりくるまっているお兄ちゃんじゃないと
すぐかぜをひくよ!
強いお兄ちゃんでも心配なくらいなのに
麗ちゃんも困ったね、って
お姉ちゃんたちが言ってるうちに
麗ちゃんは学校から帰ってきて
抜き足差し足で
小声でただいま。
夕凪が呼んだら、しーって
昨日の夜から隠れているお兄ちゃんの部屋に
また引っ込んじゃった。
ゆうべ夜おそく、お兄ちゃん追い出されちゃったんだってね。
ユキちゃんが、今日も寂しいと思って目を覚ましたら
すぐ隣のお部屋にお兄ちゃんがいたから
えっクリスマス?
プレゼントが届いたよ?
びっくりしちゃったんだって。
やっぱり
雪には神秘的なマホウの力ががあるんだね。
夕凪たちのお部屋にも、お兄ちゃんが来たらいいのに。
ソファが寒かったら
来てもいいよ!
夕凪のベッドに入れてあげる!
ふたりだと小さいかなあ?
だったら、夕凪と星花ちゃんが一緒に寝て
お兄ちゃんが夕凪のベッドで……
だめだめ!
さみしいから!
みんなで同じベッドで
寝たらいいよ。
麗ちゃんも、夕凪たちの部屋に相談に来たら
そしたら、夕凪たちがお兄ちゃんの部屋に行って
一緒に眠れたのにね。
こんなに信頼されてるなんて、お兄ちゃんすごいね。
お兄ちゃんにチョコレートをあげなさいって言われて
嫌になって逃げ込んだ頼れる先が
なぜか、お兄ちゃんのところ。
変なような?
でも、家族がどんなときでも
いちばんの味方になってくれる
誰よりも頼れる
かっこいいお兄ちゃん。
夕凪も、困ったときはお兄ちゃんのお部屋に逃げればいいんだね!
よーし!
いいこと知った!
でも、
バレンタインが終わるまで
お兄ちゃんにお願いして
お部屋を借りるつもりなのかなあ?
そんなにいいことをひとりじめしたら
怒られるよね?
いいことは
家族みんなでわけたいものでしょう!
とかって。
立夏ちゃんが、ひとりでついついお菓子を食べちゃったときも
だめでしょ!
だったし。
いつ出てくるのかなあ?
お兄ちゃん、いつまでリビングのソファで寝るの?
鍵のかかった部屋なんかじゃない。
声もよく聞こえない扉の向こうじゃない。
いつでもすぐに遊びに行けそうなところに
お兄ちゃんがいたら
夕凪、うれしいと思う。
だけど、何日も寒いところで寝たらいけないって
お姉ちゃんたちが心配しているの。
氷柱お姉ちゃんはね、
ユキの部屋の隣に寝るなんて!
乱暴でほこりっぽい男の人の体から
病気でもうつったらどうするの!
ちゃんと麗ちゃんを叱って、自分の部屋に返しなさい!
怒ってる。
お兄ちゃんは毎日お風呂に入ってるから、汚くないよね?
夕凪は今日みたいに
お兄ちゃんがもっといつでも、夕凪のすぐ行けるところにいたらいいから
じゃあ、今日はみんなで一緒にお風呂に入って
お兄ちゃんがユキちゃんにふさわしい男の人になるまで
ぴかぴかに磨き上げちゃおう!
寒いソファにいても
一晩あったかく眠れるように
お風呂でよーくあったまろうね!
もし、どうしても寒かったら
夕凪がマホウのゆたんぽになって
あっためてあげる。
あとで遊びに行くね。
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夕凪の偽日記

