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立夏の偽日記

『世界一』

世界で一番かわいいコスチュームは
なんだろう?

世界一かわいい
オニーチャンもだーいすきな
リカが
本当にオニーチャンの世界一になるために
気合を入れるなら
いちばん似合うのは
どんなファッション?
世界一の証明の
メダルよりも
魅力的で
なりたい、
オニーチャンのためだけの
世界一。
いちばん憧れのひと、
その心を
ズンバラリと
射止めるには
どんなふうに着飾るのが
ふさわしい?

やっぱり
お人形さんみたいな
ドレスかな。
フワフワ。
ヒラヒラ。
頭の先から
凝ったデザインは
はたして、どんな色?
金色、
虹色、
見たこともない
ピュアな純白で
あなた色に染まります!

それとも
わりと和風がいいかな。
しゃなり
しゃなりと。
恥ずかしがりの
御簾の向こうに
扇を広げた
ツインテールのシルエット。
雛祭りにはまだ早い気がしても
気にしないで
いつでもかわいい
日本の伝統を身にまとって
すました、
いいお顔。

もしかしたら
やっぱり
メイドさんに
おつかえしてもらいたいタイプかなあ?
お帰りなさいませ。
さらりと上着をあずかって
そっとスリッパを差し出して
お風呂が沸いておりマス。
ご用があったら
お申し付けください。
お茶でも
お食事でも
それともやっぱり
わたし?
うーん、
メイドさんは見たことないから
よくわかんない!
新婚さんなら
それなりのハートならもう
ふたりぶんが
ここにあるのにね。
だんなさま!

となると
どうしても、ラブラブが
いちばんかなあ?
ペアルックとか……
あなただけのアイドルとか。
この歌は、
ステージから、たったひとりに伝えるためだけに。
とか。
いや、いっしょうけんめいなアイドルが好きかなあ?
恋の衣装は
なかなか決まらないネ!

オニーチャンが
ライブビューイングが気になって
当日券を調べていた姿を
リカも見ちゃった。
でもやっぱり、みんなでは行けないから
あきらめてるのも見ちゃった。
リカ、本格的にがんばってきたアイドルには全然かなわないけど
元気になってもらうためなら
うたったり
おどるもん!
お背中をお流しするのもいいかな?
木花の一部だったら微妙にアイドル的な人気があるかもしれない
リカをひとりじめできるのは
オニーチャンだけ!
リカの24時間を、すべてうばってね。
たかが授業なんて
愛する二人のジャマは
できないって!

今週にいよいよやってくる
愛の祭典、
バレンタイン。
なんて
オリンピックに便乗した表現をしてみたりして。
今年も楽しめたらいいね!
どんな服で
ばしっと決めたら
まさか去年までの楽しいバレンタインだって追いつけないくらい
今までにない体験の
最高の思い出が期待できるかなあ?
ついに
オニーチャンとリカの間に
どんなことが起こるんだろう?
心からの手作りチョコレートが届ける
本気ひゃくパーセント愛の気持ち。
ぜったい伝わる。
信じてる!

と思って
麗ちゃんも、普段なかなか言えない
気持ちがあるに決まってるし
チョコつくりを教えてあげる、
リカいいおねーちゃんだなあって
誘ったら
すねて
部屋に戻って
ふて寝しちゃった。
荷物をまとめて
ほっといて!
これ以上困らせたら
出て行きます!
って、
着替えを詰めた旅行カバンを
バリケードにして
ベッドで向こうを向いちゃった。
うわーん、
リカよかれと思って誘ったのに
ごめんね麗ちゃん!
オニーチャンも
麗ちゃんのこと見てあげて
やさしくしてあげてね。
本当に出て行ったりは
さすがにしないだろうけど
リカは心配しすぎて
めずらしく眠れない夜を過ごしそうだヨ!
眠れなかったら
こっそりお部屋に遊びに……
じゃなくて
相談に行ってもいいカナ?
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立夏の偽日記

『サンシャイン』

一年の最後の日、
今日はおおみそか。

この一年、
たくさんいろいろあって
リカも大きくなりました。

ぐんぐん大きく育って
素敵な大人になりました。
かわいいリカは
いつのまにか、美人のリカに。
妹だったリカは
オニーチャンただ一人のために生まれた
誰よりも愛しい恋人のリカに変わっていきました。
たぶん。
オニーチャンも、リカの成長知ってるよネ?
健康に育って
ぷるるん。
すくすくとふくらんでいる。
全身で弾んでいる。
あの夏、水着からはみ出しそうな健康的な成長に
オニーチャンも見とれていたはず。
全体的に太くなったわけではないはず。
女の子らしくなる部分が
ちゃんと女の子らしくなっている……
と、思うヨ?
確かめてみる?
もしかして、見るだけでわかる?
一年中、五月五日に限らず記録している
柱の傷は伝えている。
ペンでつけたしるしで、傷じゃないけど。
オレンジ色の明るい夏の色が
薄くなった去年の色から
ぐんと差をつけて見える。
オレンジ立夏は
明るい太陽の光をさんさん浴びて
みずみずしく育ったヨ。
うれしい、お日様の光。
リカにいっぱい注いでくれる愛情が
こんなにリカを大きくしたのなら
きっと、そのいっぱいの愛情は
何よりも家族から注いでいたに違いない。
特に、まぶしい光に目を細めて見つめてしまう
オニーチャンといた時間が
いちばんリカがよろこぶ光。
リカにはこんなにまぶしい人がいる。
まわりにはリカが明るい太陽みたいだとよく言われるけど
もっと本当に明るい光があって、
そっちが本当の太陽なのかな?
オニーチャン!
今年もリカをかわいく育ててくれて
ありがとうございました!
みんなでいっぱいの思い出を作ってくれて
ありがとう!
で、今年もあと数時間なんだけど
もうひとつ、お願いしたいことがあって。
いいかなあ?
やっぱり、
だめかなあ。

もうずいぶん大人になったリカなんだから
麗ちゃんを引率して
夜のうちから大きな神社に出かけて
二年参りをしても
いい頃だと思います!
……だめなんだって。
オニーチャンに連れて行ってもらったら大丈夫か聞いても
そういう問題じゃないって。
リカたちは2日から大磯に家族旅行の予定。
元日はみんなで、おうちで家族のお正月行事をして
旅行の支度をするから
初詣は、まだ少し先になってから。
旅行先の大磯で、
ホテルに着いて落ち着いてからの予定。
それならもう大人だし
一足先に、新年の気持ちが盛り上がっているうちに行けたらなあって。
そりゃまあ、
行くとなれば大変なのはわかるけど。
この人数だし。
あんまりあわただしいと、みんな疲れちゃうし。
お正月は落ち着いて、家族で過ごす習慣。
ううん、リカもそういう毎年のお正月は好き。
オニーチャン、
リカは家族のことが大好きだって知ってるでしょ?
で、
落ち着いているのが苦手な性格だってことも知ってるよネ?
麗ちゃんが行きたがっているんだもん!
リカは麗ちゃんと同じ部屋で、仲良しで、
趣味はだいぶ違うけど
かわいい妹をとっても優しくあげたくて
麗ちゃんもリカのしたいことにいつも気がついてくれて。
でも、意見がぴったり合ってお姉ちゃんたちにお願いしよう、って機会は
あんまりないんだよね。
行きたいところもだいぶ違うし
着たい服の希望も、あんまり派手なのは嫌みたい。
好きな食べ物がときどき合うくらいだけど
そんなときは、麗ちゃんは
えー立夏ちゃんと同じなの?
って、複雑そうな反応。
あのね、
好みのメニューが同じでも
満足する量が違うからだって。
そんな麗ちゃんと意見が合うときなんて
めったにないよ!
かわいい妹と力を合わせて
お姉ちゃんたちに立ち向かうのが、
ちょっと夢だった。
全員で行けるわけじゃないから
反対されるのは当然だってわかるけど
少しわがまま言ってみたいな。
今日は自分のためだけじゃなくて
かわいい妹の希望を叶えたいお姉ちゃんとして
無理だとわかっていても
お願いだけはしてみたいな。
それで、
できれば、実際に行きたいな……