『セクシー』

だって夕凪は
マホウ使い。
どんなにかわいい服も
呪文を唱えて、すぐに出せる。
たとえ裸みたいな格好をしたって
風邪なんて引かない。
夕凪はマホウ使いの子孫だから
三日月をめざすほうきの先に
黒猫を乗せたお姉さんみたいに
つやのある黒いローブの下は
はちきれそうにセクシー、
そんなふうになる。
そのうち。
きっと。
間違いなく。
なるよ!
もうすぐ、マホウをどっさり
覚えるよ。
お兄ちゃんは優しくて
夕凪のマホウをよく助けてくれる。
一緒に呪文を考えてくれたり
夕凪に似合うかわいい魔法陣を書いてくれたり
マホウ使いらしい服は何なのか
聞いたら教えてくれる。
上品な光沢は
ベルベット。
色合いは
紫っぽい夜の色が神秘的だったり
黒が混じったような深い赤も
不思議な力がありそう。
まっすぐ汚れのない白だって
なかなか普段着だと着れないあこがれだし
月の光で染めあげる、秘密の黄色も夕凪に似合うはず。
お兄ちゃんと話し合って決めた
夕凪のマジカルスタイルは
スカートが膝まで短いのと
膝より短いのと
さらに短いのと
それと同じくらい短いのと
候補は四つほど。
ぶかぶかのおじいさんみたいな服なんて
おしゃれじゃないもんね。
マホウを使って
世界一の奇跡を起こす夕凪には
はちきれそうに元気ばっかりがあふれた衣装が似合う。
さすが、
お兄ちゃんだな!
いいところを突く!
夕凪の意見を聞いて
だまってうなずいていただけのような気もするけど
それが難しいんだもんね。
星花ちゃんは
風邪を引いたら困るよ、なんて言う。
吹雪ちゃんは
風邪はマホウでは治せません、なんて言う。
マホウなんだから
風邪も引かないに決まってるじゃん。
だよね?
そういうわけで
蛍お姉ちゃんと氷柱お姉ちゃんの秘密を
お兄ちゃんも聞いた?
隠していたら、かえって誰かが興味を持っちゃって
部屋に入り込んで、勝手に着てもいけないから。
だって。
勝手に部屋には言って服を持っていくなんて
そんな悪い子はいないよ!
夕凪は──
このまえ、ちゃんとサンタさんがピカピカあったかな星の手袋を
靴下に入れてくれたから
反省したのをわかってくれていたんだ、と思ったよ。
まだそういうマホウが上手に使えない間は
お姉ちゃんたちの部屋に忍び込むのはやめたから
ぜんぜん悪い子じゃないんだもん。
蛍お姉ちゃんが作ったのは
寒い季節を忘れて露出度が多くなってしまった
秘密のコスプレ、
山盛り。
気になるけど
奪ったりはしないの。
氷柱お姉ちゃんは、みんなに教えたのは
もしも着たい子がいたとしても
寒い時期が過ぎるまでは待つ
約束をしてほしいからなんだって。
だから、
せっかく教えてもらっても
かわいい秘密の服は
春になるまでのお楽しみ。
というか、
暖かくなった頃でも着れるかどうかわからない
限界をめざす
女の子の挑戦らしいよ。
きわどさは
お兄ちゃんに見せてあげたい気持ちの前では
ためらう理由になんてならない。
蛍お姉ちゃんは
みんなが着たらかわいいかなって
つい、実用性を無視して
作ってしまったんだって。
それでこそ、
マホウの服。
奇跡の力で体を守るそのときこそ
かわいさだけを突き詰めるデザインができるんだと
そんな気がする。
夕凪、
実を言うと
マホウで服を出すのは、まだ苦手なんだよね。
もしも夕凪の知らないどこかで
怪盗のマホウが発動して
夕凪の手元に服が届いたら
それは仕方ないことだよね。
でも、
本格的に寒いから
風邪を引かないマホウをまだ覚えていない夕凪だと
やっぱり早い?
外で遊んだ後で
おうちに入ってきて
あったかい牛乳のカップを前に
鼻水が出ちゃう、って時に
止めるマホウを
お兄ちゃんは知らない?
鼻をかむ時間も待てないくらい
早く牛乳であったまりたいのに。
そういえば、お兄ちゃんは天気予報見た?
こんなに寒くなってきて、そろそろかなって思っていたんだけど
今度の水曜が
雪の予報らしいよ!
積もるかなあ。
でも、海晴お姉ちゃんは
あっちこっちで大変な雪が降っているから
注意を呼びかけるときはまじめなの。
もっと陽気な天気予報が
海晴お姉ちゃんは得意だと思うのにな。
あんまり寒いと心配だな、って
天気予報を見ながら、お姉ちゃんたちみんな話しているよ。
せっかくの海晴お姉ちゃんの天気予報は
もっとみんなで
明るく見ようよ!
だから夕凪は
どこの町だって楽しくなれるよう
ちょうどよく雪が降ったらいいと思う。
やっぱり冬しかできないことなんだから
それなりに降ってくれたら
雪遊びでしょ!
しばらくセクシーコスプレをするのは我慢、っていうか
頼まれても無理! っていうくらい
寒くなった。
真っ白になって雪遊びができるくらい積もってほしい夕凪と
あんまり冷えるとみんなの体調を心配するお姉ちゃんたち。
間を取ってちょうどよく雪が降るように
夕凪は冬のマホウの研究をするよ。
お兄ちゃんは、
やっぱり寒いのはいやかなあ?
それとも、遊べるくらい降ってほしい?
そこが一番、呪文が大きく変わることになる
大事な部分。
夕凪、お兄ちゃんに協力してもらったら
あっという間に一人前のマホウ使いになって
あんまりみんなが困らないくらいに降る雪のマホウを
早く完成させるね。
あったかいセクシーな季節が来る前に
いっぱい冬を楽しむからね。

夕凪の偽日記

『なんで?』

もう!
なんでなんで?

世の中には
不思議なことがいっぱいある。
夕凪は恋のマホウ使いなのに
まだ、お兄ちゃんが勇気を出して
夕凪ひとすじだって言ってくれないの。
なぜだろう?
吹雪ちゃんの天才的な頭でも解き明かせない
この世は謎だらけの世界。
夕凪には、わからないことがたくさん。
確実に知っていることは、ただ一つ。
夕凪はお兄ちゃんといると楽しくて
お兄ちゃんのことが大好きだということ。
知らないことがいっぱいある夕凪が知っている
たったひとつのこと、
だけど
いちばんだいじなこと。
だから、ちょっとわからないことがあるくらい
別にいいかな、
と思っていたの。
でも、こんなに納得いかないのは夕凪はじめてだよ。
なんでだろう?
麗ちゃんがめずらしく素直に
海晴お姉ちゃんに家族思いな姿を見せることができた。
学芸会の本番にいけなくても、おうちで劇ができるように
きのう、かつらが届いた
夢のように美しい奇跡のみなもとは
なんと
夕凪が作り出したすごいマホウなんだと
誰も思いつかなかったのは
なんでだ!
失礼な!

実を言うと、夕凪だけで思いついたことじゃないの。
そうだ、
きょう、家族で麗お姉ちゃんのお友達に詳しい話を聞いたとき、
かつらを受け取った女の子は
いかにも神秘的な感じの巫女服を着ている
小学生くらいの女の子だったという話になって
観月ちゃんじゃなさそうだし
まさか本当にありがたい神様がおうちに来た?
と、あわてていたから夕凪はつい笑っちゃって。
みんなのうしろで
事情を知っている星花ちゃんはおろおろしていたし
吹雪ちゃんは、いつ言い出そうか聞いているみたいに
夕凪のほうをちらちら。
きっと、かつらは大事なものだから丁寧に扱ってね、って
夕凪は受け取るときに聞いていたのを忘れていて伝えないでいたから
今日になって、かなり高価なものだから心配していたとお友達の子から聞いて
夕凪も、えっそうなの、わー危ないところだったって思ったけど
吹雪ちゃんが、ミーチカちゃんにかぶせて届けたのを
大事なかつらを雑に扱ったみたいじゃないかなと思い出して
ちょっと怖かったんじゃないかなあ?
夕凪も、怒られそうで怖かったもん。
怖いのに、びっくりしているみんなを見ていると
笑ったら絶対すぐばれるのに、こらえきれなくて。
夕凪、がまんするの苦手!
結局、ぷるぷる震えているところをお友達の子に見つかって
あっ!
この子だよ!
山の神様を呼ぶ踊りのために、蛍お姉ちゃんが作ったコスプレの巫女装束を着ていても
観月ちゃんみたいに巫女装束に合わせてかっこよく髪を頭の後ろでまとめて結んでいても
顔を見れば一発だったね。
巫女装束は去年のお正月の服。
成長した夕凪にはサイズが合わなくて
その後すぐ着替えたから、誰もわからなかった。
夕凪も思ってもみなかった妙な展開で
動揺しているみんなが面白かったのに
簡単にばれちゃった!