立夏はいつもあんまり考えないで行動して
迷惑をかけてばっかりで、信用のない子です。
今年もいろいろあったなあって思い出すと
どうもみんなに怒られた経験が
春夏秋冬もれなく浮かんでくるヨ。
楽しかったね。
今年もよく反省してばっかりいたリカだけど
みんなといられて
ときどき怒られて
たまには、珍しくお役に立てることもあったようなおぼろげな記憶。
でも、体を使うお手伝いなら得意なほうだと思っていても
調子に乗って張り切りすぎて、叱れたことのほうが多かったっけ。
いつも明るい立夏で
みんなに元気をあげられたかな。
あばれんぼうの立夏は、こんな調子でも
一緒にいてくれる家族に
リカと家族でいられてよかったな、って
ちょっとくらいなら、たまには思ってもらえていたかな?
家族だからしょうがないな、と思うだけでもなかったかなあ。
一年を振り返ってみると、
リカは少し大きくなって、女の子らしくもなってきたかも、
そしたらだんだん、いつか年上のみんなに追いついていって
家族を支える立派なリカだよ、って言えるようになっているのかなあ。
そんな気持ちになるときいつも、自分を見つめたら。
リカまだ全然そんなにかっこよくないな……
優しいおねーちゃんたちみたいじゃないし。
すごくかっこよくて、あこがれて
どうしてもうちょっと近い歳で生まれてこなかったんだろう、
大きな背中に、もっと大人の女の人らしくなって追いついて
肩を並べて歩けたらよかったのにな、とさみしく感じるときもある
そんな大好きなオニーチャンを見て。
オニーチャンほどすごくすごく
家族に優しくなんて
全然できてないよ。
もっと早く、今すぐ
ちゃんとした本物の大人のリカに成長して
まぶしく、明るくみんなを照らしながら
あたたかくしてあげられる毎日を過ごしたいのにな。
今年の元旦に小さく胸に抱いたような、
一年を過ごしていくうちにだんだんはっきりしてきた目標。
で、たぶん来年も目標。
オニーチャン。
リカはいつか、そんなふうに大人になって
叶えられるのかな?

おいしい年越しそばを作ってもらって
はしゃいで食べていると
今年もあとほんのわずか。
麗ちゃんは言うだけ言ったら落ち着いたみたいで
無理なことはとっくにあきらめたような顔で
ゆっくり年越しの静かな時間を過ごしている。
リカも、最初から無理なお願いだってわかっていたから
落ち込むってわけじゃあないんだけど。
知ってる?
おおみそかにおそばを食べるのは
細く長く、の願いを込めて。
えびのてんぷらを乗せるのは
腰が曲がってお年寄りになれるまで長生きできるように。
って、
それはおせちか。
混ざっちゃった。
それから、今日だけはリカのぷりっとしたくちびるが
オニーチャン限定の特別メニューについてくるのはなぜかというと、
来年もよろしくお願いしますのごあいさつだから。
リカが来年も細く長く過ごすことができて、
それで、一年一年を重ねていつか
家族全員で
腰が曲がりそうなお年寄りになるくらい時間が過ぎたら
それまでには
みんなともっといろいろな経験をして
もうちょっとだけ落ち着いて、
家族が毎日頼りにしてくれるような
大人っぽいリカになっているのかなあ。
うわーん、全然想像できないよ。
でもまあ、
オニーチャンと来年もまたいられて
細く長く過ごせそうなら、それがいいな。
これからもずっと毎年、
おおみそかにこたつに並んで、
みんなでおそばを食べて
来年も細く長くしようネ、のお願いをできたら
それだけで立夏は
妹たちの自慢のお姉ちゃんになかなかなれなくたって
うれしいような気がして、うきうき体が勝手に動くみたい。
またこんなふうにおおみそかを過ごしたい。
みんな、
来年もまたよろしくネ!
大きくなったのにまだまだ落ち着かないリカでも、
ずっと家族でいてね!
実はこっそり、
二年参りをするついでに
どこか人気がある眺めのいいスポットで
オニーチャンと初日の出を見たら
ロマンティックだし縁起が良さそう!
って思っていたけど
リカのいちばんまぶしい太陽は
たった一人のリカのオニーチャンだから
来年の朝、真っ先に会いに行けたら
それがリカの、他のどんなイベントよりも迎えたいお正月。
いちばんうれしい一年の始まり。
オニーチャン、縁起よさそうなご来光よろしくネ!
朝のお雑煮と
春風おねーちゃんや蛍おねーちゃん特製ちょう気合入ったおせちを食べる頃に
これもお正月に楽しみな年賀状が来たら、
どっちの数が多いか勝負しようね!
負けないヨ。

立夏の偽日記

『センチメンタル』

リカは13歳。
お年頃。
悩む日もある。

子供のときから
どんなふうにしたらかわいいかなって考えることは
あったけど
それは、うれしかったんだよ。
はなやか、女の子がいっぱいのおうち。
今日も一日、楽しくなるかな。
わーい、女の子だよ。
リカ、げんきだよ。
駆けて行っておやつに飛びついたり
男の子とボールを奪い合ったりしていたら
たまに忘れそうになるけれど
でも、かわいくいられたらいいなって
いつだって気持ちのどっかにあったはず。
難しいことを考えられる頭じゃなかった。
ただ、楽しい毎日ならそれでいい。
やけに引きずる悩みなんて、何もなかった。

それなのに、どうしたの?
リカらしくないってわかっていても
日が短い時期は、暗くなると
ちょっと気持ちも灰色の雲がかかって
ああ、
まだ日が出てくれないと!
リカの太陽、
あの空で輝かないと。
もっと長い時間、リカにぽっかぽかとエネルギーをくれないと。
どこか薄く白い、穏やかなお日様の下の空気と
すぐに暮れる季節の、広がる影と。
モノクロの景色は
ちょっと切ないよ。

原因は、あれかなあ。
リカは歌が好き、
クリスマスも好き、
だからクリスマス合唱会は超楽しいはずだと思っていた。
土日には一緒に練習しているお姉さんたちも
ほがらかな歌声でいいね、
と言ってくれる。
おうちで歌っても
立夏の声はいつも明るくていいね、
陽気なおうちだ、
と喜んでくれる。
それなのに、
霙おねーちゃんはこんなことを言う。
こんな立夏でも元気に歌っている。
吹雪ちゃんやユキちゃんが、
虹子ちゃんと青空ちゃんのおうち合唱団に誘ってもらったんだから
せっかっくだし、せいいっぱい歌えばいい。
あまり声を出すのが苦手じゃないと悩む必要なんてない。
もっと歌が苦手な立夏だけど、楽しそうにしていたらみんなうれしい。
歌は楽しく歌うのがいちばん。
上手に歌うのもいいけど、
まずは楽しい気持ちから始まるんだ。
うん。
そうだよ、吹雪ちゃん、ユキちゃん。
歌は楽しい気持ちになるからいいんだよ。
上手かどうかなんて関係ないよ!
見栄を張っていたらいけない。
もっとうまく歌えたら、なんて
全然意識しなくていい。
こんな立夏でも楽しく歌っているし……
って、
こんな立夏って
どういう意味!?
そりゃあ、あんまり上手じゃないほうだけど。
いいじゃん!
明るいじゃん!
こんなって言われるほど
何がいけない!?
音を外しているところカナ?
それは……
少々お聞き苦しいものを聞かせているかもしれませんケド……
あれー?
そんなに良くないかなあ。
練習すれば上手になるはずだと思ってさあ、
合唱会に参加を決めたときから
がんばっていたんだけど……
モシヤ、上手になってない?
いや、前よりは良くなってない?
そうでもない?
えー……
そんなことがあってリカ、ちょっとへこんだのかなあ。

前から少しだけ。
変だな、とは思っていたの。
すぐ成長する、と思っていたのに
実は、体を動かすスポーツが上達するほど
ぐんぐん伸びる経験って、リカには多くない。
中学生になって
リカは成長して、
スポブラからついに
大人のブラに変わったよ。
これでいろんな経験が始まるんだ!
憧れのオニーチャンと
大人になって一緒に並んで歩けるんだ!
と思っていたら
リカはかわいいな、
の素敵な笑顔には
この胸の中に良く知っている
抑えきれない思いがどうしてもあふれるあの響きは
どうしてないのかな。
リカ、こんなに好きなのに
あんまり通じてないのかな。
ちょっとだけ、胸が痛い。
すくすく膨らみ始めた胸は
もっと奥に別の原因があるみたいに、うずいている。
どうして、ブラだけじゃない
すぐに成長できないのかな?
いちばん重要なこの胸の中にある心が、どうして?
がんばっているのにな。
いつもスキだって言ってるよ。

それとも、あれかな?
町を彩るクリスマスのあかり。
駅前のツリーにも、
その日を楽しみに待っているあちこちのお店にも
そこかしこに、クリスマスカラーのふわふわ。
すぐに目を引く赤色や
ほっと暖かそうな白いふちどりに
緑の葉っぱがなんだか優しくて
イルミネーションだって、
日が落ちるのを待っていたみたいに輝きだす。
寒いけど、すっきりとした空気にきれいに踊る
町の人たちの夢のかたち。
なんだ、寒くても冬の夜はそんなに悪くないじゃない、
そう思ってみても
オニーチャンは、日が落ちてから迎えに行く蛍ちゃんや氷柱ちゃんと
二人できれいな景色の通りを歩いているんだな、
と気がついてしまって。
なのにリカは、
晩ごはんを食べてお風呂にはいったら
一日いろいろあって楽しかったなーって
すぐ気持ちよく眠ってしまう。
子供みたい!
小学生の頃とそんなに変わらないヨ。
小雨ちゃんと麗ちゃんと机を並べて一生懸命宿題をしているお部屋で
9時を過ぎたらもう、まぶたが重い。
お先にーってベッドに入っていることもあるし。
だから、麗ちゃんが夜更かしをして
本当は宿題だけじゃなく、こっそりいい本を読んでいてもわからない。
たぶん、麗ちゃんにとってのいい本だから、リカがうらやましがることじゃないけど
うえーん!
大人っぽい本を読んで
リカより大人っぽい夜の過ごし方をしているみたいなの!
さわやかな朝にも、眠そうな目をこすっている麗ちゃん。
しょぼしょぼしているけど、なんとなく充実感のある顔。
心配そうな小雨ちゃんに
昨日は夜更かしだった? って、声をかけてもらっているの!
まったく、
あんなにかわいい
かわいいちっちゃい麗ちゃんなんだけど
いつの間に追い越されてしまったんだろう?
夜更かしが苦手なリカは、
そうなの、
あんなにうきうきする町を歩く年頃になかなかなれないの。
それにね、ママが言ってた。
蛍ちゃんと氷柱ちゃんはしっかりしているからいいけれど
リカがアルバイトすると言い出したら、止めるつもりだった。
どういうことなのさ!?
アイドル事務所をしているママのところには、いろんな年齢のアイドルがいて
リカくらいの子も、とっても忙しくお仕事をしている。
その子達を立派に支えてあげているママは
中学生の子がお仕事をしたらとても大変だということを、
日頃の経験でよく知っているみたい。
だから、リカにはたぶんまだムリだと思っているんだって。
そうかな。
オニーチャンもそう思う?
リカにはまだ、
お迎えに来てもらって、二人だけでクリスマスムードいっぱいのデートは
ムリかなあ。
あ、でもね。
蛍ちゃんのパン屋さんも、氷柱ちゃんの洋菓子屋さんも
クリスマス本番はとっても忙しくなるから
24日と25日だけでも、ピンチヒッターで誰か手伝えないかって
おうちのみんなに都合を聞いているの。
でね、
その時期ならもう冬休みだからいいよってママは言ってるよ。
どうしようか?
オニーチャンも、二人のお店をお手伝いする?
リカ、今年はサンタさん捕獲をあきらめて
二人のお店で、少し働かせてもらっちゃおうかなあ。
できないなんてママに思われたままでも悔しいし、
あと、少し大人の経験をして
オニーチャンに喜んでもらえるように成長できないかなあ、って。
と言っても、どっちかのお店しか手伝えないかな。
どっちも忙しい二日間だと思うし。
オニーチャンはどうする?
するなら、やっぱ一緒のお店がいいな。
いつか将来二人だけの小さなお店を開くときの参考になるかも!
とかね。

それでねー、
冬は切なくなるものなのかな、
人恋しくなるって春風おねーちゃんが言ってたな、
センチメンタルなリカでいたら、
霙おねーちゃんたら
なんだ、また体重が気になるのか、
って。
違うよー!
なんでリカが落ち込む理由はそれしかないみたいな言い方なの!?
もう、
むしろ、悩んでやせちゃうくらいだよ。
こんな切ない恋でやせてもうれしくなーい!
ほら、見てよ。
体重計に乗ったらすぐわかる。
太ってなんて、
そんな全然……
ちっとも……
あれ?
おかしいな。
体重計が壊れちゃったのかな?
そうだよね、
食べ過ぎた覚えなんてないよ?
う、
うそだー!
そういえば、
あのね……
みんなも心配していたんだって。
リカ、悩んでいるとついつい目の前の食べ物に手を出して
知らないうちに食べ過ぎているんじゃないかって
これまではそれどころじゃなかったけど
確かにそんな忠告を聞いた気がする!
そんな!
別においしいものをいっぱい食べて、幸せな経験をした記憶もないのに
ただ、ぼーっと悩んでいただけで
こんなのってないんじゃない!?
オニーチャンがリカをちゃんと幸せにしてくれないからだあー、
悩んでいる暇もないほどかまってくれないからだ、
どうするのこのお肉!?
待てよ。
もしかしたら体重が増えたのは
身長が伸びたとか
胸が大きくなったり、
そんな可能性もある!
よく食べたし、
横に成長するだけではない気もする!
よーし!
お風呂上りの身体測定に、全力で挑むからね!
本当の決戦は、その時だ!

リカはこのごろやけに悩んで、よく食べて
無邪気な心も、ちょこんと盛りあがりはじめた体も
これから誰にも負けないほど、大きくなります。
絶対なんだから!
目を離していたら
あっという間だヨ?
油断しないで
いつも、ずっとリカを見ていてね!
知らないうちに、オニーチャンにつりあうオンナの人になっていました、なんて
もったいないよ。
こんなに近くにいるんだからネ。

立夏の偽日記

『レッスン・ワン』

あめんぼあかいなあいうえお。
うきもにこえびもおよいでる。

チャオ!
どう?
リカの発声は
きれい?