学芸会に見に行けないかもしれない海晴お姉ちゃんのために
星花ちゃんと夕凪と吹雪ちゃんで知恵を出し合って、
かつらを届けてもらえばいいじゃないってひらめいたのは夕凪だよ!
その前の話で、おうちで劇をしてもらえばいいかもって思いついたのは
確か星花ちゃんだったけどね。
そのもっと前の話で、このままだと海晴お姉ちゃんが悲しい思いをしてしまいそうで
何かできないか、と提案したのは吹雪ちゃん。
そして、サンタさんが来たって考えたさくらちゃんのおかげで
麗ちゃんは、なんとなくその気になったみたいで
家で劇を見せてくれて、
だから、家族を思う愛のマホウは
家族みんなが協力して作りあげたもの。
きのう、かつらを届けてもらったのはいいけれど
普通に渡したらたぶん、
余計なことするなって怒られそうな気がしてきて
三人でかつらを囲んで頭を寄せ合って
とうとうパニクった夕凪が
星花ちゃんを連れて山に逃げちゃったあと。
もともと、家に残って小さい子と遊んであげる予定だった吹雪ちゃんが
普通に渡したら、怖がった夕凪に悪いと思って
ミーチカちゃんにかぶせて届けたかつら。
それはもう、夕凪たち三人
家族じゅうから怒られちゃった。
海晴お姉ちゃんにおうちで劇を見てほしいなら
ちゃんと麗ちゃんにお願いするべきでしょう。
断られるかもしれないとしても、心を込めて話をするのが本当だって。
そうだよね。
さくらちゃんも、サンタさんじゃなかったんだって悲しそうにしてた。
わーん、さくらちゃんごめんね。
今回はサンタさんじゃなかったけど
クリスマスには本当に来てくれるからね!
サンタさん、おねがい!
こんな悪い子の夕凪のところには来ないかもしれないけど
きっとさくらちゃんにはプレゼントを届けてくれるよ!
星花ちゃんと吹雪ちゃんも、ふだんはいい子だから絶対プレゼントが届くよ!
夕凪のところにも、もしかしたら来る?
こんないたずらをしなかったら
ふだんはいい子のはずなんだけど……

麗ちゃんは、堂々と舞台に立っていたよ。
きっと家族の前で劇をしたから、度胸がついたんだ!
とか夕凪が言ったらまた怒られるかも?
でも、麗ちゃんの劇が成功して
麗ちゃんが一仕事終えたような表情をしていると、夕凪もうれしいのは本当だもん。
舞台の麗ちゃんがすごくかっこよかったなって感じたのも、夕凪の本当の気持ちだもん。
いたずらで困らせてしまった夕凪が言うのはおかしいかもしれないけど。
いよいよ本番のぴりっと緊張した空気の中、
背筋を伸ばしてはっきり声を出して演じた麗ちゃんは
かっこよかったよ。
きのう、みんなの前で練習してよかったね!
と思っていたら、後で聞いたら
ものすごく緊張していたんだって。
練習と比べたら、体ががちがちになって
全然うまくできなかったって。
あんな演技になっちゃって
見た人はなんて思うだろう?
ああーどうしよう、
いつもきりりとしている麗ちゃんにしては珍しく、
気持ち悪くくねくねもだえている。
そんなことないのにね!
よかったよ?
なんだか、かっこよく天気予報をしたあとに
カメラの外側で
外れないかどうか心配している
海晴お姉ちゃんみたい。
とっても難しいお勉強をして、毎日よく当たっている予報をしてくれるのに
変なの!
麗ちゃんもそんなふう。
家族だから、みんなどこかが似ているけれど
やっぱり海晴お姉ちゃんと麗ちゃんは、特に似ているのかな?
今日はちょっと珍しい、きりりとできない麗ちゃんを囲んで
励ましたり、家族って面白いねって笑ったりする帰り道。
海晴お姉ちゃんに教えてあげたいことがいっぱいで、
夕凪はあふれ出す報告を抑えきれなくて、
一緒に見ていたお兄ちゃんとも、たくさん話した帰り道でした。

次の日曜日は、幼稚園の合唱会があって
その前に、歌が上手な教会のお姉さんたちと
おうちで歌が上手なお兄ちゃんと、なぜか霙お姉ちゃんが幼稚園に行って
歌を教えてあげる予定もあるんだって。
なんで夕凪が行けないのか謎だけど、
おうちにいてもみんなで練習できるから、これはまあいいかな?
その次の日曜日は、夕凪とお兄ちゃんたちにもやってくる緊張の本番。
教会で行われる合唱部のお姉さんたちの立派な発表会に便乗して
地元の人たちが参加する、下手かもしれないけれどやる気で挑むクリスマス合唱会。
それから、楽しい冬休みに入ったらすぐ、
冬休みが始まったことがさらにうれしくなる一番の楽しみ、
家族で過ごすクリスマスが
夕凪たちの家にも訪れる。
わあー!
こうやって待ち遠しい気持ちが盛り上がってくると、
ますます実感、
いよいよだ!
ついに、クリスマスシーズンだね!

夕凪の偽日記

『冬が来るよ』

教室の窓側。
日当たりが良くて
別に退屈な授業でもないのに
気持ちよくて、うとうとしたり。

ああ、このあとは体育だな、
走って跳んで
夕凪がいい成績を出せれば
お兄ちゃんは、話を聞いて喜ぶよ!
とか、そわそわしてしまう楽しみがあっても
まるで勝てない。
あったかーい……
まどろむ……
夕凪は、縁側の猫になるよ。
にゃー。
どんどんまぶたが重くなっていく。
こんなに暖かいのに、
本当に冬は来るのかな?
夢の中ではもう、こたつにあたってみかんを食べているのに……
って、夢は見てないよ!
寸前くらいでがまんした。
このままだと怒られると思ったから。
しっかりしないと!
まったく、秋のやつめ。
小春日和め!
夕凪はただでさえ、勉強のことでうるさく言われがちなのに。
気持ちいいじゃないかー。
ふにゃー。