あー、
あー。
こほん。
空気が乾燥しやすい季節。
クリスマス合唱会に向けて
のどを大事にしながら練習していマス。
家族のためだからと、おねーちゃんたちに臨時予算をもらって買ってきた
いっぱいののどあめ。
虫歯も怖いので、シュガーレスばかり選んできたヨ。
ミントの味がさわやか。
よく効きそうな、大人の味。
うーん、ときどきは甘いのも欲しいけど
のどのため。
オニーチャンも、のどは大事にしてください。
リカは今日もかわいいね、
って言ってくれる美声を
風邪なんかでカラカラにしたらダメだよ。
あと、
リカはおしゃれな服が良く似合うよ、
でもいちばんきれいなのはリカだよ、
とか、
リカ結婚しよう!
なんて言ってくれる声。
あとねー、
立夏大丈夫? とか
落ち着いて、とか言ってくれる声。
心配かけてごめんなさい!
でも、もっと言ってネ。
リカのことを気にしてね。

リカだって
将来はアイドルになって
世界をうっとりさせる歌声なのかもしれないし。

今でもすでに
オニーチャンだけに愛を伝えるエンジェルボイスだし。
大事にしなくちゃ。

あと、呼吸。
おなかから声を出して歌うよ!
腹式呼吸は、普通に腹筋があればいいので
別に腹筋運動を重点的にする必要もないって聞いたけど
でも、声を出すのはかなりの運動だから
体を動かすトレーニングをするのはいいことなんだって。
腹筋、腕立て、スクワット。
軽いエクササイズ。
……
ヒカルおねーちゃんが参加しなくて良かったような……
やけにはりきってもいいから、みんなで参加したかったような。
ね、オニーチャンはどう思う?
ヒカルおねーちゃんのこと。
大事な予定があるからアルバイトを断るのって、
春風おねーちゃんは、クリスマスを大好きな人と過ごしたいな、ってことだよネ。
ヒカルおねーちゃんもそうなのかなあ。
リカなんて、わーっと集まってきたお誘いが
ブキヨウなんだけどって言ったら
そうだよねって
あっさり去っていったヨ。
かわいいからせめてもうちょっと手先が器用ならなー、って
これはリカが自分だけで考えているじゃなくて、本当に言われたんだもん。
もしも、もっとお料理のお勉強をしていたら
クリスマス当日には、お仕事でサンタクロースコスを着て
オニーチャンに幸せをお届けできた?
本物のサンタさんにはかなわないけれど
ローストチキンを袋に詰めて
いっぱいおいしいものを用意して。
そんないいことが今のリカにはできないの。
オニーチャンは、リカとクリスマスを過ごせて
本当にうれしいのかなあ?
リカはオニーチャンとクリスマス、
すごくうれしいんだよ。
少し前は女の子いっぱいの家でした。
19人!
にぎやかだったよ。
大騒ぎだった。
いつもそうか。
今でもそうだし。
でもなんだろう?
ぱーっとはしゃいで、楽しかったのは同じなのに。
楽しみ方は今も昔も全然変わっていない、
家族みんなの伝統のクリスマスなのに。
今、オニーチャンが参加してくれると
すごく大切なものになるような。
胸があったかくなる。
みんなでパーティをしていると
こんなに幸せな気持ちでクリスマスを過ごせる家族が
世界のどこにもいるはずないって思ってる。
これが、
好きな人といるクリスマスっていうこと?
今年も一緒に過ごそうね。
大好きなオニーチャンに、少しでもリカといてよかったなって喜んでもらえるように
今年は歌って楽しんでもらうの。
リカ、自分があんまり上手じゃないのは知ってるけど。
でも、練習すればちょっとは聞けるようになるんじゃないかと
淡い期待を持って練習中。
下手だからって何もしないなんて、そんなの寂しいよ。
わーいうれしいよ、気持ちを届けられるんだと思ったら、心も躍るし。
こんなにうれしい気持ちがあること、
リカもオニーチャンに感じてもらえたらな。
と、思っていマス。
やるぞー、
きらきら歌うぞ!
まだまだ知らないことばかりの
クリスマスの楽しみ方を
オニーチャンはたくさん教えてくれている。
今年も、いっぱい教えてね。
あ、それとお願いがあるんだけど
聞いてもらっていい?
リカは歌いだすと
自然に楽しくなって
体が動いて
合唱のとき邪魔だって言われた……
オニーチャン、歌ってる間ずっとリカの体を抑えていてくれないかなあ。
って、そんなわけにはいかないよネ。
これからがんばって歌の練習をすれば、
少しは落ち着いて歌えるようになるかなあ?
練習することがいっぱいだヨ!

立夏の偽日記

『おへそ』

おへそと足と、いっぱい見せたい
元気で明るいセクシーガールの前に
大きな壁となって立ちはだかるもの。
それは寒さ。

いつだってリカは
ぴかぴかホットな笑顔のリカでいたいのに。
周りにも元気を振りまく女の子でいたいのに。
いつもいつでも、全力で。
悲しいことなんてひとつもない。
どんなときだって前向きな、大人のリカでいたいのに。
なのに、
このごろ、朝のおふとんは強敵で
出て行けない。
朝からもぞもぞ、このままがいいな。
リカの一日が、大きく明るいおはようではじまらない。
なんてことだ!
小雨ちゃんが見ている前で
あと五分、
起きる、すぐ起きる。
ほら起きた!
まだベッドの中にいるのは起きたとは言わないかもしれないけど、
目が覚めたから大丈夫。
おふとんの支配からすぐに脱出できる。
着替えをあったかいベッドへ運び込んでごそごそやっても
あっというまに支度を済ませるから
二度寝の心配なんて、全然ないはず。
ないはずだと思っていたら。
後で怒られるんだな。

脱いだ服も着る服も混ざってごちゃごちゃで
どれが昨日の靴下なのかわからなくなってしまう。
なんかどっちでもいいような気がしてくる。
乙女が!
堕落する!
寒い時期。
気をつけないと、どこまでだらけてしまうのか、果てがない。
もう登校時刻になるのに
髪の毛はあっちを向いてこっちがふくらんで
短時間では手のつけようがないほどボサボサだよー、みたいな。
靴下が少々くさいのは、ここまで来たらある程度許容範囲になってしまう。
毎日替えないといけないのにね。
パンツはお風呂の時に替えるから、はいたやつと間違える心配はないけど。
そもそもパンツは気合を入れて選ぶからいいんだけど。
運命の名のもとに、女の子に生まれたリカが
ファッションを気にする時間がないなんて
たかが寒いくらいで──
そんなおそろしい事態があっていいのか!
あと、この季節にありがちなのは
食べ物がおいしくて、しかも体が寒さに耐えようとして
あら、鏡の前で決めた笑顔が
さては、なんだかふくよか。
リカの内に目覚めた野性の衝動が
季節の変化を獣の勘で察知して
冬ごもりの準備をさせようとしているな。
このまま体が野獣に変わっていくの?
気がついたらいつの間にか、ワイルドという言葉が似合う女。
そんなのは困るな!
中学生になって、これから初めてをいっぱい体験しようという時に!
きらきらピチピチ弾ける青春の季節が、いよいよはじまったのにのに
甘くて酸っぱい経験をたくさんしようというときに
気がついたら女豹だったなんて。
つかまえちゃう!
恋の駆け引きみたいな手管は
高校生くらいになってから楽しむものだと思っていた。
初めてばっかりからはじめるはずの時代が
パスされた!?
リカが野獣に目覚めてしまう
厳しい寒さが来る前に
オニーチャン、ピュアな経験しよう!
初めてのデートで手を繋いでドキドキしたかった。
目が合うだけで、何かが変わる。
それまでの恋を良く知らない子供のリカが死んでしまって
大好きな人の力で、いままで知らなかった何かに毎日生まれ変わる。
そんな恋をしてみたかった。
このままだと、一足飛びでもっと知らない世界に突入しちゃう。
冬の寒さで、リカがくまさんになって
お兄ちゃんを巣に連れ込んでしまうなんてことになったら
どうしよう、
二人はもう戻れないよー。

リカは野生の動物かもしれないけれど
いちおう人間でもあるので
女豹というより食いしんぼうのくまさんになってしまいそうな今、
危機感を持って、対処したいと思います。

子供じゃないよということを主張しながらも
段階を踏んで、一人前の大人の女を目指して行きたいと思います。

ちゅーがくせいになったんだヨ、
ここまで来るのも、だいぶかわいらしい経験を積んできました。
編み物の努力はいつも、途中で投げ出してしまったけれども。
お料理はせいぜい、小さい子に簡単なおやつを作って一緒に食べる段階だとしても。
自慢できることがあんまりないみたいでも
恋のために一生懸命になれる
そんな力が身についていた。

おへそを出すのは難しい季節。
かわいく着こなす厚着には、実力がほしくなってきた。
今のリカを動かすものは
女子力なのか、
ただの元気なのか、
好きな人への愛なのか。
まぶしくきらめく女の子らしさと
冬場もここだけは太陽みたいな笑顔を見せて
ときどき野性の力が爆発したりしながらも
恋の経験を積み重ねるの。
よろしくネ。
かわいくセクシーに、と言っても
寝相が悪くておなかが出るのは、あんまりセクシーでもないし女の子らしくないから
リカ、気をつけないと。
そんな姿はオニーチャンにも見せられない。
だからおへそは、暖かい季節が来て
二人の仲がもっと進展しているその時に
誰より先に、一番に見せてあげるね。

立夏の偽日記

『そして人生は続く』

あのね、
あのね。

リカたちの住む町に
台風が本格的に
でっかいエイキョーを運んでくるのは
今夜から
土日にかけてだヨ。

って、
また土日か!
またもや
土日が雨なの。

いや、心配するところはそこじゃないよね。
大雨の中を泳ぐようにして学校に通うよりは
まだいいんだ。
うん。
電車が止まったら、帰ってこられないかもしれない!
どこかに泊まるとしても、アバンチュールじゃない雰囲気。
台風じゃあなあ。
怖いからネ。
それから、雨で怖いがけ崩れや川の増水。
見通しが悪くなって交通事故でも起こしたら大変。
うーん、危険な場所に近づかないようにして
台風情報をこまめにチェックするしかないのね。
ようし、リカも家族のために情報収集するよーって思っても
気がついたら、報道番組そっちのけで
暇そうに見える家族を見つけたら飛びついて、じゃれあって遊んでいるうちに
眠ってしまうリカなんて関係なく、台風は去っていく。
自分の希望を言うなら
できればもうちょっと、リカは家族に貢献したいけど。
なにしろ7女。
この家では、どちらかというとお姉ちゃんのほう。
けどまあ、まじめで頭のいい子はいっぱいいるから任せてもいいか。
リカがいると明るくなるって、みんなが言うよ。
それでいいよね。
できることをするんだもーん。

でも、安全は大事なことだとして
家族が一緒に過ごすのもまた、人生に必要なこと。
せっかくの休日が雨になるのは、別の問題。
オニーチャンが家にいて
愛情をはぐくむ週に一度のお楽しみなのに
どこにも遊びに行けないなんてかなしーい。
リカ泣いちゃう、なんて。
リカのうそ泣きがはじまるの。
家族の誰にも効かないんだけどネ。

休みが雨になるというなら
今日くらいは思いっきり外で体を動かしたい。
朝はまだくもっていただけだったから
夕方まで外で遊んで大丈夫でしょ! の声が朝食の席にこだまして
結局、怒り心頭の氷柱ちゃんが
家族連れ立っての集団下校を決めたよ。
いくつかの班にわかれて、
寄り道なんかする子がいたらおしおき!
オーボーだーの声も、おねーちゃんたちまで氷柱ちゃんに賛成するから効果なし。
こういう時、リカはまだ小さい子のチームだと実感するよ……
オニーチャンは氷柱ちゃんと同じ班だったよね。
やっぱり、厳しく連れてかれた?
リカは中学生以上のみんなよりは、やや早い時間の帰宅だから、
帰りは麗ちゃんと一緒の班。
ふたりだけ。
さみしいっ!
同じ傘に入ってくっついて帰ればまあいいかと思っていたら
それはおかしい、傘は一人で一つ持つものだと
頭が固い麗ちゃん。
ちょーさみしー。
いっぱい話しかけてたら、途中から返事もしてくれなくなるし。
もうさみしくて死ぬヨ!
でもね、
いきなり麗ちゃんが、線路が見える歩道橋の途中で立ち止まって
もうちょっとだけ……とウルウルお願いされても
リカも、まだ雨は激しくないからいいかと思ったんだけど
朝、みんなで決めたことだもん。
ちゃんと説得して、連れてきた!
リカはちょっとだけおねーちゃんでした。
昨日の日記だと、リカを連れて帰ってくるつもりだったみたいだけど
実際には逆だったネ。
ふだんあんまり自分の気持ちを伝えてくれない麗ちゃん。
そんなことじゃ、自分の気持ちを見つめるのも下手になっちゃう。
たぶんね、
ハロウィンの衣装でちょっとコンセプトと離れたものにしたのも
友達に説明してあげて、ちょっとだけでもおしゃべりが得意になって欲しい
蛍ちゃんのおせっかいかも?
だって、
小雨ちゃんの衣装がね、
乳牛模様の牛さんなの。
おうし座っていうくらいだから、オスだよ!
乳は出ないよ!
たぶん、ハロウィン当日に家族が並んで
リカはおひつじ座のモコモコひつじでーすって紹介した後で
小雨ちゃんを見た人はたぶん
ひとりの例外もなく
おうし……
えっ!?
ってなるでしょ。
そんなことになったら、引っ込み思案の小雨ちゃんでも
トークをせざるをえない。
よね?
それから、もっと説明が要る麗ちゃんという流れ。
リカは自分だけで話を膨らませる力があるけど
小雨ちゃんと麗ちゃんは──
自分の衣装を見て何を考えたかとか
実際に着てみてどうなのかとか
その日、どんなことを言ってもらって嬉しかったとか
全部自分で考えて、話をしないといけない。
そのきっかけ。
もしうまくいかなくたって、
おいしいものを食べればいいと思うよ。
いろいろ失敗して落ち込んでしまったって
おなかいっぱいにして、家族のところに帰って
少しだけ泣いて、よく寝れば
ほんの少しずつでも元気は戻る。
ちょうどお菓子をもらえるなんて
ハロウィンは意外とよくできたイベントだ。
蛍おねーちゃんも、それを考えてのわけのわからない衣装なんだよ!
もしくは、そんなこと全然考えていないで
ただ姉妹にかわいい服を着てほしいだけのどちらかだよ!
どっちだ?
今日、リカは帰り道にちょっと厳しいことを言ったけど
麗ちゃんが不満そうでも、たくさん話してくれたのは嬉しかった。
リカはあんまり上手にお姉ちゃんができなくて
麗ちゃんは文句がいっぱいかもしれない。
なんでも言ってくれていいよ。
何があっても嫌いにならないのは本当だよ。
まだまだ未熟な妹思い。
だんだん激しくなる雨の日に
仲良く家路を急ぐ二人でした。
あともうひとつね、
明日から雨で外に出られなくなるでしょ?
きっと小さい子たちがタイクツするに違いないから
みんなで遊べるボードゲームを買ってきた!
これも妹思いでしょ?
すごろくなら、サイコロが振れるだけの小さい子も参加できるよね。
人生ゲームだよ。
わーい!
これで16歳にならなくてもオニーチャンと結婚できる!
麗ちゃんも、ゲームにかこつけて自分の気持ちをたくさん話せるように
いっぱい楽しいことや失敗なんかを体験して大騒ぎしてほしいな。
泣かない程度を見計らって追い込んでいきます。
よーし、やるぞー。
リカは妹のことをよく考えてあげてるなあ。
ほらほら、褒めてもいいんだヨ?
雨の中をわざわざ足を伸ばして
ちょっと離れたおもちゃ屋さんに寄って……
うん、そう。
いろいろ揃ってる大きなおもちゃ屋さんに……
あっ!
リカ寄り道してる!?
雨の中を、危なくならないようまっすぐ帰ってきていない!
まずいかも。
朝、あんなに注意されていたのに。
氷柱ちゃんが鬼軍曹のように鳴り響くカミナリ声で命令していたのに
やってしまった……
わわ、どうしよう。
こんなことが氷柱ちゃんに知られたら
どれだけ怒られるかわからないよ。
リカはころされる!
あの、これはわざとじゃないの!
わーい明日はオニーチャンとみんなとおうちの中で遊ぶぞって
それだけで頭がいっぱいで
寄り道だと気がつかなかっただけなの!
言えば言うほど
自分でもどんな言い訳なんだよってなるよ!
オニーチャン、助けてくれる?
なんとか氷柱ちゃんの怒りをほどほどに抑えてもらえるように
一緒に説明に来てくれたら
きっとリカも生き残れる可能性が出てくるよ!