体育をして、お天気の下でほかほかになると
ますます疑問。
あと一ヶ月で、この辺りも雪が降るかなあ?
ホワイトクリスマスにならないのはともかく
薄着だったら、雰囲気でないなあ。
コスプレで蛍お姉ちゃんがミニスカサンタになるのは似合うよ?
でも、本物のサンタさんはたぶん似合わないと思う。
ミニスカ。
日曜日からはアドベントカレンダーもいよいよ一日目の始まり。
うわ!
本当に12月だ!
って、感じがしてきたのに
ちゃんとこのまま冬になってくれるのかな?
夕凪は今日、
体育でずいぶん汗をかいたよ?
今年のクリスマスは、ミニスカ家族かも。
お兄ちゃんはミニスカ似合うのかな。
サンタほどおじいさんじゃないし、いけるかな?
なんて気楽に想像していたのに、
学校の廊下で日陰に入ったら、
ましてや、夕方になって日が落ちたりしたら
きゃー!
なんでこんなに違うの!?
やっぱり、もう冬だったんだね。
気がついたら、こんなに寒くなっていたなんて!
昼間の気持ちよさが嘘のような帰り道。
世界で一番寒いんじゃないの!?
半分本気でそんなふうに思いながら帰ってきたら
家の中は暖房がついていたし
小さい子は抱きついてくるし
キッチンにはりりしいお兄ちゃんが立っているし
それを見て春風お姉ちゃんがぽーっとしすぎて湯気が出ているな、
と思ったらうどんの湯気だったし
あったかいな!
生き返るー。
ここは世界で一番あったかいかも!
でも、ひとつ問題があるとすれば
暖房が、キッチンとリビングのあたりしか効いていなかったから
どうしても晩ごはんのお手伝いをしなければならなかったこと。
夕凪、たまねぎの皮をむくのはちょっと好き。
切るのは全然ダメだけど。
あんなにつーんとしても、叫び声も出さないで真剣に切り続ける小雨お姉ちゃんすごい!
根性があるの?
いいなあ。
夕凪、静かにしているのは苦手。
なんでだろう?

こんなに寒いと、氷柱お姉ちゃんの仕事も大変そうだよね。
サンタさんも、クリスマスの夜なんて絶対寒いよね。
おうちでは小さい子が抱きついてあったかいみたいに
トナカイに抱きつくわけにはいかないし。
やっぱり仕事だから、寒さに耐えてがんばっているのかな。
でも、ホウホウホウって笑顔でプレゼントを届けてくれるんだよね?
夕凪は見たことないけど。
寒さに耐えてますって感じでもなさそうだな?
世界中の子供が喜んでくれるなら、寒さなんて気にならないってことかも?
すごいなあ。
夕凪にも、よろしくお願いします!
夕凪が今年お願いするプレゼントは──
まだ決めてないけど。
今の候補の中から、何をもらってもうれしいな。
それとも、もっとうれしいものをこれから思いつくかなあ?
いよいよ寒くなってきました。
サンタさん、早く来てね!
早くクリスマスの日になるといいな。

それでね、今日ね。
夕凪たち家族の、誰よりも遅くなって寒い帰り道の、氷柱お姉ちゃんは
一緒に帰る麗お姉ちゃんに、
肉まんをおごってあげたんだって。
いいなあ、今度は夕凪が氷柱お姉ちゃんのお迎えに行こうかなあ。
って言ったら、夕凪はもともとほかほかだから肉まんは必要ないし
氷柱お姉ちゃんが冷たい手を夕凪のほっぺたに当てて暖を取るんだって。
夕凪にとっていいことが何もないじゃない!
そんな氷柱お姉ちゃんは、お迎えになんて行かない!
まあ、夕凪はまだ3年生だから、遅い時間に外に出たらいけないんだけどさ。
麗お姉ちゃんはね、
あんまり太って見えるのが嫌だから、肉まんを断ったらしいよ。
肉まんを断る人がこの世にいるなんて!
しかも、別に太ってないと思う!
一緒にお風呂に入っても、
おなかをつまんで引っ張るものが何もない。
つまもうとしただけで怒られるけど、たぶんない。
ないなら別につまんでもいいじゃない。
狙っても問題ないでしょ?
なんであんなに怒るのかなあ。
それを吹雪ちゃんに話すと、
ゼロをつまむということはどういうことなのか、
真剣に考えちゃうの。
そんなに難しく考える話でもないと思うけど。
夕凪のおなかはかなりのものだよ。
ちょっと離れた場所から手を伸ばしただけでつまめるよ。
たいして狙わなくてもつまめるよ。
びろーんって伸びてきて
手のひらに乗るよ。
それはさすがに大げさだった。
お兄ちゃんは、あんまり夕凪のおなかは狙わないけれど
たまにつまんでみたら、面白いかもしれないよ。
夕凪は逃げるから、
つかまえてね!
でも麗ちゃんは、太ってないのにダイエットをしていたんだね。
晩ごはんも食べないで、発声練習をして。
でもそれって、なんで泣いていたんだろう?
よっぽどショックだったのかな?
ちょっと太っても何も問題ないよ?
恥ずかしくなんてないし、お兄ちゃんにつままれたら喜ぶくらいだよ。
こんなおなかの夕凪が平気なんだから、
ダイエットなんて必要ないのにね!

夕凪の偽日記

『花嫁修業』

ほんとかな?
花嫁修業になるって。

蛍お姉ちゃんを中心にして
今日もお料理の練習が続いているの。
氷柱お姉ちゃんが、家族ならできそうなことは全員でやるべきだと
お兄ちゃんを呼びに行ったところまでは
夕凪もお手伝いしてた。
お料理の練習した?
でもお兄ちゃんはお嫁に行かないから、花嫁修業じゃないね。
男の人だから。
やっぱり作る料理は男の料理なの?
肉を豪快にぶつ切り! みたいな?
たいていのものは煮るか焼くかすれば食べられる! みたいな?
困ったらカレー粉を入れればなんとかなる! みたいな?
教えてくれるのが春風お姉ちゃんと蛍お姉ちゃんだから、男の料理じゃないかな?
お兄ちゃんのお料理教室もある?
教えてくれる料理は
たとえば、えっと──
串に刺して焼くお肉。
豚の丸焼きとか。
あんまりお兄ちゃんのイメージじゃないね?
そもそも男の人はみんながそこまで乱暴じゃない。
麗ちゃんは男を怖がっているけれど、
お兄ちゃんは優しいから仲がいい。
蛍お姉ちゃんはねえ、
お兄ちゃんがお仕事をしているイメージは
紳士的な喫茶店の主人、って言ってた。
その話を聞いて、うんうん賛成していた声は
誰だったんだろう。
吹雪ちゃんかと思って聞いてみたら、違うって。
お兄ちゃんのこと、吹雪ちゃんが将来は科学者になってもっと調べてみたいって。
それはお兄ちゃんのお仕事の話じゃないよー。
春風お姉ちゃんはねえ、
どんな仕事をしていても王子様は素敵だと思う、って言ってた。
たくましい仕事も似合うかもって。
星花ちゃんもね、お兄ちゃんは三国志の武将にも負けない男らしさだって。
たくましい料理を作るかもしれない。
マンモスをとってきてくれるかもしれない。
マンモスはなかなかいないけど
でも、あんまり見ないトナカイもクリスマスにはやって来るもんね。
夕凪ねえ、
この季節はトナカイの子が迷っていてもおかしくないから探してるの。
いたら絶対かわいいよ。
一緒に遊べたら楽しいよ。
でもやっぱりサンタさんは何かと不思議なパワーを持っているから
トナカイがはぐれてもすぐに見つけ出しちゃう?
サンタはマホウ使いみたいに、
クリスマスの一晩で世界を回るすごい人。
夕凪の欲しいプレゼントも、
手紙に書かなくてもわかってしまうんじゃない?
夕凪、欲しいものが多くて
お願いをするのにすごく悩んでる。
プレゼントは一つだけ!
クリスマスまでに決められるかなあ。
欲しいものってね、
えーっとね、
ローストチキンや
おすしや
ピザ!
違うな、クリスマスだけどプレゼントとは違う。
お料理の本ばっかり見ていたからだよー。
おいしそうだったからだよ。
あれ?
そうだ、確か最初はお料理の話をしていたんだった。
何でクリスマスに話がそれちゃったんだろう。
まあいいや。

あ、いま気がついたことで
蛍お姉ちゃんがクリスマスまでアルバイトをするなら
ごちそうの準備ができないじゃない!
自分たちで作るのかな。
好きなものをいっぱい作っていいのかな?
作れるかなあ。
ピザ。
生地を回して伸ばすんでしょ?
うまく回せるかなあ?
夕凪、フラフープを回すのは得意!
お兄ちゃんにも教えてあげる!
きっと夕凪のことを
師匠とか呼びたくなる。
そのくらい回せるフラフープ。
ピザはまだ習ってないの。
今日教わったのは
ラーメンの作り方。
寒い日だったもんね。
ちょー冷え込んだ。
外は風があって寒いし
教室の中も意外と寒いし
指が冷たいし
ほっぺたが冷たいし
友達と触りあってきゃーきゃー確認しあっていたら
先生に怒られた。
騒ぎすぎだって。
友達の体を心配していただけなのに!
それは騒ぎすぎたかもしれないけど
大人は大事なことをわかってくれない!
寒い日に、友達の健康を守りたいこの気持ちを──
いま考えたら、冷たいのを確認しても平気で外で遊んだから
健康の確認じゃなかったのかな。
じゃあ、あれはなんだったんだろう?
いや、でも触ったからこそ
こんなに冷えていたら心配だなってみんな言ってたよ。
もっと着なくちゃって。
触りあって話しあわないと、そういうことに気がつかないかもしれないのに
怒られるなんて。
お兄ちゃん!
夕凪にどんどん触っていいよ!
冷えすぎていると思ったら、夕凪のことが心配だって言ってね。
晩ごはんを食べてあったまった。
ラーメンを毎日食べるわけにも行かないから
うどんの作り方も教わった。
明日は夕凪特製のうどんだよ!
楽しみにしててね!
キッチンでは、みんなが忙しく動き回る。
あっちはどうだ、こっちの進み具合は?
こういうのテレビで見た。
はやりのレストランの厨房みたい!
花嫁修業になってるかな?
あんまりこうやっていっぱいで働くお嫁さんを見たことないよ?
お嫁にもらってもらうために学んでいる
氷柱ちゃんから
ユキちゃんまでの
えーと、8人!
お兄ちゃんも入ってくれるのかな?
じゃあ9人!
お兄ちゃんはお嫁にもらってもらえないから
夕凪たちをお嫁にもらったらいいと思います。
ケッコンしちゃおう!
チャオ!
なんちゃって。
立夏ちゃんが前に言ってたよ。
ややこしいからケッコンしちゃえばいいんだよ!
まさに今が
かなりややこしい状態!
お嫁は誰だ?
うどん──
お兄ちゃんに食べさせてあげたいな。
新婚さんの気分で作るね。

夕凪の偽日記

『ねむれるしし』

吹雪ちゃんが
冬服を着たくなくて
氷柱お姉ちゃんたちを説得しているので
これは便乗して夕凪も
部屋の片付けをしなくていいかも!
と思って
氷柱お姉ちゃんに対抗してみたら
怒られた。
吹雪ちゃんも、
夕凪姉は片付けをする必要があるでしょう、
あんまり味方じゃなかった。
年上からも年下からも、せかされる。
囲まれた!
こういうのを、星花ちゃんが難しい言葉で表現していたよ。
四面楚歌。
それか
前門の虎、後門の狼。
夕凪はしし座なのに、まるで相手にならないんだよ。
本当はおひつじ座だった?
おひつじ座のあさひちゃんは食べようとしてくるタイプだけど。
夕凪、もっと余裕で食べられてしまいそうな星座だった?
ぎょう座とか。
そういうダジャレじゃなかったら、
今の時期おいしい
にくまん座、
おでん座、
なべ座。
でなければ、食いつかれそうに襲われている理由がわからない。
いやいや、夕凪は生まれながらのマホウ使い。
マジカルな星座に違いない。
それが何かは知らないけれど
間違いないの。
夕凪は──
ハロウィン衣装は、ライオン。
ふさふさ毛皮のついたレオタード。
肉球グローブで、こねこね。
しっぽが長いと自分で踏んで転ぶから、
短めのしっぽの先がふさっ。
生足まるだし。
ビキニじゃないのは惜しいけど
姉妹一のセクシー衣装!
と思っていたら、森の乙女になる春風お姉ちゃんにはかなわない。
そんなライオン夕凪を見て、みんなは
今はかわいいが
いつか立派なマホウ使いになる
眠れる獅子だ、と言ってくれる。
夕凪、とっくに目覚めてるつもりでいたから
もうなんでもできるんだけどな!
その時は言い返したかったのに
実は、姉にも妹にも負けそうな
子ライオンだったんだよ。
知らなかった……
夕凪の目覚めはいつだ?
獅子が起きたら、
部屋を片付けなくてもいい、
吹雪ちゃんが服を着なくてもいい、
毎日ハロウィンを開催して
お兄ちゃんとずっと仲良く遊んで暮らせる家を作ります。
獅子は王様だもん、
言うことを聞かないと
お兄ちゃんだって怒られちゃうよ。
ずーっと夕凪から離れたらいけない、
のである。
この口調は博士っぽいな?
お兄ちゃんは、夕凪といつでも一緒にいて
授業中は夕凪のまじめな態度を見て後でほめてくれて、
休み時間に校庭に出たらいつも夕凪の味方になって助けてくれて、
下校の途中だって、お兄ちゃんに話を聞いて欲しくて、
お風呂の中でもトイレでも離れないでいて、
話をすることがなくなってもそばにいてもらって、
夜もすぐ近くで眠ってくれたら
王様は嬉しいんじゃないかな、と考えているわけです。
でも、まだ眠っている小さな獅子。
仕方がないので
部屋は片付けます!
立派な命令も、今は我慢。
お菓子をもらい放題の日も、ハロウィンだけにするね。
楽しみだなあ。
氷柱お姉ちゃんは、毎日おやつ食べてるのに、ってあきれている。
でも、おやつはいいものだから
いくら食べても飽きないじゃん。
もっといっぱい食べたくなる
世の中のおいしいもの。
このままもりもり食べ続けたら
ライオンが目を覚ます前に、
食べてすぐ寝て夕凪は牛になるかも。
それで、胸も大きく育ってスタイルもよくなって
モデルになるかも。
アイドルも捨てがたいな。
もちろん、いつかお兄ちゃんのお嫁さんにもなるし。
王様みたいにいいものがたくさんある
夕凪の夢。
ハロウィンの夜の仮装で、たった一日だけでも
素敵な未来がフライングで夕凪のところにやって来ますように。
蛍お姉ちゃんが、ハロウィンの食事は恐怖をまねく闇鍋にするって
張り切ってるよ。
ちょっと冷えても、鍋ならあったまるから安心だね。
寒かったら星花ちゃんやお兄ちゃんにくっついてもいいんだし
まだまだ、片付けはのんびりでもいいかもしれないね?