立夏の偽日記

『伝説の』

うわ、
うわ、
わおーん!
おおー……

あー
もう
ほんと
もう
なんといっても
もう
めっちゃ
キンチョーしたよ!

一ヶ月の練習の成果が
いよいよ試される
本番の舞台。
しかも一年生から順番だから
文化祭の開会式直後の
トップバッター。
いきなり重荷を背負わされた!
一年生からって!
ちょっと!
うちの学校
なにしてんの!
でも、こうなったらやるしかない。
これまでがんばって練習してきたもの。
せめて挑戦するだけは、してみたい。
試しもしないで
しっぽを巻いて逃げるなんてできないよ!
失敗するかもしれなくて
全然ダメな結果に終わるかもしれなくたって
一度はぶつかりたい。
でもなるべくなら
練習した成果を全部発揮して後悔しないようにしたい。
緊張でがちがちで
思ったように体が動かないせいで
悔しい終わり方をするなんて
そんなの悲しくて
考えただけで涙が出てきて
友達のウワサでは、夢に見るほど恐ろしいなんて事態もあるとか。
リカは夜はベッドに入ったらスポーンて寝ちゃって
一日に何があっても一瞬でぐっすりで
こんなことではいつか恋のロマンティックナイトを過ごすときに
どうなるんだかと先が思いやられるくらいなのに
怖い夢を見て眠れなかったりするなんて、ありえる?
わー、
リカ失敗したらゼッタイ夢で見るよ。
健康快眠リカがまさかの悩みで眠れない夜だよ。
考えれば考えるほど怖くなる。
もうこんなこと、考えても仕方がないのに
頭の中で不安がぐるぐる渦を巻く。
リカには止められない。
自分ひとりではどうにもならない!
うわあ、このキンチョーはどこへやったらいいの。
ちょうドキドキするヨーって
ついに発表寸前になって着替えが終わってギリギリの状態で
クラスの仲間に切り出したら
リカちゃん、うるさい!
って。
そんなー。
友達甲斐のない連中だー!
かつて誓い合った友情はなんだったのか!
あの夕焼けの目にしみる放課後、
お菓子を交換して嬉しさのあまり
この友情はいつまでも永遠だよ!
と抱き合ったあの日の約束、
キミたちは忘れてしまったの!?

リカは別に、クラスの真ん中に立って引っ張っていくタイプではないの。
天使家は先輩たちが学校のどこでも評判でスゴいからって
リカは特別じゃない。
友達も、最初は元気な子だなって思っていただけで
まさか天使家だって聞いたときには、
うそだー、普通の子だよ、
と、ありがたいのか失礼なのかよくわからないコメントをいただくしまつ。
いくら、昨日のヒカルおねーちゃんがかっこよかったからって。
霙おねーちゃんが、やる気があるのかないのかよくわからない生徒会長だからって。
今日、氷柱おねーちゃんが学校の伝説になったのは、リカたちの発表の後だから
それは関係ないけど。
あんまりリーダーでもヒーローでもない。
今回の舞台も、中心なんかじゃない一人としての参加。
クラスの中では、明るいときもあるし失敗もする、みんなと同じ一般人。
将来の生徒会長を受け継ぐ未来だって、今は全然見えないままで冗談で語るだけ。
天使家のたまご。
まだぜんぜんベイビーです。
緊張しているのはクラスの全員が同じだと
やっとわかったその時の気持ちが、リカの学園祭の大事な記憶。
ステージにあがる直前、円陣を組んだときの掛け声だって、リカじゃない。
ダンスがうまくてこの一ヶ月でコーチってあだ名が定着したミサキちゃんにおまかせした
オー!
と声を合わせて、それがリカらしいって感じ。
クラスのみんなと一緒に練習して、みんなで揃って本番に望める。
緊張するのが当たり前の、どこにでもいる子でした。
運動神経のよさにちょっと褒められることが多くて、
調子に乗ってやりすぎることも多いけど、
ただそのあたりが違うだけで、普通でした。
そんな時間を半年過ごしてきたクラスの仲間たちと、いよいよ本番。
大丈夫、
緊張しているのは自分だけじゃない。
このステージに立って一緒にダンスするのも、一人でやるわけじゃないんだ。
だから、緊張したけど
自分ひとりがうまくいったから成功するって舞台じゃないんだもん。
一人で緊張していたんじゃないんだ。
みんなでがんばった。
見ていてくれてありがとう!
もし失敗しても
リカの家族はみんな、優しいんだよ。
心の支えでした。

オニーチャンたちの劇も、よかったよ!
みんなは炎の中に消えていく義経に盛り上がったみたいだけど。
リカ、仁王立ちで数え切れない矢を受けた弁慶の立ち往生に
もう泣いて泣いて、
自分がダンスの時にちょっと失敗したことも忘れてた。
泣くとおなかがすくんだなって
実感するくらい泣いてた。
最後の意味深なナレーションみたいに
もし大陸に渡ってジンギスカンになるなら、リカも連れて行ってね。
どんな苦難の逃避行も、文句一つ言わないでついていきます。
でもときどきは文句も言うかも?
リカまだちっちゃいから、そうなったらゴメンね。
ちっちゃくても気持ちは本気だから、忘れないでね。