夕凪の偽日記

『夕凪はうそをつかない』

なんでもないよ!

なんにも隠してない。
本当に。

うそだと思うなら
夕凪の目を見て!
これがうそをついている目に見える?
これが……
ささっ。
あ、ううん。
気にしないで。
目にごみが入っただけで
目を合わせるとうそが見抜かれそうっていうわけじゃないの。

えっ、
お兄ちゃん、疑ってる?
そんなー。
無実だよ!
お兄ちゃんに信じてもらえないなんて
悲しいなー。
夕凪、
日ごろから正しいこどもを心がけていたのに
なぜこんなに疑われてしまったの。

本当だよ。
隠しごとなんてしていない。
うそなんかついてない。
命をかけてもいい!
やっぱりだめ!
命はかけない!
まだ死にたくない!
夕凪が死んだら
あの子も誰にも助けてもらえなくて
死んでしまう!

そんなことより
お兄ちゃん、いいの?
ホタお姉ちゃんがはりきってたよ。
次のハロウィンに
お兄ちゃんは
猫にされちゃう?
犬にされちゃう?
夕凪は、
猫も拾ってきてないし
犬も拾ってきてない!
これは本当。
誓って本当。
ここだけは本当。
ううん、全部本当だけど。
ところでお兄ちゃん、
いのししって何を食べるか知らない?
ちいさいいのしし。
まだ赤ちゃんだと思う。
からだにしましまがあるの。
しかも、足をケガしてるみたいで
ずっとうずくまってる。
だからって、その子がどこかにいて
夕凪がえさをあげなきゃいけないというわけじゃないけれど
あ、そうだ、
学校の飼育係になったから!
おりで飼ってるうさぎといのししを育てなきゃいけなくて!
あ、それは先生に聞くことか。
そうだよね。
しかも、これだと
星花ちゃんに確認すれば、いのししなんて学校にいないって
一発でバレるよね。
でも、どんぐりもパンもミルクも持って行ったのに
夕凪があげても何も食べてくれないし。
ケガをして栄養が必要なのに
このままじゃあどんどん弱っていっちゃうし
逃がしてあげるしかないかもしれないけど、動けないんだし
どうしたらいいんだろう。

あの、
お兄ちゃんはいつも
約束を守ってくれるお兄ちゃんだよね。
夕凪が怒られるようなことをしても
いつも最後には絶対かばってくれるお兄ちゃんだよね。
お兄ちゃんだけには
きっと協力してもらえるよね。
ううん、
なんでもない!
あと一日待って。
もう一日様子を見たら
話すから!
これは本当!
夕凪はうそなんか
今度はうそなんかつきません!
うそをついたらいけない大事なところくらい
夕凪はちゃんとわかってるの。

夕凪の偽日記

『ペンギン探検隊』

好きな食べ物は
メロンパン。

好きなアニメは
ドラえもん。

暑い日に
行ってみたい場所は
南極。

これが、
夕凪が探検して
見つけ出したお宝。
お兄ちゃんのヒミツ。

違う?

それは夕凪のことじゃないかって?
夕凪もそう思う。
おかしいな、
どこで混ざったんだろ。
夕凪が好きなものは
夕凪のことを好きなお兄ちゃんも
好きじゃないかと思うから?

南極に行きたいのは
夕凪のペンギン帽子と
昆虫採集にでも行きそうな
探検家ファッションを見たから?

蛍お姉ちゃんのクラスで開催する
はたらくどうぶつ喫茶。
南極は、探検家たちが目指した土地。
ペンギンだって探検したいんじゃないかな。
ということで試作品の衣装、ペンギン探検家。
だけど、はたらくどうぶつ喫茶のコンセプトは
人と人のふれあいを大事にしたいということ。
お店に来たばかりの人を探検するわけにはいかないから
ペンギン探検家の衣装は、かわいいけどボツ。
夕凪に合わせて作ってもらいました。
本当は、お客さんを捜査するのも問題だけど
犬のおまわりさんは、できることならお店にいてほしい。
だって、警察がいないと
誰かの心を盗んでしまったら大変だからって。
蛍お姉ちゃんが心を盗むほうなの?
ルパンだったんだ!
ルパン4世だ!
ルパンと不二子ちゃんが結婚して生まれた子かもしれない!
すると、ママはの正体は
実は不二子ちゃんなんだ?
やっぱり!
どおりで、派手だと思ってたんだ。
それなら、夕凪も不二子ちゃんの血を受け継いでいるね。
大きくなったら美人になるね。
今日の衣装は探検家だけど
怪盗も似合うよ。
沖縄のホテルで探検した力が認められて
夕凪のこの服。
家では、どこを探検に行こうかな?
町や学校は探検にうろうろすると怒られるの。
ちょっとだけなら、いいじゃないって思うけど
だめなの。
こないだ噂になっていた
走る二宮金次郎を追いかけて捕まえたら
お手柄なんだけど!
石でできてるんだから
そんなに早く走れないと思うんだよね。
怖い話で
小さい子を怖がらせるやつは
夕凪が捕まえて
言い聞かせてやれば
もう悪いことはしないと思う。
さくらちゃんもマリーちゃんも怖がらずにトイレに行ける。
でも、夜の学校に入ったらいけません。
家族の事情があってもだめなの。
夕凪が探検家として有名になるまで
二宮金次郎の謎は、明かされないままだね。
他に夕凪が探検したいのは
お兄ちゃんの秘密。
マホウを使ってもわからないことが多いなんて
どんな技を使って対抗しているんだろう。
マホウにはマホウかな?
ペンペン、
謎の大陸、南極育ちだから
秘密を探検せずにいられない。
南極の動物、夕凪だペン。
あとね、
庭の端っこにある、あれ。
霙お姉ちゃんが夏休みに
かびくさくなった自分の部屋を掃除したときに
暗黒コレクションを運び込んだ物置。
古いものがいっぱいで、あぶないから
中学生になるまで立ち入り禁止。
立夏ちゃんも、ずーっと禁止だったから
なんか今でも入っちゃダメなんだと間違えているらしい
謎の物置だよ。
中を見たくなるでしょ?
しかも、夕凪はまだ小さいころ
あの物置の屋根の上に登って遊んでいたから
馴染みの場所。
なのに、内側は知らないの。
夕凪が今より小さくて
今は頭の左右にふたつ結んだ
ちょこん、ちょこんが
まだ片方のひとつだけで
ちょこん、だった時代。
あれ? 青空ちゃんは今もちょこんちょこんだから
大きくなったら、また増える?
育ったら生えてくるってものじゃないか?
とにかく、夕凪の昔話。
木に登って、太い枝を伝って、屋根の上へ。
誰にも見つからないように隠れられる
夕凪だけの秘密基地だと思っていた場所。
マホウの透明マントを着たみたいに、
ここでなら夕凪の秘密を作れるの。
後で聞いたら、夕凪が見つからないときは
屋根に登っているだろうと探しに来て
ちゃんと見つかっていたらしい。
子供の頃の話って、
恥ずかしい!
物置のあたりの木の枝を切った理由は
夕凪が登って危ないからだったみたい。
だけど、夕凪が登らなくなった理由は
ある日飛び乗ったら、屋根がガタガタ音がして
壊れそうな気がしたから。
夕凪も大きくなりました。
しかも、おいしいものがあったらよく食べるほうだから。
もう屋根に登るのはやめたけれど
何度も登ったせいで屋根が壊れていないか、心配になったの。
今度の台風は、大雨に注意って予報だし。
霙お姉ちゃんの暗黒コレクションが
雨漏りで濡れちゃったらおおごとだよ!
今度の台風はこのへんを通過するかもしれなくて、本当に怖いものらしい。
海晴お姉ちゃんにも
外出しちゃだめって厳しく言われてる。
でも、庭くらいならいいでしょ?
もしそんなにひどい雨が降ったら、雨漏りを調べるついでに
中を探検に行こう!
と、探検隊の隊長は、隊員のお兄ちゃんの意見を聞いているわけです。
お兄ちゃんが隊長でもいいかな。
はい、隊長!
なんてのも、テンション上がるな。
夕凪を引っ張っていってください。
というか、せっかくの休日なのに
明日もあさっても台風でずーっと家の中だなんて、ひどいよ!
物置まで遊びに出るくらい、いいでしょ?
霙お姉ちゃんのコレクションを守りに行く役目にかこつけたい。
夕凪一人だと絶対怒られるし
でも、気になる場所。
お兄ちゃんが隊長なら、いいと思うんだ。
夕凪は、雨くらいでは
冒険心を抑え切れません!

夕凪の偽日記

『宿題おわった!』

夏休みに
あと少しの日を残して
夕凪の宿題も終わり。

本当に終わったの?
嘘みたい!
また何か忘れてない?
それともこれは夢なのかも。

お兄ちゃん!
夕凪のほっぺたをつねってみて!
あまりに信じられないから
夕凪のおしりを叩いてみて!

きゃあー!
お兄ちゃん
なんてことするの!

おしりたたきは
悪いことをした子供に
言い聞かせるときなの。
夕凪はもう子供じゃないよ。

本当に終わったんだ、
宿題。
夢じゃない!
まぼろしでもない!
まるっと自由な夏休みが
まだ残っている。

こんなことがあるなんて
予定を組んでくれた吹雪ちゃんのおかげだ。
最初に話を聞いたときには
鬼が出た!
子供をさらいに
どこかの山奥から降りてきた!
と思ったものだけど。
終わってみれば、
なーんだ!
夕凪のためだった。
鬼の計画に見えても
なんとかなるものなんだ。

あとね、あとねー、
星花ちゃんがいてくれたから。
毎朝、ごはんのあと
カンフーの練習をするのを
教えてもらって横で真似て
終わったら
体が温まったところで
何か物足りないなって瞬間に
さあ、夕凪ちゃん!
そろそろ宿題しましょう!
ってなったら
ついつい言われるままにやってた。

そしていよいよ、
今日は何の宿題をする?
聞かれたときに、
えっとね、
今日は、
あれも終わって、
これももう済んだ、
あっ、もうない!
夏休みの宿題は終わったんだ!
解放の瞬間だ。
夕凪はこれから自由に夏休みを過ごせるよ。
毎日付き合ってくれた星花ちゃん、
ありがとう!
なんとなく元気を入れてくれたカンフー、
ありがとう!

小学生のみんなの宿題は
もう片付いて、
あと宿題が残っているのは
立夏ちゃんと
蛍お姉ちゃん。

夏の間はみんなの体調管理におおわらわで
ごはんに
家事に
一生懸命だった
蛍お姉ちゃん。
暑くて食欲が出ないようなときは
みんなで楽しく食べられる流しそうめんを企画したり
最近涼しくなってきたら
重ねて着る薄い上着や
夜寝るときの毛布や
かわいい飾りをいっぱいつけて
家族の喜ぶ顔を見たいって
きらきら!
忙しいお母さんでした。
これからは夕凪が家事を手伝うから
がんばって宿題済ませてね!