おなかがすいたから
ホタおねーちゃんたちの喫茶店もおいしかったし
がんばったからって春風おねーちゃんの喫茶店でも
大正喫茶なのに特別に文明開化なリカメニューを用意したって
海軍カレーを作ってもらったよ。
実は元からメニューにあった肉じゃがを工夫しただけという本人からのネタばらしがあって
それでもリカのためなんだと思うとうれしい、特別なおいしさでした。
食べ物のお店ばっかり渡り歩いて霙おねーちゃんのところに行けなくて
仕方ないやつだって笑われたりもしたけど
リカもホントにそうだって笑っちゃった。
はじめての文化祭で、不安もいっぱいあった朝を懐かしく思い出します。
終わってみれば大満足の一日でした。
不満が残るといったら、
後夜祭のフォークダンスが意外と早く終了して
あと少しでおめあてのオニーチャンと手をつなげたのにーってこと。
ほとんど女子ばっかりだからって、男子が参加するのを遠慮してたら
そりゃ春風おねーちゃんも突進して引きずってくるよ!
私たちの学校の仲間だから、って言った春風おねーちゃんの声が
今もキャンプファイヤーの目にしみる炎と共に、はっきりとよみがえります。
って、ついさっきのことだから当たり前か。
これが一生忘れられない思い出になりそうな今の予感は、
リカと一生を過ごしてくれたらその時に、結局どうだったか教えるネ。
あとひとつの不満はやっぱり、
氷柱ちゃんの伝説を自分自身のその目で確認できなかったこと。
評判になったその時にはもう、氷柱ちゃんのオネガイで撤去されていたんだヨ。
ウワサに敏感な中一女子も、今日ばかりは食べ物によそ見していて
情報をつかむのが遅れました。
見たかったな。
私たちが繋いだ手と手、をテーマに
友達、家族、町の風景、
感動的な写真のパネル展示が並んで
その中でもたちまち学校の話題をさらうほどいい写真だったって。
家族の写真を展示して気づかれないと思うなんて、
氷柱ちゃんもなんといううっかり屋さんなのか。
家族に黙って写真を展示したことや
結局、許可がないからと撤去したから
クラスの展示に迷惑をかけたって
いろんな人に迷惑をかけたって、あの氷柱ちゃんが落ち込んじゃってた。
そんなに気にしなくていいのにね。
どんな写真だったのかは
男の人みたいだったという説もあるし
それはヒカルおねーちゃんの可能性もあるって言う人もいるし
小さい子が映っていてかわいかったって話も聞くの。
たちまち学校中の話題になるほどの何が起こったんだろう?
追及すると氷柱ちゃんが怖いから、このへんでやめとくね。
展示が始まってすぐ、オニーチャンがまず真っ先に氷柱ちゃんのクラスに行ったなら
見れたのかもしれない。
でも、お昼にホタおねーちゃんのところで会ってあーんってしてあげたから
見なかったのかな。
喫茶店メニューは、家でも食べたホタおねーちゃんのきのこオムライス。
お祭りの中で食べる味は、なんだか違うようでした。
オニーチャンはリカに食べさせてもらったんだから、
ますますおいしい味がしたんじゃない?
思い出すとおなかがすいてきちゃうな。
ちょっと冷蔵庫を覗きに行ってみない?
終わってしまっても、体の中になんだかあのお祭りの熱気が残っているよう。
リカはいま怖くもないし不安でもないのに、眠れなくなる気持ちがわかってしまった。
コーフンして眠れないのって、悪い気分じゃないネ。

立夏の偽日記

『夏ふたたび』

ジージー、
ミンミン、
ツクツクボーシ。

だいがっしょー。

セミたちだって、
こんな日が来るのを待っていた。
あー暑かった。
授業中うるさかった!
あんまりセミが鳴きすぎて
笑い出しそうで
ピンチでした。
リカがピンチのときには
オニーチャンが助けに来てくれる約束なのに
なにしてたのー?

9月もあなどれないネ。
やればできるんだね。
見直した。
今年は残暑が厳しいでしょうって予報、
昨日までは
なーんだ
こんなもんかと
なめてたヨ。
今日の天気はガチでした。
太陽もそろそろ
休憩したし
このへんで一回本気だしとくか、
みたいな?
本格的に秋になっちゃったら
真っ赤なのは、もみじ。
それから、太陽にすかしてみる
リカの血潮、は季節を問わないとして。
忘れるな、
真っ赤に燃えるのが太陽だと。
それと関羽だと。
プライドをかけて
気合を入れて
まだまだ熱くなれるのが
俺様なんだ、
太陽だ。
うんうん。
誰だって、クールに構えるより
熱く燃えるほうが
気持ちいいんだもんネ。
ライバルもいてさ。
太陽のライバルは、
リカだね?
それにしても
こう暑いと、学校帰りに買い食いするアイスがおいしい。
ガリガリ君のソーダ味と
スーパーカップのバニラ味、
定番が嬉しくなる
たまの思い出したような炎天下でした。
あ、でも、
困っちゃうな。
リカのクラスの文化祭の出し物は
創作ダンス。
練習の初日に、こんな暑さで。
体操着はすぐにびっしょり、
ムレムレブルマがうらめしい。
そりゃ汗びっしょりになる予定だったから
着替えは持っていったけど、
想像を大きく上回る汗が
ダンスと共に健康的に飛び散ったヨ。
こんなときは、体操着は短パンが良かったって思うな。
オニーチャンがときどきはいてる
トランクスも涼しそう。
はいてるのは見たことないけど。
見たのは、洗濯物でつるしてあるところだけ。
今度、はいてる姿を見せてネ!
オニーチャンたちの出し物はどう?
もしヒカルおねーちゃんが演技苦手で
牛若丸がうまくいかないなら
体が軽くて
ダンスもうまいリカが
替わりにやりたーい、
橋の欄干の上から
弁慶の胸にダイブして
そのハートを奪いたい、
一生離さないぞ、
と思っていたら
ヒカルおねーちゃんは
自分が任せてもらったことだからって。
真剣に応えたいって。
でもなあ、
弁慶のなぎなたを、
ぎなた?
義経が塀の上にのぼってかわして
飛び降りたと見えたところ、
地面に脚もつかずにまた塀に戻って
逃げたという。
さては、中国の偉い人か、
古典はそういうけれど
超能力か!
それはジャッキー・チェンだって無理だ!
古典だから違う人だけど。
ヒカルおねーちゃん、
相手に正々堂々向きあいたいタイプなの。
おすもうをしても、がっぷり四つ。
つっぱりで突き放したり
立ち合いの変化なんてしない。
軽快な動作が売りの立夏が、向いてる気がするな。
挑戦してみたい。
いつも理由もなくピョンピョンはねて
氷柱ちゃんに、床が抜けるわよって言われるくらいなの。
そこまで重くないよね。
シツレーな。
もし床が抜けたとしても、
アルバイトして修理代にあてるもん。
ポテトはいかがですか?
それか、ママの事務所に入っても稼いでもいいし。
うたっておどれるから。
でもママは、
リカは別にいいって。
麗ちゃんが欲しいって。
どういう意味!?
生まれ持った才能の差というのはあるのか。
オニーチャンは、リカより
麗ちゃんが美人だと思うかなあ、
やっぱり。
でも、
負けないもん!
めげないリカだもん!
ダイスキなオニーチャンにだけは
リカのほうがかわいいって言ってもらえたらそれでいいもん!
ダンスがんばる。
本番、絶対見てね。
かわいいからネ。
オニーチャンとヒカルおねーちゃんも、
飛び跳ねて、
派手なアクションするみたいだけど
リカみたいに舐めれば治る野生の体じゃないんだから
ケガだけはしないでね。
もし、ケガなんてしたら
リカちょー泣くし。
セミよりも絶対うるさい。
自信ある!
リカを泣かせないように
ホントーに
体は大事にしてネ。

立夏の偽日記

『サンバのリズム』

ブラジルが呼んでいる。

浅草が呼んでいる。

立夏に踊れと
呼んでいる。

わーん!
リカは生まれてくる場所を
間違えた!

宿題なんかじゃなくて
楽しく踊るほうが大事だと
ワン、ツー、エイ、ワオ!
って育てられたかった!

リカたち20人兄弟は
ブラジルに生まれればよかった!
宿題のない国に。
歌と踊りと
胸焦がす情熱の国に。
でなかったら
20人仲良く
何があっても
助け合う
優しい家に生まれたかった。
いや、生まれたから
ここでいいか。
いいんだけど、
優しさなんだけど
助け合いなんだけど
氷柱ちゃんのスパルタ授業は
リカ耐え切れるかな。

そりゃ、見捨てられるほうが悲しいのは
わかってるけど。
氷柱ちゃんも一生懸命協力してくれているってことは
充分にわかってる、
厳しくする理由があるのも
わかってるんだけど。

リカも女の子。
こんな時は
優しくしてほしかったナ。

優しくしてくれたから
今日やるように言われた分の宿題は
終わらせたヨ!
の嘘を信じてくれていたのかな。
だって、本当に
夜には時間を取って
宿題するつもりはあったの。
暑さに負けないぞって
一日遊びまわったら
スコーンと眠れる自分の体質を
恨んでもしょうがないから
立夏は健康な体にカンシャ。

そう、
学業に向いた頭をもらえなかったからって
神様を恨んでも意味ないんだ!
こんなに得意なサンバが
踊れる世界の生まれじゃなかったからって
何も──
ちょっとだけ──
それにしても
宿題くらいで生まれをこんなに嘆いたりできるなんて
リカにしかない才能だって
氷柱ちゃんも褒めてくれたよ。
またまたあ。
それほどでもないヨ。
まあね、
褒められたわけじゃないって
理解はしていマス──

こんなに情けない立夏に
ここまで付き合ってくれてる氷柱ちゃんには
カンシャしているの。
ホントだよ。
厳しいのも愛だよ!
厳しすぎて泣いちゃうけど!

ごめんね氷柱ちゃん。
嘘をついて泥沼にはまり込むだけじゃなくて
立夏の頭でも無理のないペースの計画を
作ってもらっておきながら
カバンの底から
出るわ出るわ
正直じいさんが大判小判を掘り当てたのか
ざくざく、どっさり。
ワンワンはポチの恩返しじゃなくて
立夏のだらしない泣き声でした。

わざとじゃないの!
中学生になって
小学生と違うんだと
怯えていたら
なんだ観察日記も工作もないんだー、
小学生より宿題少ないくらいだな、
さすが中学生は大人だな
自由な世界だなと
感心していたの。
そんなわけないじゃん!
学業は、学生の本分!

夕凪ちゃんは今年は
宿題居残り仲間じゃないの。
心強い友がー。
でもおめでとう、
誰だってこんな悲しい思いはするべきじゃないの。
吹雪ちゃんが疑問を持つ
宿題を忘れる能力も
今年は発揮されることが
ないそうです。

おーい
吹雪ちゃん!
記憶力に関する疑問を
追及するなら
ここにも研究の対象がいるよ!
一緒に立夏の頭の悪さの秘密を
解き明かしてよ!
わーん!

ま、
やることはやらないと!
もしも
お兄ちゃんからもパワーを
充填させてもらえたら
弱ったリカちゃんも
助かるな。
お祭りまでに終わらせられるよう
なんとかしたい!

30日にG’sと一緒に
マンガの3巻を買ってきたら
そーんなことないよって
内容を
笑い飛ばしてやるんだ!

絶対!
ぜひ応援をよろしくオネガイします!

立夏の偽日記

『おひさま』

こいぬかな
こいぬじゃないよ
おししだよ。

南国おししは
カラフルおしし。

強烈なお日様と
青い海に
よく似合う
原色キラキラ。

キュートです。
ていうか、
みんなの塗ったやつ、
どいつも
派手だネ!
この子の顔がもう自己主張強いから?
きれいな色が似合うのは。
絶対、保護色って顔じゃない。

どんな色を選んだって
黙って受け入れてくれる気がする。
強そうなすまし顔。
20人分、それぞれの派手な色。
絶対これがかっこいいと
お姉ちゃんも妹もお兄ちゃんも真剣だった
全員の色を
たくみに着こなす
ファッションモデルみたい。
おしゃれシーサーがずらり、
こうして見ると
女の子19人と男の子1人の
パンツを干した物干し竿か
水着で出て行く砂浜か
いい勝負ができるネ、ライバルだ。
いくら伝統の生き物だからって
負けてられないもん。

伝統衣装を
着付けてもらうリカは
ワクワク
かわいいかな──
ドキドキ
似合うかな──
振り子のように
やる気と弱気を行ったり来たりのところから
はじまりました。
周りを見たら、
みんな、結構いい。
純和風の麗ちゃんだって
すっかり、海の王国に育った
ウワサの美女。
船に乗ってお兄ちゃんが迎えに来るレベルだ!
似合うのは、
健康的に焼けたから?
美白を死守するのは
人をリゾートに引きずり出す、あの太陽の下では
意味のない決意だよね。
さて立夏は
どちらかというと、
いつも心にミニスカート。
胸の奥から飛び出す元気はまるで
ローラースケートとポニーテール。
海は海でも
たぶんウェストコースト。
バーベキューをするのなら
かなりのアブラミびいきだ。
蛍おねーちゃんに作ってもらう浴衣も
裾つめようよ、のリクエストだヨ。
立夏の思春期の生肌が
呼吸をしようと外に出たがっている。
こんなんで、
きれいで上品そうな琉球の上流ファッション。
ダイスキな人に、かわいいって言ってもらえるでしょうか?
笑われない?
オニーチャン、どうだった?
リカはね、
もともと派手なので、
日本人から見ても
わあオリエンタルだ、
って感じの服は
意外にも合うようだ。
シーサーになんか負けていられない。
こんなに素敵な姉妹の誰にも
負けられない。
着飾ってしまったらリッカも
キラキラしてて
太陽みたいで
一緒に住んでる男の子だって
惚れ直すほどだと思ったのデスが
どうでしょう。
リッカにこれは
一応、ありだな
くらいに思ってもらえたら
嬉しいな。
心も熱くなってくれたなら
嬉しくて嬉しくて
飛び跳ねちゃうな。

これで、沖縄旅行中の大イベントは
あとは美ら海水族館行きが待っているのみ。
出発前は不安だった天気も
ここまでは、嬉しい晴れ続き。
家族一同が認める晴れ女として
やるしかないね。
別に何かするというわけじゃないけれど。
水族館には、日曜日に行くよ。
バスで片道2時間以上の旅です。
移動だけでかなり大変そうなので、
金曜、土曜はほどほどの活動で
体力を温存しておけと
氷柱お姉ちゃんのアドバイス。
あんまり、海に出て
そこまでしなくてもというほど
全身の筋肉を余すところなく使って
海水浴を満喫したり、
砂浜を特に目的も決めず
あっちにこっちにダッシュしたり
オニーチャンと
時間も場所も関係なく
あっつい汗を流してくっつきあったり
したいから
無理な相談だと思うヨ。
誰も止められないとわかっている
浜辺を過ごそうね。


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