立夏ちゃんは
なんで?
早く終わらせちゃえば良かったのにね。
夕凪みたいに!
中学生はやっぱり
勉強も違うのかな。
夕凪は、その頃にはすっかり賢くなって
我が家で二人目の特進クラスに入るかもしれないくらい
伸びる子だから
心配はいらないけれど。
今年の夏休み、
立夏ちゃんも、星花ちゃんや吹雪ちゃんと
同じ部屋だったら良かったね。
夕凪の大事な二人を
誰にもあげないけどね!
それで、お兄ちゃんも夕凪のものだったら
いいなと思います。

今日は夕凪が
蛍お姉ちゃんの代わりに
肝っ玉お母さんをします。
ご飯のお手伝いと言っても
作れるものはホットケーキくらい。
マホウの力を込めようとすると
食べ物で遊ぶなって叱られるから
普通のホットケーキ。
遊んでるわけじゃないのにね!
大人はマホウと遊びの区別もつかないのかなあ!
そういうわけで、お母さん夕凪に許されるマホウは
おいしくなーれの呪文だけです。
夕凪が作った
意外と普通のホットケーキが
みんなで協力して作る
晩ごはんのメニューのひとつだよ!
これしかできないけど、
今日から
蛍お姉ちゃんの宿題が終わるまでは
いっぱい作るから
いっぱい食べてね。

夕凪の偽日記

『タンケンタイ』

一時はどうなることかと思ったけど
ホテルについてしまえば、こっちのもの。

というわけで、お兄ちゃん!
タンケンしよう。
見て!
ここがホテルの非常口だよ!

さっき、お姉ちゃんたちに
あっちだよって教えたら、
防災意識が高くてえらいね、
って褒めてもらえた!
氷柱お姉ちゃんだけは
じっとしていることもできないの、
ってあきれてた。
お兄ちゃんは、どう思う?
夕凪、えらいかな?
それとも、落ち着きがないかな?
実は、氷柱お姉ちゃんが正しいの。
じっとしていられないだけなの。
いよいよだもの。
夕凪の旅が
始まってしまったもの!
家族一緒の、沖縄旅行。
ママだけはお留守番。
お仕事って大変だね。
同じテレビの仕事、
海晴お姉ちゃんは夏休みがとれて、よかったね。
まだぜんぜん売れっ子じゃないことに
感謝だね!
って言ったら、怒られたけどね!
海晴お姉ちゃんのチョップは立夏ちゃんに受け継がれつつあるけれど
まだ現役の痛さなのです。
こんなふうに、ホテルを駆け回っているだけだってことに
気付かれてしまったら
また怒られるかな?
調子に乗りすぎて、周りの人に迷惑をかけてしまったら
いけません。
旅行のルール。
観光地は、うちの家族だけのものじゃない。
麗ちゃん製作のしおりにも、グルグルマークつきで
書いてある注意事項。
夕凪、ちゃんと迷惑にならないように
大人しくタンケンできると思うな。
それに、クーラーが効いて涼しいからって
部屋にこもってなんていられない。
海に出かけるのは明日までおあずけ!
そりゃそうだ。
みんな、移動で疲れた。
わかっていても、盛り上がる気持ちは
止められない。
気をつけて歩きまわるよ。
暴れているのがばれないように、
じゃなかった。
知らない人に迷惑をかけないように。
たくさんの人が集まる、リゾート地。
みんなで気持ちよく過ごすためのマナー、
守りたいな。
あのねーお兄ちゃん。
夕凪、大暴れだけどさ。
明日からも、近くの海に泳ぎに行くくらいで
そんなに遠出はしないじゃない?
夕凪の元気が
沖縄中にあふれ出しそうなほどなのに
海水浴で収まるのかな。
本当は、ホテルの中だけじゃなくて
せっかく来たんだもの。
島から島へ飛び回って
沖縄をしゃぶりつくす一週間にしたいな!
水族館に出かける予定になっているのは超楽しみとして、
動物園に行って、ヤンバルクイナを見たい。
さんご礁を探しにスキューバダイビングしてみたい。
マリンスポーツはいっぱい。
石垣島のマングローブだって興味があるよね。
おいしそうな夏のスタミナ源、
沖縄料理も夕凪たちを待っている。
めんそーれって言って待っている。
あと、歴史ある首里城、
は、名所らしいけど面白いのかな?
などなど、
言ってみたところで、無理なんだけどね!
夕凪の今年の夏休みは、一度きりなのに!
これでいいのか!
でも、思ったんだけど
夕凪、沖縄名産はなんでもかぶりつきたいのに
泡盛は無理。
子供にはお酒の味が分からない。
そんなに飲みたいわけでもない。
だけど、海晴お姉ちゃんだとか
大人の味を、いつか体験するって張り切っているの。
そんなにいいものなの?
チョコレートボンボンがおいしいお年頃になると
憧れるらしいの。
だから、家族は沖縄にはまた来るよ。
おいしそうな泡盛を求めて、またやってくるよ。
夕凪がお酒を飲める年になったら、
また家族旅行に沖縄に来て飲もうね!
そう決めたから、夕凪は今はまだ
沖縄まるかじりはいいかって。
予定通り、海で泳いで過ごすよ。
ここに泊まっているかぎり、海水浴に行きたい放題。
泳ぎまくり。
一週間も泳いでいたら、どうなるのかなあ。
泳ぎの得意な体に進化して、うろことか生えてくるかなあ。
足も魚に変身する?
そうなったら、
人魚姫はおにいちゃんと結ばれて
いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
あのお話は悲しい終わり方らしいけど。
でも、お兄ちゃんだって今日見たでしょ?
広い空と、
気持ちのいい潮風。
幸せになれないわけがない。
昔の人魚姫も、早く沖縄に来ればいいのにね。
泡になってる場合じゃない。
もっともっと、泳ごうよ!
沖縄中にとどろく元気なエネルギー、
それが女の子、
人魚姫!
泳ぎが得意でも、
準備運動はしっかりね!

待ちきれない夕凪は
今日はホテルのタンケンタイ。
こんなに胸をわくわくさせるんだから、
ホテルのどこかに
何か秘密があるに違いない。
もしかしてマホウの力かな?
こっちは大きなホール。
何人集まったらいっぱいにできる?
あっちはきれいで広い玄関。
夕凪たちが元気に飛び出して行って
疲れたーって駆け戻ってくる
巨大なチェックポイント。
人がいっぱいのホテルは、
どれだけかかったら見て回れるの?
明日の海水浴がまだまだ遠い先のことに思えるほど
待ちきれない夜。
このタンケンで、何を見つけるのかな。
休めと言われたって
そう簡単にはできない夕凪です。


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